夏目漱石のレビュー一覧
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ネタバレ漢語調の絢爛な文体は漱石の領分といっても過言ではないでしょう。東京帝大の講師を辞め、専業作家となってから書いた初の小説とだけあって、眩暈がするほど難解かつ華麗な文章からは、並々ならぬ覚悟が伝わってきます。
大学卒業のとき恩賜の銀時計を貰ったほどの秀才・小野清三。彼の心は、美しく裕福だが傲慢で虚栄心の強い女性・藤尾と、古風で物静かな恩師の娘・小夜子との間で激しく揺れ動く。彼は、貧しさから抜け出すために、一旦は小夜子との縁談を断るが…。やがて、小野の抱いた打算は、藤尾を悲劇に導く。
「潺湲(せんかん)」「瀲灩(れんえん)」「冪然(べきぜん)」「窈窕(ようちょう)」等々、これは正気の沙汰なのか? -
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国語の教科書に載ってた印象があり、大人になってみてから読むとどのような感想を持つのだろうと思い読んだ。
読む前の印象に残っていたのは、先生とKとお嬢さんの三角関係の物語だと思っていたが、想像以上に重々しく哀愁的な作品だった。印象に残っていた話が登場するのが、三部の「先生と遺書」だったので、一部と二部の内容は飛ばしてもよいくらい薄く感じた。
先生の人柄が今で言う引きニートで、コミュ障であるゆえのもどかしさが生んだ悲劇だとも思ったが、時代的な側面を知ると少しは気持ちに寄り添えるのかもしれないと感じた。
遺書を受け取った「私」や妻が、この後、どのような行動をするのか考察してみたい。
解説を読んで、海 -
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乙女の本棚シリーズから、夏目漱石さんとしきみさんのコラボ作品「夢十夜」です。なんとも、ステキな表紙とこのタイトルに期待は大きく読み始めました!
こんな夢を見た…それが第一夜から第十夜までで、夢だからってこともあるけれどあまりにも現実離れしすぎてて、幻想的といえば幻想的なんだけれど、だからつかみにくいかなぁ~と感じてしまい、一度はスルーしてしまおうかと思ってしまったほど(^-^;)だけど、なんとか、読み切ることができました。
印象に残ったのは第一夜と第九夜…、第一夜は臨終を迎える女性と100年後に再会する夢、第九夜は戦地での夫の無事を願い幼子を連れてお百度参りする妻の夢…。でもトータ -
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夏目漱石の短編集。
「幻影の盾」「薤露行」「一夜」はただただ美しさにうっとりする。
美文調は正直何を言っているのかわからない部分もあるが、短編なのでさほど苦痛にならず、美しい絵をただ眺めるような気持ちで読める。
漱石の戦争観を垣間見ることができる「趣味の遺伝」は面白い。
主人公は戦死した友人にたびたび思いを馳せる。戦死の場面(あくまで想像)は白黒のショートフィルムを見ているよう。「塹壕に入ったまま上がってこない」というシンプルな表現が繰り返されることで、明るく平和な日常生活の中、サブリミナルのように戦場と死がちらつく。
遺された者たちの思いが清らかで切ない。
畳みかけるようなラストひと段落 -
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なんで今更「坊っちゃん」であるか?
私は通勤の際、iPod でPODCASTを聞いている。
その番組の中に「ラジオ版 学問のすすめ」ってのがあって、先日のゲストは作家・評論家の関川夏央であった。
正岡子規の話が中心だったけど、同時期を生きた作家の中に夏目漱石も居る。
明治時代、文学で生計をたてられる人なんてそう多くはないので、作家連中は自然と集まり交流があったんだそうだ。
今、壊滅的な状況にある政局の中で必要なのはリーダーであり、エリートが育たない時代だ。
現総理の次は誰がよいかなんて、誰がなっても大同小異であろう事は誰もがそう思ってるだろう。
しかし、正岡子規達が生きた時代、帝国大学(