養老孟司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とても良い本でした。
国産初の超電導MRIを開発した小泉英明先生との対談では、小泉先生が中学時代にガイガーカウンターを手作りしたというエピソードに驚きました。
有名な自由学園がどのような学校なのかもよくわかりましたし、小児科医の高橋孝雄先生との対談は涙が出ました。特に必読です。
「ケーキの切れない非行少年たち」の宮口幸治先生との対談も興味深い点が多く、適度に厳しい、先生のポリシーが良かった。「みんなと同じじゃなくてもいい。自分のやりたいことをやろうというのは大人の勝手な理論でしかない。みんなと同じになるのが大前提で、多様性はそのうえに乗っかっているもの。最近は多様性という言葉を簡単に使いすぎ。 -
Posted by ブクログ
あまりにも学びの多い本である
水不足問題
イスラエル側に収まるように凸凹線が引かれて
デコのところに井戸がある
イスラエルの一人勝ち
古代ローマから続いている
ヨルダン渓谷は水に恵まれた水源だけれど、
水を全部吸い上げてイスラエルのテルアビブまで送る水ビジネスをしている
この構造は、古代ローマから続いている
水源を握る=覇権を握る
ローマ人たちが水道を引いてインフラ設備という
外交を盾にローマ帝国の領土内に張り巡らせた
ローマ帝国外から蛮族がやってきたときに
まず水道を破壊した
人間と同じ、ドブネズミも水がなければ生きれない
ルーブルを訪れたわたしは、名画や彫刻の数々の中に、古今東 -
-
Posted by ブクログ
1.著者;①アインシュタイン;理論物理学者。特殊相対性理論や一般相対性理論が有名。光量子仮説に基づく光電効果の解明で、ノーベル物理学賞受賞。②フロイト;精神科医。精神分析学の創始者。<解説者>③養老孟司;解剖学者。「バカの壁」は450万部を記録。戦後のベストセラー5位。第一位は「窓際のトットちゃん」④斉藤環;精神科医。「世界が土曜の夜の夢なら」で角川財団学芸賞受賞。他にも共著で小林秀雄賞受賞。
2.本書;国際連盟がアインシュタインに「今の文明で最も大切と思える事柄を、好きな人を選び、書簡を交わす」事を依頼。彼は、フロイトに戦争(人間を戦争というくびきから解き放つ事は出来るのか)について、手紙を -
-
Posted by ブクログ
解剖学者として培ってきた養老孟司さんなりの意見なので、評価自体は読む人の生き方や信念、思想に左右されてしまうんだろうけど、一つ一つの単元に対する考えを知ることができるというのは、一つの価値だし、そういう点で素晴らしい本だと思った。
特に、自殺者が増えている日本、自分は自分だけのものではないという共有思想の人格教育における重要性、師を徹底的に真似る本当の真意、人生の負荷をどこまで自分の胃袋は消化できるのか?
また、現在の日本の姿、効率や成果主義、個人主義など1990年からIT業界を握ることのできた欧米の勝ち筋を真似るやり方に疑問を抱いていたのが言語化されていた。
日本には日本独自の強さや良さが -
Posted by ブクログ
「猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見」の著者である宮崎徹さん。
気軽に読める本ではないと諦めていたところ、この本が出た。
対談テーマを「ネコの進化や寿命について」として、養老孟司さんから宮崎徹さんのAIM研究の評価を引き出そうという企画だった。
ところが、「生物の仕組みには、ほかにも不思議なものがある。」と言って、養老先生が昆虫の「完全変態」の話を持ち出した。
私も子供の頃から神秘的だと感じていて、今でもわけが分からないことの1つが「完全変態」。
オタマジャクシに足が生えて、手が生えて、尾が吸収され、カエルに姿を変えるのも凄いが、
蝶という昆虫が、幼 -
Posted by ブクログ
唯脳論とは何か。その定義に先ず惹きつけられる。ヒトの歴史は、「自然の世界」に対する、「脳の世界」の浸潤の歴史。ヒトが人である所以は、言語、芸術、科学、宗教等のシンボル機能により、物財の交換、創造が為されること。また、差異を説明しようと、言わば神学論争のような決着のつかぬ、相互の説得を為すこと。ユヴァルノアハラリを彷彿させる論であり、寧ろ、これがオリジナルではとも感じさせられた。
都会が脳の産物であり、それを別著ではデジタル化とも表現していたが、確かに、最早、都市には自然は略残されいないのだろう。制度や建築物、あらゆる人間の営為は、確かに全て人工物だ。数少ない自然は、天候や災害、それと著者の愛 -
Posted by ブクログ
子供の教育をテーマにした養老先生と4人の碩学の対談集。
4人は心理学や脳神経学の権威であったり、画期的な教育方針で知られる学園の学園長であったりさまざま。それぞれの視座から今の子供が置かれている環境の問題点を考察しているのだが、その見解はかなり近いところに着地している。
サブタイトルの「三つの力」とは、「認知機能」「共感する力」「自分の頭で考える人になる」。デジタルネイティブとして育ち、情報の洪水に受け身一方になりがちな現代っ子がこの三つの力を手に入れるには、自然や人との交わりの中でナマの体験をすることがやはり何よりも大切なようだ。もっと早く読みたかったなあ。 -
Posted by ブクログ
第1章の方は著作を読んだことがありましたが、他の方はこの本で知る人たちでしたがどの方もお話が興味深く、読み応えありました。
養老さんが、知識豊富なだけでなく問題意識を抱く着眼点が素晴らしく、対談の意義がある本でしたが小難しくなく読みやかったです。
日々流されて生きているといういか、毎日に必死にしがみついていると茹でガエルの法則のように危機感を抱くセンサーが鈍くなり見過ごしていたのだなと思わされました。
「脳化社会」ということは大変共感できましたし、『スマホ脳』で読んだ問題に対しても、同様に危機感を抱いているということがわかる、個人的に点と点が繋がった気がしました。
自分が子供だった頃と、今 -
Posted by ブクログ
死は観念ではなく、日々トイレでひねり出さねばならないウンコと同じく、有機的でどうにもならないものなのだという養老節に、毎度のごとく唸らされました。
都市化と共に生活の場から死も消えたというのは納得です。都市というのはクリーンで支配できるものに満ちています。汚らしいもの、秩序を乱すものは許されず、周辺に追いやられます。当然、臨終は病室においやられ、すぐに匂いを発する死体などもさっさと焼却処分される。野生動物の死骸すら、その日のうちに処理されて目につきません。
こうして本物の死はかくされ、無味乾燥かつ抽象的な数字におきかえられる一方で、フィクションの世界では残酷で派手な死が跳梁跋扈する。それで