夏目漱石のレビュー一覧
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国語の教科書に載ってた印象があり、大人になってみてから読むとどのような感想を持つのだろうと思い読んだ。
読む前の印象に残っていたのは、先生とKとお嬢さんの三角関係の物語だと思っていたが、想像以上に重々しく哀愁的な作品だった。印象に残っていた話が登場するのが、三部の「先生と遺書」だったので、一部と二部の内容は飛ばしてもよいくらい薄く感じた。
先生の人柄が今で言う引きニートで、コミュ障であるゆえのもどかしさが生んだ悲劇だとも思ったが、時代的な側面を知ると少しは気持ちに寄り添えるのかもしれないと感じた。
遺書を受け取った「私」や妻が、この後、どのような行動をするのか考察してみたい。
解説を読んで、海 -
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とんでもなく難解。当時の人達は、注釈なしに読むことができたのでしょうか。軽い作品を読みたくて、薄めの本作を選んだのですが、これが全くの見当違い。本文と注釈を行ったり来たりしながら、ゆっくりゆっくり読み進めることになりました。
最初はなかなか入り込めなかったですが、徐々に波長が合ってきて楽しく読めるようになってきました。この作品は登場人物の「余」と同じように、「非人情」の心持で相対するのが良いのではないかと思いました。
ところどころにすごい描写がありましたが、特に印象に残っているのが那美が風呂場に現れる場面。これはとんでもないです。すさまじい語彙量におぼれそうになる感じが、「余」の驚きとも同調す -
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乙女の本棚シリーズから、夏目漱石さんとしきみさんのコラボ作品「夢十夜」です。なんとも、ステキな表紙とこのタイトルに期待は大きく読み始めました!
こんな夢を見た…それが第一夜から第十夜までで、夢だからってこともあるけれどあまりにも現実離れしすぎてて、幻想的といえば幻想的なんだけれど、だからつかみにくいかなぁ~と感じてしまい、一度はスルーしてしまおうかと思ってしまったほど(^-^;)だけど、なんとか、読み切ることができました。
印象に残ったのは第一夜と第九夜…、第一夜は臨終を迎える女性と100年後に再会する夢、第九夜は戦地での夫の無事を願い幼子を連れてお百度参りする妻の夢…。でもトータ -
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夏目漱石の短編集。
「幻影の盾」「薤露行」「一夜」はただただ美しさにうっとりする。
美文調は正直何を言っているのかわからない部分もあるが、短編なのでさほど苦痛にならず、美しい絵をただ眺めるような気持ちで読める。
漱石の戦争観を垣間見ることができる「趣味の遺伝」は面白い。
主人公は戦死した友人にたびたび思いを馳せる。戦死の場面(あくまで想像)は白黒のショートフィルムを見ているよう。「塹壕に入ったまま上がってこない」というシンプルな表現が繰り返されることで、明るく平和な日常生活の中、サブリミナルのように戦場と死がちらつく。
遺された者たちの思いが清らかで切ない。
畳みかけるようなラストひと段落 -
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なんで今更「坊っちゃん」であるか?
私は通勤の際、iPod でPODCASTを聞いている。
その番組の中に「ラジオ版 学問のすすめ」ってのがあって、先日のゲストは作家・評論家の関川夏央であった。
正岡子規の話が中心だったけど、同時期を生きた作家の中に夏目漱石も居る。
明治時代、文学で生計をたてられる人なんてそう多くはないので、作家連中は自然と集まり交流があったんだそうだ。
今、壊滅的な状況にある政局の中で必要なのはリーダーであり、エリートが育たない時代だ。
現総理の次は誰がよいかなんて、誰がなっても大同小異であろう事は誰もがそう思ってるだろう。
しかし、正岡子規達が生きた時代、帝国大学( -
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■ Before(本の選定理由)
言わずと知れた、夏目漱石の前期三部作のひとつ。
初めて読んでみよう。
■ 気づき
なんと煮え切らない、鼻もちならない主人公!
親の金で暮らしながら友人の妻を愛してしまう体たらくにイライラしたが、同時に明治も令和もヒトなんてそんなものだろう、と感じた。現代なら芥川賞的な話。
■ Todo
文明は我々をして、孤立せしめるものだ。
狭くて効率的な借家に人々が暮らし始めるのを見てそう感じたそうだ。いま私達が、70年代の団地乱立を見る感情とまったく同じでは無いか。きっと令和のタワマンも40年後には笑い種なのだろう。知らんけど。 -
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ネタバレ夢十夜が読みたくて一読。背表紙の紹介文観て文鳥も気になって読んでみた!
文学知識は皆無に等しいけど、夢十夜の各夜、文鳥それぞれ違う印象…
---ネタバレありめも---
「夢十夜」
個人的に第一夜、第七夜、第九夜、第十夜が好き。
第一夜
→十夜の中でも1番好き。神秘的でめっちゃ綺麗…雑な説明だけど、これから死ぬ女性を土に埋めるのに、なんでこんなに描写キレイなんだろう…
第七夜
→大きな客船の話。どこに向かってるかわからない、船内の賑やかな乗客とも雰囲気合わない、なんで乗ってるんだろう。いっそのこと死んでしまいたいって船から海に飛び込んだけど、足元離れた瞬間に命が惜しくなる。でも時すでに遅