【感想・ネタバレ】文系の壁 理系の対話で人間社会をとらえ直すのレビュー

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森博嗣さんとの対談が…

2020年05月28日

あまりに首肯出来るので、二度読みしてしまった。
特に、元は安全装置を含めた設備系機械の開発設計者だった小生としては、「絶対」や「完璧」を振りかざすのは「絶対」と「実現性」の意味を知らない愚か者だと考えるので、「55%賛成」「絶対安全は言葉だけ」には、唸った。
「前提を問う」のくだりも含めて、「自分は...続きを読む文系でアナログだ」というヒトには、是非読んでもらいたい本である。
「文系の方がデジタルだ」は、誤解する文系もいそうなので、解説すると、このくだりでの「デジタル」は、「アナログ」の対義語ではなく、「ファジー」の対義語として語られている。工学者や科学者は、「現状」厳密に定義出来ない曖昧な概念は、曖昧なままでスルーする。又はそのまま利用しようとする。ファジー理論とは、そういう工学者の姿勢の上から生まれた。
ここは、勘違いして欲しくない。

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Posted by ブクログ 2019年11月22日

 本当の「理系」とは、数学と哲学である。
 なるほどなぁ。「理系」は真理を追い求めるが、それ以外はとりあえずどうすればどうなるか、を取り扱う学問だから「文系」ということか。工学や医学も原理は置いといてどう改良するか、どう治療するかに重きを置くからね。自分は農学だけど文系脳だなと思っていたが、それは間...続きを読む違いではなかったか。

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Posted by ブクログ 2019年02月20日

古本屋でたまたま手に取り衝動買いした本だったが、なかなか面白かった。文系と理系の考え方の違いから同じ理系でも物の見方や価値観が多様であることを論じ、今後の社会の可能性を対談している。 私自身は世間一般で言う'理系'だが、この本を読んでもっと多角的にものごとを捉え、文系理系などとい...続きを読むう狭いメガネを通じて世の中を見るのはやめようとも思う一冊。

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Posted by ブクログ 2019年01月31日

すごく面白かったし、わかりやすかった。


識字障害(ディスクレシア)
文字を音声に変換する部分に問題がある。
英語は綴りと発音の関係が複雑なので、それが識字障害が多い原因と言われている


文系は物事を言葉で割り切るからデジタル、理系は論理で解明しようとするからアナログ


哲学的な議論はどこまで...続きを読む突き詰めていっても、普遍的な法則は導き出せないのでは。
→脳は人によって違うわけだから、ある人の考えはその人の脳でなければ納得できないのかもしれない

人と人との会話は9割9分「どう思いますか?」で成り立っている
世の中の人が「どう思いますか?」と尋ねるのは、疑問をぶつけて相手から答えを聞き出したいからではなく、「この人は自分と同じ考えを持っているのか」、相手が敵か味方かを見極めようとしているだけ

人に見せびらかさないと楽しめないひとたち、一人で楽しめないのは、工夫して自分で問題を解決していないから

わからない、は、分かっているけど賛成できない、の意味を持つことが多い

科学的な実験にとって重要なのは「再現性」。なんもやっても同じ結果が得られないと、実験結果として認められない。

人間は「同じ」という能力を持っているのではないか。概念として認識する(≒抽象化する)能力。なかでも「言葉」が典型的。

認知的進化。
複数の現実があるということを、当たり前に受け止める大人になる。そっちから見るとそうなんだね、という認知ができると相手を本当に否定することはできなくなる。わたしは嫌!と言えるけど、あなたは間違ってる、とは言えない。⇦つまり、こういう考え方を持てるのが大人ってこと。

イタリアの言葉、「どん底に落ちたら、掘れ」

認知症の幻覚を体験すれば、認知症患者にかける言葉も、「そんなものは見えないよ」ではなく「あなたにはそう見えるんだね」に変わるだろう。

人間の感じる不条理や不合理は脳内現象であり、世界には不条理なことも不合理なこともない。この世界に矛盾はないが、脳の中では「矛盾している」と感じる意識が生じる。不合理の存在しない世界で、人間が不合理を感じること自体、不合理だが、そのことは一回飲み込んで考えてみる。

