養老孟司のレビュー一覧
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この対談を一語で表すなら、「豪放磊落」に尽きる。最近はコンプラなんとかのせいで配慮という名の忖度を強いられて、言いたいことも碌に言えやしない。そこへ行くとこのお二方はもはや恐いものなしなのか、何の気兼ねもない語らいというのは読んでいてじつに気分がいい。
下重暁子さんといえば、『家族という病』(2015年)が話題になった。「家族」とくれば普通は「絆」だが、彼女にとってはそれが「病」になる。ところが、ほかの人にとっても案外そうだったのか、本が売れた。要は、みんな言いたくても言えなかったのだろう。養老さんの『バカの壁』が同じような側面を持っていたことは言うまでもない。
下重さんはNHK、養老さんは東 -
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C・W・ニコルさんと養老孟子さんの対談の本だった。自然、森、第一次産業の重要性。自然の中で体を動かすことで、自分の体の動かし方を知ること。自然の中で須吾事によって、本当の生きる知恵をつけること。体を動かして、実際に経験すること。実体験の方が大切。
建築を立てるのも、木そのものの特質に沿って切断したり、その木の特質に沿って、家を建てる。
それにしても、C・W・ニコルさんは、とても興味深い人だ。ケルト系神道のクリスチャン?アラスカや北極やエチオピアでのフィールドワーク、面白い経験をしている人だ。
養老さんによると、若い人は、田舎の田舎に行くと、年長者や年上がいないから、自分たちの好きなことができる -
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人間は『人工身体』と『自然身体』の2つのからだを持っている。
『ああすれば、こうなる』だけになった現代社会。
上記2つの講演録を読み、我が身を考えると、なるほど!と感じる点がある。
産まれて間もない子供は自然に近い存在で、ああすれば、こうなるの法則は成り立たない。
現代の子育ては、核家族でワンオペである場合もある。本の中で、都市化された世の中では、(自然は排除される。)という話がある。子育ての煩わしさの根底にはその現実があるのではないかと感じた。勿論、全ての人が煩わしく思っているとは思わないが、人工(脳)であればあるほど、それが如実に現れているように思う。
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ネタバレ意識の世界、言葉の世界、頭の世界は本質でもなんでもないことについて。
この世界に偏重している今日を冷静に指摘していて、
今の主流とは一線を画していてやっぱとても参考になります。
そして、簡単で短い言葉で、伝えられている。
__ときには言葉を止めて、世界に直面してみたらどうか。
言葉を決めれば、世界が決まる。そう思っているに違いない。そう思えるように、社会を作ってしまったのである。
言葉で世界は動かない。
__世界を意味で満たすことは、じつは恐ろしい社会を創り出すことなのである。
__頭の中すぐに煮詰まる。意識は煮詰まるものなのである。
__環境問題がおかしくなるのは、環境とい -
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アインシュタインとフロイトという、海外に亡命したユダヤ人の二人がこうやって書簡をやりとりしていたことが驚き。
1932年の出来事を調べてみる。世界恐慌の余波が残る。日本は和暦で昭和7年。五・一五事件で犬養毅が殺害される。ドイツはナチスが第一党になる。
二人のやり取り、書いてある内容は、そこまで古さを感じさせない。
アインシュタインからの、「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」という問いかけから始まる。国連のような中立的な組織が介入して解決しなければならないだろうという持論とともに投げかける。国際連盟ウケを狙った感じもある。
フロイトからの返信は、人間は歴史的に見ても利 -
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2018年5月から2021年10月にかけて8回行われた対談集。
半分は虫の話。そこから人間の話になる。
ヤマザキマリさん、虫に詳しいから養老孟司さんと話がかみ合う。
お二人とも虫が好きなんですね。
このご両人は、頻繁に本も出している。
書かれている内容は重複していることも多い。
同じようなことを感じている人はおそらくたくさんいて、そんな人たちが読んでいるのでしょう。
言語化された思いを自分の脳に焼き付けるのに役立っている。
みんな心当たりがあって、当たり前のことだと思っていることを言っているだけだから、読者から文句や批判を受けにくい。
読者は、思っていることを上手く言葉で表してくれると「 -
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遺言。
著:養老 孟司
新潮新書 740
帯には、80になったので、言い残したことを、遺言として書いておこうとある
エッセイとして、書き綴ったものであるので、一貫性を求めるのは酷かもしれないが、
科学の匂いがしているのは、ちょっとうれしいかもしれない
2024年現在、86となっている、この知の巨人は、「当面死ぬ予定はない」なのである
あと、題に、「。」がついているのもなんだかなあ、説明はない
気になったことは、以下です
・ヒトとはなにか、生きるとはどういうことか、根本はそれが主題である
・それが正しいとか、正しくないとか、そんなことは考えていない
考えというのは、そういうもの