【感想・ネタバレ】死の壁のレビュー

あらすじ

過去に死ななかった人はいない。人間の死亡率は100%なのだから――。誰もが必ず通る道でありながら、目をそむけてしまう「死」の問題に『バカの壁』の養老先生がズバリ解答! Q.自殺はダメ? A.「どうせ死ぬんだから慌てるんじゃねえ」 Q.生きがいとは何か? A.「そんな問いは暇の産物。トイレに行きたいときに考える?」 Q.なぜ人を殺してはいけないのか? A.「死は回復不能だから」……など、死にまつわるさまざまなテーマを通じて、現代人が生きていくための知恵を考える。逃げず、怖れず、考えた最終解答!

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Posted by ブクログ

96歳の年寄りの介護をしている者として、何時も死について考えているけれども、先生の本を読んで考え方やっぱりこれでいいんだな、と感じた。

なるようにしかならないし、考えたって仕方ない。

常に死について考えている母を看ていると、可哀想になるけれどこればっかりは、優しくはできない。変に優しくしていると寄りかかって来てこちらの精神が巻き込まれてしまうから。何事も客観的に前向きに捉えることだ。

今、生きることも、死んでいくことも、経過にしかない。

客観的に観ながらの介護、死に対する考えを母に教えてもらって毎日である。
それもそんなには続かないんだからな。

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2024年05月28日

Posted by ブクログ

ズバリって感じで答えを提示するのではなく、こちらに考えることを促してくるというのか…
死についていろんな観点から論じているけど、私みたいなアホでも理解できるように、かなり優しい言葉を用いて書いてある本だと思いました。

自殺はやっぱり駄目。

自分が自殺した後、周囲にどんな影響を与えるのか考えてみなさいってことは、養老先生でも同じことを言うのだなと…
安楽死についても、「殺す側の気持ちが理解できてない」と言っていた?

内容が全部理解できたかと言うと多分できてない。

死とは何か→証明書が出たら。

ボケることを怖がらなくていい、困るのは自分ではないのだから。

死体は仲間外れって言葉もなんだか新鮮に響いた気がします。

大して生きてもないくせに、人生の意味なんか聞くんじゃない。

どのお言葉も胸に刺さるような、それでいてやさしい本。

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2024年01月17日

Posted by ブクログ

死は観念ではなく、日々トイレでひねり出さねばならないウンコと同じく、有機的でどうにもならないものなのだという養老節に、毎度のごとく唸らされました。

都市化と共に生活の場から死も消えたというのは納得です。都市というのはクリーンで支配できるものに満ちています。汚らしいもの、秩序を乱すものは許されず、周辺に追いやられます。当然、臨終は病室においやられ、すぐに匂いを発する死体などもさっさと焼却処分される。野生動物の死骸すら、その日のうちに処理されて目につきません。

こうして本物の死はかくされ、無味乾燥かつ抽象的な数字におきかえられる一方で、フィクションの世界では残酷で派手な死が跳梁跋扈する。それで想像力ばかりが刺激されるから、無駄に恐怖心が高まってしまう訳です。新型コロナに対する世間の過剰反応にも、案外そんな理由があるのではないかと、本書を読みながら思いました。

養老先生は、フィクションに出てくる死体は嘘っぽいと言います。長年、解剖学に心血を注いだ専門家の言葉には重みがあります。きっと、私たちが思うよりも違うのでしょう。しかし、普段死体をまぢかに眺める機会のない私たちには、本質的な違いなど分かりようもありません。

昔、ミイラ展や人体の不思議展に行ったことがあります。どちらも本物の死体が展示されていました。興味深くエキサイティングではあったものの、ある意味では少し拍子抜けもしました。

なんだかミイラは大きな干物に見えたし、プラスティネーションはおどろくべき精巧な標本であり、私が思っていた死体ではなかったのです。今思えば、何かもっとおどろおどろしさがあるだろうと期待していたんだと思います。見世物小屋に求めるべき物を求めていたのです。

ただ一点、スライスされた人体標本の頭部にうっすら毛が生えていたのだけは、なんだか今でも覚えています。理由は分かりませんが、それを見た時にはじめてこの人は生きていたんだと思えました。

不思議な感覚でした。これが養老先生言うところの「死体である死体」の存在感なのでしょうか。それはフィクションの世界にあるように、怖くもなく、グロテスクでもなく、ドラマチックでもありませんでした。目の前のこの人は、自分と同じように生きていたのに、たしかに今は死んでいる。自分も、いずれこの人のように死ぬのに、どうやら今は生きている。