責任を与えなければ人は育たない

なぜ貨幣に価値があるのかを経済学的に説明するなら、次の人が受け取ってくれるという期待である。次の人が受け取ってくれる期待がどこから来るのかというと、次の次の人が受け取ってくれるという期待、さらには次の次の次の人.となってどこまでも続いていく。期待の連鎖が形成されると、人々はそれが実態だと感じ始める。自己言及的に価値が作られていく。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年02月06日

非常に面白かった。
養老氏が若手理系識者4人と対談している本。

「理系と文系」と対比させて対談しているのはしょっぱなの森博嗣氏の対談。
あ~なるほどな~と思ったのは文系の方が理屈っぽい、それは言葉で割り切るからだという表現。氏が意図している所を完全に理解しているかどうかわからないが、理系の人が数字...続きを読むに拘るのはざっくり映像的にイメージしたいからイメージを共有させないと成り立たないというのが理系同士の会話。
続く藤井直敬氏はVRをやっている人。養老氏は多重構造で成り立っているこの世界を認知するためにはVR,SRというのは間違いなく人を進化させると語る。
次の鈴木健氏は複雑系の科学の専門家でありながらプログラマーさらにはニュースアプリ「スマートニュース」まで立ち上げるという偉人。彼の著書である「なめらかな社会とその敵」の内容を中心に対談は進んでいく。印象深いのは次の須田桃子氏の対談の時と同様、養老先生の科学の難しさ、限界について語っておられる。

「サイエンスのルールは笑うべきもの。例えば再現性の担保。それを生き物に当てはめるのは難しい」
「人間とは「同じ」と思う能力を開発した。また「交換」するという事を覚えた」
「あるものはしょうがないという認識が大事」
「「全ての細胞は細胞から生じる」という19世紀のルドルフ・ルイドリッヒ・カール・ウィルヒョーの言葉を忘れ過ぎ。ドーキンス理論なんて最たるもの」

次は氏の「唯脳論」を読んでみたいと思う。

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Posted by ブクログ 2015年07月24日

「理系は言葉ではなく、論理で通じ合う」「他者の認識を実体験する技術で、人間の認知は進化する。」「細胞や脳のしくみから政治経済を考える」「STAP細胞研究は生物学ではない」……。解剖学者養老孟司が、言葉、現実、社会、科学研究において、多くの文系の意識外にあるような概念を、理系の知性と語り合う。

『す...続きを読むべてがFになる』などの小説で知られる工学博士森博嗣、手軽にバーチャルリアリティが体験できるデバイス(段ボール製)を考案した脳科学者藤井直敬、話題作『なめらかな社会とその敵』の著者で、「スマートニュース」の運営者でもある鈴木健、『捏造の科学者 STAP細胞事件』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した毎日新聞記者・須田桃子。「前提」を揺さぶる思考を生む四つの議論。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年07月25日

「理系の対話で人間社会をとらえ直す」と副題にあるように、各界でそれなりにとんがった理系の人たちと著者が対話をした内容をまとめた本。
いわゆる文系の常識的なものの見方をくつがえすということがテーマになっており、自分のテーマにも沿っている。

最近「知的複眼思考」などを通じて、多面的にものを見ることを意...続きを読む識しているが、よく考えたら誰かの常識をくつがえすというのは、別の視点を導入すればそれで済むことだ。自分の目からうろこを落とすことが何かとてつもなく難しいことのように思っていたが、実はそうでもない。

その意味では、いわゆる「文系的ものの見方」と「理系的ものの見方」をぶつけあわせ、常識的なものの見方を変更した例をこの書籍の中から拾ってくるのがこの本の読み方とするのがよいのではないか。

