東畑開人のレビュー一覧

  • 心はどこへ消えた?

    Posted by ブクログ

    大きな物語に飲み込まれ、小さな物語が見えなくなっている。しかしカウンセリング室には様々な人がやってきて、小さな物語が確かに存在している。クライアントは自分がなぜ不調に陥っているのかをわかっているつもりでいるが、著者という他者に心を預かってもらうことで、行動の背景にある本当の心に気づいていく。直面するのには痛みを伴うが、心理士は一緒に様子を見る。クライアントが次に進めるよう別れの時まで見守り続け、それを繰り返していく。 ユーモラスな文体。クライアントの行動の背景にあるものを垣間見た時ハッとした。面白い。

    0
    2025年08月11日
  • 心はどこへ消えた?

    Posted by ブクログ

    序文とエピソードのギャップでいきなり心を掴まれました。
    1つ1つの短いお話の中でも二重人格…?と疑うくらい文章に波があって面白く、なのになぜか1つの話を読み終わった後に毎回種類の違う余韻が来て、(良い意味で)サクサクとは読み進められず、毎日少しずつ読み進めるのが楽しみになっていました。
    時代の変化なのか、自分が歳を重ねたことによる変化なのかはわかりませんが、日常生活で相手の心に想いを馳せることが少しずつ減ってきたような気がしていて、それを優しく楽しく思い出させてくれた作品でした。

    0
    2025年07月20日
  • 心はどこへ消えた?

    Posted by ブクログ

    心理士である著者が行うカウンセリング、その1つひとつのエピソードと、そこから著者が感じた「心」についてのエッセイ集。
    心理学、心、というと、興味はあるが読み解くにはとても深遠なものであり、その関連書はさくっと読めるようなものではない、というイメージがあった。
    だから、この本はそんな「ふつうの」感覚を持った人たちにはぴったりの本だと思う。
    エピソードに登場するクライアントの境遇や性格はさまざまだが、共通して言えることは、人間はそんなに立派なものでもなければ、表に出ているものがすべてではない、そんな陳腐なことを思った。
    ふだんは他者のそんな「心」が見えない。それが、カウンセリングを通じて、生々しい

    0
    2025年07月20日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    「野の医者」とは、とくに沖縄に多いスピリチュアル系の癒やしを提供している人々を指す。ヒーリングやコーチング、さらにはマッサージや占い、アロマテラピーといったいくつかのサービスと組み合わされているのが特徴である。そこに京都大学で心理学の博士号を取得し、臨床心理士として従事してきた著者がアプローチしていく。

    野の医者たちはほとんどが中年女性であり、面白いほどに共通点を持っている。若くして結婚・出産・離婚を経験して経済的に恵まれずに、自宅をサロンとしてBlogやSNSなどで集客しているパターンである。そして野の医者たちは施術者であり患者でもある。つまり、自らが癒やされる経験やプロセスを経て、他の人

    0
    2025年06月27日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    アカデミックな内容なのにフランクで人間味マシマシな体温溢れる文書で書かれているのが面白い。東畑さんが面白いからツイツイページが進んでしまう。そして、臨床心理とスピリチュアルヒーリング(野の医者)を相対的に観察しながらも、癒すとはどうゆう事なのかを問うとても惹き付けられる内容だった。

    0
    2025年05月24日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「技法というのは結局空っぽの容れ物なのだ。そこに好きな思想を詰め込んで、それぞれの治療がなされる。」(p.212)が、心理療法は科学的で優れていると盲目的になっていた自分に非常に心に刺さった。

    臨床心理学、特に心理療法にはそれぞれの世界観や価値観があり、創始者の思想や信念、価値観が大いに含まれているという点では「野の医者」と同じであるが、定説や常識と呼ばれるものを疑い、確認してみるということを繰り返す「学問」という側面を持っている点に違いがある。「良くなるとはどういう状態なのか」「心理士は何をして人の心を癒していくのか」について自問自答していきたいと思えた。

