夏目漱石のレビュー一覧

  • 門(新潮文庫)

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    夏目漱石、前期3部作は『三四郎』『それから』『門』。3作品は、恋愛→結婚→結婚後 という、つながりが感じられます。眼前に現れる景色が違い、訴えてくるものも違うため、3作品の優劣はつけ難いです。

    しかし、『門』は派手な部分はないけれど、しっとりした余韻を感じ、私の好みです。ひとつの事実や心理を表現する描写が巧みで、心に奥深くまで刺さります。恐ろしいぐらい、うまい。3作品共通して言えるのは、日本語のゆかしさが感じられ、文章に落ち着きと骨力があるということ。現代の小説よりも漢語が多く使われているため、漢語から伝わるイメージが作品世界を作っていました。漢籍の教養が下地にあるということは、すごいことで

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    2025年12月14日
  • それから(新潮文庫)

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    『三四郎』(夏目漱石)以上に、心理描写に引き込まれました。

    主人公の長井代助、30才。裕福な家のお坊ちゃんで、親の脛をかじっている。働かないで暮らせる。インテリと頼りなさが同居した感じ。

    読み始めからゾクゾクします。不倫の話。代助の不倫相手は友人、平岡常次郎の妻(三千代)。代助と三千代は、互いに好意を持っていました。しかし、代助は平岡と三千代の結婚をとり持ってしまう。自分の気持ちより、友人の思いを優先して。

    三千代との再会で過去の恋が再燃すると、頼りなげな代助が、大人の男性になっていくように思いました。しかし2人のやりとりから、三千代の方が度胸が座っていると感じる面も。彼女は病気持ちで、

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    2025年12月12日
  • こころ

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    前半はゆるりとした感じで、何が面白いのかなかなか分からなかったが、後半で一気に動き出す。
    描写が非常に丁寧。先生の過去についても、普遍的な恋愛ベタのあるあるで、共感できるところも多々あった。
    本屋に今でも置かれて読まれ続けている意味がよく分かった。
    自分が20代のときにこれを読んだらどう思ったかな。

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    2025年12月08日
  • 三四郎(新潮文庫)

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    三四郎の心模様が、静かで落ち着いた文章の中に流れていました。色で言えばグレーに近い感じです。それは悪い意味ではありません。心というものの描き方が上手い、それにつきるのだと思います。

    東京帝大入学のため、熊本から上京途中の三四郎は、汽車の中で、ある女性に出会います。その女性とひょんなことから、同室で一泊することになります。読んでいる方がハラハラして、“三四郎、今後、女性と付き合えなくなるのではないか”と気を揉んでしまいました。「あなたは余っ程 度胸のない方ですね」なんて言われたら一生トラウマになってしまう。この女性、悪魔みたい。「度胸がない」という言葉は、三四郎のお母さんの手紙の中にもありま

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    2025年12月07日
  • こころ

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    高校生の頃、教科書に載っていたので読んだことがあったが、全編を通して読んだのは今回が初めて。
    大人になった今読んだからなのか、全編通して読んだからなのか、当時とはまた違った印象を抱いた。
    当時は行動の背景や意味がイマイチ理解できず入り込めなかったが、今回は自らを重ねて読むことができた。
    さらに人生経験を重ねてから読むとまた違った感じ方をするかも。
    是非とも20年後くらいに再読したい。

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    2025年12月05日
  • こころ

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    かなり久しぶりに読んでみた。
    前に読んだのは、学生時代だったはず。
    当時の私、ちゃんと読めていたのだろうか。

    「私」が憧れ、慕っている先生のイメージが、上中下と読み進めるうちにどんどん変化してしった。
    先生の弱さや淋しさが感じられてきた時、妙な親近感と虚無感を同時に覚えた。人のこころは難しい…