以下拾った内容。

・方法的には理科も文科もクソもなくなった。むしろ自然と直面するか、実験室にこもるか、その違いの方が大きい
・ディスレクシア(識字障害)
・言葉で考える vs 思考の大部分は映像? 読書をしながら数を数える vs おしゃべりしながら数を数える
・サヴァン症候群とレインマン
・「まず理念から」は理学部、文学部
・数学ができれば理系?
・ストレスを溜めない生き方
・一神教の信者は、神様から相当なストレスをかけられている
・文系は物事を言葉で割り切るからデジタル。理系の方がアナログ
・「言葉」ではなく「論理」で通じ合う
・「透明などんぶり」
・社会や人間など、あやふやでとらえようがないものを、文系の人はどうして理屈で解釈してわかったような気になれるのか不思議
・絶対的な安全
・説明責任。説明というのは後付けの理屈。物語の構造は文化によって異なる。「誰がやったのか」を明確にする。懺悔をしていると絶えず自分のことを考えるように。I が過剰に。私という主体の物語。日本は「空気」による。済んでしまったことは仕方ない。世間並。そういうものだと思っていました。
・わからないことの答えは、検索すればどこかにある。結局は選んでいるだけで自分がつくったわけではない。自分一人で楽しめないのは、工夫して自分で解決していないから
・お互いのことを知らないからこそドラマが生まれる。一つの事件には三通り以上の解釈があって当たり前
・言い訳がきちんとできないと、何を反省すればよいかもわかりません。
・「わからない」は「わかっているけど、賛成できない」
・社会性
・マチュピチュの静止画。自分がそこにいたような気になれる。そのあとで「もっと本当のものを見たい」という気持ちがわいてくる。
・社会脳。社会性を作り出す脳の働き。一回性と再現性。科学的な実験にとって必要な再現性は社会の研究においては不可能。これをSRシステムで行う
・みんな主観的に違う現実を生きている。世の中の理解の仕方って全員違う
・自分の世界はいつでも変わりうる。「人は変わる。バカさ加減は変わらない」どこかでコンシステントな(首尾一貫した)ものがあるということが、世界が崩れたときに大丈夫な人間には必要
・科学者はルールの上に成り立っている仕事。しかし、「前提を問う」ことこそ科学
・ルールは、本来は笑うためにある。「従っている俺たちってバカだよな、アハハ」
・人間は、「同じ」という能力をもってしまった。「同じにする」「概念」「言葉」「抽象」
・視覚と聴覚は等価交換。文字記号も音も、同じ日本語。
・レヴィ・ストロース「人類社会は交換から始まっている」交換の前に贈与がある。
・意識って何なのか。ヒトと動物はどこが違うか。「同じ」という能力
・違うの裏に同じがはりついている。感覚が「違う」と訴えている。「同じ」が壊れるとショック
・社会性の基本は我慢だ。基本的に社会は個人の邪魔をする。でも、個人は世界に適応しないといけない。だから、適応する部分と、しない部分を分けてしない部分はどこかに出口をつくるほうがいい
・突拍子もないことをたくさん思い浮かべ、それをつなげたらどんな価値が生まれるかということをずっと考えるのが「創造」。脳の中で新しい組み合わせをつくること。タネがないと生まれない。タネは感覚から入っている。集中
・原理が違うものをくっつけてもだめ。評価の軸が違う
・人の認識を変えるということは一番難しい。生きている途中で認識が変わったら困る。なので、別の認識があるってことを「あれ?この可能性があるのかな」みたいな感じで、知らないうちにすり込めたらなあと思うんです。「自分で気づいた」
・視点を自由に動かすということが一番大事
・科学って方法的な仕事。方法を相手にぶつけると、結果が勝手に出てくる。「応報」
・学問を研究対象ではなく、研究方法っで分けるようにすればそんなにバラバラにはなりません
・分人民主主義。神経科学の知見にあるように人間は本来分割可能な存在
・いかにして死票が出ないようにするか。株主総会
・あらゆる議題について自分だけで判断できる人はいない
・投票システムより行政システムの方が重要
・入力のセンサー系と出力のモーター系をきちんと循環させるという話は、幼児教育の基本でもある
・「ガバメント2.0」行政はだんだんと自動化、分散化して、減らしていくべきである
・クオリア問題
・身体性の思想とは、中秋神経系を特別なものとして扱わないということ
・生物学じゃなくてフィールドサイエンスにすべき
・「育種」
・ローカルの合理性は、社会という全体の合理性には必ずしも合わない
・思い込みは非常に抜けにくい。嘘学
・科学の実験って実は、感覚世界を重視する。それを「実証」という。頭の中と感覚。イエズス会とガリレオ。イグナチオ・ディ・ロヨラ教会のだまし絵とピサの斜塔の実験
・正しい目的のためならいくら嘘をついても差し支えない?
・僕の世代は昭和二十年八月十五日に世の中がひっくり返ったのを知っている
・間違えないというのは容易なことじゃない
・頭で考えると煮詰まるから、感覚を開かないといけない