この不思議さには果てがありませんでした。見つめれば見つめるほどに、分けがわからないけれど、何か心の深い部分に、慄然と鮮やかに響いてくるものがあったのです。哀しみでもなく恐怖でもありません。言葉にはならないものです。それが都市化によって私たちが失ったものなのかも知れません。

死とはなにか、生とはなにか。それは情報や論理だけで答えが出るものではなく、なんだか分からないけれども目の前に歴然と存在する有機的なシステムと向い合う中にしか、見えてこないものである、という、養老先生の言葉には、不思議と心安らぐものを感じました。

他にも色々と面白い話がありました。ただ最終的に心に残るのは、父親の死について、しんみり語る先生の後ろ姿です。何度も読んだ話ですが、とりわけ本書では響いてきます。

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2022年06月23日

Posted by ブクログ

一人称、二人称、三人称の死という考え方がすごく腑に落ちました
わたしはこれまで、存在しない一人称の死をずっと怖がっていたのかと思いました (怖いのは変わらないけれど、しょうがないと理解できた気がする)

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2025年11月03日

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死というものを生活に紐づけて考えることで、人々が死に対する考え方が変わる。どう捉え、そこから何を考えていくのかを考慮して行動するキッカケとなる一冊だった。

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2024年05月03日

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バカの壁の続編であり、死に焦点を当てて書かれている。
生と死の区別、境目が科学的には極めて曖昧であるという点は非常に興味深かった。
またなぜ人を殺してはいけないのか、という問いに対して、「殺したら元には戻らないから」という、単純明快な答えを返している点も印象深い。

また死の人称という考え方も面白く、中でも一人称の死、は存在しないから考えたり悩む必要はない、というところは心に残った。一人称の死を考えるより二人称の死をどう受け止め、死を不幸としない、考え方、生き方をすることが大切。

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2024年04月02日

Posted by ブクログ

社会の在り方や問題点について、「死」を視点に述べられていて、面白かった。「死」はどこから「死」なのか、なぜ死んだら名前(戒名)が変わるのか、死体は「モノではなくヒト」、日本では死んだらメンバーズクラブ(共同体)から脱会させられる、など、死の概念的な思索、死と社会の関係性について、漠然とだけど、理解出来た。

他にも現代社会は「死体」が身近では無くなった、人間が情報化(不変の存在と思われるようになった)してしまった、都市化やエリートの消滅により安楽死の問題において、医者側の負担や責任を考えなくなったり、その他の人々もエリートにそういう仕事を押し付けているという、後ろめたさが無くなった、という考えが印象に残った。

あと「死」という概念的なものを、「一人称の死」、「二人称の死」、「三人称の死」、と文字化して、「死」を細分化していた所が凄いなと思った。

自分は「死」について深く考えたことがなかったし、「死」を視点に物事や社会を見ていなかったから、これを機に考えていけたらなと思った。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

人生の問題に正解はない、そもそも本に書いてあることを全部絶対正しいなんて思わないでくれ
実際に、何でも、「調べればわかる」「見ればわかる」というようなことはありません
ただし、人生でただ一つ確実なことがあります。人生の最終解答は、「死ぬこと」だということです。

気になったことは、以下です。

なぜ人を殺してはいけないのか
 ⇒ 二度と作れないもの だから
 ⇒ 殺すのは簡単、でも後戻りできない

人間が死ぬということが知識としてはわかっていても、実際にはわかっていない
そもそも、人間とは移り変わるもの。平家物語でも、方丈記でも、中世文学に流れているものは、人とは変わっていくものであると語っています。
中世に描かれた「九相詩絵巻」。そこに描かれているのは、生きた美女が死んで、腐っていき、最後は、骸骨になるまで。人間型の骸骨だったのがバラバラになるところまでが描かれている
中世は、死がとても身近なものだったのです
逆に、現代人にとって「死」は実在ではなくなってきている。

生とは何かがわからないと、死とは何かもわからない
脳死が、部分的な脳死が、ほんとうの死なのかどうかは実はわからない
生死の境目、死の瞬間が厳格に存在しているというのは勝手な思い込みにすぎない

