あらすじ
1932年、国際連盟がアインシュタインに依頼した。「今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄を、いちばん意見を交換したい相手と書簡を交わしてください。」選んだ相手はフロイト、テーマは「戦争」だった――。宇宙と心、二つの闇に理を見出した二人が、戦争と平和、そして人間の本性について真摯に語り合う。養老孟司氏・斎藤環氏による書きおろし解説も収録。
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Posted by ブクログ
頭のいい人達だから、私には想像もできないような素晴らしい解決策が提示されてたら素敵だなぁと思って読んだけど、ますます考えさせられる、悩まされる?感慨深く興味深い内容だった。これが第二次世界大戦前のもの、というのがまた…ね。
解説も本編並みのボリューム(笑)
私とは考えが異なる内容もあって、勉強になった!
また一つ賢くなった!(多分)
Posted by ブクログ
1932年、国際連盟はアインシュタインに依頼した。「今の文明において最も大切と思う問いについて、誰でも好きな方を選び、公開で意見交換して下さい」彼が選んだ相手は精神分析の創始者・フロイト。「人類を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?人間と人間の争いが最も露骨な形であらわれる国家間の戦争を避けるにはどうすればよいのかを見出すため、フロイトの最新の知見を知りたい」アインシュタインからの問いに、フロイトが答えた。人間の破壊欲動を「他者との争い」という形で表に出さないようにするには?フロイトの提案に希望が少し見える。
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最初に想い出したのは「ガリア戦記」というタイトルだった。大和の歴史では「壬申の乱」という史実の名が記憶にある。人間の歴史で「争い事」はその初めからあるようだ。軍事の歴史で武装集団をそれまでと違った形にした人物として織田信長があげらろよう。彼は女性につきまとってる兵を自ら処分した話が残っている。
それにしても人々が忌み嫌っている戦争がないという時代はほとんどないのは何故だろう?
物理のパイオニアであるアインシュタイン博士が人間を学としたフロイト博士に問題提起をし、その解決を試みたのが本書であろう。
そして新たな創造の為に破壊が必要とは言え戦争という攻撃性はやり過ぎだとこの本から私は思う。
様々な分野で国際化が進む中で文化活動も国際化している今日、世界的規模で広がる戦争を避ける方法もこの本は示している。古典になるほど読み継がれることで、世界史が少しはましになれば4人の著者は望外の喜びであろう。
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アインシュタインは国際連盟からの「今の文明(1932年時点)でもっとも大切な問い」について、好きな相手を選び手紙を書く、という依頼に対して、ヒトはなぜ戦争をするのか。を主題にフロイトに手紙を出し、フロイトからの返事を書いた本書。
アインシュタインは、「すべての国家が一致協力して、一つの機関をつくりあげ、この機関に解決を委ねる」そのためには「各国が主権の一部を完全に放棄し、自らの活動に一定の枠をはめる」という解決策を提案している。ほかの方法では、国際的な平和は望めないのでは?と添えて。
そして、人を戦争に駆り立てる要因として、「人間には本能的な欲求が潜んでいる。憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする欲求が!」と述べている。
フロイトは、権利(法)もまた暴力によって行使される、としている。人を戦争に駆り立てる要因としては、「性の欲動(エロス)」と「破壊の欲動(タナトス)」をあげ、二つの欲動は分かち難く、何かを手に入れようとすれば奪いとろうとする欲動が必要になる。と述べている。
戦争は自然界の掟に即しており、生物学的なレベルでは健全で避けがたいものであるにも関わらず、なぜ、私たちは戦争に強い憤りを覚えるのか?
それは、文化の発展により、人間の心のあり方に変化が起きたからだと述べている。
そして、これは夢想的な希望ではない、として、
文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩みだすことができる!
と、強い言葉で、手紙を締め括っている。
このあと、ナチス政権が台頭して、ユダヤ人であるアインシュタインとフロイトは米英に亡命せざるをえなかった。
結局、戦争はいまでもある。
けれど、フロイトがいう文化の発展を促せば戦争は終焉を迎える、という言葉を私も信じたい。
インターネットが発展して、異文化を理解し、多様性を理解することができるようになった。
大きな集団の中にも、一人ひとり、涙を流し、血を流し、精一杯生きている同じヒトがいることを理解できるようになった。
無教養な、無知ゆえの無意識下の差別をしないように努力して、欲しいから奪うという原始的な欲動を制御し与えるものへと転換して、私は前に進んでいきたい。
そのためには、やっぱりたくさん本を読もう。
Posted by ブクログ
アインシュタインとフロイトという、二人の天才の、人類は戦争をやめられるのか?に対する答えを読んでみたかった。
結果、同意できるところが多く、読んでよかった。
この問題は、解決が難しいが、現代の天才も参加して解決していってほしい。
私のような一般庶民もよくよく考え、まずは自分の周りから揉め事を起こさないようにしなければならない。
Posted by ブクログ
昔会社のお偉い方におすすめされて読んで以降、度々読み返しています。
アインシュタインとフロイトによる手紙のやり取りが掲載されているだけなので本編は短いです。
ですがとても考えさせられますし、人間の本能についてすごく納得できた一冊です。
この本のおかげで私は良い意味で「人間に期待をしない」ことを学びました。
大変おすすめです。
Posted by ブクログ
第一次世界大戦終結後、あまりの惨事から、国際連盟が発足。
その国際連盟が、「ひとはなぜ戦争をするのか?」、を議論して欲しいと、物理学者のアインシュタインに依頼し、アインシュタインが依頼された議論をする、その相手に選んだのが心理学者のフロイトでした。
1932年にした2人の手紙のやり取りが、この本に収録されていて、読んでみたいと興味を持ち書籍を買ってみました。
今や、毎日毎日、テレビやニュースでは、「現在進行形の戦争」が日常的に報道されてて、余りにも目に入るので、その常態化に、何も感じなくなって麻痺している自分がいるのも怖いですが。
そんなマヒした自分自身に喝??を入れるべく、
「ひとはなぜ戦争をするのか?」
というテーマを国際連盟が学者に依頼した書簡をきっかけに、自分でも考える時間を持とうと、読んでみました。
フロイトは、アインシュタインへの手紙に、
「政治家が本来考え解決するテーマではあるが、本質的には政治家ではない一般の人間も考えるべきだ」
というところから始めて、
「愛と憎しみ」
のような人間の感情や観念を交えて議論していき、
「戦争をしないためには?」
という結論へ向かう、その考え方の流れが書かれてありました。
読後としての答えや感想は、読む人それぞれで違ってきそうですので、控えます。
この本の解説としてあとがきに、養老孟司さんが文章を書いてくれてもいます。
平和から少し遠ざかっている雰囲気の今この瞬間だからこそ、私は読んで良かったと個人的に思いました。
嫌な現実から目を背けたくなるニュースばかりの日々ですが、日本とはまるで遠くの場所の関係ない出来事だと、ついつい麻痺をしてそうな自分がいるな〜と思った、そこのあなた。
そんな人にこそ、是非一度手に取って頂ければと思います!
(100ページくらいの5ミリ程の薄い本で、サラッと読めます)
そんな、本日でした。
Posted by ブクログ
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アインシュタインとフロイト、それぞれの立場から語られた戦争をなくすための往復書簡。
フロイトは生と死の欲動が戦争につながることを指摘。それを抑制するのは文化であるとの見解を示す。非常に面白く考えさせられる話だった。
Posted by ブクログ