    読むタイミングによって、感じることもすごく変わりそうな作品。
    またいつか読んでみたいと思う。

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    2025年12月03日
  • こゝろ

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    本当に本当に面白かった。推理小説を読んでいるような気分で、先生は一体何者なのか、どんな人生を歩んできたのか、読めば読むほど気になって仕方ない。先生の遺書では、共感できる部分がとても多かった反面、共感しにくい部分もやはりあって、自分ならどうするかを読みながら深く考えられた。こんなにも余韻がすごい小説は初めて。名作と言われる所以がやっと分かった

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    2025年12月03日
  • こころ

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    名作ですね。何度も読んでるけど、内容知っているけど読みたくなる。
    古い本だけど古さは感じないのが夏目漱石の凄いところ一つだと思います。

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    2025年12月03日
  • こころ

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    何度読んでも名作。
    Kの「ただ苦しい」という心境も、先生の嫉妬や、進むべきか止まるべきか揺れ続ける姿も、若さゆえの「私」の未熟な考え方も、登場人物すべてに共感が持てる素晴らしい作品だと思う。
    繊細で、物事を深く考えすぎてしまう先生。
    初めて読んだ頃はあまり印象に残らなかったけれど、時代背景もあるし、先生自身の性質もあって、天皇の死に大きく影響を受けたのも本当に彼らしいと感じた。

    先生の遺書には胸を抉られるほどの共感があり、ストイックなKと揺れ動く先生との空気が、とても鮮明に立ち上がってくる。
    そして、Kの自殺の場面は何度読んでも圧巻。

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    2025年11月29日
  • 門

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    いったいいつ購入したのやら。定価200円って!
    化石化する前に発掘できたというレベルだが、『それから』があまりにも動きのない小説で、ようやく最後に動き出す気配があったのならば、気になるじゃないの、先が。

    語らずとも物語る2人の来し方。いいねぇ、この奥ゆかしさ。そしてその過去があるからこそ、お互いがお互いだけを頼りとし、信頼し合っている姿は夫婦のある意味理想だと思う。

    好きだ。漱石ものの中でも気に入りに入った。

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    2025年11月29日
  • 吾輩は猫である

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    10/24の #ヨンデルホン
    #吾輩は猫である / #夏目漱石(#新潮文庫)
    #ドクリョウ #ヨミオワリ
    夏目先生、読み終わりました。小説の概念が変わりましたよ。当時の読者は、どこをおもしろがっていたのでしょう。そして、文豪と呼ばれる理由も分かりました、先生は文がお上手ですね。さすがです。

    2025/05/28 22:50
    #ヨミハジメ
    夏目先生、「箆棒」と書くのですね、「べらぼう」。勉強になります。それと、字が多いです。頁が遅々と進みません。

    2025/05/29 21:14
    夏目先生、「坂本竜馬」に「天璋院」、幕末がお好きですか?
    それと、枚数が多いからでしょうか、1枚1枚が薄い気がし

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    2025年11月28日
  • 夢十夜 他二篇

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    本書には、「夢十夜」「文鳥」「永日小品」の3つの小品がおさめられています。

    「夢十夜」
    人間の深層心理をえぐっているような、とても怖くてゾクゾクするもの(第三夜)もあれば、漱石の芸術観が表れていて興味深いもの(第六夜:運慶の彫刻)もあります。何度も読み返したくなる文章です。さすが!と思いました。

    「文鳥」
    漱石が執筆するときの“さらさら”というペンの音。文鳥の“千代々々”の声。静かな場面を演出していました。文鳥の観察がとても細やかで、文鳥を“淡雪の精”と表現しているのが素敵でした。漱石のちょっと不器用な一面や、もの悲しさが感じとれました。

    「永日小品」
    漱石の人柄を垣間見ることのできる随

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    2025年11月26日
  • それから(漱石コレクション)

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    audible 。1909年朝日新聞で連載された「それから」について、「日糖事件」が出てくるなど当時の政治や国際情勢についても取り入れられているという新聞記事を見て俄然読む気になった。
    聴きながら「青空文庫」を読むという初挑戦でもあった。口語体の文学を完成させたという漱石の作品は、いま読んでも何の障りもない、さすがである。