臓器移植が始まる前までは、死とは、 ①自発呼吸が止まる ②心拍がとまる ③瞳孔が開く であったのに、現代は、「ハテ?」となっている。

死体って、もの、それとも人。塩をきよめに使うというのは、穢れとみているから、死体とは穢れ
戒名とは、死んだから別のものになったから、死んだ奴は我々の仲間ではない

日本人は、火葬を拒否する人はあまりいません。でも、イラン人は火葬して問題になる。それは宗教で火葬を禁じているから。

靖国のルール、死者は別もの、だから、神さまとしておまつりしても問題はないという考え

7章からは、別の論点となります。

一元論に陥ったときに、人は絶対の真実があると思い込んでいます
「みんなのため」は、本当にいろんなことをしなければならない。決して、「みんなと一緒のことをする」ではない

乃木希典の覚悟、兵を死にやった重さを背負わなければならなかった。人の上に立つ人というのは、本来こういう覚悟がなくてはいけない。

みんなが嫌がることは、エリートがやっていた。エリートとはいうのは本来はある種の汚れ仕事を引き受ける立場の人だった。現在は、エリートが存在しにくくなったということになります。

エリート教育がなくなってしまっているのが根本です。多くのトップ、指導者に自分が生死を握っているという意識がなくなっているのもそのせいです。

死の恐怖は存在しない。 死んだらどうなるかというようなことで悩んでも仕方がないのです。自分の死について延々と悩んでも仕方がないことです
老醜うんぬんというのはありまでも、他人が見ての話であって、当人の問題ではありません。

周囲の死を乗り越えてきた者が生き延びる。「神に愛される者は早死にする」

目次

序章 「バカの壁」の向う側
第1章 なぜ人を殺してはいけないのか
第2章 不死の病
第3章 生死の境目
第4章 死体の人称
第5章 死体は仲間はずれ
第6章 脳死と村八分
第7章 テロ・戦争・大学紛争
第8章 安楽死とエリート
終章 死と人事異動
あとがき

ISBN:9784106100611
出版社:新潮社
判型:新書
ページ数:192ページ
定価:760円(本体)
発売日:2004年04月15日

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2023年07月10日

Posted by ブクログ

神に愛された人ほど早く死ぬと言う言葉
自殺してしまった友達もきっと愛されたから死んでしまったのだろう
都市化が進んで人の心は離れて行ってしまっている。
しかし、3人称の死が増えてもなお、心が痛むのならきっと人は性善説である証明なのだと思う。

全ての人間を愛せなくてもせめて目の前にいる大切な人を愛したいと思った。

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2023年06月29日

Posted by ブクログ

 『死の壁』から読んでしまった。バカだな。『バカの壁』から先に読むべきだ。
 語りおろしなので読みやすい。ただ、当時のビビッドな話題に触れている部分は今から読むと懐かしい。
 第1章「なぜ人を殺してはいけないのか」。巷間よく語られる問題に明解な答えを出したと思う。
 「一人称の死体」「二人称の死体」「三人称の死体」という類別は、長年解剖に携わった著者ならではの視点だろう。

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2022年12月17日

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一人称の死体・二人称の死体・三人称の死体。一人称の死体は自身では観測できないのだから、考えても仕方ない。死は人生の終着駅でありながら、意識しにくいのはそういう事なのかなと思った。死を考慮していない構造の話はとても興味深かった。分かっているつもりでも理解ができていないから起こり得るのだろうなと。また人を殺してはいけない理由に「同じ生命を作ることができないから」と語られていることや、「どうせ死ぬんだから慌てるんじゃねえ」という言葉に、どこか響いた感覚をかんじた。

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2022年10月06日

Posted by ブクログ

感想
死は平等に訪れる。それは必然であり恐怖に慄く必要もない。だが安らかな死も人間が創った概念。死を厳然なものとして受け入れる心の準備ができた。

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2022年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大変読みやすい本でした。

*人間中心主義
人間が特別だと勘違いしている。人間の力で思い通り出来ると思っている。自分自身でさえ思い通りにならないのに…
*絶対の正義を信じる者は絶対の正義を振りかざす
*安楽死の責任
死を望む人の希望を叶えてあげればいいと安易に考えていないか?
医師の気持ちを忘れてはいないか?
*寿命が迫ったときの生きる意味
自身の生きる意味を問うのではなく、運命を受け入れそれに対してどう立ち向かうのか…ということが周囲に大きな影響を与える。そこに大きな意味がある。

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2022年02月21日

Posted by ブクログ

この本は東大名誉教授の養老孟司さんの「壁シリーズ」です。
解剖学の専門医師をされていた著者の「死生観」は、とても深く参考になりました。
ぜひぜひ読んでみて下さい。