1932年、国際連盟からの依頼が物理学者であるアルバート・アインシュタインにとどく。「今の文明において最も大事だと思われる事柄を、一番意見を交換したい相手と書簡を交換して下さい」、選んだテーマは「人はなぜ戦争をするのか」、選んだ相手はジグムント・フロイトであった。アインシュタインは権力と人間の本能的な欲求提示する。フロイトは、暴力とそれを止めることのできる国際機関の設立を願う。しかし、わかっていることがある「人間から攻撃的な性質を取り除くなど、できそうにもない!」。100年近い時間が経過しても、人間は進化せず戦争を繰り返している。さらにフロイトは問いかけます。「すべての人間が平和主義者になるまで、あとどれくらい時間がかかるのでしょうか」。何を進めていけば平和に近づくのでしょうか。フロイトの結論はこうです、「文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩みだすことができる!」文化という言葉が正しいのかわかりませんが、お互いを正しく理解して尊敬をすること、それを文化もしくは文明と呼ぶのでしょうあ。国際的な交流や、その国へ旅行してその国を知ること、そこで生きている人間をしることが戦争を回避できる、そのような人間が国の中で増えていく。本書を読んで、戦争について深く考えることができました。そして100年たっても人類の根本的な問題は簡単には変わりえないことを確認しました。いま地球上で起きている不幸な戦争や紛争がお互いを理解することで早く終焉に向かうこと、新しい戦争が起きないことを心より願います。
Posted by ブクログ
アインシュタインとフロイトが戦争をテーマに議論を交わした手紙について。
冊子の薄さと、文章の平易さから読むことを決めた。しかし、テーマと内容は決して浅くない。もちろん紙面上の限界はあるため深く掘り下げきれないところもあるが、国際機関の存在や文化による啓蒙など戦争を起こさないようにさせるための人間の試行錯誤について述べることを通して戦争論にアプローチしている。
権利や権力(暴力)の取得とその変遷、少人数による支配と多数による支配が表裏一体であること、などの分析が興味深かった。
Posted by ブクログ
1.著者;①アインシュタイン;理論物理学者。特殊相対性理論や一般相対性理論が有名。光量子仮説に基づく光電効果の解明で、ノーベル物理学賞受賞。②フロイト;精神科医。精神分析学の創始者。<解説者>③養老孟司;解剖学者。「バカの壁」は450万部を記録。戦後のベストセラー5位。第一位は「窓際のトットちゃん」④斉藤環;精神科医。「世界が土曜の夜の夢なら」で角川財団学芸賞受賞。他にも共著で小林秀雄賞受賞。
2.本書;国際連盟がアインシュタインに「今の文明で最も大切と思える事柄を、好きな人を選び、書簡を交わす」事を依頼。彼は、フロイトに戦争(人間を戦争というくびきから解き放つ事は出来るのか)について、手紙を書いた。フロイトの回答は、「文化・知性が戦争を抑止出来る」と言う。解説の養老・斉藤両氏の論考も高水準で読みごたえがある。ロシアのウクライナ侵攻の最中、浅見氏(訳者)あとがき「二人の戦争論を読み、二十世紀の英知を手に、新たな歩みを始めなければならない」が心に響く。
3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記);
(1)『フロイトへの手紙(アインシュタインから)』より、「人間の心を特定の方に導き、憎悪と破壊という心の病に冒されない様にすることはできるのか?・・・“知識人”こそ、大衆操作による暗示にかかり、致命的な行動に走りやすいのです。何故でしょうか?彼らは現実を、生の現実を、自分の目と自分の耳で捉えないからです。紙の上の文字、それを頼りに複雑に練り上げられた現実を安直に捉えようとするのです」
●感想⇒知識人は机上の空論に陥る事が間々あると聞きます。学者が現実に捕らわれないず、純粋な理論を構築する事は、科学進歩に貢献します。しかし、現実の世界は頭で考えるように単純ではありません。例です。製造業では、若い頃に現場経験を積ませて、選抜後に幹部登用する会社が多いそうです。「生の現実を、自分の目と、自分の耳で捉え」ないで、世間に認められる良質なモノづくりが出来るはずがありません。過日、映画「Fukusima 50(原発事故と戦った50人)」を見ました。その中で、東電役員が事故状況を問われた際に、「私は東大経済学部出身ですから(技術はよくわかりません)」と答えた場面がありました。頭でっかちだけでは、経営のかじ取りは無理でしょう。
(2)『アインシュタインへの手紙(フロイトから)』より、「戦争への拒絶、それは平和主義者の体と心の奥底にあるものが激しい形で外に現れたものです。私はこう考えます。このような意識のあり方が戦争の残虐さそのものに劣らぬほど、戦争への嫌悪感を生み出す原因となっている、と。・・・文化の発展が生み出した心のあり方と、将来の戦争がもたらすとてつもない惨禍への不安、この二つのものが近い将来、戦争を無くす方向に人間を動かしていくと期待できるのではないでしょうか。・・・文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩み出すことが出来る」
