夏目漱石のレビュー一覧
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漱石晩年の随筆集。朝日新聞に連載されていたようで読みやすかった◎
両親や母のことを書いているところがよかった。
自分は両親の晩年に生まれた子で、2回里に出されたが事情があり家に帰ってきたこと。だからずっと両親のことを祖父母だと思っていたこと。ある夜、女中さんがこっそり「あの2人はあなたの祖父母でなくて両親ですよ」と教えてくれたこと。それがうれしかったこと。その事実ではなく、女中さんが親切にもそれを教えてくれた事実がうれしかったこと。
夢でうなされたときに母が助けにきてくれて、安心して眠れたこと。
私も、大きくなって夢でうなされてたしか「助けて!」って叫んだら隣の部屋からお父さんが「どう -
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夏目漱石の後期三部作1作目。
後期三部作は本作「彼岸過迄」、「行人」、そして「こころ」です。
本作はいくつかの短編が集まってできており、それぞれの短編は別の時期に別の雑誌に収録されました。
各短編は一続きとはなっておらず主人公も異なりますが、物語としては一貫しており、全く別の作品というわけではありません。
序文に夏目漱石は「個々の短篇を重ねた末に、その個々の短篇が相合して一長篇を構成するように仕組んだら、新聞小説として存外面白く読まれはしないだろうか」と述べており、本作はその思惑を元に作られています。
各短編は主人公が異なりますが、基本的には主人公は「田川敬太郎」という青年で、他処から話を聞 -
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夏目漱石が教職を辞して職業作家として執筆した第一作目の作品。
漱石は教職の傍らに発表した作品、「吾輩は猫である」、「坊ちゃん」、「草枕」、「野分」ですでに文名が大いに上がっており、大学の講義ノートを作ることが苦痛であることを漏らしていた時期、白仁三郎(後の坂元雪鳥)の仲介から朝日新聞社に入社しました。
当時の新聞社は今で言うベンチャー企業のようなもので、不惑を過ぎた数えで41歳の漱石には、その転職は冒険だったと思います。
また、部数も影響力も今と比較してそれほどないとはいえ、多くの人に目が留まる新聞紙上での連載であること、新聞社から異例の待遇を持って受け入れられていることから、漱石の緊張は想像 -
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夏目漱石の代表作の一つです。
冒頭の一文、「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」と、「吾輩は猫である」の脱稿から約2週間ほどで完成させたということで有名な作品。
夏目漱石の初期の作品の一つで、本作発表時はまだ職業作家ではなく、夏目漱石は教職の傍ら執筆活動を行っていました。
氏の初期の名作と名高く、エンタメ色の強かった全2作(「吾輩は猫である」、「坊っちゃん」)と違い、芸術に対する考え、存在意義や、西洋文化と日本の世の中のあり方に関する考えが滔々と論じられており、比較的読みにくい作品となっています。
人の世に -
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文体も主題もそれぞれ違う短編集の中でも、一際鮮やかかつ濃い存在感を放つのはやはり表題作?の一つである倫敦塔。過去の風景がまるで今現在見聞きしているかのように描かれる様は、その内容の凄惨さと相まってより艶やかに、湿り気のある感を読者に抱かせる。決して読みやすくはなかったけれど、過去の空想を現在形の文章で表す手法は面白かった。幻影の盾、一夜、薤露行は文体が読み慣れないせいかそもそも意味がよく分からなかったし、カーライル博物館、琴のそら音、趣味の遺伝は、漱石の小説としては少し物足りない感じが、、、でも現代の小説でもそんなの腐るほどあるよなあ。この全体的に薄暗い短編集を、吾輩は猫である、坊ちゃんと同時
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ネタバレ 購入済み
キチガイ、下等、田舎者・・・。
学生時代にとりあえず有名な小説だからと読んだ。ただ。その時の記憶は「読んだ」こと以外ない。内容も感想も記憶が曖昧で、読了したかどうかすら定かでなかった。
一方で。漱石は学生時代に読むのと漱石と同じ年代になってから読むのとでは感想が変わってくるという評論家の話も頭の片隅にずっとあって。。。たまたま鬼のように暇な時間が出来た&今やスマホで&&タダで読める!とうい時代になったので再度じっくり読んでみた。
読んでみて記憶にあったのは冒頭の数ページで。ある意味新鮮に楽しめた。
どこが新鮮だったかというと。タイトルにあるとおり。とにかくやたら「気違い」「~だから田舎者は下等である」「教養がないから仕 -
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私小説と言われているようですが、夏目漱石本人がモデルと思しき健三がひたすら親戚面々から金を無心される話です。えーなにこれー!
いい加減にしろと呆れながらも何だかんだ都合をつけてやる健三に、私も妻・お住と同じように苛立ちが募ってしまいました。
漱石って夢十夜とか三四郎の美彌子とか、儚く透けてみえるような幻想的な女性を描いてるイメージが強くありましたが、お住は地に足の着いた芯のある女性。
当時はまだまだ亭主関白な夫に三歩下がって付き従う妻、という夫婦観だったのでしょうが、夫にお小言もぶつけるし、気に入らないことがあればガンガン言い返して諍いを物ともしない強さが素敵でした。
「単に夫という名前がでて