夏目漱石のレビュー一覧

  • 道草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大正4年(1915)に描かれた小説。金を巡る話。

    「みんな金が欲しいのだ。そうして金より外には何にも欲しくないのだ。」
    イギリスから帰ってきて金が無いのに、突然育ての父親がやってきて金をせびる。イギリスで金を借りた優しい先輩からは直ぐに督促状まで送られまた別の友達に借金をする。妊娠中の妻とは気が合わず、ヒステリーと癇癪をぶつけ合ってる。
    金がないと余裕もないよな、わかる。

    「離れればいくら親しくってもそれ切になる代りに、一所にいさえすれば、たとい敵同士でもどうにかこうにかなるものだ。つまりそれが人間なんだろう」

    (金に困り、主人公の外套を着ていった妻の父に対し言った「でもよく着られるね」の返事)
    「見っともなくても寒いよりは好いでしょう」
    細君は淋しそうに笑った。

    「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。一遍起った事は何時までも続くものさ。ただ色々な形に変るから他にも自分にも解らなくなるだけの事さ」

    みんな金が欲しい、それを交友関係に出しちゃうともうそこはおしまい。仲良くしたければ金のやり取りはいけないですね。金のやり取りのない夫婦仲も悪そうだけど。
    また、この時代の人々は見栄をもってたというか、人情というか。今じゃこんな人間関係あまり見ない気がする。

    0
    2026年02月20日
  • こゝろ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    授業で取り上げられた部分はほんの一部で、手紙がめちゃくちゃ長いと聞いていたので、確かめたくなって読んだ。たしかにめちゃくちゃ長かった〜〜!でも読みやすくてずんずん読めた。
    不思議な先生の過去が次々と明らかになりまるでミステリーみたいで、しかも先生のずるさも明らかになって、人間って...と思わされる。流石にずるすぎやしないか。でもあんなに嫌悪していた叔父と同じだと気づく場面はぐさっと来て、誰しも同じ側面があるんだと突きつけられているよう。
    唐突に終わってしまったのが残念。これから妻は大丈夫なんだろうか。そして私はお父さん放ってきちゃって本当に後悔しないのか...
    ぶっちゃけ、なんでこんなに名作として人気があるのかまではわからなかったなぁ。まだまだ私の人生経験が足りないのかもしれない。

    0
    2026年01月19日
  • 坑夫(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    今も昔も搾取構造は変わらないらしい。主人公の一行に加わった赤毛布と小僧はどんな末路を辿るのか...。ロクな目にあわないのは想像できる。
    カイジの地下労働施設を思わせるような労働環境ではあるが、一つだけ違うのは善良な心を持った人がいること。どんなに落ちぶれても自分に寄り添ってくれる人は存在するのかも。

    0
    2026年01月17日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    夏目漱石の代表作であり、デビュー作です。
    タイトルと書き出しが、あまりにも有名ですが、こんなに長い小説だとは知りませんでした。
    現代の小説にも、夏目漱石の影響を受けてるのかな、と思う文体があるのがよく分かりました。

    0
    2026年01月14日
  • 三四郎

    Posted by ブクログ

    夏目漱石の取っ掛かりどころがわかってきたかも。物語、というよりは人生の一部を切り取ったような作風なのね。人生は、抗っても抗わなくても、奇跡は起きない。

    0
    2026年01月08日
  • 行人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    『こころ』を再読することがあったので、それを機会に後期三部作を読んでいこうということで読んだ。
    裏表紙の「愛する妻が弟の次郎に惚れているのではと疑い、弟に自分の妻と一晩よそで泊まってくれと頼むが…。」を見てから読んだせいで、「そんなエンタメ的な話なのか…?」と疑い疑い読むことになった。

    話の要所要所にある三沢と娘さんの挿話や父の語る目が見えなくなった婦人の挿話、貞の結婚、仲の良い岡田夫婦といった多様な男女の仲が出てくるが、それが一郎の内省にどう響いてるのか…?
    また、二郎視点で進んでいくため、二郎を主人公として読んで、二郎の元気がだんだんなくなってくると雲行きが怪しくなってくるようで、読んでいて辛くなってくる。