●感想⇒フロイトは、「文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩み出すことが出来る」と結論付けています。書簡が交わされたのは1932年で、90年経ちました。文化は、それなりに発展しました。しかし、世界各地で紛争が絶えません。ウクライナ侵攻、クルド×トルコ紛争・・・、それに内戦と争いは続くばかりです。アインシュタインは言います。「人間には本能的な欲求が潜んでいる。憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする欲求が」と。フロイトは言います。「知性を強める事、攻撃本能を内に向ける事」と。私達は、戦争に加担する様な事にならない様に、広い視野でものを考え、行動したいものです。“巧言令色すくなし仁”たる指導者の言動に惑わされない為に。
(3)『解説Ⅱ(斉藤環)私達の“文化”が戦争を抑止する』より、「私達は世界史レベルで見ても最高度に文化的な平和憲法を戴いているからです。そこにはフロイトすら思いもよらなかった戦争解決の手段、すなわち“戦争放棄”の文言が燦然と輝いています。この美しい憲法において先取りされた文化レベルにゆっくりと追いついていく事が、これからも私達の課題であり続けるでしょう」
●感想⇒日本の憲法は平和主義を提唱し、第九条で「①戦争放棄 ②戦力不保持 ③交戦権否認」を謳っています。今、我国の安全保障に関心が高まっています。“反撃能力の保有”に関し、ある調査では、「保有賛成=55%、反対=29%」だったそうです。反撃能力保有は、専守防衛から逸脱し、先制攻撃の可能性をはらんでいます。戦後77年を経て、75歳以上の人口は約15%となり、戦争体験者が少数になりました。斎藤氏が言う「フロイトすら思いもよらなかった戦争解決の手段、すなわち“戦争放棄”の文言が燦然と輝いています」を、今こそ国民一人一人が真剣に熟慮しなければならない時と考えます。
4.まとめ;私は戦後生まれで、戦争体験がありません。戦争の悲惨さについて、祖父母からよく聞かされました。「B29(アメリカの爆撃機)の来襲、空襲警報がけたたましく鳴り響く中、防空壕へ一目散に逃げた。衣食住に困窮し、食べるものもなく、着の身着のままの生活。いつ死ぬかわからない日々だった」と。私はこの話と、野坂氏の「火垂るの墓(浮浪児兄妹の悲惨な生活)」や井伏氏の「黒い雨(被爆者の辛い生活)」を再読する度に心が痛み、平和主義を貫く事の大切さを痛感します。戦争を決してしてはいけません。どんな理由があろうとも。本書は「2020年8月第13刷版」です。ウクライナ侵攻が続く中で、この本が売れ続け、戦争について多くの人が考察している事が救いです。子々孫々に明るい未来を。(以上)
Posted by ブクログ
国際連盟の求めに応じてなされた有名な往復書簡。戦争について、当時の碩学は何を考えていたのか?即効薬はないが、ゆっくりと効く薬を本書簡自体が物語っている。解説については、養老先生と斎藤環先生。前者の解説は、アインシュタインから始まって、持論を展開。後者の解説は、フロイトの考えをより理解するうえで秀逸だと思いました。
Posted by ブクログ
文化は、人の欲望、価値観を規定する。
フロイトが言った文化の発展を促せば戦争の終焉へと歩み出すことができるは、まさにその通りだと思う。
これからの人間の攻撃性は、内へ向かっていく。それは外的な戦争ではなく、バーチャルな戦争、デジタルなものへの攻撃性となっていく気がする。人口の減少も、それに拍車をかける。
Posted by ブクログ
アインシュタインとフロイトという、海外に亡命したユダヤ人の二人がこうやって書簡をやりとりしていたことが驚き。
1932年の出来事を調べてみる。世界恐慌の余波が残る。日本は和暦で昭和7年。五・一五事件で犬養毅が殺害される。ドイツはナチスが第一党になる。
二人のやり取り、書いてある内容は、そこまで古さを感じさせない。
アインシュタインからの、「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」という問いかけから始まる。国連のような中立的な組織が介入して解決しなければならないだろうという持論とともに投げかける。国際連盟ウケを狙った感じもある。
フロイトからの返信は、人間は歴史的に見ても利害の対立の解決には暴力が使われて来たことから話す。難しいところも多いが、以下要約。というか、私のメモ。
