夏目漱石のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夏目漱石が好きな方から、よく勧められるのが『硝子戸の中』だった。
当初、私は漱石は読まない。という変な意地を持っていて、随筆なんてとてもと思っていた。
そんな私を変えたのは『それから』との出会いである。なので、この機会に数冊読んでみることにする。
読み終わった感想として、今の私にはまだここに至らないな、が一番である。
私には、ふとした死を受け取る機会が全然ない上に自分を省察する時間もない。
ただ、漱石が死を尊びながらも生を説き、そんな自分の心中を半信半疑で見つめている。
この文が、ひたすらに残った。
自分を振り返る機会に恵まれたとき。
私も漱石のように、明るい部分を照らし出せたら良い -
Posted by ブクログ
ネタバレボンボンが色恋沙汰に疲れ、坑夫になろうとする話。
『虞美人草』を下地にしている、っていう背景があるらしいので、関連させて読むとさらに深まるかも。
結局主人公は坑夫にならずに帰ってくる。「ここまで引っ張っといてならないんかい!」と思わずつっこんでしまった。心理描写も他の漱石作品と比べたらあっさりに感じる。
けれど炭坑に向かう道のりの怪しさや、坑道内の息が詰まりそうな雰囲気が幻想的かつリアルに映像として迫ってくる文章なのは流石漱石。坑夫達が生きる世界が生々しく「こんな現実もあったんだ」と、なんだか『闇金ウシジマ君』を読んだ時のような気持ちになった。
社会の裏部分を覗きたい人にオススメ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『門』の次に読んだ。漱石らしい文体で淡々と進んでく。それが結構読みにくく、中盤で飽きてしまった部分もあった。
個人的な山場は代助のニート弁解論とラストの鬼気迫る描写。
「何故働かないって、そりゃ僕が悪いんじゃない。つまり世の中が悪いのだ。もっと大袈裟に云うと、日本対西洋の関係が駄目だから働かないのだ」から始まるニート演説はまさしく声に出して読みたい日本語。
クライマックスの「焦る焦る」「ああ動く、世界が動く」につながる場面のスピード感は圧巻。ニートできなくなることへの絶望の強さが切々と伝わってくる。
主人公が最後までだらしなく、途中読むのが辛い所もあるが、上記二ヶ所だけで読む価値がある作品