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Posted by ブクログ
2022年刊。カバーは老若対談ふう。でも、対談時、養老83歳、宮崎59歳。学生時代、宮崎は養老先生をよく見かけていたし、授業もとっていたという。
ひょうたんから駒の一冊。たぶん、出版予定の宮崎徹『猫が30歳まで生きる日』の推薦文を書いてもらいに訪ねたのに、話が弾んでそのまま対談の企画へと発展。そのため、well-organizedとは言い難い。時期もちょうど新型コロナ全盛の頃。2回目の対談、約束の時間に養老邸を訪ねたら、なんとお留守。先生がコロナワクチン接種で不在だったりする。
対談は3回。1回目は「まる」が亡くなって3カ月目。愛猫ロストの養老先生に、宮崎先生が発見したタンパク質AIMのプレゼン。猫の腎臓病にも効果があるという。そこから話が転びに転んで、チョウの完全変態の話へ。なぜゲノムは同じなのに、幼虫・蛹・成虫へと姿を一変させるのか。どうしてそんな面倒なことをするのか。あたかも3回別の生を生きているかのよう。ひょっとしたら、進化の過程で、2種類の生き物の寄生関係があって、その名残なのかも。そもそも同一個体のDNAに変化はないのか。話が盛り上がり、2回目、3回目へ。3回目では、基礎研究のおもしろさ、それを後進にどう伝えるかも話している。
個人的に興味深かったのは、宮崎先生が基礎研究に進もうとしたきっかけ。東大医学部3年の時に受講した、新潟大の藤田恒夫先生の特別講義。そのまま、夏の1カ月間、新潟の藤田研に押しかけ、研究のおもしろさを知ったという。(藤田先生といえば、免疫学や顕微解剖が専門の、芸術家肌のエピキュリアン。『鍋のなかの解剖学』という著書もある。宮崎先生、いい先生に出会えたではないですか。)
Posted by ブクログ
欧米の大学では、研究者どうしが廊下で立ち話する光景がよく見られるという。そこから研究のヒントが見つかることも少なくないだろう。しかし、日本ではこれがほとんど見られない。自分の専門領域に踏み入られるのが気に食わないのだ。
本書はまさに、2人の科学者がお互いの分野を超えて自由闊達に語り合うといった雰囲気で、読んでいてとても面白い。とくに、養老さんが「蝶などの完全変態する昆虫は、進化の過程で別の生き物が混ざってしまった結果ではないか」という仮説を展開する。それにとても興味を持った宮崎さんが、実際に実験をするのだ。もし幼虫と成虫で違う生き物由来だとすれば、両者のゲノムが異なるのではないか。
対談は3回にわたって行なわれ、宮崎さんはその合間に実験を行なって、最後に養老さんにプレゼンする。口で説明すると簡単な実験に思えるが、実際には膨大な時間とお金がかかる。宮崎さんがおこなったことはほんの最初の段階に過ぎないが、とても示唆的な実験結果だと思う。
こういうのこそ本物の科学ではないか。科学がシステム化された結果、科学者は研究費をもらうために理由を作り、有名科学誌に載せてもらうために論文を書く。手段と目的が転倒してしまうのだ。お二人の語らいには、そうしたしがらみに束縛されない自由で開かれた空気があった。
Posted by ブクログ
「猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見」の著者である宮崎徹さん。
気軽に読める本ではないと諦めていたところ、この本が出た。
対談テーマを「ネコの進化や寿命について」として、養老孟司さんから宮崎徹さんのAIM研究の評価を引き出そうという企画だった。
ところが、「生物の仕組みには、ほかにも不思議なものがある。」と言って、養老先生が昆虫の「完全変態」の話を持ち出した。
私も子供の頃から神秘的だと感じていて、今でもわけが分からないことの1つが「完全変態」。
オタマジャクシに足が生えて、手が生えて、尾が吸収され、カエルに姿を変えるのも凄いが、
蝶という昆虫が、幼虫、蛹、成虫と姿を一変させるのはなぜか?
幼虫が蛹になると、酵素を出して自らの体を溶かし、ドロドロになるなんて凄すぎる。
幼虫が蛹になるということは、一度死ぬということ。
そして、新たに頭や羽や足を作り直して、蝶という生物に生まれ変わる。
幼虫の口は葉をかじるようにできていたのに、成虫になると蜜を吸うためにストローみたいになる。
同じ生き物の成長の姿とは思えない!
ゲノム解析をすれば、幼虫と成虫で同じなのか?
同じなら、昆虫の形とゲノムの関係はどうなっているのか?
そこで、宮崎徹さんが調べてみた。
ゲノム解析の結果は幼虫と蛹と成虫で大きく異なっている部分が多々みられたそうだ。
「幼虫、蛹、成虫で別の生き物だった」という解釈もできそうだが、その"成虫"が生む卵が別の生き物の"幼虫"になるなんておかしい。
「完全変態」の謎解きにはまだまだ程遠いが、
宮崎徹さんの「ショウジョウバエにおける幼虫・蛹・成虫でのゲノム変化解析」は、長い間知りたかったことの、現時点での最も詳しい説明だ。
ねこを30歳まで生き延びさせるAIMについても、なんとなくどんなものか分かりました。
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