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動物とヒトの違いはなにか? 私たちヒトの意識と感覚に関する思索――それは人間関係やデジタル社会での息苦しさから解放される道にもなる。「考え方ひとつで人生はしのぎやすくなりますよ」、そう著者は優しく伝える。ひと冬籠って書きあげた完全書き下ろしとなる本書は、50年後も読まれているにちがいない。知的刺激に満ちた、このうえなく明るく面白い「遺言」の誕生! 80歳の叡智がここに。
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Posted by ブクログ
壁シリーズの第5段です。古本屋で見つけたので購入してみました。今どきの話題にふれつつ、愛猫まるをたまに登場させつつも、『バカの壁』と同じように、けっこう集中力と頭脳労働が求められる本です。「おじいちゃんの遺言かぁ、モー娘みたいにタイトルに「。」つけちゃって可愛い〜」なんてニヤニヤしながら読むと痛い目...続きを読むにあいます。さすが壁シリーズ。 自分は建築について考察する部分で、けっこう腑に落ちました。空間を共有すると簡単にいうけれど、確かにそれぞれの体験は全然別だよなと。 たとえば実家にしても、その家にいる感覚は、親と子ではまったく違うでしょう。自ら数十年ローンを組んで、日々苦労と充実感を重ねながら自分の稼ぎで手に入れた家に住む人間と、なんとなくあるのが当たり前な感覚で住む人間の体験が、同じであるわけがないのです。でも、そんなことも、こうしてあえて意識しなければ、存在しないも同然です。それを、私たちはごく普通に同じ空間を共有していると信じています。 これは改めて考えると、怖い事だし、同時に心踊ることでもあります。他人の体験は永遠に自分のものにはならなず、想像したとしてもそれは「仮にその状況にある自分」の体験でしかないという、この分からなさ、ある種の断絶の感覚こそ、逆にいえば新たな体験を予感させる要因だからです。 すべて分かりきった世界にどんな喜びがあるというのでしょうか。人や事物にレッテルを貼り、分かったつもりになる時に人は、自分自身の「思考」もしくは「記憶」しか見ていません。 もちろん、どうにもよく分からない「他者」はストレスの元ではあります。だから排除しようという恒常的な意識の働きがあるのでしょう。でも、言ってしまえば、意識(思考)にとって、身体こそがまず最初の大自然であり「他者」なのです。 「意識」は永遠に若く元気で生きるべきだと考えますが、「身体」は自然の法則にしたがい粛々と死にむかいます。そんな自然たる身体を、思い通りにしたところで、グロテスクな結末にしかならないのではないでしょうか。オルダス・ハクスリー『素晴らしい新世界』がまさにそんな世界を描いています。養老先生の本を読んでから読むと、かなり面白いと思います。 というようなことを、読みながらつらつら考えました。 ひとまず、養老先生の遺言は、個々人が生々しく体験する刺激であるところの感覚所与と、思考が作った抽象概念は、現代人が思っている以上に乖離してきており、社会がだいぶまずいことになってるぞ〜そろそろ身体に気づけ〜、という事だと受け取りました。
読書開始日:2021年11月27日 読書終了日:2021年12月4日 要約 ①感覚所与を意味のあるものに限定し、世界を意味で満たす。それがヒトの世界、文明世界、都市社会。 ②都市社会の弊害は全てに意味があることを強い、意味ないものを徹底的に排除する。それにより人間本来の死生観との乖離が起きている。人...続きを読む生についても意味あることへの強迫観念が強いられる。 ③意識と感覚の違い自体を意識することが重要。 所感 養老孟司さんの本は本当に面白い。 都市社会を、説明によって理解することができた。 意味の強要。 自分も経験してきた。 自分はSNSから距離を置いた。 この意味の強迫がとても居心地悪かった。 残された学生生活、残された20代、楽しまなきゃ損。俺はこんだけ楽しんでる。談笑だけでは飽き足らず、一生残る情報として書き記す。自分が精一杯自分の人生に意味をつけた証として。 既に一般市民の若年層にも意味強いは浸透している。 個性尊重もそのせいだ。 個性なんてものは今の自分がそもそも個性で、その個性すらも諸行無常。 自分なんてない。 むしろせせらぐ川のように流動的に、時に濁流のように、移ろうものが自分だ。 その中でもイメージする川に矯正する、矯正してもらえるような存在が必要。 その関係は、もちろん移ろうを前提とした関係だ。 前提は前提としていながらもそこに向かうことにきっと幸福はある。 意味づけがダメと言っているわけでは全く無いんだ。 ただそこには人間としての感覚も入れないと、ただのコンピューターに成り下がる。 再読したい。
