夏目漱石のレビュー一覧
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現代小説との違い
現代の小説は冒頭部分の数ページで読者の心をつかみ、そのまま作品の中にひっぱてゆくことが必須である。とよく言われるが、のんびりした時代の夏目漱石にはその考えの片鱗もないみたい。冒頭からの文語体には「吾輩は猫である」の作者とは思えないほど、読みづらい冒頭部分である。なんとかして読み進めてゆくと、どうにか面白くなってくる。背景となった博覧会もこの時代には大きくて華やかな出来事であったのだなと教えられる。
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購入済み
点描
明治天皇の大葬の日に、禅寺を訪問するという 日常的な行動をさらりと描いたエッセイ的な作品である。別に深い思想や含意があるわけではないが、100年前の文豪のエッセイが何の引っかかりりもなく読めてしまうということが、実は驚異的なことなのかもしれない。
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Posted by ブクログ
「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ」
新聞にこの一節が載っていて、ハッとしたのが本書を手に取ったきっかけです。
漱石先生の本は、高校時代に授業で扱った『こころ』以来。さすがに普段読んでいる本と比べるとむつかしい部分も多く、数多の夜の睡眠導入剤となったのですが、今月は3冊しか読めていなかったので慌てて宿題を終わらせました。笑
学生時代に他の文豪の作品も読みましたが、読みやすさでいえば漱石先生が