養老孟司氏を中心につながったがん患者と医師の3名が、それぞれの立場からがんについて各々論じ、彼らの鼎談も含めて編集された1冊。
患者である柏木博氏からは、がんに診断されたときのかかりつけ医とのコミュニケーション不全が自身の不安が助長された、という点を自らの闘病記の中で語っている。かかりつけ医とのコ
...続きを読むミュニケーション不全を経て不安に思った柏木氏が旧知の養老孟司に相談したことから、氏の教え子にあたる東大病院の中川恵一氏と出会い、治療がスタートしていくが、同氏も医師として、チーム医療のような体制を整備して患者とのコミュニケーションの総量を増やすことの利点を主張する。
そのほか、中川氏からは日本人のヘルスリテラシーのあまりの低さに対する警鐘や、がんをきっかけに生き急いでいるかのようだった自身の生き方をスローダウンさせたという柏木氏の体験談など、がん体験を巡る良質な一冊となっている。