養老孟司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025年最後の本
「塑する思考(佐藤卓)」で書いていることと近く読みやすかった。
あやふやなつかみどころの無い現実に対して、それを考えることを放棄したり、簡単な答えを知って終わることは現代社会に蔓延っていると感じる。特にスマホですぐに調べられる時代では、身体を使って脳を入出力することが減っている。
常に万物は流転しており、それを自己にもあてはめる話は目から鱗。自分は意識と無意識から成っており、無意識にも目を向けているか、またその中でも自己は常に更新されておりその前提で人と関われるかなど。他人が変わるのは当たり前と捉えないといけないし、逆に自分は身体を動かして世界と交わってアップデートし -
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リズムの良い文章ですらすらっと読めてしまうが、話の内容は奥深い。
「見て感動するより、聴いて感動する方がよっぽど多い」に最初はそうだっけ?と思ったが、耳が持つ「遠心性」と「求心性」で映画なんかでもグッとそこに惹きつけられるし、歌を聞いてるだけで泣けることもあるなぁ、と。
巨匠2人の深い知見や様々な経験から見える世界をお聞きするだけでも面白かったが、「根本的に人と人が理解するのは『共鳴』だけ」というフレーズはとても腑に落ちて、自分がああ、これだな、というときには聞いた言葉からどんどんイメージが立ち上がっていく感覚があるので、それこそが、共鳴=響き合うなんだろうなぁと改めて認識した一冊。
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Posted by ブクログ
メメント・モリ、身体と死をめぐる養老先生の思索の旅。
季刊誌「考える人」、2012年春号~14年秋号に連載(8回)。連載時のタイトルは「ヨーロッパの身体性」。カラーページを飾っていた写真は、積み重なった骸骨、陳列されたしゃれこうべ、納骨堂、カタコンブ、人体標本……慣れない読者にはかなりインパクトがあったかも。
養老先生の初期の著作に回帰したかのようで、なんだか懐かしい。しかも、今回は実地。かつて夢見た墓地や教会、故人や骸骨たちに会いに行く。まさに巡礼の名にふさわしい。
中欧というのがなんともいい。始まりは、ヨーロッパの心臓部、ハプスブルクのウィーンから。しかも、ハプスブルク家の伝統では心臓だけ -
Posted by ブクログ
養老孟司さんの『人生の壁』は、一見すると難解なテーマを扱っているようで、実は驚くほど私たちの日常に寄り添った本だと感じます。「人生に意味を求めるな」「自然の一部として生きよ」という一貫したメッセージは、生きづらさを感じやすい現代社会において、私たちを縛り付けている「〜ねばならない」という固定観念から解放してくれます。難解な哲学書とは異なり、著者の軽妙な語り口と、昆虫学者としての豊かな経験に裏打ちされた具体例が、読者に深い納得感をもたらします。
この本で特に印象的なのは、養老さんが「人生の壁」を、乗り越えるべき障害ではなく、「そこにただ存在する事実」として捉えている点です。多くの場合、私たちは -