【感想・ネタバレ】AIの壁 人間の知性を問いなおすのレビュー

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最近、養老さんにはまる。

養老節で巷にあふれるAI論を退けるのが痛快。
将棋で人とAIと戦わせてどうする。徒競走とバイクの勝負のようなもの。

この色づく秋、都会の公園でも変化する。

画面の中の変化とは違う空間を感じる世界。
AIよりも5Gとその先、VRによるメタバースが木々のゆらめく空気感を再現できるのか、気になる。
テクノロジーにより、空間内に全ての感覚情報再現できたとき、人は何を感じるのだろう。

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2021年11月22日

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80代とは思えない、未来を考えている内容でした。羽生善治さん、井上智洋さん、岡本裕一郎さん、そして新井紀子さんの対談ですが、高度成長時期からたくさんのテクノロジーに囲まれて生活していると、人間は知らない間にAIのように無駄のない整理された人間を望みはじめているのが、最も危険な社会ではないかと感じているようでした。若者のスマホに対する人間の在り方だけでなく、60〜80代の高齢者だって他人事ではなく、まだ20年くらい生きてしまう今日では、特に高齢者に読んでほしいと思いました。わたしも五感をフルに活用しながら生きたいと思います。ありがとうございました。

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2021年05月31日

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AIに支配されるのは人が作った世界(脳化社会)であり、自然そのものはAIにも予測不能である。人間の発達とは脳を騙すことや鈍らせることで、その過程にあるのがAIなのではないか。そう考えると、感性を磨く(というか戻す)方法は病気、例えば統合失調症などになることなのかもしれない。今回も養老先生に勇気をもらった。

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2021年02月17日

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まぁ、いつもの養老先生トーク。「ん?!」と思って考えさせられる。いまひとつ根拠がわからない、とか、それは恣意的な解釈にすぎないのではないか、と思うことはままあるが、それを刺激にいろいろ考えてみることには価値があると思う。答えを求めるのではなく、考える種を見つける本。最後の新井紀子さんとの対談が養老先生にしてはけっこうかみ合っていて面白い。

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2021年02月16日

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AIに関して、一見すると関わりの低いように見える著者と様々なジャンルの業界の方々の対談を通して、AIに関してだけでなく、現代社会に欠けているものが伝わってくる書籍。
AIというテーマを通して、現代社会のあらゆる問題が浮き彫りになっている。

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2020年11月30日

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人間とAIの関係を考えている人におすすめ。

【概要】
●人間とAIの関係について対談(コロナ禍以前)
・AIから見えてきた「人間の可能性」/羽生善治氏
・経済はAI化でどう変わるか/井上智洋氏
・AIから人間を哲学する/岡本裕一朗氏
・分からないことを面白がれるのが人間の脳/新井紀子氏

【感想】
●書物やメディアを通じて客観的に見てみると、AIによる将来の発展について、恐いほど評価する人もいれば、懐疑的に考える人もいる。
本書の各対談では、現実的な視点による考え方が表れており、興味深く読むことができる。
●AIをどうやって導入していけばよいかとても悩む。何をすることが日本にとって最適なのか、もっと独創性をもった考え方が必要だ、と自分自身の反省も含めて感じた。
●著者の「自分自身の必然性から出ていないことをする癖が日本社会にあることを心配する」には共感する。国民性なのかもしれない。
●羽生氏の「技術的にできる、ということと、その技術を『選択』して使っていくということは、必ずしも一致しない」という考えに同意する。何でもAIにさせれば良いというものではないのだろう。
●新井氏が言う「AIには定常状態しか予測できない」「想定外のことは予測できない」を超えるAIが出現するのか気になる。現状ではそのとおりとしか思えない。

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2020年11月16日

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養老孟司さんと4人の叡知のAIについて語らう。

羽生善治さんとの語らいでは、AIと将棋の相性をあげてひとのもつ先入観を排除して、古い手でくることもあり勉強になるという。
養老孟司さんのAIを高級な文房具という考え方が、たかがAIぽくて良かったです。

井上智洋さんは、ベーシックインカムとAIの親和性をあげて、例えベーシックインカムで収入を得ても、10万円もないと思えば、働く事を選択するひとの方が多いのではと楽観的に捉える。但し、本来ひとが自然とあるべき一次産業にシフトしていくのではと考える。

岡本裕一郎さんのAIによる効率化が必ずしも、ひとを幸せにしないと言う考え方が納得できました。ひとは歴史の中で、妥協点を見いだすことで上手くやって来た一方で、効率化は0か1まで物事を判定しようとする。正論が正しくても、根底では感情でひとは生きるものなんだよと思う。

