養老孟司のレビュー一覧
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一言要約:我、他人、共同体の認識こそ壁を除く術
「話せば分かる」がないこと、他人は他人であり真には分かり合えない、だが人は一人では生きられず共同体をつくる、というのが人間である
この時に立ちはだかる壁は「(分かってくれない)アイツを打ち負かせ」ではなく、「他人を受け入れない自分を負かす」ことが出来るか否か、だろう
自分以外のものが存在することを受け入れ、世界は一つにならないことを認めれば(一元論からの脱却)その上で成り立つ世界があり、その過程では「孤独感、恐怖、不快さ」を感じ不安がひろがるが、常に自責で「他者という"ちがうもの"を認める」ことが出来れば、バカの壁を超えた本 -
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都市化、現代化とは脳化の社会である。究極の脳化ともいえるSNSを代表として、言語が中心となり、身体がおざなりにされている。「ああすれば、こうなる」という合理性、必要十分条件が明確な社会において、曖昧さ、不確実性はもはや悪となっている。
しかし、人間は身体をもち、脳との調和によって生きている生物である。自然と共にある意識を欠いて、パソコンに代用されるような存在で良いのだろうか。
明確な答えはないが、自然を受け入れ、自分や環境を手入れして、生活していくしか無いのでは無いだろうか。
都市は人間の人間による人間のための空間である。そこに居続けることは、自分を交換可能な部品に貶める行為に思えてな -
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確乎たる世界観、人生観をお持ちで、医者という観点から広く世の中の動きを客観し、俯瞰されているお二人の対談、実に愉快で、楽しく読むことが出来ました。
近藤誠氏の、人生の大先輩である養老孟司さんへのリスペクトは言葉の端々に感じられました。
中身を念のため列記しておきます。
第1章 さて、健康とはなにだったか?
間違いだらけの健康情報にご用心
健康診断が人びとを不幸にする
長生きは医療のおかげ、じゃなかった!?
ここで、病気とは何か、を考えてみよう
第2章 はて、医療とは何だったか?
かつて、名医がいた
余命宣告に律儀に従う必要なし
「脳化社会」は、まず医療から始まった
戦後の保険制 -
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最初に想い出したのは「ガリア戦記」というタイトルだった。大和の歴史では「壬申の乱」という史実の名が記憶にある。人間の歴史で「争い事」はその初めからあるようだ。軍事の歴史で武装集団をそれまでと違った形にした人物として織田信長があげらろよう。彼は女性につきまとってる兵を自ら処分した話が残っている。
それにしても人々が忌み嫌っている戦争がないという時代はほとんどないのは何故だろう?
物理のパイオニアであるアインシュタイン博士が人間を学としたフロイト博士に問題提起をし、その解決を試みたのが本書であろう。
そして新たな創造の為に破壊が必要とは言え戦争という攻撃性はやり過ぎだとこの本から私は思う。
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最近山が楽しすぎるのとyamapに超お世話になってるのがあり春山さんはどんな考えを持った方なんだろうと気になっていた本です
あと世の中がもっと“生きやすく”なればいいなと思うことがあり、でも“生きやすい”ってなんだろう?とも思っていて、個人的にそれをテーマに読み進めました
生きやすくなるためにはこうするとよさそう
①自分もまた自然であり生き物であることを知る
自然経験を通じ、自分もまた自然であり生き物であるので、存在としてここにいていいこと、に気付く
②自分の命の尊さに気づく
山に行けば、転ばないように歩いたり、お腹が空いて何かを食べたいと思ったり、気付かないうちに生きることに集中して -
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欧米の大学では、研究者どうしが廊下で立ち話する光景がよく見られるという。そこから研究のヒントが見つかることも少なくないだろう。しかし、日本ではこれがほとんど見られない。自分の専門領域に踏み入られるのが気に食わないのだ。
本書はまさに、2人の科学者がお互いの分野を超えて自由闊達に語り合うといった雰囲気で、読んでいてとても面白い。とくに、養老さんが「蝶などの完全変態する昆虫は、進化の過程で別の生き物が混ざってしまった結果ではないか」という仮説を展開する。それにとても興味を持った宮崎さんが、実際に実験をするのだ。もし幼虫と成虫で違う生き物由来だとすれば、両者のゲノムが異なるのではないか。
対談は3回 -
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アインシュタインは国際連盟からの「今の文明(1932年時点)でもっとも大切な問い」について、好きな相手を選び手紙を書く、という依頼に対して、ヒトはなぜ戦争をするのか。を主題にフロイトに手紙を出し、フロイトからの返事を書いた本書。
アインシュタインは、「すべての国家が一致協力して、一つの機関をつくりあげ、この機関に解決を委ねる」そのためには「各国が主権の一部を完全に放棄し、自らの活動に一定の枠をはめる」という解決策を提案している。ほかの方法では、国際的な平和は望めないのでは?と添えて。
そして、人を戦争に駆り立てる要因として、「人間には本能的な欲求が潜んでいる。憎悪に駆られ、相手を絶滅させよう -