じじい特有の色々もうわかりあおうとするのは面倒だ、という態度が、うっせーじゃあ書くなよ本なんか、と思ってイライラする。そういう不徹底がだらしない。わかりあうのが面倒ならコミュニケーションやめればいい。 要するにただ歳とって色々面倒になっただけで、でも書きたいことや言いたいことはある。 それはそれでい...続きを読むいんだから、それで認めて普通に書けばいい。余計なことを言うから、いけない。余計なことを我慢するのが面倒なくらいじじいになってるんだろう。 それが老いかね。まぁ、遺言と自ら言ってるのだからそんなとこ追求しなくても?って思うかもしれないけど、そこの態度は醜悪だ。 1つ前が方丈記だったからかもしれない。方丈記にはそういう面倒な言い訳はなかった。 そういうものを抜きにして、内容は面白い。 同一性と差異、というのは、まさに人間の情報編集の基礎である。あ、これを読んだのは松岡正剛の千夜千冊に取り上げられたからだ。 そもそも養老孟司にはあまり興味がない。 バカの壁、も、読んだら負けな気がして(まったく意味のない思いですが)読んでなかった。 バカの壁を読むことにバカの壁が透けて見える。 で、同一性と差異、タルドの模倣の法則や、バーバラ・スタフォードがそのあたりの僕の文脈だけど、スタフォードが 「違う違うという時代の同じ」というような意味のことを言ってたけども、この本では、「同じ同じという時代の違う」を指摘してる。 なるほど、この同一性と差異はどこからうまれるのか それも興味がある スタフォードを先に読んだせいもあるが、僕は、今は違う違うという時代と感じる。 共同幻想は細分化され、個々人の関心はバラバラになる。 でもこれは、プラトンとアリストテレスがラファエロの画面で示した所作に要約されて常に問われ続けてきたことでもあるのだろう。
現代の世の中で起きている様々な問題に対し、一つの補助線として意識(脳化、都市化、情報化)への過度な偏重を提示。 ・人間と動物の違い。人間は意識、動物は感覚を重視する。ここから人間は感覚から入力に対し、意味を見出すようになった。 →意味のないものを排除する傾向が強まった(自然の排除。都市化) ・意...続きを読む識によって「同じ」を理解できるようになった。お金や数式、相手の心の理解などを生み出した。他方、感覚は「違い」を重視する。 ・意識には科学的な定義はなく、脳によって支配されている。なのに意識は「自分が偉い!」と思ってしまう。 ・少しでも意識から離れ、感覚に近いものを求める向きもあり、それが音楽やアートに繋がっている。 ・政治の分断や自然保護なども意識と感覚の対立によるもの。特に少子化は都市化が進んでおり予測された社会の中で、子どもという自然に違い存在は予測不可能であり、避けられて当然 著者が今までの著書で述べてきたことのまとめであるように感じた。 会社役員や、政治家など意識中心で生きている人がなぜゴルフにハマるのか。作られたとはいえ自然が感じられ、自分は毎回同じスイングのつもりでも球が毎回違う方向に飛ぶ、予測不可能などスポーツだからなのかなと。 人間誰もが意識しないと「意識」偏重になってしまう。 だからこそ自然や感覚にもしっかり目を向けるように意識しないといけない。 著書の後半で印象的だったのが以下 「私に答えを要求しないでくださいね。毎日、こんなこと(様々な問題について)を考えて眠れないんですから」 80歳とはいえ研究者としてまだまだ悩みは尽きないんだなー。 だからこそあえて意識から離れるために、虫取りするかな。
学校でムスリムの女子がビジャブを被るのを、認めると特別待遇になるから差別的だというのか、禁止するとその子達の自由を害することになり、其方が差別だというのかの問題。これを、意識と感覚の違いから、すなわち同一性と差異の問題として考えたらどうですかという提案ですね。都市(化)は意識の世界、意味のないものを...続きを読む許さない同一性の世界ということになりますね。この視点は新鮮でした。平面的に見えた、同等の利益の対立が立面で見えてくる感じです。
話を聞きたい
世の中が何かおかしくなっていると思うこの頃。格差社会はもはや経済面だけじゃない、現代日本の厳しい現実。自分と他人、人間の本質と自分の煩雑な生活について考えてみる。人生の大先輩の思考に触れる一冊。