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2021年12月15日

Posted by ブクログ

死生観について平易な言葉で解り易く書かれた良書。一人称の死、二人称の死、三人称の死、人の死をこのような角度で考えたことがなかった。
死ほど人生のあらゆる行為は取り返しがつかないことを示しているものはない。に納得感が高い。

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2021年10月23日

Posted by ブクログ

死とは何か、生きるって何かを考えられた。

分からない死について怖がる必要もないし、
今を大切にしようと思った。

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

解剖学者が「死」をどのように捉えているのか興味があり手に取る。自分は、今まで心なしか死から遠いところにいるような意識がどこかにあったが、齢五十が見えてくるタイミングで、ふと残りの時間について思いを馳せることが増えてきた。死は忌むものではないという言葉が印象的。確かに、人は必ず死ぬし、今まで死ななかった人間はいない。実は眠っている時が死んでいる感覚に近いのかもしれないし、死を特別視して人生の意味などを大仰に考えなくてもいいのかもしれない。まずは、残りの日々の生活をを1日1日誠実に過ごしていこう思う。

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2024年11月09日

Posted by ブクログ

なぜ殺してはいけないか、に対して、殺された生物というシステムを再構築できないから、という回答は解剖学者ならではの考え方だなぁと思った。そんな事は思いつかない。
死というのが、日本では世間というグループからの離脱というのも面白い考えだなと思った。
著者の考えが正しいわけではないし、戦争とか外交に関する箇所など暴論だと思うところもあったが、ようは生死や戦争など世間一般で唱えられている考え方から一歩離れて、自分なりに経験などをもとに考察することが大切だと気付かされた。

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

”死”について多角的な視点から考察されているが、その結論や前提に違和感を感じるものも多い。
書かれてからしばらくするので変わったものが多いかもしれないが、死に捕らわれることが共同体からの離脱を意味する、というのはもはや共同体がほぼ崩壊している現在ではあまり意味がないような気がする。
(もちろん、国家としての共同体はあるが…)
深い洞察力や知性を感じさせる本ではあるので、違和感を覚える自分の方がずれているのかもしれない。

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2024年02月10日

Posted by ブクログ

飛ばして読んだところもあるけど読んだところは良かった。

人生は暇つぶし出できているのかなと感じた。
人の最終結果は死ぬこと。

全員が同じゴールを定められているなかで、その人生で何をするかは自分や周りの人の影響をかなりうけるのだろう。

だからこそ自分のことだけではなく周りのことも考える必要があり、自殺や安楽死がそれに値する。

エリートも他の人が嫌がることを進んで責任を持つからこそエリートなのだなと。
偉ぶるエリートにだけは絶対になりたくない。

気楽に人生を慌てることなく楽しめたらいいなと思えた。

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2023年08月11日

Posted by ブクログ

著者は、現代の多くの人は生者と死者を別物、同じ共同体の仲間かそれ以外であるように考えている、と主張するが、自分は特にそう考えていなかったことに気付かされた。
というか、死というものがいかんせん身近な者でないため、意識の上ることすら少ない。
これまでの半生で恩師や祖父や同級生が亡くなったこともあったし、自分は介護職をしていたことから第一発見者になったり、長年介護していた利用者様が亡くなったりしたケースも経験はしている。
が、やはり事故や災害、戦争における死は身近であるはずなのに隠蔽されていて、接することがない。

精神に対する負荷を下げるためということは分かるが、生物としての実感がどこか薄れてしまうのは、その代償だ。

ガンツや進撃の巨人のようなグロテスク描写のある過激なマンガ、
ウォーキング・デッドやゲーム・オブ・スローンズのような容赦のなく登場人物が死んでいくドラマが人気になったりするのは、そういった希薄化した生への実感を無意識に求めているからからなのかもしれない。

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2023年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「バカの壁」に続く第2弾。養老孟司「死の壁」、2004.4発行。この本は、難しかったです。経験していないことは教えられない ということを改めて認識しました。次の2つは、よくわかりました。人間の死亡率は100%。そして、死んだら二度と生き返らない。

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2023年01月30日

Posted by ブクログ

ハエを殺すことはいともたやすい。ただし、ハエを作り出すことはロケットを作る時代になっても難しい。そして、また死はメンバーシップからの脱会ともいう。解剖学者としてみた、そして自分の親より上の世代の先輩としての死生観が伺えた。
遠ざけたいけど、誰しも迎えるもの。悩み立ち止まっても仕方ないけど、ときに思い出して見るべきときというのは同意!あまり考えたくないのが本音ではあるけれど。

