あらすじ
エゴイズムに苦しむ近代的人間の運命を追求してやまなかった漱石が時として見せた滋味豊かな一面をのぞかせる美しくも香り高い珠玉の短篇。メルヘンと呼ぶべきか、夢幻と名づくべきか、読者を一つの世界にいざなってやまない。漱石を愛する人々の忘れてはならない貴重な人間像。「京に着ける夕」「倫敦消息(1)(2)」「自転車日記」も収録。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
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みなさんは正夢を見たことがありますか?
正夢は、自分の現実における記憶に基づいて、脳が錯覚を起こしている状態だそうです。
みなさんの夢は白黒ですか?それともカラーですか?
年配の方であればあるほど、夢は白黒と聞いたことがあります。
現代の若者は特に、テレビ等も含めほぼすべての経験をカラーでします。
このように、夢は現実で起こった様々なことに起因して、脳が見せているものなのでしょう。
また、夢十夜で語り手が見た夢は非日常的な世界でありながら、日常に溢れている人間の醜い部分をとても繊細に描いてあります。
「長いあいだ大空を落ちている間に、角が取れて滑らかになったんだろうと思った。」
「堪えがたいほど切ないものを胸に盛れて忍んでいた。」
「ただ背中に小さい小僧が食っ付いていて、その小僧が自分の過去、現在、未来をことごとく照らして...」
人間味のある短編集をお好みの方は是非一読ください。
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Posted by ブクログ
夢の中の話。
「こんな夢を見た。」から始まる第一夜。
百年目に合うから百合の花。文章は余韻が残る言葉が散りばめられていてまさに夢のように幻想的。関係を曖昧にすることによって女の涙の解釈が分かれるところが技巧的。
第三夜。
民俗学に見られる民間伝承、「こんな晩」パターンの類型。不気味としか言いようがない。「ちょうど百年」と出てくるが第一夜との関係性があるのかは謎。
第七夜
対象をつきはなして見ている。自殺者の視点に立って心情を描写している点において、類型的なものが見られないため何か伝えたいことがあったのか。
なんとも言えない、考えさせられる、でもわからない
謎に包まれたような、味のないものを食べているような気分になる作品。
Posted by ブクログ
夢十夜が読みたくて一読。背表紙の紹介文観て文鳥も気になって読んでみた!
文学知識は皆無に等しいけど、夢十夜の各夜、文鳥それぞれ違う印象…
---ネタバレありめも---
「夢十夜」
個人的に第一夜、第七夜、第九夜、第十夜が好き。
第一夜
→十夜の中でも1番好き。神秘的でめっちゃ綺麗…雑な説明だけど、これから死ぬ女性を土に埋めるのに、なんでこんなに描写キレイなんだろう…
第七夜
→大きな客船の話。どこに向かってるかわからない、船内の賑やかな乗客とも雰囲気合わない、なんで乗ってるんだろう。いっそのこと死んでしまいたいって船から海に飛び込んだけど、足元離れた瞬間に命が惜しくなる。でも時すでに遅しで海に沈むしかない…この死にたくなる感じ、すごい分かるし、惜しんだときには死ぬしかない運命なんが切ないというかなんというか…
第九夜
→消息不明父親の無事を祈って、熱心に毎晩御百度参りする母親と、その間欄干に括り付けられてる子供の話。でも実は父親は既に殺されていて、そう知ったのは「夢の中で母親から聞いた」らしい。
死んだのを知らずに、子供を縛り付けてまで毎晩祈り続けてるのか、もしくは死んだのを認められなかったのか、、、切ない悲しい
第十夜
→ミーハーな薄い人間を皮肉ってる感じがして面白かった。なんか好き…でもこの感想持ってしまった私の性格の悪さにもビビった。
「文鳥」
漱石の弟子三重吉から「文鳥飼いましょ」て勧められてかってみる話。なんか可愛らしかった。
朝起きるの苦手で、何かを面倒も見るのも苦手な、ズボラな性格。作家ってすごいのに、だらしない面見れて可愛らしかった。これ勝手に漱石の実話やと思ったけど、根拠はないらしい…
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倫敦消息も気になる…