東畑開人のレビュー一覧

  • ふつうの相談

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    『居るのはつらいよ』で「ケア」と「セラピー」の違いに目を開かれたのだけど、本書で本格的に「どこかにいる理想のセラピスト(わたしの場合、河合隼雄)」は、一種のファンタジーみたいなものなんだなと断ち切れた気がする。

    専門家ではないので、きれいに説明はできないけど、純粋に学派的な臨床心理学を追究している人から見たら、現場に即して形を変えたり、「無意識」や「深層心理」に触れることなく、日常的なやりとりや現実的なアドバイスで困り事を解決に導こうとするやり方は、邪道だと思われがちだ。
    でも、そうではない、というのが本書の主張。
    真ん中にあるのはあくまでも「ふつうの相談」で、そこには専門家だけでなく、友人

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    2023年09月23日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

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    問題点も含めて、新しい視点をくれる本だった。
    自分自身、精神的な病を抱える母が、スピリチュアルに傾倒していく姿を間近で見ており、当事者としてではないが、本の内容に身に覚えがあることも多かった。
    そして、なおかつ、ここは問題点でもあるかもしれないのだが、そうした当事者の姿を、あえて軽く、明るく書いてくれていたので、最後まで読み進められた。
    私の母も、野の医者になりかけたのだが、私も含めた周囲がそれを受け入れることはなく(できず)、結局その後、病がより大きな波となった時期に、数ヶ月の入院生活と、薬物療法によって、病を調整することとなった。
    入院直後は、薬物の影響か、病の転調か、抜け殻のように話さな

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    2023年09月22日
  • 精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門

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    良書。
    精神分析を専門に勉強してきたわけではないため、臨床的な介入の中で精神分析を行うことはまずないが、それでも事例の見立てに精神分析的な観点を取り入れることがしばしばあり、そのやり方を洗練させるためのヒントが本書にはあったように思う。これまで真似事でやっていた見立てを、どの部分に着目して精緻化していく必要があるのか勉強になった。

    たしかに精神分析的アプローチとは異なる部分も多く、実践のしやすさが一つのポイントになっているが、今後、精神分析的アプローチへと切り替える場合のことを考えると、自己開示の扱い方や中立性についての問題をどれくらい意識して実践できるかがその後の展開の鍵となるだろうし、そ

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    2023年09月19日
  • 日本のありふれた心理療法

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    ヘルス・ケア・システムの話は勉強になった。
    ケアしていると、だんだんどこに向かっているのかわからなくなって来るので、俯瞰できてよかった。民間セクター、民族セクター、専門セクターが意外とこういう勢力図なんだっていうのは正直驚きだった。
    もう一度読み直したい本。

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    2023年09月08日
  • 日本のありふれた心理療法

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    ありふれた心理療法について、臨床心理学および心理臨床学の歴史と医療人類学と筆者の事例を軸にしながら語られたもの。日々の臨床を真摯に成していくことは大前提だけれど、臨床の知のありふれた一粒を抽出すべく、ありふれた事例研究を書こうと思わせてくれる。妥協と交渉により合金の心理療法しか提供できないけれど、そこには個別性の極みが確かにあり、そこから『心理学すること』と『関係すること』を丁寧に紡ぐことで普遍的な物語となる。その時の自分に可能な範囲で精度の高いものをまとめる。できればどこかでおずおずと発表する。そう決意をさせてくれる一冊。私の師匠も、年に一度は事例をまとめて発表すると、それをご自身に課し今も

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    2023年06月06日
  • 認知行動療法の哲学 ストア派と哲学的治療の系譜

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    超いい本
    っていうか認知行動療法ハマってる人の中でそもそも中高生の時からストア派好きな人沢山いるとおもうもん

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    2022年11月18日
  • 認知行動療法の哲学 ストア派と哲学的治療の系譜

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    面白かった。ストア派入門としてもいいのでは。
    ストア派に、認知の流れも行動の流れもあって、第二世代までは自覚的に自分を西洋哲学ないしストア派の流れの延長に置いていたとのこと。

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    2022年08月23日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    個人的に興味深い作者名が並んでいたこともあり、本屋で衝動買いしたもの。ただひたすら真摯に、悲しみと向き合ったからこそ到達し得た心境が、ことばで生きている諸氏によって語り起こされる内容は圧巻で、それぞれに異なった対峙方法にも関わらず、通底する温もりは十分に享受できる。心のどこかに本書の存在を認識しているだけで、ずいぶん楽に感じられる、そんな座右の一冊。

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    2021年01月12日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

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    ネタバレ

    1人めの養老先生の「私の人生は「不要不急」なのか?」という問いでガツンと来る。数に限りがある人工呼吸器を若い患者、高齢の患者どちらに使うかで、現実にトロッコ問題が発生しているとは。「トライアル・アンド・エラー」ではなく「トライ・アンド・エラー」という表現は相変わらず気になる。伊藤隆敏さんのページにもあるように現金給付は一律じゃなくてもよかったんじゃないかと思う。ブレイディみかこさんのページにあるように普段質問しなかった子がオンラインだと質問するようになったみたいな予想していなかった変化は今後も起こるだろう。

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    2020年09月22日
  • カウンセリングとは何か 変化するということ

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    勉強しようと思い手にとった1冊だが、読んでみると面白かった。

    「カウンセリングとは何か。」
    1冊の本でまとめるには壮大なテーマで、そもそも言語化できるものなのか…?と疑問に思った。
    いち一般人としては、なんとなく話を聞いてくれるところ。いち医師としては、時間をかけて患者さんの柔らかいところに触れるところ。そんな漠然としたイメージでしかない。
    そのため、専門職の方がどのように捉えて、どのように言語化しているのかわくわくする気持ちを持ちながら読み進めた。

