養老孟司のレビュー一覧

  • AIの壁 人間の知性を問いなおす

    Posted by ブクログ

    養老孟司さんと4人の叡知のAIについて語らう。

    羽生善治さんとの語らいでは、AIと将棋の相性をあげてひとのもつ先入観を排除して、古い手でくることもあり勉強になるという。
    養老孟司さんのAIを高級な文房具という考え方が、たかがAIぽくて良かったです。

    井上智洋さんは、ベーシックインカムとAIの親和性をあげて、例えベーシックインカムで収入を得ても、10万円もないと思えば、働く事を選択するひとの方が多いのではと楽観的に捉える。但し、本来ひとが自然とあるべき一次産業にシフトしていくのではと考える。

    岡本裕一郎さんのAIによる効率化が必ずしも、ひとを幸せにしないと言う考え方が納得できました。ひとは

    0
    2020年11月15日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

    Posted by ブクログ

    誰もが気になっているだろうし、自分も気になっているコロナ後の社会。それを考えるヒントになりそうだと思って読んでみた。

    読んでみて、やはりコロナ後の世界は誰にもわからないのだという、当たり前だけれどちょっとホッとする自分なりの結論。でも、少なくともコロナ以前に戻ることはないし、新しい社会を作り上げる(あるいは、遠い未来に実現するはずだった社会を、少し近い未来に実現する)ことになるのだろうという予測はたった。

    その時に、どんな未来が待っているのか、自分はその未来でどのように立ち振る舞うのかを、いま考えなければならないという感覚を持った。

    0
    2020年11月14日
  • AIの壁 人間の知性を問いなおす

    Posted by ブクログ

    養老孟司がAIをテーマに4人の識者と行った対談を収録した一冊。私自身はIT企業に勤めていることもありAIには肯定的な立場なのだが、五者五様の問題意識は謙虚に受け止めたい。少なめのボリュームながら民主主義から男性学まで縦横無尽に議論が往来する新井紀子との対談が特に面白かった。「わからないから面白い」は本当にその通りだと思う。

    0
    2020年11月14日
  • 虫とゴリラ

    Posted by ブクログ

    虫の専門家とゴリラの専門家の対談本。いかに人が自然を差し置いて自分勝手なモノの見方をしているかを考えさせられた。専門的な話を軸に、身近なテーマを幅広く扱っているため、とても読みやすく読み応えもある一冊であった。

    0
    2020年11月11日
  • AIの壁 人間の知性を問いなおす

    Posted by ブクログ

    コロナが流行する前の講演で、「『遺言2.0』はいつ出ますか?」という質問に対して、先生は「それはわからないが、AIについては書きたいと思っている」とおっしゃっていた。本書は対談の形式をとってはいるものの、ある意味ではこの問題に関する先生なりの総論だと言えなくもない。
    いまから三十一年前、先生は『唯脳論』という本を書き、そのエピローグで「脳化社会」というキーワードを提示した。「脳化」とは、正確には進化の過程で生物の脳がしだいに大きくなっていくことを示すテクニカル・タームなのだが、先生はこの言葉を飛躍させて、ヒトにおいては脳が肥大化した結果、外部まで脳を拡張させ、社会そのものまで脳と化してしまった

    0
    2020年11月05日
  • 日本人はどう住まうべきか?

    Posted by ブクログ

    いちばん印象に残ったのは、岡山の限界集落の話。「NHKの番組で岡山の高齢者だけの限界集落を取り上げていたのね。75歳以上の人だけが住んでいる集落が、岡山には720ほどあるそうなんです。…それで俺が思うには、限界集落が720もあるということは、そこがいかに住みやすいよい場所か、ということですね。…限界集落とか言って問題視する前に、どうしてそういう生き方こそ奨励しないのかね、と思って。」

    東日本大震災後、1年以内に書かれた日経ビジネス連載のまとめなので、端々に生き方や暮らし方の再考が提言されている。コロナ禍の現状に置き換えても違和感がないので、本質的な議論がなされていたのだと感じる。暮らしを歴史