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Posted by ブクログ 2021年01月28日

タイトルは『文系の壁と』とやや刺激的なものだが、決して文系が悪いとかどうとかという内容ではない。誤解を避けるためにサブタイトルがついているのがよく分かる。変わらないと変わる、同じと違う、わかる分からない等、紙一重だと改めて思った。もちろん文系と理系もそうなのだろう。

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Posted by ブクログ 2019年05月19日

久々に養老先生の著作を読んだ、ここ最近よく読む森博嗣先生との対談を見つけて興味が湧いた。それをきっかけに藤井直敬、鈴木健、須田桃子という3人の新しい人を知ることが出来た。中でも鈴木健さんはスマートニュースの人なのに哲学や地域通貨のことなどの幅の広い研究対象に惹きつけられた。著作もいつか読んでみたい。...続きを読むこういうことをきっかけに新たな知見を得られることは対談を読む醍醐味でもある。日本人にとってノーベル賞がすごい影響があるというのはとても納得いく話だなあ。言われてみればそうだ。「理系・文系」のタテ割りと「〜の壁」と書くと売れやすいのと通底してる理屈があると思う。あと日本人は性善説を信じている。というのはそうなのかと思った。読み終わったあとにもっと他の本も読もうと思える良い本だ。

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Posted by ブクログ 2019年01月04日

知識の畑が耕されている人たちの会話は眺めていても楽しい。
そしてストレスを溜め過ぎて死ぬことがないようにしなくては!

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Posted by ブクログ 2016年02月20日

養老孟司氏が、4人の理系知識人と行った対談内容が書かれている。
文系理系を対立構造と見るのではなく、「言葉」や「社会」など、文系のフィールドで研究されている概念について、理系的に考え話し合っている。

4人との対談で共通して感じられるのは、「前提」に対する疑義の持ち方だ。思考をスタートさせた時の「前...続きを読む提」について、より深く見ていく必要があるということが再三再四書かれていたと思う。

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Posted by ブクログ 2015年12月11日

森博嗣さんの本で、この対談集を知って購入しました。
普段殆ど考えずにルーチンワークをこなす身としては、非常に劣等感を刺激される内容でした。
ただ、専門家がその道を頑張っていることがわかりました。
理系側の風景がわかって、良かったです。

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Posted by ブクログ 2015年09月26日

今の自分が日常生活のなかで問題意識として感じていることが(特に第1章)、全くその通り書かれている。特に、「前提を吟味しない」「考えないで答えを探す」等。

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Posted by ブクログ 2015年09月11日

タイトル通りの内容とは思えません。
タイトルに「壁」を付けて養老先生の本を売らんとする出版社の根性が気に食わないです。

副題は「理系の対話で人間社会をとらえ直す」ですが,本書の対談相手である2名の理系研究者と1名の元理系研究者ほどの人々であれば,間違いなく自分の研究が人間社会の中においてどのような...続きを読む位置にあるかを考えながら活動をしています。
主題にせよ副題にせよ,本書の内容をズバリ捉えたものとは到底思えませんでした。

