夏目漱石のレビュー一覧
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夏目漱石の表の傑作が『こころ』なら、裏の傑作は『道草』と言ったところでしょうか。
裏と言うだけあり、誰にもおすすめしませんが、自分は読んで良かったと思いました。
自伝的要素を持つ本作は、幼少期の不遇な境遇を混じえつつも、何か特別大きなイベントがあるわけでも無く、多少の起伏がある程度の話が淡々と進んで行きます。内容は書くまでも無く、親類縁者から金を無心される話と、心を通わせられない夫婦の会話に終始しており、ラストもケリがついたと思いきや、主人公の言葉に含むものがあり、なんだかスッキリしません。まさにタイトル通り、著者の作品に付き合った読書体験そのものが『道草』だったかのよう。
そのスッキリし -
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人の夢の話って本当につまらない。その人の中の知識の共有のないまま、ランダムで不条理で支離滅裂だからだろう。
でも夏目漱石のこの作品は名作としてずっと残っている。
まず、第一夜の死の床にある女との会話がロマンチックだ。「百年待っていてください」という頼みも、真珠貝で掘り起こすところも。彼女の姿ではないけど、百合の花で再会とするところは、ブッダの生まれ変わりの話みたいだといつも思う。
第三夜の目が見えない子供を負ぶう話も、ちょっとホラー仕立てで面白い。
第十夜は、水菓子やの水蜜桃、林檎、枇杷と色鮮やかな果物を描写する漢字の単語が美しい。
イラストが美しいし、夢十夜の雰囲気ともとても合っている。特 -
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ネタバレp.21註
「明治30年代から40年代にかけて、都市居住者の家庭に登場し急速に普及した〈ちゃぶ台〉のこと。四、五人が坐れるくらいの大きさで、厚板の下に四本脚がついている。円形、四角形の二種類があり、脚は折りたたみ式のものもあった。……」
ちゃぶ台って深く考えたことなかったが、明治末頃にひろまったというのは時代が感じられて面白い。それ以前は何を使っていたのか。……というまあ、時代背景が知れて面白い註釈はよいが、ネタバラシを注釈でするのは如何かと思う。
たとえば、序盤で宗助とおヨネの間のギクシャクしているわけではないけど妙に冷めている、なんともいえない雰囲気が書かれていて、それを読み手は一体過去 -
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定職を持たず父からの援助で暮らしている明治期の高等遊民である長井代助が主人公の小説。
代助が働かない理由を友人である平岡に語る場面でもあるように代助の言っていることは屁理屈にも感じるが、世の中をできるだけ公平に見て自由に論じるためには代助のような立場の人間の方が適している面もあるのかなと感じた。
平岡と平岡の妻である三千代とのやりとりはもちろんだが、個人的にはかつては代助と同じように文学書を熱心に読んでいたのに生活に追われるようになり次第に読書の面白さがわからなくなった但馬にいる友人の描写が代助の生活との対比を上手く表現していると感じ印象に残っている。
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ネタバレ一言でいえば、裏切りの連続って感じだった。まず上「先生と私」で主人公の一人称が「私」というだけでてっきり女性かと思っていたら男性で、そこでえっっっとなった。やたらと先生に執着心を持つから、同性愛的な話なのかと思えば、中「両親と私」の最後の方で先生が死ぬという急展開でまたも「えっっっ」となった。正直ねちねち些細なことを細かく描写する文体?に飽き飽きしていたが、この展開でやっと読み切ろうという気持ちになったのは印象的だ。
最後の下「先生と遺書」では、上と中の伏線回収のような感じだった。この手紙は先生から私宛に書かれたものだが、「私」に向けた「あなた」が次第に呼んでいる自分自身のことを指しているので -
購入済み
ユーモアと切れのいい文章
夏目漱石のデビュー作であり初期の代表作でもある。「作者は処女作の中にその後の全てがある。」という格言があるが、大文豪 夏目漱石もその代表例である。小学校高学年の頃初めて読んだが、難しい単語はともかくとして そのユーモアと切れのいい文章にとても惹かれ、何回も読み直したのを覚えている。その時の感動は今でも生きている。
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この作品は、地の文が苦沙弥先生の家に住み着いた猫に
よるもので一貫されていて、人間心理の内側はまったく見えないので、
各人の言葉の裏側をのぞき見ることができません。
猫は実質主人公ですが、ストーリーを動かす力はまったくなく、
折々のシーンの空間に『居ても構わない』立場、
かつ、人間よりも幅広い高低差レンジでの機動力を活かして
人間を俯瞰視しつつ、事細かい観察でもって数々の批評を
繰り出しては読むものの笑いを誘います。
恐らくこの作品はオートフィクションであり、漱石本人の
自虐ネタがふんだんに盛りこまれていて、
それをとりまく家族や交友関係を巻き込んだ
壮大なイタズラ心で出来ていると思います -
Posted by ブクログ
苦慮して作り上げた文体は正直なところ意味を掴めないが、美しさは伝わってくる。西洋的なハイカラな思想が昔ながらの考えにぶつかる、そこで起きる波紋というのも一つのテーマとして感じる。藤尾は美しく傲慢な女として描かれているが、こんな人は現実に実際いそうだ。自分の美しさを把握しているから、人に対して小悪魔に振る舞ったりする。その我儘さが美しさに拍手をかける。みたいな。まぁ、こんな人には敵わない。なんだかんだで結局美しさに敵うものはないのではないか。と勝手に思ったりもする。
藤尾だけではなくて、この小説に出てくる人は皆現実にいそうだと感じる。それぞれが自立した性格を持っていて、そのもつれの中で結末を迎え -
Posted by ブクログ
夏目漱石の未完にして遺作。しかし、もしここで漱石は『明暗』の完了を考えていたとしたらどうだろうか。『明暗』を読み終えて、小説がここで終わっていてもいいのではないかとも思える。
漱石と言えば、私は高校生の時に現代文の授業で、『こころ』を読み通し、読み込む授業を受けた。クラス担任の国語の授業である。『こころ』は日本近代文学の最高傑作であるとされ、当時国語が苦手であったので、知識や読解力がなく、深い意味がよく分からなかった。大人になった今、読み直してみたい作品である。
これまで、『こころ』の他に『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『門』『草枕』を読んだ。どれも当然面白かったが、何度読み返しても面白