    0
    2020年10月27日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

    Posted by ブクログ

    某所読書会課題図書.養老さんとブレイディみかこさんに出てきたブルシット・ジョブとキーワーカーの対比、世界レベルのアイデンティティの創造(p71)、政府とIT企業の連携で見えてくる世界(p77)、国家を超える連帯の必要性(p87)、リベラル層が強権発動を言い募る危うさ(p99)、ケア階級の再認識(p133)、人と会うことの暴力性(p142)、指定感染症への指定とその後の対応(p173)などなど、考えさせられる視点が多かった.

    0
    2020年10月24日
  • 孟司と誠の 健康生活委員会

    Posted by ブクログ

    健康とは何かを考えさせられる本である。とても興味深い本ではある。2人共医者であり専門的知識を持っているから言える部分があり、賛同できるところ出来ないところもある。日本人論を二人で述べているところもあり、なるほどと納得するところもある。医学界では個性的な二人の対談は面白く読める。

    0
    2020年09月11日
  • 唯脳論

    Posted by ブクログ

    現代社会は脳が社会に反映されている、いや脳そのものになったという当時としては斬新であったと思われる31年前にあたる平成元年出版の著作。
    脳と社会に纏わることの証左を様々挙げながら、また特に著者の専門である解剖学の専門的な知識にも及んで、解説にもある通り、時々起こるような脳ブームのきっかけとなった本である。後に著書のヒット作「バカの壁」に繋がる代表作。

    もちろん脳科学にも近接領域があって、心理学や哲学の文系よりの分野を巻き込んむが、その端緒になったようだ。
    私たちは脳の中に住んでいる、という指摘をされると理解できる、というように人々が気付かないが本質的なことを著者の養老孟司は言ってくれるので結

    0
    2024年02月29日
  • 虫とゴリラ

    Posted by ブクログ

    一般教養として読むのももちろん楽しい1冊ではあるが、「教育」の視点から読み進めると、ハッと気付かされることがほんと多いなと痛感。
    今の教育がいかに自然の摂理に反してるか、養老さんと山極さんは的確かつ痛快に断じてくれているので、私にとっては清々しい気持ちにさせてくれる内容だった。
    やはり、経済界に動かされている今の日本の教育は不健全なんだなという確信を、またひとつ得ることができた。

    0
    2020年07月29日
  • 猫も老人も、役立たずでけっこう NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    こちらもまるという猫がかなり登場する。まるは「ものさし」なんだそうだ。『もっと成長を、もっと効率を。そんなものを必死に追い求めた結果、世の中はわけのわからないものになつてしまいました。しかも、誰もがそれを進歩だと信じ込んでいる。ヒトのよくはキリがない。かたや、猫に限らず、動物は足ることを知っています。どちらが馬鹿で、どちらが幸せなんでしょうね。』

    無用なものも必要であるなど、養老さんらしい意見が随所。まるの存在が大きいですね。猫ずきはこうして生き方の参考にしているのかもしれない。少し高いところから小馬鹿にしている感じが少しクセがある。

    0
    2020年06月28日
  • 半分生きて、半分死んでいる

    Posted by ブクログ

    いつもよりかなり洒脱かつ陰湿な感じの文体が非常に生々しくて好き。禁煙主義者の章とか飲み屋でクダ巻きながら話した内容をそのまま本にしたみたいでめちゃくちゃ笑える。シニカル養老先生が読める一冊。

    0
    2020年06月26日
  • 超バカの壁

    Posted by ブクログ

    いつもながらの語り口。読むひとに多くの気づきをもたらしてくれる。「本気の問題」が印象的。”こちらが本気でやれば自然に良い方向に行く”、”自分に原則があれば困らない”。
    ホリエモン、山口周、島田紳助、みんな結局は同じことを違う切り口で言っている。もうほんとそれ。