しかし,養老先生の示唆に富んだご意見や,対談相手のフィールドの素晴らしさなど,知性溢れる対談本として魅力的な内容の一冊だと思います。

でも,くどいですが,タイトルは大切ですよね。
「よくわかった。だけど一体,この本は何が言いたいんだ?」と思案しながら読み進めるのは,それなりにストレスを感じるものです。

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Posted by ブクログ 2015年08月02日

養老さんの対談集。
コミュニケーションは文系の領域、技術は理系の領域、などと区別するのはもはやナンセンスだと実感するお話ばかり。
ハコスコの藤井さん、毎日新聞記者の須田さんのお話が特に面白かった。

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Posted by ブクログ 2015年06月18日

文科省が国立大学に対して人文社会科学や教員養成の学部・大学院の縮小や統廃合などを求める通知を出したというニュースを見ました。これは、文学部出のわたしにはかなり気になるニュースで、大学は職業訓練の場ではないよねという大前提をさておいても理系学部であればそれだけで「社会のニーズ」とやらに応えられるのか?...続きを読むが謎。さらに人文系に分類される社会学や心理学は文学部からみるとかなり理系(というか数学)の要素が強いように見えるし理系に分類される情報系の学部は文系っぽくない?と思ったり…じゃあ「文系」と「理系」ってどんな違いがあるのか知りたく読んでみました。
まえがきを読んで、かなりすっきり。本文は第二章が非常に面白かった。

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Posted by ブクログ 2022年04月21日

最初の森博嗣との対話が興味深い。日本で理系とは、数学が出来る人という事になっている。しかし、数学が出来ない物理学者もいたと。マイケルファラデーやロバートフックなど。確かにそうかも知れないが、日本における共通認識として、やはり文系は数学が苦手、あるいは受験項目で物理や化学を避けた人、という意味合いが強...続きを読むい。興味が無かったのか、勉強が合わなかったのか。

一方で理系に対しても、就職を考えた打算的な現実主義者、または対人が苦手という偏見がある。この区別は、単に受験制度に最大の要因がある。何を意識して、自らを文系と理系に分けたのかだ。従い、その後のアカデミックな勉強内容よりも、その前の判断基準で文系理系を談じる方が適切であるはずであり、学問の違いよりも、人の特性に由来する。だから、理系だ文系だという分析は、いつも違和感がある。

もっと言うと、勉強習慣の有無も原因だ。理系科目は基本的に暗記を基礎として、公式を使いこなしたり、解法への慣れが求められる。これは、テストの制限時間ゆえに、そうなるのだが、故に、日々の勉強習慣が無ければ、点数が悲惨になる。しかし、文系科目は、勉強習慣がなくても、ある程度の点数が取れる。読解や歴史は、再現性を要する学問ではなく、推論で成立するケースがあるからだ。だから、勉強習慣がなく、文理テスト結果をその判断基準にする場合、じゃあ文系へ、という事になりがちだ。

本著はどちらかを否定するものでもなく、ステレオタイプな偏見を語るのも最初だけで、後は小保方さんの話とか、VRとか、話が広がる。もっと深く議論できても良かったかな。

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Posted by ブクログ 2022年03月06日

対談形式の本で個人的には楽しめた。

文系の壁というタイトルではあるが、文系と理系で人間が二分されるのではなく、個人が理解する範囲の差で性質の違った人間となるのかなと思った。

自分は工学の人間なので物事の前提を気にしなきゃいけないんだけどもこれがなかなか難しい。それに完全に再現性がなきゃいけないと...続きを読む思ってたけども、生物とか複雑なものを扱っていくにつれて100%ではなく80%の再現性にどうしてもなってしまうものもあるよなあ。その場合、前提に気をつけなきゃ次にその研究結果を利用するときにうまくいかなくなってしまう。