    0
    2025年05月17日
  • 精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門

    Posted by ブクログ

    精神分析はなんだかよくわからなくて、専門知をもった人たちによって実践されるものだという考えがあり、精神分析の技法をなんとなくの感覚で使ってきた。この本で言及されているPOSTは精神分析の技法等を含みつつも、より現実に即しながら臨床実践を可能にするためのエッセンスが書かれた良書という印象を受けた。大学院での実践の中で臨床に関わり始めた身としては、非常に学びになることが多かった。今後の自分の臨床での活用に役立てられそうだと感じた。

    0
    2025年05月03日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    この数年の私の中でのモヤモヤを吹き飛ばしてくれた。この本に出会えて良かった。 

    この感動をしばらく味わい、きちんと言葉にしたい

    私はケアを仕事にするならば、やはり自分にも問いつつ、疑いつつバージョンアップしていきたいんだ。学問とは疑うことが出来る事。ミラクルで治癒するのでなく。コツコツと。そうだ!!
    それかあ!!本当に有り難うございます。東畑先生。野の医者にはきっと私はなれないけれど、
    いや、人生って何があるかは分からないからね(笑)

    0
    2025年04月27日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    前半はどうしようかと思ったが、途中からは納得できるようになり、最後はそうなったのか、と。大変に面白かった。

    0
    2025年04月14日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    10年ほど前に心理学に興味を持って、心理カウンセラー系資格の通信講座を受けたことがある。
    教材を読み進めうちに、”これって心理学っていうかスピリチュアルでは?”と胡散臭い気持ちになって辞めてしまったのだけど、この本を読んで、改めて心理学とスピリチュアルは紙一重な部分があるなと思った。

    実際にスピリチュアル系の施術で元気になる人もいるのだから、それはそれでいいと思うし、誰にでも効果があるような完璧な心の治療法なんてないよな。

    私自身、人生で一番落ち込んだとき、占いに行って話を聞いてもらい号泣しスッキリしたこともあった。
    元々占いを信じてないのでその後通うことはなかったけど、救われたのは事実で

    0
    2024年12月21日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    著者作「コラージュ」を前書きと目次の次に持ってくるところにセンスを感じる。

    得体の知れない匂いのする題名のわりに、この本のテーマは明確だ。「野の医者と、私たち臨床心理士の違いはないにか?」大学では、心理学や現代医学が絶対的な真理であるという考えの中で心理学を学ぶ。しかし、本当にそうなのか。「現代医学はいくつもある文化の一つなのではないか。沖縄に偏在するスピリチュアルな治癒者が、沖縄文化の産物であるのと同じように。」この問いは、著者の沖縄でのフィールドワークの中でだんだんと形作られ、やがて一つの答えが生まれる。「現代医学は野の医者を嘲笑することはできない。形は違えど、どちらも数ある文化の一面だ

    0
    2024年11月27日
  • 悲しみとともにどう生きるか

    Posted by ブクログ

    【目次】

    まえがき(入江杏)

    第一章 「ゆるやかなつながり」が生き直す力を与える(柳田邦男)

    第二章 光は、ときに悲しみを伴う(若松英輔)

    第三章 沈黙を強いるメカニズムに抗して(星野智幸)

    第四章 限りなく透明に近い居場所(東畑開人)

    第五章 悲しみとともにどう生きるか(平野啓一郎)

    第六章 悲しみをともに分かち合う(島薗進)

    あとがき(入江杏)

    0
    2024年10月11日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

    Posted by ブクログ

    臨床心理とスピリチュアルの関係性、沖縄にそういう文化があるというのは全然知らなかったがとても面白かった。何が治療になるのか、実はとても深い問いでスピリチュアルなコミュニケーションや心の治療がどうして必要になるのか、というのもわかる気がしてきた。

    0
    2024年09月08日
  • 認知行動療法の哲学 ストア派と哲学的治療の系譜

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    【行動認知療法はストア派哲学だった】

    認知の仕方、考え方に介入するこで行動の変容を促すような現代の治療法である行動認知療法(CBT)。20世紀ごろから科学的、臨床的に発展してきたこの治療法のようですが、まさにストア派哲学の教えに多くの点で通ずるところがあるということが本書を読んでわかりました。