新井紀子さんのAIを学ぶ上でのひとのリテラシーの問題に触れる。物事を深く考えなくなることは、AIの決めたことに対して、何も考えずに受け入れてしまう危険性がある。
結果まで示さないと何も出来ないひとは、考えることをしない人だという。世の中に最適解なんてないし、あるとしたら自分で下した結果が全てじゃないと思います。

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2020年11月15日

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養老孟司がAIをテーマに4人の識者と行った対談を収録した一冊。私自身はIT企業に勤めていることもありAIには肯定的な立場なのだが、五者五様の問題意識は謙虚に受け止めたい。少なめのボリュームながら民主主義から男性学まで縦横無尽に議論が往来する新井紀子との対談が特に面白かった。「わからないから面白い」は本当にその通りだと思う。

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2020年11月14日

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コロナが流行する前の講演で、「『遺言2.0』はいつ出ますか?」という質問に対して、先生は「それはわからないが、AIについては書きたいと思っている」とおっしゃっていた。本書は対談の形式をとってはいるものの、ある意味ではこの問題に関する先生なりの総論だと言えなくもない。
いまから三十一年前、先生は『唯脳論』という本を書き、そのエピローグで「脳化社会」というキーワードを提示した。「脳化」とは、正確には進化の過程で生物の脳がしだいに大きくなっていくことを示すテクニカル・タームなのだが、先生はこの言葉を飛躍させて、ヒトにおいては脳が肥大化した結果、外部まで脳を拡張させ、社会そのものまで脳と化してしまったという、なんともユニークな理論を展開したのである。いまさら説明の必要はないかも知れないが、私自身のおさらいの意味も含めて、養老先生がいつも述べていることを書く。
脳とはどんな器官かといえば、「予測し、統御する器官」である。つまり、ものごとの予測を立てて、その予測にしたがってものごとが進むように取り計らう器官である。先生はそれをさらにわかりやすく端的に、「ああすれば、こうなる」と書いた。自然は人間が作ったものではないがゆえに予測不可能であり、脳は予測可能な人工物を次々と作り出すことで自然を置き換え排除していったのである。周囲を見廻してほしい。われわれのまわりに人間が作らなかったものがどれだけあるだろうか。机も椅子も、ペンもタバコも、建物も道路も、みんな人間が作ったものである。街路樹や公園はどうか。それすらも、人間が考えて配置したものである。要するに、われわれはもはや脳が作り出した世界=脳の中に住んでいるも同然なのである。
考えてみると、人類が「進歩」とか「発展」とか「文明」とか、その他いろいろな呼び方で呼んできたものは、すべて「ああすれば、こうなる」ようにすることである。そして、AIもじつはそのひとつの究極の在り方だと思えばよい。すなわち、人間は何を考えだすかわからないが、コンピュータなら予測でき統御できる。いや、むしろ統御されねばならない。だから、東証のシステムがダウンして一日止まっただけで「不祥事」になり、「サーバーの息吹を感じていれば防げた」などと言い出すのである。
だから、AIに仕事を奪われるとか、AIが人間を置き換えるとか、今更のように言っているが、われわれはとうの昔からそういう社会をせっせと作ってきたのである。あなたも私も、意識的にであれ無意識であれ、振り返ればずっとそうしてきたはずである。じゃあなんで今頃になってそんなに騒ぎ立てているのか。その答えを、養老先生はすでに『唯脳論』に書いていた。すなわち、脳がどんなに人工物を作り出して外部の自然を置換していったところで、最後にどうしても置換できない自然が残る。それは何かと言えば、われわれ人間自身である。人類はまだハエ一匹たりとも生命を作り出せてはいない。行き着く未来で残された唯一の自然が、われわれ人間の身体なのである。自然を排除していけば、いずれ身体という自然が反逆する、と。
私はもうほとんど落語だと思っているのだが、労働者はいつか働かなくてよい日が来るように仕事してきたのだし、人間の代わりになんでもやってもらうためにロボットを作ってきたのである。だから、AIが人間から仕事を奪うのは当然のなりゆきだし、そのうち「もう人間はいりません」という時代が訪れることは、最初から目に見えていたのである。ニーチェが生きていたら、「人間は死んだ」と言うのではないか。われわれは、尻に火がついてからやっと気づいて慌てている間抜けなサルである。
じゃあ、どうすればいいんですか。またお決まりの質問が聞こえてくる。そんなの、お得意のAIに訊いたらいいんじゃないですか? 賢い彼らなら、「ああすれば、こうなる」の結果こうなったんだから、もう頭で考えるのはやめたらどうですか?と教えてくれるかもしれない。ああ、本当に落語のオチみたいだ。そろそろ私はパソコンの電源を切って休むことにする。

