養老孟司のレビュー一覧
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養老孟司さんと4人の叡知のAIについて語らう。
羽生善治さんとの語らいでは、AIと将棋の相性をあげてひとのもつ先入観を排除して、古い手でくることもあり勉強になるという。
養老孟司さんのAIを高級な文房具という考え方が、たかがAIぽくて良かったです。
井上智洋さんは、ベーシックインカムとAIの親和性をあげて、例えベーシックインカムで収入を得ても、10万円もないと思えば、働く事を選択するひとの方が多いのではと楽観的に捉える。但し、本来ひとが自然とあるべき一次産業にシフトしていくのではと考える。
岡本裕一郎さんのAIによる効率化が必ずしも、ひとを幸せにしないと言う考え方が納得できました。ひとは -
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コロナが流行する前の講演で、「『遺言2.0』はいつ出ますか?」という質問に対して、先生は「それはわからないが、AIについては書きたいと思っている」とおっしゃっていた。本書は対談の形式をとってはいるものの、ある意味ではこの問題に関する先生なりの総論だと言えなくもない。
いまから三十一年前、先生は『唯脳論』という本を書き、そのエピローグで「脳化社会」というキーワードを提示した。「脳化」とは、正確には進化の過程で生物の脳がしだいに大きくなっていくことを示すテクニカル・タームなのだが、先生はこの言葉を飛躍させて、ヒトにおいては脳が肥大化した結果、外部まで脳を拡張させ、社会そのものまで脳と化してしまった -
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いちばん印象に残ったのは、岡山の限界集落の話。「NHKの番組で岡山の高齢者だけの限界集落を取り上げていたのね。75歳以上の人だけが住んでいる集落が、岡山には720ほどあるそうなんです。…それで俺が思うには、限界集落が720もあるということは、そこがいかに住みやすいよい場所か、ということですね。…限界集落とか言って問題視する前に、どうしてそういう生き方こそ奨励しないのかね、と思って。」
東日本大震災後、1年以内に書かれた日経ビジネス連載のまとめなので、端々に生き方や暮らし方の再考が提言されている。コロナ禍の現状に置き換えても違和感がないので、本質的な議論がなされていたのだと感じる。暮らしを歴史 -
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現代社会は脳が社会に反映されている、いや脳そのものになったという当時としては斬新であったと思われる31年前にあたる平成元年出版の著作。
脳と社会に纏わることの証左を様々挙げながら、また特に著者の専門である解剖学の専門的な知識にも及んで、解説にもある通り、時々起こるような脳ブームのきっかけとなった本である。後に著書のヒット作「バカの壁」に繋がる代表作。
もちろん脳科学にも近接領域があって、心理学や哲学の文系よりの分野を巻き込んむが、その端緒になったようだ。
私たちは脳の中に住んでいる、という指摘をされると理解できる、というように人々が気付かないが本質的なことを著者の養老孟司は言ってくれるので結 -
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ネタバレこちらもまるという猫がかなり登場する。まるは「ものさし」なんだそうだ。『もっと成長を、もっと効率を。そんなものを必死に追い求めた結果、世の中はわけのわからないものになつてしまいました。しかも、誰もがそれを進歩だと信じ込んでいる。ヒトのよくはキリがない。かたや、猫に限らず、動物は足ることを知っています。どちらが馬鹿で、どちらが幸せなんでしょうね。』
無用なものも必要であるなど、養老さんらしい意見が随所。まるの存在が大きいですね。猫ずきはこうして生き方の参考にしているのかもしれない。少し高いところから小馬鹿にしている感じが少しクセがある。 -
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初めて養老さんの本を読んだ。この本を読むまで恥ずかしながら養老さんのことは知らなかった。本書は2回読んだ。父に勧められて本書を読んでみて、難しいと思いながらも、養老さんらしい表現の仕方に感心し、勉強になる部分も多かった。自分とは全く違う視点で日本の問題や世間を見られているなあという印象だった。
今は「世間があっという間に飽和する時代」という表現や「煮詰まる」という表現。今の社会が抱えている問題に養老さん独自の視点から喝を入れられており、その解決のヒントのようなものも感じられた。
「人生の意義は自分の中にはない」自分が死んでも、困る自分がいなくなるから自分は困らないという表現。人生とは世の -
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人は昔から自然に暮らし、自然の一部だった。しかし、今や道具に囲まれて人工的な環境に暮らしている。人はただのデータと化している。
確かに、若者の私は虫が嫌いだし、自然の風より冷房の方が気持ちいい。
人工的、効率的に生きることを目指している癖に、宗教やファンタジーを捨てられないとは、なんて人間らしいのだろうと思った。私は、人間の信じることが大好きなところが大好きだが、愚かと言うこともできるなぁ、と。
養老先生曰く、その精神は地下鉄サリン事件の温床だと言うので。
解剖学は人体を説明する学問だけれど、説明したって人体に変化はない。
ふと思ったのは、
心理学は心を説明する学問だけれど、説明し -
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「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」で紹介された、
作家たちと猫の関わりを、たっぷり盛り込んだ猫愛溢れる本。
1 はじめての猫・・・角田光代、吉田修一
2 いつでも猫・・・村山由佳、柚月裕子
3 これからも猫・・・保坂和志、養老孟司
猫対談、猫写真、猫作品(小説、エッセイ、短編)での構成。
「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」紹介有り。
PROFILEは作者と猫たちを紹介。
インタビューでは、著作に関する話と飼い猫の話。
あ、飼い・・・じゃなくて相棒とか家族っていった感じですね~。
それらと小説、エッセイ、短編には、猫に対する眼差しと
愛を感じる言葉が迸っています。そして作家と彼ら