    これまで、マインドフルネスなどは東洋哲学が起源だとの認識が一般的にあったかと思いますが、著者はこの本により、西欧にも同じような考え方の起源があり、またそこから今日の行動認知療法へのインスピレーションを得られるのでは、との動機で本書を書かれたようです。

    古代哲学は、医療であったこと。哲学者は、

    0
    2024年06月02日
  • 精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門

    Posted by ブクログ

    とても良かった。
    1年くらい前にに山崎さんの「精神分析の歩き方」を読んで分からなかった「力動的心理療法と精神分析的心理療法の変遷」についてや、「精神分析的心理療法を行うにしても、自我心理学の知識も大事だよね」と言ってくれている感じが、そうだよねと。いろいろとすっきりした。

    本の内容としては、
    「ユーザーが現実適応できるように、精神分析理論に基づいて、(心の奥の幽霊の声についてはとくに触れずに、でも治療者が心に留め置いて)ユーザーの自我を支持すべく対話をしてくれる心理療法」の本。

    そういう心理療法の実際の流れを2つのケースで書き記してくれて、その時治療者は何を心に留め置き、どう考え、持ちこた

    0
    2023年11月01日
  • ふつうの相談

    Posted by ブクログ

    タイトルはシンプルだし、エッセイ的な感じかしら?と軽い気持ちで読みはじめたら予想に反してバリバリ専門家向けの本(論文)。‥とは言え、本書の想定読者には「素人」も含まれているし、なんならわたし自身も家族として対人援助のお世話になったり、末端の介護職員として「ふつうの相談」を受ける経験もあり、読み応えのある一冊でした。本書出版記念のトークイベント‥行きたかったなあ。

    0
    2023年10月31日
  • ふつうの相談

    Posted by ブクログ

    公認心理師の資格ができ心理カウンセリングへの興味関心が強まっているなか、我が国の心理カウンセリング状況について、現場サイドでの率直な意見を述べている著者の最新刊。著者の最高傑作と私人は思っている「居るツラ」を理論的?に洗練させた書と思われた。「居るツラ」以降、著者の書作は迷走する。この著作で原点に戻ったと思われる。臨床と理念をつなぐ人は皆無だった中で、著者やその盟友の山崎氏は、今後の心理業界では期待が持てる逸材。今後の著作を期待したくなる一冊であった。

    0
    2023年10月20日
  • ふつうの相談

    Posted by ブクログ

    ケア概念を問い直す、秀逸な一冊。専門知に基づいて行われる専門的なケアだけがケアではない。本書で言う、世間知や現場知に裏打ちされた「ふつうの相談」にこそ、ケアの本質があると私は思う。臨床現場で奮闘する人以外でも、自身のフィールドに当てはめて読むべき一冊。

    0
    2023年10月16日
  • ふつうの相談

    Posted by ブクログ

    我々プライマリケア医も、ふつうの相談が多く行なっている。どの病気にも専門家がおり、どこか引け目を感じていたが、精錬の度合いの違いと考えると合点がいった。我々の診療は合金ではなく原石なのだ。
    居るのはつらいよ から、一緒に思考を深めさせていただいた感じがする。

    0
    2023年10月05日
  • ふつうの相談

    Posted by ブクログ

    『居るのはつらいよ』で「ケア」と「セラピー」の違いに目を開かれたのだけど、本書で本格的に「どこかにいる理想のセラピスト(わたしの場合、河合隼雄)」は、一種のファンタジーみたいなものなんだなと断ち切れた気がする。

    専門家ではないので、きれいに説明はできないけど、純粋に学派的な臨床心理学を追究している人から見たら、現場に即して形を変えたり、「無意識」や「深層心理」に触れることなく、日常的なやりとりや現実的なアドバイスで困り事を解決に導こうとするやり方は、邪道だと思われがちだ。
    でも、そうではない、というのが本書の主張。
    真ん中にあるのはあくまでも「ふつうの相談」で、そこには専門家だけでなく、友人

    0
    2023年09月23日