養老孟司のレビュー一覧
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昆虫を追って暮らす解剖学者と、黒姫の自然と共に生きる作家。現代の日本人が失ってしまった「身体感覚」の大切さを語る。
そもそも人間は体内にだって無数の細菌を飼っていて共存しているように、常に自然環境や他の生物と密接に生きているはずであるのに、そのつながりを否定してしまう「都会」という生活環境が、さまざまな問題を生んでいる。もちろんそのくらしは快適で、人間は危険や苦しみを避けてここに至ったのも事実なんだけれど、行き過ぎた都市化はやはり問題を生じている。
養老先生が提唱しているように「参勤交代」〜都市と田舎を強制的に行き来させるような施策も、意外に面白いのかも知れない。私自身、田舎暮らしにはおお -
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竹村公太郎氏との対談集で、久々に養老孟司氏の言説に触れ、読もうと思ったのがこの本。以前、読んでいたが、レビューを書いていなかったので、読みなおした。
内容は、
第1章 私的な私、公的な私
第2章 だれが自分を創るのか
第3章 われわれに思想はあるのか
第4章 無思想という思想
第5章 ゼロの発見
第6章 無思想の由来
第7章 モノと思想
第8章 気持ちはじかに伝わる
第9章 じゃあどうするのか
となっている。
解剖学者として、モノとしての人間の「脳」を観察してきた理系の思想分析のアプローチである。
しかしながら、古今東西の思想家・哲学家の造詣も深い。
そんな養老氏の論理的な「無思想の発見」。 -
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ネタバレ非常に面白かった。
養老氏が若手理系識者4人と対談している本。
「理系と文系」と対比させて対談しているのはしょっぱなの森博嗣氏の対談。
あ~なるほどな~と思ったのは文系の方が理屈っぽい、それは言葉で割り切るからだという表現。氏が意図している所を完全に理解しているかどうかわからないが、理系の人が数字に拘るのはざっくり映像的にイメージしたいからイメージを共有させないと成り立たないというのが理系同士の会話。
続く藤井直敬氏はVRをやっている人。養老氏は多重構造で成り立っているこの世界を認知するためにはVR,SRというのは間違いなく人を進化させると語る。
次の鈴木健氏は複雑系の科学の専門家でありなが -
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ネタバレ「バカの壁」の作者 養老孟司さんと、
ご存知、宮崎アニメや「おくりびと」の作曲をした 久石譲さんが
耳、音、聴覚をキーワードに、語り合う対談です。
考えただけで、わくわくする方同士の対談!
いや~、一気に読んでしまいました。
「なぜ人は音楽で感動するのか」など
人間が音楽を美しいと感じるメカニズムについて徹底的に語り合っています。
久石さんが音楽について感じていることを語ると、それは人間の脳がこんな風に働くから
音に対してそう感じるんだね~と養老さんがメカニズムを解説する。
そして、最終的には聴覚の持つ神秘の力を問い正す。
面白くないわけがない!というのが感想です(笑)
例えば、映 -
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猫飼いの養老孟司さん、犬飼いの近藤誠さん、2人の医学博士による対談本。
きっと親バカトーク満載なんだろうなーと軽い気持ちで読み始めたのですが、後半は人間やペットの老後医療、介護などを語っています。考えさせられる重厚な内容でした。ペットと暮らしている人には是非、是非お勧めしたい。
私は10才の双子猫と暮らしています。彼らの様子に不調が見えるとものすごく不安になります。将来のことも不安。でも、この本に出逢えて、指針となりえる考え方の方向が見えた気がしています。私の大事な2匹が安心して楽しい毎日を過ごせるよう、2匹にとって良いと思えることを選んでいこうと思います。
以下は、お2人の言葉で特に -
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試し読み
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「理系は言葉ではなく、論理で通じ合う」「他者の認識を実体験する技術で、人間の認知は進化する。」「細胞や脳のしくみから政治経済を考える」「STAP細胞研究は生物学ではない」……。解剖学者養老孟司が、言葉、現実、社会、科学研究において、多くの文系の意識外にあるような概念を、理系の知性と語り合う。
