夏目漱石のレビュー一覧
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入院中に自宅の本棚から供給してもらった。何年か購入してあった著書だ。
本著は純文学にカテゴライズされるだろうか、このジャンルを読むのは久しぶりだ。
本著は私小説としての議論があるようだが、今回は小説として十分に愉しめたとおもう。主人公とその細君の世の中の見方の違いが主人公の独白を通じて語られるところがいい。水と油のような性格の違いがある、例えば、娘に対する愛情のあり方にもその性格の違いを細君に語らせている。しかし、小説中で3人目の娘が誕生することから夫婦の関係が破綻的なものではないことがうかがわられる。この時代の夫婦関係なのか、こんな関係も面白い。そして最後に主人公が養父にお金を工面して関係を -
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当時は延子の様な女性は人気が無かったのだろうか?現代に生きる自分には延子は自分の思いをストレートに表現出来、端々に可愛さが滲み出てくるいじらしい女性と感じるのだけれど、どうも主人公にとっては(また漱石にとっても)、魅力的に映っていない様である。
片や清子だが、主人公は彼女の何に惹かれたのか?書かれている文章からでは、取り付く島のない、KY気味で、自主性にも欠ける様な女性に思える…となると、結局は美人だったからなのか?だとしたら非常に残念……
考えてみれば、漱石の作品に於いて、女性は大きな役割を持っているものが多いし、恋愛を扱うものも多いのだけれど、女性の描かれ方や在り方について、何故だか違 -
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ネタバレ坊ちゃんを読んでみた。
むかーし読んだけど、読み直してみた。
……言葉が難しい。
内容はテンポよく進んでいて読みやすいはずなのだけど、言葉が…んー。うーーん。と思いながら、読んでみた。
読み直して、思ったのは……やっぱり『難しい』という事。
内容が難しいわけではない。坊ちゃんの話が軽快にテンポよく進んでいく。
……これ、現代の言葉で軽く読みたい。と思った。
キャラクターも判りやすくて、面白いのだけれど……。
主人公の坊ちゃんのキャラクターは判りにくいなと…分かりにくいというか、『冗談が通じない』『言葉を言葉のままに受け取る』キャラっぽいので……、勝手に「これはこうだよね(赤シャツ -
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夢十夜は、最初に“こんな夢を見た”とされ、、多少の理不尽や非合理性は、許してね、ということになる。その絵を描くというのはあまりに許容範囲が広すぎて難しかったでしょうねと思います。
第一夜
死んだ女が百合の花に転生する夢。
愛する女を失った男の夢。
「もう死にます。百年 私の墓の傍で待っていてくださいね。」
星の破片の墓石、その破片の丸み、苔むす様子などから、長い時を演出する。
女の死から再生の百年は、男にとって幸か不幸か、読む人によるかなあ。
百年経って百合となる。
第二夜
侍が悟りを得ようとする夢。
入室参禅で無を追う。
夏目漱石は鎌倉円覚寺で参禅していて、その経験は、小説「門」となる。 -
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ネタバレ漢語調の絢爛な文体は漱石の領分といっても過言ではないでしょう。東京帝大の講師を辞め、専業作家となってから書いた初の小説とだけあって、眩暈がするほど難解かつ華麗な文章からは、並々ならぬ覚悟が伝わってきます。
大学卒業のとき恩賜の銀時計を貰ったほどの秀才・小野清三。彼の心は、美しく裕福だが傲慢で虚栄心の強い女性・藤尾と、古風で物静かな恩師の娘・小夜子との間で激しく揺れ動く。彼は、貧しさから抜け出すために、一旦は小夜子との縁談を断るが…。やがて、小野の抱いた打算は、藤尾を悲劇に導く。
「潺湲(せんかん)」「瀲灩(れんえん)」「冪然(べきぜん)」「窈窕(ようちょう)」等々、これは正気の沙汰なのか?