社会が発展するにつれ、暴力の支配から法の支配へと変わっていく。法は一人の暴力に対して連帯した人たちの力で勝ち取ったもの。しかし、これに歯向かうものにはやはり暴力に訴える。そのうち共同体の中に他の人より優れた人が出てきてまた独裁的な状況が作られ、それを共同体が打ち負かすと言うことが繰り返される。
過去の戦争には平和を目的としたものも多いことも事実。永遠の平和のために、戦争は不適切な方法とは言い切れない。しかし戦争しても永遠の平和は実現されていないのはなぜか?暴力で小さな集団を繋いでもその状態が長続きしないから。また大きな集団同士での戦争が始まるから。小さな戦争の頻度は下がっても、ひどい惨状を招く巨大な戦争が起きるようになった。
皆が一致団結して中央集権的な権力を作り、利害の対立が起きたときにはこの権力に裁定を委ねるべき。ただ、条件が揃わなければならない。
人間が自分の欲動をあますところなく理性コントロール下に置くことができれば人間の社会はいつまでも完全な一体化がされるかもしれないが、そんなことは無理。できたとしても時間がかかりすぎる。
平和主義者はなぜ戦争に強い憤りを覚えるのか?戦争は自然世界の掟に即しており、生物学的なレベルでは健全であり、現実には避けがたいものなのに。
文化の発展が、人間の心のあり方に変化を引き起こす事は明らか。ストレートな本能的な欲望に導かれることが少なくなる。文化が生み出す最も顕著な現象は2つ。1つは知性を強めること。力が増した知性は欲動をコントロールし始める。2つ目は攻撃本能を内に向けること。好都合な面も危険な面も含め、攻撃欲動が内に向かっていく。
本の後ろ半分は養老孟司と斎藤環の解説。数十年前の書簡に対する現代的な解釈が面白い。
Posted by ブクログ
アインシュタインが議論したいトピックを、フロイトを選んでやり取りをした手紙。この議論に関しては、今現在も状況は変わってないから、人における永遠のテーマなのだろう。
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世の中の大半は本当に重要なことを何ひとつ考えることなく(日々の瑣末なことすらも感じたり悩んだりするだけで「考えている」と錯覚するだけ)死んでいくから天才2人が代わりに丁寧に丁寧に順序立てて「なんで戦争すんのか、無くすとしたらそれは何によるのか」を書いて残してくれたもの?なのかしら。
アインシュタインのトスアップ、フロイトのアタック。考えるんだよみんな、僕たちが戦争についての考え方のひとつの形を見せるよ、正解は用意出来ないけど、てな。
養老孟司と斎藤環の解説も楽しい。
カミソリみたいに薄い本なので読み手と場所、気分を選ばない本。
Posted by ブクログ
フロイトが言うには、文化が発展すると、戦争がなくなることを期待できる。知性が強まり、攻撃本能を内に向けるようになる=平和主義者が増えていくため。
要は、文化が進むとストレートで本能的な欲動に導かれることが減ってくると。それはなんか感覚的にはわかる。
でも、地政学的な要因とかそういう抗えない何かは残り続けるんだろうなと。ロシア見ててもそうですよね。
アインシュタインの言うように世界政府的なデカい権力が出てこない限りは戦争をなくすことはムズいんだろうなあ。
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アインシュタインとフロイトの書簡による対話(解説:養老孟司、斎藤環)。「人間から攻撃的な性質を取り除くのは、できそうもない」という意見は確かになと思う。場の空気を読むことも、同調圧力として誰かを攻撃することはあるはずで、「人と人のあいだの利害の対立、これは基本的に暴力によって解決されるもの」という言葉が重く響いた。弁論は「法による支配」下での攻撃になるし、常に何かしらの暴力は付きまとう。
Posted by ブクログ
ロシアのウクライナ侵攻。。。
今、読む本。
必要不可欠な文化が世界に広がれば、本当に戦争はなくなるだろか。
【文化の発展が人間に押しつけた心の在り方によって我々は戦争に対して単なる知性・感情といったレベルではなく生理的なレベルで拒絶するようになる】
だとしたら、文化広がりますように。
平和主義、広がります様に。
Posted by ブクログ
まず本を手に取ったら、薄!という感じ笑
アインシュタインとフロイトの一往復の書簡を読み、それに対して考える形式。
解説にもある通り、第二次世界大戦前の2人という背景で、今の情勢をみたらどう思うだろうか?
