『男はもはや孤独を怖れる必要がなかったのです』
桜の森の満開の下 坂口安吾
『誰かが後にいて、じっとその視線を彼女の上に集注しているような心もちである』 影 芥川龍之介
『そこの二階の六畳は、二人にとって唯一の世界であった』 芋虫 江戸川乱歩
『那時あの妓ーは緋の長襦袢を着て居ました。月夜のような群青に、秋草を銀で刺繍して』
浮舟 泉鏡花
『この美しい若衆はもて囃されていた』
身毒丸 折口信夫
『落盤に鎖された真暗な隧道の中で、十四郎は恐怖のために変貌を来たしてしまい』白蟻 小栗虫太郎
『この足こそは、やがて男の生血に肥え太り、男のむくろを蹈みつける足であった』
刺青 谷崎潤一郎
『この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です』
瓶詰地獄 夢野久作
『あの人は、誰のものでもない。私のものだ』
駆け込み訴え 太宰治
『「何がって、知ってるじゃないか」と子供は嘲けるように答えた』 夢十夜 夏目漱石
美しい日本語に触れたくて読み始めましたが、十作のどれも不思議な世界にどっぷり浸かってしまいました