夏目漱石のレビュー一覧
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この小説は恐らく約40年ぶり2度目。敬太郎の同宿者・森本が語る過去と失踪事件、敬太郎が謎の人物を追う探偵談は夢の中の懐かしい!出来事のようで、読み返しても面白かったが、むしろ敬太郎の友人・須永が実質的には主人公であって、主客が代わるところが不思議な小説構造だと感じる。須永の深い悩みはいかにも漱石の世界。幼い日から母が願う結婚を意識してきた従妹の千代子。高木なる魅力的な若い男性が登場し、千代子との言葉に出さない緊張感!結婚するかどうかを決めかねているのに、所有欲?から嫉妬する知識エリートの醜さ。そこに罪として自己認識するかどうかは別として須永の葛藤がある。敬太郎が謎の人物を待ち受ける小川町交差点
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ネタバレ戦前の小説は、「難しい」というよりも「まわりくどい」。なので読むのに時間がかかる。
本書は『こころ』のような悲壮感はあまりなく、呑気な雰囲気で読みやすかったが、終わり方は良くない。ついでに恐れ多くも文豪の小説に突っ込むのなら、最初の森本のくだりはいらないんじゃないかと感じた。
この話は須永夫人、田口夫人、松本の3姉弟を中心とした松本家の物語。日本の家庭制度は表向きは男系で男が嫁をもらい親の名前を継ぐ。しかし現実は女系。親戚付き合いは母親の親族と係りが深い。現代はそうだが、漱石の時代もそうだったのかと思わされた。
自分の子どもが生めないばかりに夫の愛人の子どもを育て、自分の妹の子どもを一緒 -
Posted by ブクログ
大変有名な冒頭で始まる作品。
「非人情」を掲げて主人公が田舎へ旅をする物語である。
確かにそのテーマ通りに物語が進んでいく様に思われるが、正直私には意味が理解出来ないところが多すぎ、読むのには少し早かったかなと思った。笑
ただ、所々私の普段考えていることを、的確に表している。また夥しい程の比喩には流石夏目漱石。
一つ、nice表現!と思ったものを上げる。
「元来何しに世の中に、顔を晒しているか、解しかねる奴がいる。(多少、違っているかも笑)」普段からその様に思う事があったのだが、今後はこの様に表現しようと思った。笑
もう少し年をとってから、読み直そうと思った作品です。 -
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田舎から上京して、都会での学生生活に胸を踊らす三四郎の生活、周りの人から受ける刺激、妄想のなかでの淡い初恋を描く。
非常にピュアですがすがしい。当時の学生生活ってこういう感じだったのだろうか。文学部の三四郎、理学部や哲学科の友人たち、さぞかし優秀だったのではなかろうか。
田舎から出てきて変わってゆく部分、変わらない部分と三四郎の人間としての成長を描いている。単純なハッピーエンドではないところも良い。
登場人物が少なく、数人といつもばったりと出会う。交通機関も発達しておらず徒歩の生活圏は狭い。
漱石の文体はやや分かりづらいところもあるが、総じてさわやかで品が良い。 -
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病み上がり(というか死の淵からの生還と言う方が正しいか)のリハビリ的要素の強いエッセイ集(?)。
確かに生より死の美化とか所謂「則天去私」とかいった読み方も出来るんだろうけど、もっとシンプルに死を覗いた上での素直な他人への感謝に満ちた作品だと思うんだけどなぁ。まぁ、漱石って基本的には優しい人なんだろうと思う。
そのためという訳でもないが、吐血の様子の俯瞰的描写など読みどころは色々あるけど、当方一番心に残っているのは町井石子嬢にまつわる小噺(?)。
そうですよ、漱石って『猫』『坊っちゃん』を書いた作家、こういったどこかほのぼのした描写はお得意なんですよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ熊本から東京の大学へ来た三四郎の成長を描く。
自分が大学生だからか内容にすごく親しみを持てました。
文体も読みやすいです。
三四郎の田舎もんさはよくわからんが、根性無しなのはわかります。
でも名古屋の女に対しての対応は……まぁ普通じゃないかな。
美禰子への思いを最後につげたのは良いことだと思います。でも、すごいタイミング。告白(みたいなの)をした後に相手の婚約者が現れるんだもんなぁ~
あれはなかなか立ち直れないでしょう。
与次郎の軽いカンジも広田先生の飄々としたところも好きです。
里見さんは……よくわからない……
時代に差があるのに、物語がすんなり入ってきて、さすが夏目漱石だなぁと思