夏目漱石のレビュー一覧
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病み上がり(というか死の淵からの生還と言う方が正しいか)のリハビリ的要素の強いエッセイ集(?)。
確かに生より死の美化とか所謂「則天去私」とかいった読み方も出来るんだろうけど、もっとシンプルに死を覗いた上での素直な他人への感謝に満ちた作品だと思うんだけどなぁ。まぁ、漱石って基本的には優しい人なんだろうと思う。
そのためという訳でもないが、吐血の様子の俯瞰的描写など読みどころは色々あるけど、当方一番心に残っているのは町井石子嬢にまつわる小噺(?)。
そうですよ、漱石って『猫』『坊っちゃん』を書いた作家、こういったどこかほのぼのした描写はお得意なんですよ。 -
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ネタバレ熊本から東京の大学へ来た三四郎の成長を描く。
自分が大学生だからか内容にすごく親しみを持てました。
文体も読みやすいです。
三四郎の田舎もんさはよくわからんが、根性無しなのはわかります。
でも名古屋の女に対しての対応は……まぁ普通じゃないかな。
美禰子への思いを最後につげたのは良いことだと思います。でも、すごいタイミング。告白(みたいなの)をした後に相手の婚約者が現れるんだもんなぁ~
あれはなかなか立ち直れないでしょう。
与次郎の軽いカンジも広田先生の飄々としたところも好きです。
里見さんは……よくわからない……
時代に差があるのに、物語がすんなり入ってきて、さすが夏目漱石だなぁと思 -
Posted by ブクログ
ネタバレボンボンが色恋沙汰に疲れ、坑夫になろうとする話。
『虞美人草』を下地にしている、っていう背景があるらしいので、関連させて読むとさらに深まるかも。
結局主人公は坑夫にならずに帰ってくる。「ここまで引っ張っといてならないんかい!」と思わずつっこんでしまった。心理描写も他の漱石作品と比べたらあっさりに感じる。
けれど炭坑に向かう道のりの怪しさや、坑道内の息が詰まりそうな雰囲気が幻想的かつリアルに映像として迫ってくる文章なのは流石漱石。坑夫達が生きる世界が生々しく「こんな現実もあったんだ」と、なんだか『闇金ウシジマ君』を読んだ時のような気持ちになった。
社会の裏部分を覗きたい人にオススメ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『門』の次に読んだ。漱石らしい文体で淡々と進んでく。それが結構読みにくく、中盤で飽きてしまった部分もあった。
個人的な山場は代助のニート弁解論とラストの鬼気迫る描写。
「何故働かないって、そりゃ僕が悪いんじゃない。つまり世の中が悪いのだ。もっと大袈裟に云うと、日本対西洋の関係が駄目だから働かないのだ」から始まるニート演説はまさしく声に出して読みたい日本語。
クライマックスの「焦る焦る」「ああ動く、世界が動く」につながる場面のスピード感は圧巻。ニートできなくなることへの絶望の強さが切々と伝わってくる。
主人公が最後までだらしなく、途中読むのが辛い所もあるが、上記二ヶ所だけで読む価値がある作品