目が覚めると、意識が戻る。 でも、目が覚めたのに、身体が動かない。 それが金縛りだ。高校時代、何度か金縛りにあった。初めてなった時は怖くてパニックになった。 意識のスイッチは入っているが、運動系のスイッチが入っていない、そんなズレから起こるらしい。 養老孟司さんの本を読んでいると、脳のメカニズムに興...続きを読む味がわいてくる。 現代の都会生活が、意味に直結する感覚所与だけを残して意識中心になっていることに警鐘を鳴らしている。都会と田舎の参勤交代生活を提唱している理由がやっとわかってきた。 効率や経済で計れば、下位に置かれる感覚。デジタル化がさらに感覚を下に下に追いやっている。田んぼや森、山に行けば感覚が働き出し、鋭さを増していく。 意識と感覚のバランスを失っている現代だからこそ、感覚の復権、復元を訴えている。田舎育ちの昭和な私にはその主張がずっと入ってくる。 ヒトが本来もっているものに気づくための経験。それを子どもたちとも共有したい。
特に心に残ったのは、「同じという機能を持った意識も、違うものがなければ具合が悪いと、暗黙のうちに知っているに違いない」という一節です。 私たちはつい「みんなと同じ」であることに安心しがちですが、実は「違い」があるからこそ社会も自分自身も成り立っているのだと気づかされました。 また、アートが「同...続きを読むじ」を中心とする文明世界の“解毒剤”であるという視点は新鮮でした。 理論や正しさだけでなく、感覚や曖昧さ、違和感を大切にしていい――そう思えることで、どこか安心した自分がいました。 養老先生の語り口は、時に数式や哲学、社会問題まで広がりますが、どこかユーモラスで肩の力が抜けるような読後感があります。 「正しさ」や「同調圧力」に息苦しさを感じている人にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
遺言。 著:養老 孟司 新潮新書 740 帯には、80になったので、言い残したことを、遺言として書いておこうとある エッセイとして、書き綴ったものであるので、一貫性を求めるのは酷かもしれないが、 科学の匂いがしているのは、ちょっとうれしいかもしれない 2024年現在、86となっている、この知...続きを読むの巨人は、「当面死ぬ予定はない」なのである あと、題に、「。」がついているのもなんだかなあ、説明はない 気になったことは、以下です ・ヒトとはなにか、生きるとはどういうことか、根本はそれが主題である ・それが正しいとか、正しくないとか、そんなことは考えていない 考えというのは、そういうものである ・コンピュータにより良く学習をさせるためには、きれいなデータだけではなく、入力に白色雑音を加えてやる そのほうが学習効果は高くなる ・鳥は中脳動物だ 大脳は嗅覚、中脳は視覚、後脳は、平衡感覚と聴覚に関連して発達したといわれる ・意味のあるものだけに取り囲まれていると、いつの間にか、意味のないものの存在が許せなくなってくる ・中島敦の「古潭」のなかに、「文字禍」という短編がある アシュル・バニ・アパル大王の御世、老博士ナブ・アヘ・エリバは、大王の命によって、文字の霊の追求を命じられる …… 老博士は、躊躇なく文字の霊の存在を認めた これはおそらく、中島敦自身の経験に依拠している ・アイコンを徹底して嫌う文化がある、それはイスラム文化である イスラム社会は先に定義した意味での偶像=アイコンを排除するのである ・意識という「照明」はついたり、消えたりする 眠ると消えてしまい、起きると点滅する 死んだら、意識はもはや戻らない ・金縛りという現象がある この場合、意識は戻っているが、運動系のはたらきが完全に戻っていない ・クオリア:感覚的な意識や経験のこと ・日本では、方丈記や、平家物語に流れている諸行無常、西洋では、ギリシア時代に発見している ヘラクレイトス学派の万物流転である 目次 1章 動物は言葉をどう聞くか 2章 意味のないものにはどういう意味があるか 3章 ヒトはなぜイコールを理解したのか 4章 乱暴なものいいはなぜ増えるのか 5章 「同じ」はどこから来たか 6章 意識はそんなに偉いのか 7章 ヒトはなぜアートを求めるのか 8章 社会はなぜデジタル化するのか 9章 変わるものと変わらないものをどう考えるか 終章 デジタルは死なない ISBN:9784106107405 出版社:新潮社 判型:新書 ページ数:192ページ 定価:760円(本体) 2017年11月20日発行
還元論的に意識を分解していけばそんなものは消える、私たちは意識という名の宗教徒なのかもしれないな あと「私の芸術に関する結論は簡単である。芸術はゼロと一の間に存在している。」が私の芸術に対する考え方で声出た、サグラダファミリアの設計士ガウディに通じるものがある、ガウディは人のゼロからの創造を否定して...続きを読むいる、すでに存在するものを発見しそこから出発するのが人の創作。おんなじこと言ってる!おもろ!
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