文化的には進歩した?まだまだ途上だけど、いいかな?なんて思うことと
とはいえ紛争の絶えない今の状況に少し辛さを覚えた
Posted by ブクログ
ジャンプの増刊号的な組み合わせというのか、一次大戦と二次大戦の間に国際連盟きっかけでの往復書簡。科学の発展で兵器が急激に進化した時代だから今よりも次の戦争への恐怖は大きかったのかも知れない。
Posted by ブクログ
「マリウポリの20日間」というドキュメンタリーを見て、恐れなのか怒りなのかわからない感情に心が震え、なぜ人間は戦争をするのか…と心底疑問に思い手に取った一冊。
100年近く前のアインシュタインとフロイトの書簡は興味深く、確かに文化の発展によって世界規模の戦争は終焉したように思われる。それでも、局地的に苦しんでいる人がいる事実には胸が痛い。
解説でハリウッド映画はものを壊すから嫌だという話が出てきて、私も全く同じことを感じていたので驚いた。あらゆるものを破壊してカーチェイスなどをしているが、これを見てテンションぶち上がりしてんのかと思うと、人間の破壊欲動って底知れないな…まあ映画で満たされるならそれで良いんだけど。
Posted by ブクログ
すごく良い本なのだろう。けど、難しかった〜。要約して下さいと言われたら、生の欲動、死の欲動しか出てきません笑笑所々私の頭では理解出来ないレベルの概念的な話があった。いつか理解出来るように何度か読み直しチャレンジするつもりです。
Posted by ブクログ
アインシュタインとフロイトの一往復書簡。短いながら示唆に富むと思いました。
アインシュタインの「仕組みをつくればよくない?戦争がなくならない意味がよくわからない」という立場、フロイトの「人の性質は戦争を求める面もある。どうすれば戦争なくなるかについて、なぜ戦争を嫌悪するのか考えるとわかるんじゃない?」という示唆など、戦争について(それも、戦争をなくすことについて)考えると行き当たるようなテーマが密度高く取り上げられています。
一方で解説であらたに検討されている人口の影響や、システム化とそれへの反発という観点は、うーん。養老先生さすがです。
Posted by ブクログ
それぞれ超一級の専門家、アインシュタインとフロイトとの
一回きりの往復書簡で、戦争に走る人間のサガを解剖する。
しかし、年代は第一次世界大戦後、第二次世界大戦前の1932年。
この冊子が再編されたのが2016年、まさかの2022年~2023年の今
「ロシアが戦争をしかける」にヒントがあるのかどうか、ご名答とは言えないわ。
Posted by ブクログ
国際連盟から「今最も重要だと思う事柄について、一番、意見を聞きたい相手と書簡を交わしてください」という依頼を受けたアインシュタイン。
彼が選んだテーマは「戦争はなくせないのか?」そして、選んだ相手は心理学の大家フロイトだった。
彼らのやりとりを読みやすい文章で訳したもの。
★戦争をなくすために、今なにができるのか?
アインシュタインは国際的な機関が、国際的な紛争を絶対的な権威をもって判決し、決定を実行するようにできないか、と考えるも、現状では実現は困難だと考えています。
これまで、平和は実現できない理由は人の心(権力欲・利益を求める・本能的に憎悪に駆られて相手を絶滅させようとする欲求)にあるのではないか、では、人の心を特定の方向に導き、憎悪と破壊という心の病に冒されないようにすることは可能なのであろうか。とフロイトに問いかけます。
フロイトはアインシュタインが述べたことをたどりつつ、考察し、やはり戦争を確実に防ぐには、みんなが一致団結して、強大な中央集権的な権力を作り、利害対立の裁定を委ねるほか道はないとしています。そしてこの道へ進むには二つの条件がいると指摘しています。①現実に機関が創られること②裁定を押し通せるだけの力を持っていること。そして、国際連盟は②の条件を持っていませんでした。
また、フロイトはアインシュタインが主張した、人間の心自体に問題があるのではないかという説も賛成。
結論から言えば「人間から攻撃的な性質を取り除くことはできそうにもない」のですが、人間の攻撃性を戦争という形で発揮させなければ良いと述べています。
破壊欲動の反対の欲動、エロスを呼び覚ませば戦争を阻めるはず=人と人との間の感情と心の絆を作り上げるものは戦争を阻むはず、と。
もう一つ、戦争への欲求を間接的に克服する手段として、人間は指導者と従属する者とに分かれることに着目。これは生まれつき備わっている性質で如何ともし難いため、優れた指導層を作るための努力をすることを挙げています。
ここでフロイトは一つの問題を提起します。
どうして数多の苦難を甘んじて受け入れて生きてきた多くの人間が、それでも戦争だけは受け入れ難い!と思うのか?フロイトは文化による心身の変化が、平和主義者を心身から戦争を拒絶させるとのべ、この心身の状態と、将来、戦争がもたらすであろうとんでもない惨禍への不安が、戦争をなくす方向に人間を動かしていくと期待できるのではないか、と締めくくっています。
訳文も読みやすく、解説も丁寧で(養老孟司さんと斎藤環さんによる、これまた丁寧で興味深いもの)、短いながら濃い一冊でした。
これが書かれたのは1932年。ナチスドイツが勢力を拡大し、書簡を交わした二人の天才も亡命を余儀なくされた身でした。書簡の言葉から「言うほど簡単ではないけれど」という実感と、それでも、平和に向けて何ができるのか考えようとしている姿がうかがえます。