養老孟司のレビュー一覧
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リズムの良い文章ですらすらっと読めてしまうが、話の内容は奥深い。
「見て感動するより、聴いて感動する方がよっぽど多い」に最初はそうだっけ?と思ったが、耳が持つ「遠心性」と「求心性」で映画なんかでもグッとそこに惹きつけられるし、歌を聞いてるだけで泣けることもあるなぁ、と。
巨匠2人の深い知見や様々な経験から見える世界をお聞きするだけでも面白かったが、「根本的に人と人が理解するのは『共鳴』だけ」というフレーズはとても腑に落ちて、自分がああ、これだな、というときには聞いた言葉からどんどんイメージが立ち上がっていく感覚があるので、それこそが、共鳴=響き合うなんだろうなぁと改めて認識した一冊。
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メメント・モリ、身体と死をめぐる養老先生の思索の旅。
季刊誌「考える人」、2012年春号~14年秋号に連載(8回)。連載時のタイトルは「ヨーロッパの身体性」。カラーページを飾っていた写真は、積み重なった骸骨、陳列されたしゃれこうべ、納骨堂、カタコンブ、人体標本……慣れない読者にはかなりインパクトがあったかも。
養老先生の初期の著作に回帰したかのようで、なんだか懐かしい。しかも、今回は実地。かつて夢見た墓地や教会、故人や骸骨たちに会いに行く。まさに巡礼の名にふさわしい。
中欧というのがなんともいい。始まりは、ヨーロッパの心臓部、ハプスブルクのウィーンから。しかも、ハプスブルク家の伝統では心臓だけ -
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養老孟司さんの『人生の壁』は、一見すると難解なテーマを扱っているようで、実は驚くほど私たちの日常に寄り添った本だと感じます。「人生に意味を求めるな」「自然の一部として生きよ」という一貫したメッセージは、生きづらさを感じやすい現代社会において、私たちを縛り付けている「〜ねばならない」という固定観念から解放してくれます。難解な哲学書とは異なり、著者の軽妙な語り口と、昆虫学者としての豊かな経験に裏打ちされた具体例が、読者に深い納得感をもたらします。
この本で特に印象的なのは、養老さんが「人生の壁」を、乗り越えるべき障害ではなく、「そこにただ存在する事実」として捉えている点です。多くの場合、私たちは -
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ネタバレ養老先生の壁シリーズ。
以下は気になった文の引用です。
「仕事の本質は、目の前の穴を埋めることです。穴が空いていたら、困る人がいるだろう。だから埋める。その延長線上に偉業があるかもしれないし、ないかもしれない。(略)まず存在しているのは「穴」のほうです。需要といってもいいでしょう。自分のやりたいことが先にあるのではなく、求められることが先にある。」
「準備できないこと、予期しないことが次々と目の前に現れて、それに対処せざるをえなくなる。人生はその繰り返しなのです。他人の物差しで評価される「スキル」は案外、役に立ちません。」
「「すでに世の中にあるものには、何らかの理由があって存在している」と -
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・人間は「同じ」ということがわかる。
・人間は変わり続けている。しかし、情報は同じまま
・知るというのは変わるということ。部分的な自分が死んで、新しく生まれ変わるということ。
・記号化してその他のものをみなくなっている社会。
・私たちは全員世の中に遅刻している。
・日本語で人は人間。人と人との間。つまり、世間がセットになっている。
これは日本だけ。
だからこそ暗黙のルールが多い。
・自分も人も変化している。
・対人の世界と対物の世界
・統計や情報で本人不在の社会。
・情報は変わらないが、人は変わる。
・脳とAIの違いは、体があるかないか。
・大人は、子供が好きなことをして