    最終的にHさんの書簡で話が終わるが、Hさんの書簡から見える一郎はもう人間なのか、また別の高度な何かなのか…?
    知性というものが発達しすぎると、身体とのバランス、他者とのバランスが取れなくなって、結果直を打つようになり、両親からも敬遠されて、旅に出るように仕組まれるのだから、一郎が不憫になってくる。
    一郎の目指す絶対と、Hさんのいう他者に心を奪われるということが同義と言えるのかなんなのか…
    ただ他者にこころを奪われている時は確かに安寧というのは事実かなとも。
    一郎の苦しみも、高尚さも理解できるのがHさんだけだと思うと、後半の二郎の役割はなんなんだという気がしないでもない。

    旅から帰る一郎を二郎と両親はどう迎えるのか。

    0
    2025年12月07日
  • 文鳥・夢十夜(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    高校生のとき夢十夜の話を国語の先生がしてて、どんな話だったか思い出したくて読んでみた。でも夢十夜より今の自分は文鳥のほうが好きかな。鳥って寒さに弱いのだよ…。

    0
    2025年12月06日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    須永はとにかく面倒くさい。 考えすぎるし、言い訳も多くて、なかなか行動に移せない。一方で、敬太郎は素直で好感が持てる人物だった。

    そういう、登場人物の心理描写が巧みで、とても引き込まれる作品でした。

    あれこれ考えすぎて雁字搦めになって行動に移すことができない。
    けれど、第三者が現れると嫉妬する。かといって相手を愛しているわけではない。
    一緒になるつもりもない。

    なんて勝手なんだろうと思う反面、そうした矛盾した感情を「人間とはこういうものだ」と思わせるほど現実的に描かれているところに、夏目漱石のすごさを感じました。

    派手な展開はないけれど、じっくり味わえる一冊だと思います。

    ********************
    リアルやな〜と思わせる度: ⭐⭐⭐⭐⭐
    ********************

    0
    2026年07月25日
  • 道草

    Posted by ブクログ

    何かの本で、
    「漱石の『道草』は、関わりたくもない悪縁の人物に煩わされ、夫婦仲もよろしくなく、まったく望む方向に人生が進まないが、そういう『道草』(目的地に着く前の寄り道?)こそが人生を味わい深くしている」
    といったような紹介があって読みました。
    読んでみたら、期待したより、ずっと重苦しい道草で…笑
    でも、続きが気になって一気に読みました!

    0
    2025年11月26日
  • 倫敦塔・幻影の盾 他五篇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『倫敦塔』『カーライル博物館』か 読みにくくて続けて読むのが辛かった。『幻影の盾』もベースになっているアーサー王の伝説を知らないとついていけないくらい読みにくい。『琴のそら音』『趣味の遺伝』は読みやすくて良かった。特にパンチのある話がない短編集だったかな~。

    0
    2025年11月26日
  • それから

    Posted by ブクログ

    結末を描かないことで、余韻が残る作品です。
    続きが気になりますが、想像するしかありません。
    いわゆる親のスネをかじりまくっている主人公ですが、彼には彼なりの苦悩があるようです。

    0
    2025年11月23日
  • 夢十夜

    Posted by ブクログ

    おどろおどろしいミステリアスなファンタジーとでも言いましょうか、夏目漱石の小説を漫画で表現した作品。

    0
    2025年11月16日
  • こころ

    Posted by ブクログ

    登場人物それぞれの心の弱さや葛藤が丁寧に描かれており、人間の内面が鮮明に伝わってくる作品で、とても引き込まれました。

    「私」が先生から受け取ったものをどう受け止め、この先どう生きていくのか。

    想像の余地を残した終わり方が印象的である一方、どこかモヤモヤした気持ちも残りました。

    人は心の弱さや孤独から、ときに自己中心的な選択をしてしまうのか。
    先生も、そしてKもまた、それぞれの葛藤や苦しみを抱えるなかで、自分の心に勝つことができなかったのかもしれません。

    人の心の複雑さについて、深く考えさせられる一冊でした。

    ********************
    心理描写度:⭐⭐⭐⭐⭐
    ********************

    0
    2026年07月24日
  • こころ

    Posted by ブクログ

    100年前でもここまでの感情を表現しつつ物語が書けるものかと感心。つくづく人間とは感情の生き物で美しい面も醜い面も持つ異質な生物であると考えさせられる

    0
    2025年10月20日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    我輩は猫である。名前はまだない。
    この文だけで何の小説か分かるくらい有名。
    読んでみて思ったのは難しい…注釈あるけどそれすら難しい。
    それでも最後まで読むことが出来た。
    迷亭が好き。でも真剣に読んでたら嘘かい!ってなる

    0
    2025年10月12日
  • 悪魔 乙女の本棚作品集

    Posted by ブクログ

    イラストレーターのしきみさんが乙女の本棚シリーズで描いた作品を集めた画集。
    全部で6作品収録だが全文収録は芥川龍之介の「悪魔」のみ、他は抜粋して収録している。
    悪魔は初めて読んだが短い文章になんとも言えない感情を詰め込んだ作品。イラストの宣教師と悪魔との対比が良かった!

