柏木博のレビュー一覧
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養老孟司氏を中心につながったがん患者と医師の3名が、それぞれの立場からがんについて各々論じ、彼らの鼎談も含めて編集された1冊。
患者である柏木博氏からは、がんに診断されたときのかかりつけ医とのコミュニケーション不全が自身の不安が助長された、という点を自らの闘病記の中で語っている。かかりつけ医とのコミュニケーション不全を経て不安に思った柏木氏が旧知の養老孟司に相談したことから、氏の教え子にあたる東大病院の中川恵一氏と出会い、治療がスタートしていくが、同氏も医師として、チーム医療のような体制を整備して患者とのコミュニケーションの総量を増やすことの利点を主張する。
そのほか、中川氏からは日本人の -
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この本を読めば、デザインができるようになるというハウツー本の類ではない。しかし、世のデザイナーが、このタイトルに釣られてこの本を読んでくれるとすれば、この事故のような出会いは幸運と言う他ない。
私たちが、日常で接する事物が、どのような思想の反映であり、何に影響され、どのように意図され、どんな時代的な背景のもとにつくられてきたかを追いかける手つきは、私たちが日々をどのように生活するかと問わずにはいない。
この本が提供する、しかじかの偶然に囲まれた歴史的・文化的な編成の切っ先に私たちが立っているという感覚は、デザイナー(志望者)だけでなく、普通人にも有益だと思う。 -
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がんの当事者、相談された側、治療する側の3者の随筆と対談。
柏木さんのがん体験を中心に、実際の治療の進み方や、
治療の在り方、人生観や死生観など、
地に足の着いた話が続いていろいろと参考になる。
がんは不治の病ではないが、ずっと様子を見ながら付き合っていく病。
私が自分の乳がんを治療していた時期のこと、
そして今現在、がんと闘っている友人のことなど思いながら読む。
痛みを押さえるモルヒネの使用が日本ではとても少ないというのも、
我慢することを美徳と考える気質が影響してるんだろうな。
QOLの向上も、迷いや不安も、口に出して求めていっていいし、
主治医やスタッフの方たちと信頼関係を作りながら、
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「デザインの教科書」とあるが、デザインの技法を学ぶための本ではない。むしろ、「デザイン」そのものの歴史や意味を紹介する、という内容だ。
時代と共に「デザイン」が持つ意味が変化してきた事が紹介されているので、本書が指し示す「デザイン」という言葉はかなりの多様性を持っている。
極限でまとめてしまえば、デザインとは「よりよくするための技術」と言えるかも知れない、それはつまり最近の「よりよくみせるための技術」としてのデザインであったり、あるいは環境と産業を適用させるような「よりよくマッチさせるための技術」や、「より使いやすくするための技術」といったものが含まれているということだ。
人間が関与し -
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自然からの搾取。正確な見積もり。生産物が地域に根ざすことがなくなるという状態は、近代的な産業の特徴でもある。
p.63 デザインは、あるときから、市場の価値を生む技術として捉えられ、マーケティングと分かちがたい実践をし始めた。もちろん、本来、マーケティングとデザインは別のものである。
とりあえずのデザイン。ものの死滅(ボードリヤール)。
生きのびるためのデザイン。器用仕事(ブリコラージュ)と器用人(ブリコルール)。潜在的有用性。アフォーダンス。
技術、経済、市場に加えて、環境のエコロジー、社会的エコロジー、精神的エコロジー。三つのエコロジー(ガタリ)。
人手を自ら調達しながら主体的に -
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[ 内容 ]
人間の意識、思考に大きな影響を与える「しきり」を様々な視点から読み直す。
[ 目次 ]
第1章 しきるということ(自己と非自己/アイデンティティ;自己と他者 ほか)
第2章 しきられる世界(聖と俗;日常と非日常 ほか)
第3章 生活の中のしきり(住まいのしきり(遮断)の装置
汚れのしきり ほか)
第4章 しきりの提案(ミース・ファン・デル・ローエによるしきり;中廊下式間取りの提案 ほか)
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