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2020年11月05日

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2020年発刊であるが、2019~2023年頃までの間に生成AIが爆発的に進化・浸透したため早くも既に時代遅れの感がある。

4人の専門家との対談本だが、さほどケミストリーが起きていない。
お互いを尊重し、それぞれの主張をしているが、お互いの情報と主張を出し合っておしまいになっている印象。

養老孟子の主張は過去の著作から一貫していて、身体性が重要、脳化(=情報)社会に偏るのは不適切というのが主軸にある。

AIに関しても物によっては使えばいいと受け入れてはいるが、諦念の様相が強く、基本的にはAIもロボットも自動運転車も自分とは関係ないし不要だし勘弁してくれ、といった旨の発言が多い。
必要性という文脈で言ってしまえば勿論AIなど不要になってしまう。

歴史を見返せば火薬、電信、核兵器など、軍用すると有利になる技術は押しなべて積極的に開発され、その技術のおこぼれが社会の利便性を高めてきた。このことを鑑みても、他国との関係の中では否が応でも開発実装が必要となってしまう。

ファイティングポーズを取る相手には身構える。
環境破壊や国同士の緊張感を高めるネガティブな側面があるため技術開発は慎重性が求められる。
ただ思うにそれ以上に、建設的なAIの活用を勧められるように、前提として他者理解・他国の文化や価値観を相互に理解することは重要である。
不毛な開発競争とそれによる負の側面を軽減してくれる。

養老氏が「地に足のついた」ことを重視するのは、オフライン、対面、現実で他者と向き合って触れ合うことによる非言語的コミュニケーション情報や、他者の命を感じることで他者理解がより進むメリットを知っているからだろう。

デジタルネイチャーの中であっても有機的・質量的観点を持って生きたい。

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2024年05月05日

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対談本だが、AIを語るほど工学に精通しておらず、あくまで抽象論として文系目線で、哲学者や棋士、経済学者相手に議論されている。だからAIに仕事を奪われるかどうか、という受け身な発想になるのかな。それに対して、60億以上いる世界人口があって知能があるのに、更に頭脳を増やして意味あるの?と養老先生。お得意の持論は良いのだが、相手が養老先生に気を使い過ぎて議論にならない。衝突を避けながら、養老先生に合わせる形で探り探り主張している。それが次第に面白くなってくる。

例えば、正規分布や偏差値を批判的に議論する箇所で、高血圧といった外れた存在を標準化させる事が必要なら、東大生のような偏差値の高い存在も補正して馬鹿にしないといけないだろう。それを聞いて羽生さんは笑うが、先生は別に冗談を言っている訳ではない。頭脳と肉体の目標基準が異なるのはダブルスタンダードではないと思うのだが、議論は発展しない。

それと本対談には、トロッコ問題やサピエンス全史、アルファ碁の話がよく出てくる。AIの壁、つまり限界領域は、このように心を探る問題と、無機質なゲームルールの中で最上の成績をもたらす分野とで区分されるのかも知れない。そういう意味では、壁の内側にいる対談本である。その象徴的な編集を無自覚的にしている様が面白かったのだ。

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2022年04月05日

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A.I.に限らず新しく便利なモノに飛びつく前に、本当に必要かどうかを考えようっていう話。

羽生善治さんとの対談がとても面白かった。

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2021年05月08日

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羽生善治(棋士)、井上智洋(経済学者)、岡本裕一郎(哲学者)、新井紀子(数学者)との対談形式でAIと未来を議論する。それぞれの切り口でのAI感も興味深く読みましたが、養老猛司先生の持論である五感をフルに使って自然と触れ合うというところに帰結したのは予定調和な印象かな。

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2021年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新井先生との対談は非常に読みやすくて納得。
答えはないのだから、その不確実性を楽しむ遊びが欲しいですね
じゃないと人間脳退化してしまう
アメリカ文化への辛辣なインサイトも面白かった!

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2021年03月13日

Posted by ブクログ

人工知能(AI)技術の飛躍的発展により、近年「AIが人間の知能を超える」と喧伝されるようになった。しかし、そもそもAIとは何なのか、AIと人間の知性の違いはどこにあるのか―養老孟司が4名の知性と語り合います。安易に「これからはAIだ」となってしまう雰囲気に流されるのではなく、本当に必要なものは何かを考えることが大切だと知ることができる本です。

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2021年02月16日

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