    0
    2025年10月08日
  • 草枕(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    『神様のカルテ』の主人公、一止先生がいつも読んでいる『草枕』が気になって、読んでみた。

    『神様のカルテ』に草花の描写が多い理由がわかった。『草枕』の影響だなと。作者の夏川草介さんも夏目漱石が大好きで、一止先生と同じように『草枕』ばかり読んでいたに違いない。

    『草枕』は、画家の目を通して語り、絵画のような小説だった。椿の描写は特に美しく、印象に残った。

    私は、夏目漱石の『こころ』がめちゃくちゃ好き。一方で、夏目漱石の作品はほとんど読んでいない。『坊ちゃん』は登場人物もストーリーも知っているけれど、いつ本を読んだのか、全く記憶にない。読んだのが、子供の時だったから記憶にないのかもしれない。『吾輩は猫である』にいたっては、知っている気になっているけれど、冒頭の2文しか知らないかも。
    夏目漱石は、書き出しが最高に上手い。

    そして、夏目漱石は、『草枕』から読んではいけない。夏目漱石アレルギーになってしまう。美しい小説だけれど、夏目漱石初心者には難しい。

    「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」

    0
    2025年10月08日
  • 道草

    Posted by ブクログ

    自伝的小説だと素朴に信じられていたようだが、読めば淡々と進む内容。

    義父母の島田と御常の養子となったことが、「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。」と小説の結びの一句に繋がるのだが、なんとも言えない厭世観のようなものも感じた。

    本著の前後に執筆された作品を読めば、また異なる面が見えるのだろうか?

    0
    2025年10月05日
  • 私の個人主義

    Posted by ブクログ

    亡くなる約五年前に関西近畿を巡り講演した時の内容を書き記したもの?原稿?とにかく、
    一回目の明石講演「道樂と職業」、
    二回目の和歌山講演「現代日本の開化」、
    三回目の堺講演「中味と形式」、
    四回目の大阪講演「私の個人主義」、
    以上四篇を収録。

    メモ

    第一篇「道樂と職業」
    p.23
    「……開化の潮流が……進むほど……職業の性質が……分かれるほど、我々は片輪な人間になつてしまふ……。……商賣が……專門的に傾いてくる上に、生存競爭のために……その方だけに時間と根氣を費やしがちで……、お隣り……や一軒おいたお隣の事が皆目分からなくなつてしまふ……。……吾人の社會的知識が狹く細く切り詰められるので、……現代の文明は完全な人間を日に日に片輪者に打ち崩しつつ進むのだと評しても差し支へない……。」

    人類の初め、野蛮時代には全部自分一人でやってきたから、同時代の人間は完全だった、と次頁で述べているが、ちょっと論理が稚拙すぎないか。
    全体に、当たり前のことを述べているだけ、と現代人の一人としては感じてしまう。

    第二篇「現代日本の開化」
    p.43
    「さつき牧君の紹介があつたやうに夏目君の講義はその文章のごとく時とすると門口から玄關へ行くまでにうんざりする事があるさうで誠にお氣の毒……。」

    この一篇に限らず、本題に入るまでのボヤキが長い長い……講演を実際に聴くとそうでもないのかも知れないが、文字で読むとクドイクドイ……。

    日本の西洋化は、外からの圧力によって無理やり変形させられたようなもので、長い時間をかけて自ら徐々に変化したわけではないし、その圧力がなければ日本はまた存在すら危ぶまれる、つまり自立できていないのだから、そうゆうのは開化ではないと一刀両断した上で、外からの影響を受けてしまうのは勢力的に西洋に劣るからであるが、これを解決する方法はない、と消極な結論で締めくくる。

    0
    2025年10月09日
  • 草枕・二百十日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「草枕」「二百十日」

    「草枕」は芸術論がちょっと難しい…。結末が好き。
    「二百十日」は会話がメイン。宿での半熟玉子の話が面白い。

    0
    2025年09月30日