養老孟司のレビュー一覧
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解剖学者として培ってきた養老孟司さんなりの意見なので、評価自体は読む人の生き方や信念、思想に左右されてしまうんだろうけど、一つ一つの単元に対する考えを知ることができるというのは、一つの価値だし、そういう点で素晴らしい本だと思った。
特に、自殺者が増えている日本、自分は自分だけのものではないという共有思想の人格教育における重要性、師を徹底的に真似る本当の真意、人生の負荷をどこまで自分の胃袋は消化できるのか?
また、現在の日本の姿、効率や成果主義、個人主義など1990年からIT業界を握ることのできた欧米の勝ち筋を真似るやり方に疑問を抱いていたのが言語化されていた。
日本には日本独自の強さや良さが -
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「猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見」の著者である宮崎徹さん。
気軽に読める本ではないと諦めていたところ、この本が出た。
対談テーマを「ネコの進化や寿命について」として、養老孟司さんから宮崎徹さんのAIM研究の評価を引き出そうという企画だった。
ところが、「生物の仕組みには、ほかにも不思議なものがある。」と言って、養老先生が昆虫の「完全変態」の話を持ち出した。
私も子供の頃から神秘的だと感じていて、今でもわけが分からないことの1つが「完全変態」。
オタマジャクシに足が生えて、手が生えて、尾が吸収され、カエルに姿を変えるのも凄いが、
蝶という昆虫が、幼 -
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唯脳論とは何か。その定義に先ず惹きつけられる。ヒトの歴史は、「自然の世界」に対する、「脳の世界」の浸潤の歴史。ヒトが人である所以は、言語、芸術、科学、宗教等のシンボル機能により、物財の交換、創造が為されること。また、差異を説明しようと、言わば神学論争のような決着のつかぬ、相互の説得を為すこと。ユヴァルノアハラリを彷彿させる論であり、寧ろ、これがオリジナルではとも感じさせられた。
都会が脳の産物であり、それを別著ではデジタル化とも表現していたが、確かに、最早、都市には自然は略残されいないのだろう。制度や建築物、あらゆる人間の営為は、確かに全て人工物だ。数少ない自然は、天候や災害、それと著者の愛 -
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子供の教育をテーマにした養老先生と4人の碩学の対談集。
4人は心理学や脳神経学の権威であったり、画期的な教育方針で知られる学園の学園長であったりさまざま。それぞれの視座から今の子供が置かれている環境の問題点を考察しているのだが、その見解はかなり近いところに着地している。
サブタイトルの「三つの力」とは、「認知機能」「共感する力」「自分の頭で考える人になる」。デジタルネイティブとして育ち、情報の洪水に受け身一方になりがちな現代っ子がこの三つの力を手に入れるには、自然や人との交わりの中でナマの体験をすることがやはり何よりも大切なようだ。もっと早く読みたかったなあ。 -
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第1章の方は著作を読んだことがありましたが、他の方はこの本で知る人たちでしたがどの方もお話が興味深く、読み応えありました。
養老さんが、知識豊富なだけでなく問題意識を抱く着眼点が素晴らしく、対談の意義がある本でしたが小難しくなく読みやかったです。
日々流されて生きているといういか、毎日に必死にしがみついていると茹でガエルの法則のように危機感を抱くセンサーが鈍くなり見過ごしていたのだなと思わされました。
「脳化社会」ということは大変共感できましたし、『スマホ脳』で読んだ問題に対しても、同様に危機感を抱いているということがわかる、個人的に点と点が繋がった気がしました。
自分が子供だった頃と、今 -
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死は観念ではなく、日々トイレでひねり出さねばならないウンコと同じく、有機的でどうにもならないものなのだという養老節に、毎度のごとく唸らされました。
都市化と共に生活の場から死も消えたというのは納得です。都市というのはクリーンで支配できるものに満ちています。汚らしいもの、秩序を乱すものは許されず、周辺に追いやられます。当然、臨終は病室においやられ、すぐに匂いを発する死体などもさっさと焼却処分される。野生動物の死骸すら、その日のうちに処理されて目につきません。
こうして本物の死はかくされ、無味乾燥かつ抽象的な数字におきかえられる一方で、フィクションの世界では残酷で派手な死が跳梁跋扈する。それで -
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養老先生の思考を辿ることができる本のひとつ。
あんまり小難しい内容だって身構えなくても大丈夫。
どこにいるどのような人間に対しても一定の理解をしていているように見えます。
長く生きることでしか到達できない答えがあるんじゃないかって思えてくる。
この人のようなものの考え方、感じ方ができるようになってみたい…そういう、なんだか不思議な魅力があります。
静かにこちらに語りかけてくれるような文体で、尖りを感じない。
ご本人も仰っているように、“常識的”な価値観…。
そういうものを獲得した上で、犯人に伝わる形にすることの、どれだけ尊いことか。
生き方とお手本になる、マイ・ベスト・エッセイ -
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壁シリーズの第5段です。古本屋で見つけたので購入してみました。今どきの話題にふれつつ、愛猫まるをたまに登場させつつも、『バカの壁』と同じように、けっこう集中力と頭脳労働が求められる本です。「おじいちゃんの遺言かぁ、モー娘みたいにタイトルに「。」つけちゃって可愛い〜」なんてニヤニヤしながら読むと痛い目にあいます。さすが壁シリーズ。
自分は建築について考察する部分で、けっこう腑に落ちました。空間を共有すると簡単にいうけれど、確かにそれぞれの体験は全然別だよなと。
たとえば実家にしても、その家にいる感覚は、親と子ではまったく違うでしょう。自ら数十年ローンを組んで、日々苦労と充実感を重ねながら自分 -
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養老孟司という人間について分かる。
世間的に賢いとされる人間が、年老いて死期が近い今、人生を振り返りどう考えるか、死に対してどう思うか、今の世界に対して何を思うか、が記されている。
読んでいる時、徒然草の冒頭、
「徒然なるままにひぐらし〜」
の一節が思い浮かんだ。
言語化するに足りる知性、やる気を持ち合わせていないため詳細は省くが、私のこれからの人生を、どのように考え、どのように全うするか、少なからず影響すると思う。
様々なことを考えながらも、全てに対してあえて結論を出さない感じが読みやすく、歳を重ねながらも柔軟な頭の良い人なのだろうと思わされた。
その他壁シリーズも読みたいと思う。 -
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「虫は人の鏡」、このタイトルの意味が、本を読んでわかった。虫を含めた自然は学びの宝庫。私の場合は植物を通して学び続けていきたい。
〈本から〉
擬態は情報系内部の現象
われわれの網膜は三色原理だが、鳥は四色原理を使う
ピカピカ光って飛んでいるホタルは、つまり雄である。雌はジッとしていて、雄が光って飛んでくると、雄の信号に合わせて光る。
ゴキブリを馬鹿にする人は多いが、オーストラリアのゴキブリには、子どもを養育する種類が複数ある。種によっては腹に腺があって、その分泌液を子どもがなめる。早い話が、哺乳するのである。あるいはモグラオオゴキブリは、地中に穴を掘り、そこに餌を運んで子どもを育てる。