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2023年01月28日

Posted by ブクログ

読みやすい。割と普段から感じてたり考えたりしてることが上手く言語化されているのをなぞって読んだという感覚だったけど、死体の人称のはなしとかおもしろいなとおもった。

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2022年08月30日

Posted by ブクログ

養老孟司(1937年~)氏は、東大医学部卒、東大大学院基礎医学博士課程修了、メルボルン大学留学、東大教授、東大総合研究資料館館長、東大出版会理事長、北里大学教授等を経て、東大名誉教授。専門の解剖学に加えて脳科学などの見地から多数の一般向け書籍を執筆しており、『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞(1989年)、2003年に出版した『バカの壁』はベストセラーとなり、累計出版部数は400万部を超える戦後日本の歴代4位となっている。尚、現在までに「壁」シリーズとして、『死の壁』、『超バカの壁』、『「自分」の壁』、『遺言。』、『ヒトの壁』の計6巻を刊行し、シリーズ累計の出版部数は660万部超。(『バカの壁』出版時はシリーズ化など考えていなかったはずだが、出版社の商売とはこんなものである)
私は新書を含むノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった新書で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。(『バカの壁』だけは以前読んだ)
本書では、前著で「人生の問題には正解はない」と書きつつも、人生でたった一つだけ確かなことは「死ぬこと」だという養老先生が、「死」に関して日頃考えていることを徒然に語っているのだが、前著と同じく聞き書きであるために、前著やエッセイ集『神は詳細に宿る』と重複する部分があるし、必ずしも整然と論理が展開されているわけではない。(こういう作りの本は、人によっては読み易いのかもしれないが、私は正直あまり好きではない)
それでも、大きく以下の2点については、印象に残った。
◆人間とは日々変化するもので、「死」も当然その延長にあって、昔は死の基準も曖昧なものであった。近現代では、(脳死のような)死の基準や安楽死といったテーマが表で議論されるようになりつつも、なかなかコンセンサスが取れないが、それは、そうしたテーマがこれまではそれぞれの共同体における(グレーゾーンの)暗黙のルールで処理されてきたためである。どこかで意識化・明文化できない領域というのがあると考えることも大事だろう。
◆「一人称の死」はイメージでしか存在しないものであり、我々の考えるべきは「二人称の死」「三人称の死」(特に前者)である。「死というのは勝手に訪れてくるのであって、自分がどうこうするようなものではない、・・・だから自分の死に方については私は考えないのです。無駄だからです。」
「二匹目のどじょう」感は拭えず、今敢えて読む意味については少々疑問ありか。。。
(2022年8月了)

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2022年08月09日

Posted by ブクログ

読書開始日:2021年11月14日
読書終了日:2021年11月19日
要約
①殺生はなぜいけないか、命は二度と元に戻せないから
②一人称の死は想像上のものなので、重要なのは二人称の死。周りにとって自分も二人称の死
③死とは自然の摂理。淘汰。死をどう活かすかに尽きる。

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2021年11月22日

Posted by ブクログ

日本人の死に対する感覚が村八分からきているものである考察は世界の基準からずれているような気ぐした。一人称の死は存在しない。二人称、三人称の死を意識することで命の大切さを感じることができるだろう。

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2021年10月29日

Posted by ブクログ

日本の共同体のルール、暗黙の了解。現代にも受け継がれており、私達の意識しないところで働いていることに気付いた。
死刑制度や安楽死、仕事として請け負う死なせる側の立場について考えされられる。
バカの壁、こちらの方が私的に面白かった。

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2021年09月10日

Posted by ブクログ

2021.8.20-24税理士試験翌日から読み始めた本1冊目 嬉しい一歩。今日も取り返しのつかない日。意味あるものに。

あらゆることは回復不能
今日という一日も。死が一番それを現している

だから、今を意味あるものにして生きるしかない
仕方がない。その死を、起こった回復不能なことを、不幸にしないことが大事なのである
=現当二世だ

慌てるな、
どうせ死ぬんだから
だから今死んでも同じとはならない
「お腹が減るんだから喰うのをやめよう」
「汚れるんだから掃除をやめよう」とはならないでしょう

死=二人称の死、死体である死体

都市化、三人称の死が増えると死に対する抵抗も薄れてしまう?
一人称の死は存在しないから、自分の死についてあれこれ考えても仕方がない

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2021年09月06日

Posted by ブクログ

理解出来るとこはあるけど、同じ様な事が何度も書かれていて屁理屈に見えてしまう。
頭のいい人なんだと思うけど。

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2021年08月23日

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