夏目漱石のレビュー一覧
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ユーモアと切れのいい文章
夏目漱石のデビュー作であり初期の代表作でもある。「作者は処女作の中にその後の全てがある。」という格言があるが、大文豪 夏目漱石もその代表例である。小学校高学年の頃初めて読んだが、難しい単語はともかくとして そのユーモアと切れのいい文章にとても惹かれ、何回も読み直したのを覚えている。その時の感動は今でも生きている。
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この作品は、地の文が苦沙弥先生の家に住み着いた猫に
よるもので一貫されていて、人間心理の内側はまったく見えないので、
各人の言葉の裏側をのぞき見ることができません。
猫は実質主人公ですが、ストーリーを動かす力はまったくなく、
折々のシーンの空間に『居ても構わない』立場、
かつ、人間よりも幅広い高低差レンジでの機動力を活かして
人間を俯瞰視しつつ、事細かい観察でもって数々の批評を
繰り出しては読むものの笑いを誘います。
恐らくこの作品はオートフィクションであり、漱石本人の
自虐ネタがふんだんに盛りこまれていて、
それをとりまく家族や交友関係を巻き込んだ
壮大なイタズラ心で出来ていると思います -
Posted by ブクログ
苦慮して作り上げた文体は正直なところ意味を掴めないが、美しさは伝わってくる。西洋的なハイカラな思想が昔ながらの考えにぶつかる、そこで起きる波紋というのも一つのテーマとして感じる。藤尾は美しく傲慢な女として描かれているが、こんな人は現実に実際いそうだ。自分の美しさを把握しているから、人に対して小悪魔に振る舞ったりする。その我儘さが美しさに拍手をかける。みたいな。まぁ、こんな人には敵わない。なんだかんだで結局美しさに敵うものはないのではないか。と勝手に思ったりもする。
藤尾だけではなくて、この小説に出てくる人は皆現実にいそうだと感じる。それぞれが自立した性格を持っていて、そのもつれの中で結末を迎え -
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夏目漱石の未完にして遺作。しかし、もしここで漱石は『明暗』の完了を考えていたとしたらどうだろうか。『明暗』を読み終えて、小説がここで終わっていてもいいのではないかとも思える。
漱石と言えば、私は高校生の時に現代文の授業で、『こころ』を読み通し、読み込む授業を受けた。クラス担任の国語の授業である。『こころ』は日本近代文学の最高傑作であるとされ、当時国語が苦手であったので、知識や読解力がなく、深い意味がよく分からなかった。大人になった今、読み直してみたい作品である。
これまで、『こころ』の他に『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『門』『草枕』を読んだ。どれも当然面白かったが、何度読み返しても面白 -
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キラリと光る小粒の宝石
永日小品とならんで夏目漱石の中でもっとも好きな作品である。これでもかと言わんばかりの大作名作揃いの作品群の中でキラリと光る小粒の宝石のような作品である。とりわけこの作品は幻想味があって漱石としては大変に珍しい作品である。
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高校生の時に授業で習って以来、
たまにふと読みたくなり何度か読み返している。
初めて読んだ時も心にズシンときた。
先生、K、御嬢さん誰の気持ちになってみても辛い。
Kが死んでしまうのが分かってるから、なんで早くKに言わないんだよ…!この段階でKとちゃんと話していればなにか違ったかも!とか思ってしまうよ。
焦ってお嬢さんを手に入れようとする様子やお嬢さんとの結婚が決まったことをKになかなか言わない気持ち、Kが自分宛に遺した手紙に奥さんや御嬢さんが軽蔑するような内容が書かれていないことに安心する様子などは、うわーずるい人…と思いつつもとても人間らしい。
時間が経つにつれてどんどん苦しくなっていく -
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作品末尾の漱石節
草枕の頭の漱石節は有名ですが、
本編ではほぼほぼ最終ラウンドで漱石節が炸裂、
考えさせられます。
ハムレットの恋人役のオフェーリアを彷彿させる藤尾さんの最期、
脳足りんの毛唐と違って、元祖ツンデレの藤尾さんの方が全然いいです。
漱石といえば三角関係の白眉となる出来の本作をお楽しみ下さい。
お好みで。 -
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オープニング
虞美人草の最後と、草枕のオープニングは漱石節炸裂の1番美味しいところ。
草枕は英訳の訳者に恵まれていて、ピアノ奏者のグルードも好んでよく読んだそうな。
グルードが読んだ英訳された草枕も読んでみたいものです。
日本でも売れる気はする。少なくとも、自分は購入します。
お好みで。 -
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漱石のエッセイ
漱石のロンドン時代や帰国してからの身の回りの出来事 子供の頃の思い出などを、現代でも十分に味わうことのできるわかりやすい文章で綴られたエッセイである。「蛇」のようにやや不気味なもの、「行列」のように巧まぬユーモアを秘めたものなど様々な味わいの作品がある。中でも散文詩のような「昔」が特に心に残った。
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台風に荒れる活火山阿蘇
この時期の夏目漱石の特徴である「世相批判」的なセリフがしばしば出てくるが、それよりも、台風に荒れる活火山阿蘇の大自然描写が見事である。草千里の背の高い草が生い茂った中を強引に歩む二人が、とてもリアルに描き出されている。
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「もしあなたがたのうちですでに自力で切り開いた道を持っているかたは例外であり、また他(ひと)の後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとはけっして申しませんが、(自己に安心と自信がしっかり附随しているならば、)しかしもしそうでないとしたならば、どうしても、一つ自分の鶴嘴で掘り当てる所まで進んで行かなくっては行けないでしょう。
行けないというのは、もし掘りあてることができなかったなら、その人は生涯不愉快で、終始不愉快で、終始中腰になって世の中にまごまごしていなければならないからです。」本文より
ためになる内容だった。
繰り返し読んで自分の中に落とし込みたい。