養老孟司のレビュー一覧
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面白そうな話をしそうな人が実際に面白い話をしている。
それを喫茶店なり飲み屋なりで、ごく近い席で聞き耳立て楽しませてもらってる。
対談集を手に取ると、いつも大体そんな感じ。そして紹介される著書が興味深いのでエア積読が増える。
昆虫好きな二人が、昆虫について、昆虫から広がる話について、しばらく話し続けます。虫があまり得意でないなら少し辛抱が要るかも。でも中盤からはほとんど虫は出てきません。
他の動物について、人間の歴史、文化、知性、民族性、死生観、政治経済、環境問題について。それはもう多岐に渡って話してます。
どのトピックも、うんうん、なるほどと頷けるところだらけ。とりわけ、
『だって自分は -
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養老孟司が地震学など様々な分野の識者と、南海トラフ地震や関東大震災が起きた時に、起こりうるであろうことを憂いながら、対談する内容。
大地震が起きた時のことを考えるきっかけになる。全体的に政府、日本人、ひいては自分が無能に思える内容なので、暗澹たる気持ちになる。何か、巻き戻せない歯車に巻き込まれているように感じる。我々はどうすればいいんだ?
対談形式なので、サラッと読める。
以下、備忘録
・南海トラフが起きるのは2038年
・シルクロードは活断層。地震によってできた亀裂。地震によって地中の岩が砕かれ水が噴き出しオアシスに。
・都心にいた時に被災した場合は、その場から3日は動かない方が良い。帰 -
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めも
・AIによって業務の効率化が進めば、人の作業を代替できるため、理性的に使える時間が増える。
→ その空いた時間を、自分はどう活用しようか?
・そもそもIT産業はそれほど多くの雇用を生み出していない。
→ 基本的にテクノロジーは人の助けになるものだから、IT化が進むほど労働者の必要性は減っていく。
しかし、それにもかかわらず、なぜIT系の求人は頻繁に出ているのか?
・世界には46億もの人がいるのに、なぜ新たに人工知能を作る必要があるのか?
→ 確かに、人工知能を開発するよりも、人々が生き生きと暮らし、人間のポテンシャルを最大限に発揮できる社会をつくることのほうが重要ではないかと思った。
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「第5章 人生の壁」が一番よかった。
人生相談に対する答えは、「とらわれない、偏らない、こだわらない」。
これは結構普遍的なことだと思った。
社会にバッファー(余白)がなくなってきていて、「真剣さ」と深刻さを混同しがち」とか、ちょっとしたことが大問題になってるというところもそうだが、「理解してくれないことが基本だからわかってくれたときは嬉しい」とか、やっぱりいつも通りよく考え抜いてはるなと思う。
面倒なことから逃げると、後々その人のためにはならないから引き受けるべきというのは、やっと何となく感覚で分かってきたところなので、納得。
「努力と成果を安易に結びつけない方がいい」と思うし、「空気 -
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病院嫌いの養老先生と、教え子で東京大学でがんの専門医でもある中川先生、虫仲間のヤマザキマリさんの共著。
最近の、エビデンスを元に医療を行うことに対して疑問を持つ養老先生が、ご自身の「体の声」を聴くことで体調不良を感じ病院に行くことを選択します。
3章の、なぜ「医療」と距離をとるのか?に、養老先生の考え方が記されています。
エビデンスを元に行う医療は、各々の患者の状態をデータとして扱い、統計学的に処理しています。しかし、ヒトはそれぞれ色々な部分が異なっています。
中川先生は、養老先生の主治医のような関係になられたことから、養老先生が最近の医療に対する考え方について変化があったのではないかと期待し -
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養老孟司先生の語りは明瞭で
好きだ。
聡明な方はブレない。
坦々と、私はこう感じて、考えて、こうやって生きてきたよ、と、さらりと語る。
決して押し付けることがない。
養老先生といえば、
愛猫まるとの暮らしぶりも
人気があった。(過去形なのは
まるちゃんが虹の
橋を渡ってしまったから)
虫や動物に対する向き合い方が、
潔いのだ。ベタベタした愛情ではなく、
当たり前にあるがままを愛でる。
迷ったり、ぐずぐず悩んだりしている自分がバカらしくなってくる。
サバサバと
え?悩むことに意味あるわけ?
って先生に言われそうで。
タイトルが
人ではなく
ヒトの幸福、となっているところ。
養老先生の考 -
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この本は新書と呼ばれる類の本なのだが、平成の新書の中で最も売れたそうだ。それになぞらえて当時の小泉内閣をバカの壁内閣なんて揶揄する風潮があったそうだが、まあ売れに売れたわけだ。著者の養老氏は解剖学に精通していて、東京大学名誉教授を歴任。遺体と向き合うにあたって数々の気づきを得たそうだ。この本で語られるバカの壁とは、自分の気に入らない情報をことごとく遮断し、都合のいいようにのみ解釈してしまう、いわば一元論の壁である。それしかないと思い込むことが、結果的に思考を妨げると著者は語る。ここでいう思考とは、哲学であり判断であり、倫理観でもある。倫理観の統一というのは、我々が人間らしく生きていくために必要
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養老さんの考えかたは「そうだな」と受け入れてしまうことが多い。
「知っている」と「わかっている」は違う。
「あいつなら知っている」と「あいつのことならわかっている」はずいぶん違う。
人生を振り返ってみると、わかろうわかろうとしながら「結局はわからなかった」という結論に至るそうだ。
脳への入力は五感。
見る、聞く、触る、嗅ぐ、味わう。
対して出力は筋肉の運動だけ。
だから「体育」というものがある。
とか
技法を勉強しても教養にはならない。
知識が増えても、行動に影響がなければ、それは現実にならない。
など、哲学的なつぶやきが書かれている。
養老さんは自身の本に対して「なんか、ぶつぶつ