『すべてがFになる』などの小説で知られる工学博士森博嗣、手軽にバーチャルリアリティが体験できるデバイス(段ボール製)を考案した脳科学者藤井直敬、話題作『なめらかな社会とその敵』の著者で、「スマートニュース」の運営者でもある鈴木健、『捏造の科学者 STAP細胞事件』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した毎 -
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読書録「本質を見抜く力」5
著者 養老孟司、竹村公太郎
出版 PHP新書
p144より引用
“いまの人はいらいらしがちで、すぐ全か無
かと考えますけれども、生態系を扱うにはほ
どほどという考え方が必要です。”
目次から抜粋引用
“人類史は、エネルギー争奪史
温暖化対策に金をかけるな
少子化万歳!ー小さいことが好きな日本人
「水争い」をする必要がない日本の役割
農業・漁業・林業百年の計”
解剖学者と元官僚の二人による、世の中の
問題について語り合った対談集。
人類の歴史の見方から世の中を支える業務
についてまで、それぞれの歩んできた分野の
経験を活かして語り合われています。
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タイトルからは分からなかったが、実質的な内容としては日本人論。本書で使用される無思想という言葉は一見すると把握しづらい。恐らく世間という言葉を用いながら、我々の生活の直感に訴えるような使い方をしているからだと思う。
無思想の一つの理解として、原理原則とそこから派生する規範意識の希薄さと認識をした。もし原理原則論が日本史において希薄だというのであれば、明治維新も戦後の社会変化も説明しやすい。考えてみれば普遍性が高いと思っていた天皇の地位についても江戸期、明治憲法下、現行憲法下と一貫性に欠ける。また本書でもしばしば登場する司馬遼太郎が、くどい程に奇態だ奇態だと呼んだ戦前の特殊性も説明できる。
本来 -
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読書録「ぼちぼち結論」5
著者 養老孟司
出版 中央公論新社
P32より引用
“最近聞いたことだが、小学校の先生が雑巾を持ってくるように
と児童に伝えたら、母親から「なんで私が雑巾を作らなきゃなら
ないのか」と詰問の電話があったという。”
解剖学者である著者による、世の中の色々なことについて著者
が考え続けたことをまとめた一冊。
団塊世代の定年後についてから書評まで、理路整然と書かれて
います。
上記の引用は、先生について書かれた項での一文。
自分の子どもの使う道具くらいは、自分で作ったほうがいいので
はないかと思うのですが…。しかしこういう人のほうが世の大勢
なのだろうかと思い -
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耳に聞える音と目に見える景色は別物だということは、映像や音楽に係わる世界に身を置いたことのある者なら誰もが痛い目に逢わされて、痛切に思い知らされたことが何度となくあるだろう。
ところが、目からの情報と耳からの情報、この二つの異質な感覚を連合させたところにつくられたのが「言葉」であり、人間は「言葉」を持つことでこの二つの異なった「世界」を同じにしてしまうのだと言われると、思わずウーンと唸りたくなる。
なるほどという思いと、どこかおかしい、騙されているのではなかろうかという思いがないまぜになってくるのである。これは養老先生の話を聞いた時にしばしば起こる感慨であるが、それだけ刺激的であるという -
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「唯脳論」5
著者 養老孟司
出版 筑摩書房
p28より引用
“ところが、心はじつは脳の作用であり、つまり脳の機能を指し
ている。”
解剖学者である著者による、脳の働きと人間社会などについて
論じた一冊。
ヒトがヒトである所以についてから脳と身体についてまで、解
剖図などを交えながら書かれています。
上記の引用は、心と脳について書かれた項での一文。
子供の頃は、心は心臓の辺りにあると思っていましたが、ああい
う漫画的な表現はいつからされるようになったのでしょうか?
昔のSF等で描かれていた物などが、現実の世界に作られるよう
になっているのを見ると、文明社会は脳の産物という話につ