夏目漱石のレビュー一覧
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読み終わったあとはしばらくの間、虚無感、脱力感、それに似たものを感じました。
「死」というものはまだ身近で感じたことがない私だけれど、この作品読んで、身近な人が死んだあとの虚無感はかなり心に重くのしかかるんだろうなと考えさせられました。
夏目漱石の皮肉混じりの文章、鋭い洞察を伴った人間を描く文章が、思ったよりも面白くて「坊ちゃん」を昔に読んで気にはなっていた作品だけれど、ユーモアまじりのどこか軽快に進んでいく「坊ちゃん」とは全く違う、曇天の中をずっと重い時が流れていくような小説でした。
小説の中から何かを学べるのだとしたら、この本からは「自分の行動に自分自身で責任が持てるか」と常に考えて生きな -
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本書を初めて読んだのは、高校生のとき。先生の心の奥底に沈んでいるものが、あまりにも辛く苦しく、そのことばかりが頭の中を占めていました。
一方、“自分には三角関係なんてあり得ないだろう。正直こんな状況に自分はなりたくない。”と思っていました。
ところが忘れもしない社会人になって1年目、絶対にありえないと思っていたのに、自分自身がはまっていた。本書のように泥沼にならなかったのが幸いですが、恋愛の恐ろしい一面を知りました。先生の言葉“恋は罪悪しかし神聖”グサリときます。
今回再読して、先生の苦しさだけでなく、先生を慕っていた“私”という人物にも思いを馳せました。“私”は実父の死が迫り来る中で、 -
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精神のバランスを崩してしまった人と家族の苦悩、そして結婚について考えさせられる小説。(後期三部作のうち2作目 大正元年から大正2年まで朝日新聞連載)
最後の最後まで考えさせられ、ひきつけられる内容でした。深い海の底に沈んでいくよう。
一郎と二郎の2人兄弟。兄の一郎は学者で、精神が過敏。弟の二郎は大らかな性格。
一郎と妻(名前は直)の夫婦仲は冷え込んでおり、一郎は家族や親族から、腫れ物を扱うような対応を受けている。
家族間の謎めいた、厚いベールにおおわれた部分を見ている感じで、ゾクゾクするおもしろさがあります。
一郎と妻の結婚生活だけではなく、他の結婚話もなかなか読ませる内容です。(一 -
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『私の個人主義』
自己本位と個人主義について
「もしどこかにこだわりがあるなら、それを踏潰すまで進まなければ駄目ですよ。」
「だからもし自分のような病気に罹った人が、もしこの中にあるのならば、どうぞ勇猛にお進みにならん事を希望して已まないのです。もしそこまで行ければ、ここにおれの尻を落ち着ける場所があったのだという事実を御発見になって、生涯の安心と自信を握ることが出来るようになると思うから申し上げるのです。」
個人主義と国家主義は対立するものではない
党派主義とは対立するかもしれない
義務が附着していない自由は存在しない
他者の邪魔をしない 三宅雪嶺の例
背後に人格があってこそ、個性と権力 -
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ネタバレ読み終わってから、「主要人物10人未満!?」ってびっくりした。
前・中編では私目線だから先生の厭世的な部分、自分を語りたがらない部分は大人の魅力、ミステリアス、として肯定的に感じられた。
しかし!いざ後編で先生の遺書を読み進めると、それらの魅力はただの自己保身だったのが構成の旨みを上手く利用していて感服した。
大前提!Kも先生も、てかこの物語全体が、男尊女卑が酷い。そういう時代なんだろうけど、「Kははじめ女からも、私同様の知識と学問を要求していたらしいのです。」という文言にはイラっとしました。そういう時代だから仕方ないけどね。
Kの死因への向き合い方とか、自分の生への考え方とか見てると、先生も -
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学校の冬休みの課題で夏目漱石の本を読んで感想を書くという課題が出たので私は「こころ」を選びました。理由は三角関係がテーマの本ということを知ったからです。昔の文学は自分の中ではなかなか手を付けにくいイメージがあってあまり好んで読んできまんでした。でも実は自分の中で勝手なイメージを持って好き嫌いしてるだけなのかな?と思って手を付けやすそうなテーマだったので読んでみました。
登場人物たちの関係が複雑に結びついていました。時代の変化と共に人間は変わっているようにみえて実際、こころの中の本質はずっと変わらないのかなあと思いました。まだまだ理解出来なかった部分もあるので時間をおいて再読したいです。 -
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ネタバレ前半はなかなか読み進まず、しかし後半は、恋愛が絡んできて面白さが増して一気読み。
漱石作品5冊目にして、ついに面白かったと思える作品に出会えた。長かった〜。これからも漱石が面白く読めたらいいなぁ。
高等遊民の代助には何ら共感はできない。
学歴も高く、外国語もピアノも何でもできる。
が、働かない。
食う為の職業は誠実ではない
とか何とかへ理屈をこねている。理想は高く、ごもっともなご意見ではあるが、現実主義者を蔑んでいるフシがある。
頭が良い次男坊って、扱いが難しかったのだろう。お見合いで良家か金持ちの家に婿養子に行くのが当たり前だった。
しかし、代助は気づいてしまった。
そう、愛に。
遅い -
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夏目漱石、前期3部作は『三四郎』『それから』『門』。3作品は、恋愛→結婚→結婚後 という、つながりが感じられます。眼前に現れる景色が違い、訴えてくるものも違うため、3作品の優劣はつけ難いです。
しかし、『門』は派手な部分はないけれど、しっとりした余韻を感じるところがいいです。ひとつの事実や心理を表現する描写が巧みで、心に奥深くまで刺さります。恐ろしいぐらい、うまい。3作品共通して言えるのは、日本語のゆかしさが感じられ、文章に落ち着きと骨力があるということ。現代の小説よりも漢語が多く使われているため、漢語から伝わるイメージが作品世界を作っていました。漢籍の教養が下地にあるということは、すごいこ -
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『三四郎』(夏目漱石)以上に、心理描写に引き込まれました。
主人公の長井代助、30才。裕福な家のお坊ちゃんで、親の脛をかじっている。働かないで暮らせる。インテリと頼りなさが同居した感じ。
読み始めからゾクゾクします。不倫の話。代助の不倫相手は友人、平岡常次郎の妻(三千代)。代助と三千代は、互いに好意を持っていました。しかし、代助は平岡と三千代の結婚をとり持ってしまう。自分の気持ちより、友人の思いを優先して。
三千代との再会で過去の恋が再燃すると、頼りなげな代助が、大人の男性になっていくように思いました。しかし2人のやりとりから、三千代の方が度胸が座っていると感じる面も。彼女は病気持ちで、