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    2025年11月21日
  • こゝろ

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    こういう人は多いと思いますが、初めて読んだのは高校の国語の教科書ででした。先生とわたしの関係から始まり、謎めいた先生の行動、それを探ろうとするわたし、そしてそれだけで1つの話が完結するような先生の遺書。先生に隠された謎を追うところは、まるで推理小説の謎解きのように先へ先へと読み進めてしまいます。ミステリは殺人事件だけでなく、身近な人のこころの中にも潜んでいるのでしょう。これまで何度も読み返し、その度に新たな気付きがある、私のバイブルです。

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    2025年11月18日
  • 吾輩は猫である

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    寝る前の本、としてゆっくり時間をかけて読み終えた。
    時代を感じさせない今でも通用する感覚に笑ったり不思議に思ったりした。
    読んでいて、自分は自分で良いと言うことを感じた。
    中学生の頃チャレンジしたが挫折
    60歳過ぎて面白く読めた。
    楽しい時間でした。

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    2025年11月14日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    人間が何故ここまで「物語」に魅了されるのかは、悉皆謎なので有りますが、しかしながら、不勉強ながら、漱石先生の才覚に驚嘆するばかりです⁉️
    普段、思考に耽りがちな方は、この『彼岸過迄』という作品を読む前に、漱石先生の前期3部作を通読されると、尚世界観が深まるのではないでしょうか⁉️
    私事ですが、残り2作がめちゃくちゃ楽しみです‼️

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    2025年11月11日
  • 小説 こころ

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    こころとは不思議なものだと思いました。自分の方が勝ちたいという気持ちと相手を思いやる気持ち、その葛藤をすごく感じました。そして、勝っても得るものは少なく、失うもののほうが大きい。しかし負けたとしても、失う。そういうどうしようもない複雑な感情を描いた作品でした。

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    2025年11月01日
  • こころ

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    夢中になって読んだ高校生のころ。授業中にこっそり読んで、どっかシーンでは保健室に行って大泣きした思い出。読書好きになるきっかけをくれた本。
    また読み返したい!

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    2025年10月31日
  • 吾輩は猫である

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    8/14〜10/31
    青空文庫でコツコツ

    わ〜ゆっくり(会社で)読んでいたら結構時間かかっちゃった。とても面白かった。感想はゆっくり書くよ。夏目漱石の文好きだなぁ、他の作品も読みたいな。(つづく)

    前半は猫の語りが多いからスラスラ読みやすく、猫がどう考えるのか、猫から見た人間の面白さなどが伝わってくる。中盤から後半にかけては、主人とその友人たちとの他愛のない(しょうもない)生活について、会話文中心で、猫の補足(ツッコミ)という形態になってくる。このあたりからじっくり読む(時間がかかる)イメージ。

    内容の備忘
    1 猫と主人(苦沙弥)との出会い
    何にも優れていないのに、何にでも手を出す主人

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    2025年11月10日
  • こゝろ

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    ネタバレ

    この傑作が400円足らずで売っていて、高校・大学の時に読んでから久しく経った今、もう一度本書を買って読んでみた。何度読んでも味わい深い小説である。

    自分の上位互換である分身(K)を迂闊にも隣に置き、Kに対する模倣と嫉妬から対象(お嬢さん)を欲しがり、手に入れたはしたがKへの嫉妬を媒介とする愛であったため、K亡き今、お嬢さんへの愛情も薄れてしまった。最終的には主人公も自殺の道を選ぶのである。

    解説にもあるが、漱石の文章構成は元々建築志望だっただけあり、非常に読みやすく、滑らかに読めてしまう。また、ルネ・ジラールは優れた小説には模倣の欲望が描かれていると言う。『こころ』はまさに模倣の欲望がもた

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    2025年10月26日