養老孟司のレビュー一覧
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タイトルからは分からなかったが、実質的な内容としては日本人論。本書で使用される無思想という言葉は一見すると把握しづらい。恐らく世間という言葉を用いながら、我々の生活の直感に訴えるような使い方をしているからだと思う。
無思想の一つの理解として、原理原則とそこから派生する規範意識の希薄さと認識をした。もし原理原則論が日本史において希薄だというのであれば、明治維新も戦後の社会変化も説明しやすい。考えてみれば普遍性が高いと思っていた天皇の地位についても江戸期、明治憲法下、現行憲法下と一貫性に欠ける。また本書でもしばしば登場する司馬遼太郎が、くどい程に奇態だ奇態だと呼んだ戦前の特殊性も説明できる。
本来 -
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読書録「ぼちぼち結論」5
著者 養老孟司
出版 中央公論新社
P32より引用
“最近聞いたことだが、小学校の先生が雑巾を持ってくるように
と児童に伝えたら、母親から「なんで私が雑巾を作らなきゃなら
ないのか」と詰問の電話があったという。”
解剖学者である著者による、世の中の色々なことについて著者
が考え続けたことをまとめた一冊。
団塊世代の定年後についてから書評まで、理路整然と書かれて
います。
上記の引用は、先生について書かれた項での一文。
自分の子どもの使う道具くらいは、自分で作ったほうがいいので
はないかと思うのですが…。しかしこういう人のほうが世の大勢
なのだろうかと思い -
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耳に聞える音と目に見える景色は別物だということは、映像や音楽に係わる世界に身を置いたことのある者なら誰もが痛い目に逢わされて、痛切に思い知らされたことが何度となくあるだろう。
ところが、目からの情報と耳からの情報、この二つの異質な感覚を連合させたところにつくられたのが「言葉」であり、人間は「言葉」を持つことでこの二つの異なった「世界」を同じにしてしまうのだと言われると、思わずウーンと唸りたくなる。
なるほどという思いと、どこかおかしい、騙されているのではなかろうかという思いがないまぜになってくるのである。これは養老先生の話を聞いた時にしばしば起こる感慨であるが、それだけ刺激的であるという -
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「唯脳論」5
著者 養老孟司
出版 筑摩書房
p28より引用
“ところが、心はじつは脳の作用であり、つまり脳の機能を指し
ている。”
解剖学者である著者による、脳の働きと人間社会などについて
論じた一冊。
ヒトがヒトである所以についてから脳と身体についてまで、解
剖図などを交えながら書かれています。
上記の引用は、心と脳について書かれた項での一文。
子供の頃は、心は心臓の辺りにあると思っていましたが、ああい
う漫画的な表現はいつからされるようになったのでしょうか?
昔のSF等で描かれていた物などが、現実の世界に作られるよう
になっているのを見ると、文明社会は脳の産物という話につ -
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原発事業、植林の山崩れも戦後のつけ。戦後は続いている。
「家がプライベートな空間だと思ったときから、いろいろな間違いが始まったのではないかと僕は思っています。プライベートという思いがさらに進むと『私有』になる。自分の一生の財産であり、人生の目標だと思い込むと、ペンキのヒビ一本も許さなくなるでしょう。そうして、ヒビの入らないビニールクロス張りのマンションができあがり、サブプライム・ローンの破綻に行き着く。」
「人工圧力設計」とエネルギー問題。
「自分が快適に思える街ではなく、サラリーマンとしての自分の地位が保たれる街が、日本全国どこにでもできてしまっている。」
「だましだましをやるには現場が必要