認識を正していくには、本書でも述べられている通り、フィールド系と実験系など新しい分け方が必要かも。

まあ、個人的に面白かったのはこの本の評価でさえ、色々なことを感じる人もいれば理解できない人もいるということ。考える力は人それぞれだねえ。

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Posted by ブクログ 2019年09月28日

養老孟司の壁シリーズ本。中堅科学者、ジャーナリストとの対談集。
サブタイトルは、「理系との対話で人間社会を捉えなおす」。
理系とは言っても、いろいろなタイプがいる。工学系の人の中には、文系的な人が多い。数学ができること=理系ではない。むしろフィールド系と実験系の分け方の方がしっくりくる。文系は、物事...続きを読むを言葉で切り取るからデジタル的であり、理系の人は論理で通じ合う、、等々、仮想現実、今後に社会の在り方、科学ジャーナリズムについて、いろいろ示唆に富んだ対談で勉強になることが多かったけれど、本の内容自体は、雑多な話題を取り上げる対談なのでまとまりは無い。
読んでいて気が付いたのは、養老さんはタバコの話題になると、いつもムキになる。おそらく周りから禁煙を勧められているからだろう。彼にはどうしても受け入れられない「禁煙の壁」がありそうだ。

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Posted by ブクログ 2019年05月06日

 サブタイトルは「理系の対話で人間社会をとらえ直す」とあり、養老孟司が4人の理系の研究者や理系出身の記者らと社会や人間や脳の問題についての対談。ちなみに帯には「文系が意識しづらい領域を、四人の理系の知性と語り合う」とある。
 おれが文系なので、こういうタイトルとか帯の文句を読むとほんと文系でスミマセ...続きを読むンという、文理のミゾを感じずには入られないが、別にそんな卑屈にならなくても、文系のおれでも読めば面白いし、もっと養老孟司の本を読みたくなった。(というか養老孟司って大学受験で読んだくらい。)だからこんな意地の悪いタイトルにしなくてもいいのに、と思ってみたり。
 それにしても単純に理系のことについておれがあまり分かってないので、勉強になる。「ほとんどの医者は自分のことを自然科学者だと思っているでしょう。今や、医学部にも数学ができないと入れなくなってしまいましたが、医学において必要になる数学は、せいぜい統計学くらいです。統計学にしても、もはや数学とはいえないかもしれない。データの取り方で結果はまったく違ってくるわけで、見ようによっては統計学は嘘ばかりと言ってもいいくらいです。厳密に統計学に取り組もうとすると、今度はプロの数学者でないと手に負えない。本当の統計学は、非常に難しい分野です。」(p.25)なんて厳しい話。そう考えると教育学と医学なんて変わらないんじゃないか、と思ってみたり。あとその話の続き、「健康管理をしないほうが長生きする」という話があって、「要するに、ストレスが多いから長生きするはずがない」(p.26)なんて、当たり前だけど、改めて言われると、なんかおれの生き方すら考えてしまった。あと、p.74で麻酔薬を打って意識がなくなる理由はまだ分かっていない、というのは驚いた。そんなことも分かってないのか、という感じ。ちなみにその後「だから僕は、『科学的に証明された』なんて言うやつは一切信用しない。前提を考えたことがないって言ってるのと同じですからね。」(p.74)というのも、別の厳しい話だった。「前提を問う」のは「哲学なんか典型的」とあるけど、哲学的な訓練を受けていないと前提を問う学問、というのは本当に頭の良い人じゃないと出来ない気がする。だから養老先生に言わせれば、どれもこれもそもそも学問じゃないということなのだろうか。さらにその後、「サイエンス」という枠組みで「ルール」になっている「再現可能性の担保」について、「生物をやっている人が信用するのは、『ある範囲』ですよね。『こうなりました』と言われたときに、『八割はそうですね』というふうに見てるんです。そうは言わないですけど。でも、ほかの物理、特に工学系の人は、ほぼ100%再現性があると思っているでしょう?」(p.76)というところに、理系で一くくりにできない決定的な差異があると思う。この話は、後でも話題になっていて、「僕は、理系の科目の分け方がまずいと思ってるんです。生物学じゃなくて、フィールドサイエンスにすべきですね。フィールド系と実験室系は、非常に違いますから。」(p.184)という部分。確かにこういう違い、という話だったら「文系が記しづらい領域」と言えるかもしれない。あと、「手軽なVR」を開発している藤井さんによれば、「人間もそろそろ進化しないと。これは形態とかじゃなく、認知的進化で、複数の現実があるということを当たり前に受け止める大人になるということです。『そっちから見るとそうなるのか(僕は嫌だけど)』という新たな認知ですね。だから、相手を本当に否定することができなくなるんです。『俺は嫌だ』とはいえるけど、『お前は間違ってる』とは言えない。」(p.85)というのは、たぶんこの2人が話している文脈とは違う文脈で(デバイスを利用して人間の認知面を拡張させる可能性という意味じゃなくて単なる大人への成長という教育の意味で)納得。同じ意味で「人の認識はどうすれば変わるか」も、教育に示唆を与える内容だと思う。次に、また生物系、工学系
の話に戻って、iPS細胞なんて生物学以外の何物でもないと思っていたけど、「学問全体がそういう方向に動いていくと、たぶんどこかで行き詰まるでしょう。生命とは何なのかについて考えずに、ただ目の前にあるものをいじっているだけだから。」(p.127)とか、「細胞を完全にコンピュータ扱いしていますよね。でも、まったく違うんですよ。生き物って実は、一度も切れていない。」(p.176)とか、こういうのを複雑系科学というのだろうか。クローン羊のドリーも「あの手の実験は、『できれば勝ち』なんです。(略)でも、追試をやるとできない。歩留まりが悪いから。」(p.173)だそうで、「歩留まり」なんか問題になるんだ、という発見があった。ということで、どれだけの確率で「うまくいく」か(こういうのを記者の須田さんによると「手が切れる」と言うらしいが)、そして「ものを飼わせると、男はだめなんですよ。女性の方がやっぱり上手。」(p.175)とか、もはやこういうのが「サイエンス」の世界なのか、と思ってしまう。おれの思っている「サイエンス」と違う…。あと「社会契約論」について、複雑系科学が専門の鈴木さんかは「だけど、社会契約論なんて嘘に決まっているじゃないですか。契約したことのある人なんていないでしょう?また、ルソーはすべての人間は生まれながらに天から権利を与えられていると言いましたが、そんなわけはありません。(略)でも、そういうものがないと国家を維持できないから、みんなで嘘を信じたということにしたんです。考え方自体は嘘なんだけど、大勢の人が思考停止して信じることで、本当の社会制度ができあがっていく。」(p.129)なんて、倫理を勉強する時にこれくらいの口調で教えてもらいたかったなあ、と思って面白かった。
 ということで、別に文系だからと言って卑屈になる必要はない、色んな思考を知るのが面白いと思える1冊。(19/05/06)