    0
    2020年05月05日
  • 遺言。(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    「感覚」と「意識」に関する本。
    物事の同一性に立脚する文明社会にとって唯一性が重視される芸術とは一種の解毒剤。外界に対する違和感を指摘する機能である「感覚」を言語化、つまり同一視することはできず、そこを何とか伝達可能にしようとする試みが芸術。おもしろい。

    0
    2020年05月03日
  • 骸骨巡礼―イタリア・ポルトガル・フランス編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    濃密な思想感を、肩ひじ張らずに語りかけてくる。
    「ともかく米軍は誤爆が得意である。」
    西洋で骸骨を見て、日本の文化を省みている顧みている。

    0
    2020年04月09日
  • 半分生きて、半分死んでいる

    Posted by ブクログ

     初めて養老さんの本を読んだ。この本を読むまで恥ずかしながら養老さんのことは知らなかった。本書は2回読んだ。父に勧められて本書を読んでみて、難しいと思いながらも、養老さんらしい表現の仕方に感心し、勉強になる部分も多かった。自分とは全く違う視点で日本の問題や世間を見られているなあという印象だった。
     今は「世間があっという間に飽和する時代」という表現や「煮詰まる」という表現。今の社会が抱えている問題に養老さん独自の視点から喝を入れられており、その解決のヒントのようなものも感じられた。
     「人生の意義は自分の中にはない」自分が死んでも、困る自分がいなくなるから自分は困らないという表現。人生とは世の

    0
    2020年03月22日
  • 別冊NHK100分de名著 読書の学校 養老孟司 特別授業『坊っちゃん』

    Posted by ブクログ

    大人になるとは、どういうことなのか?。結局、それが「坊ちゃん」のモチーフだったのだなと思うのです。清の死とともに物語が終わるのが、いかにもと思えた。話しが横道にそれたまま脱線していく場面が多々見られ、何かよくわからなかった。少し期待外れ。

    0
    2020年02月23日
  • 半分生きて、半分死んでいる

    Posted by ブクログ

    人は昔から自然に暮らし、自然の一部だった。しかし、今や道具に囲まれて人工的な環境に暮らしている。人はただのデータと化している。

    確かに、若者の私は虫が嫌いだし、自然の風より冷房の方が気持ちいい。

    人工的、効率的に生きることを目指している癖に、宗教やファンタジーを捨てられないとは、なんて人間らしいのだろうと思った。私は、人間の信じることが大好きなところが大好きだが、愚かと言うこともできるなぁ、と。
    養老先生曰く、その精神は地下鉄サリン事件の温床だと言うので。


    解剖学は人体を説明する学問だけれど、説明したって人体に変化はない。

     ふと思ったのは、
    心理学は心を説明する学問だけれど、説明し

    0
    2020年02月04日
  • 身体巡礼―ドイツ・オーストリア・チェコ編―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    世界の趨勢だと思うが、社会が死を排除しつつある。大きくいえば、自然を排除する方向にいっている。すべての文化が、死によっておこるマイナスを補償する装置のようなものを備えるに至った。身体に関することをタブー視するようになった。

    「メメント・モリ」・・「死を忘るるなかれ」
    二人称の死・・・身体にこだわっているハプスブルク家の埋葬儀礼
    死と共に「あの世」に移行する日本

    0
    2020年01月30日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

    Posted by ブクログ

    「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」で紹介された、
    作家たちと猫の関わりを、たっぷり盛り込んだ猫愛溢れる本。
    1 はじめての猫・・・角田光代、吉田修一
    2 いつでも猫・・・村山由佳、柚月裕子
    3 これからも猫・・・保坂和志、養老孟司
    猫対談、猫写真、猫作品(小説、エッセイ、短編)での構成。
    「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」紹介有り。
    PROFILEは作者と猫たちを紹介。
    インタビューでは、著作に関する話と飼い猫の話。
    あ、飼い・・・じゃなくて相棒とか家族っていった感じですね~。
    それらと小説、エッセイ、短編には、猫に対する眼差しと
    愛を感じる言葉が迸っています。そして作家と彼ら

    0
    2019年12月24日