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Posted by ブクログ 2017年07月09日

文系の人は、自分のわからないことを言葉で解決しようとします。たとえば、独楽は回っているから倒れない、自転車は走っているから倒れない、ということを「理屈」だと思い込んで納得し、それで解決済みにしてしまう。

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Posted by ブクログ 2017年01月14日

積読になっていた新書から。
「バカの壁」もあったので、もう少し文系視線での壁のお話かと思っていたら、普通に理系の人が世の中を語っているだけという感じ。
文系出身ながら、理系の人の多い職場環境で過ごしてきたからなのか、特に分けて語る必要もないよなと思ってみたり。
改めてSTAP細胞事件のおさらいが出来...続きを読むたのはよかったかな。

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Posted by ブクログ 2016年02月05日

なんかもっと面白くなりそうなのにな〜。
個人的には名大、理研、長野、毎日と
自分に関わりのあるワードばかりで
なんだかいらぬ親近感を抱いてた( ´ ▽ ` )

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Posted by ブクログ 2015年09月01日

どの論者との対談も切り口や内容は面白いが、文系云々については森博嗣氏しか論じていない。主観的・経験的な文系論は昨今の巷説の域を出ないように感じで残念である。

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Posted by ブクログ 2015年07月14日

第1章はまあ面白く読めたが、それ以外は文系人間(?ただ頭が悪いだけかも)には難解というか、おもしろさがわからないというか・・・。

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