    ユーザーの状況に応じて変化するのはもちろんのことではあるが、さまざまな介入で日常生活を立て直して「いかに生き延びるか」に焦点をあてるカウンセ

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    2025年12月06日
  • カウンセリングとは何か 変化するということ

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    「過去と他人は変えられない、未来と自分は変えられる」みたいな名言を聞いたことある。でも、人は他人に支えられることで生きる勇気を貰え、苦しい過去の物語に終わりを告げ、自立し、本当の自分の人生を生き延びることができる。人はひとりでは生きてはいけないんだなと思った。

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    2025年12月04日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』東畑開人著

    余計なお世話と、助かるおせっかいは確かに違うよね。優しさは技術というのも納得。

    こころの問題は身近なのに、意外と感覚的に対処していたりして、わかりやすく知識や使える技術を教えてもらえると、とても救われるなと思う。とても良い本でした。

    あと東畑先生はとても本がお好きなんだろうなぁ。

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    2025年12月04日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    平易で優しい文章だからか、読みやすいし読んでいると癒された。
    わかるそれ!と共感する話もあって、気になるフレーズをたくさんメモしてしまった。

    心理学のこれまでの研究や文献にも触れられていて、内容が信頼できると思えたのもよかった。

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    2025年11月30日
  • なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない(新潮文庫)

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    印象に残ったのは、「人と人を結びつけるのは、ジョッキーの強さではなく馬の弱さである」「幸せとは、複雑な現実を複雑に生きることである」「人生は、働くことと愛することであり、人間関係は、シェアとナイショであり、それぞれがそれぞれの面を支える」という部分。

    新自由主義に移行する中で、私たちの人生は大きな船に乗った航海から小さな船を1人ずつ漕いで進む航海に変わった。この両方にもまた良い点悪い点があり、また、昔の価値観と今の価値観にもそれぞれ良い点悪い点がある。本書に登場する様々な心の二項対立には、いずれも良い点悪い点がある。本書に通底する「も」の考え方を持って船のバランスをとっていくことが大事だと思

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    2025年11月29日
  • カウンセリングとは何か 変化するということ

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    【印象に残ったポイント】
    ☀︎孤立しているとき、心は現実を見失うが、他者がそばにいるときには、心には現実を見つめる力が戻ってくる。
    ☀︎人と人とが素直に打ち明け合い話し合うことが、個人的な文学=自分らしく実存することを可能にする。
    ☀︎[ついてきてくれるなら行きましょう]聞いてくれる他者が安定して居るとき、人は自分の過去を俯瞰して振り返り、古い物語を捨て、勇気を出して変化する。こうして個人的な物語を作っていく。

    心の強さと弱さ、不思議を感じるとともに、人は究極的には孤独である一方で、それぞれが自立して自分の物語をつくっていくためこそ他者の存在が不可欠であり、誰かがいることで自分が変化する勇気

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    2025年11月29日
  • カウンセリングとは何か 変化するということ

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    著者の実体験をベースに、カウンセリング手法を説明していく。思ったより踏み込んで、カウンセリングそのものを説明してくれている。

    自己ー心ー世界モデルは、心というものの理解が新たになった。無自覚に変化し続ける心と絶え間なく揺れ動いていく世界、その調整弁として心がある。そう捉えたのは初めてだったが、すごくしっくりきた。

    それにしても普段見ることのないカウンセリングの現場は壮絶。特にクライアントが過去の体験を投影していくシーンは迫力がすごい…日々お疲れ様です…

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    2025年11月28日
  • カウンセリングとは何か 変化するということ

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    ◆ 説明モデルとは : 解明・説明・提案がセットになったもの

    ◆アセスメント=謎解きこそがカウンセリングのコア

    ◆ カウンセリングというのは基本的には時間を味方につけるための営みです。即座に物事を解決するのにはあまり向いておらず(頑張るときもありますが)、時間の力を使って、心や状況が少しずつ変化していくことを後押しする仕事です。

    ◆初回カウンセリング
    (1)問題歴ー過去を遡る
    (2)モチベーションー未来とつながる
    (3)リソースー現在を確認する
    経済的リソース、社会的リソース、心理的リソース

    ◆破局度の評価
    (1)火急性/不急性
    (2)外部性/内部性
    (3)現在性/歴史性

    ◆カウンセ

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    2025年11月27日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    ケアには様々な種類があって、相手によっても違うし相手の状況によっても必要なことは変わってくる。
    そしてまずケアする側が元気じゃないと。心に雨が降ってる時は誰にだってあるからこそ、そこに傘をさせるような人になりたい。ケアは成果として見えにくいとあったけれど、信頼関係につながって良いことが巡り巡ってくるといいな。

    先日仕事が大変だった時に上司にケアしてもらった。話を聞いてもらって一緒に考えてくれて、楽になるようにまわりに働きかけてくれた。追い詰められていたけど段々と回復してきたから、今度は自分がケアする側になりたいと思う。ほどよくおせっかい。まずは身体と環境のケア。

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    2025年11月24日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    本書は、身近な人のこころのケアをしている人に向けての一冊です。
    突然雨が降ってくるように、身近な人がある日突然具合が悪くなったら‥‥身近な人に巻き込まれて自分も一緒に雨の中を歩むことになったらどんな風に言葉をかけ、ケアをしてあげればいいのか、という一冊。
    私はケアをする側として読み始めたのですが、どうにも集中できない。それはどうしてかというと、ケアされる側の気持ちにどんどんシンクロしていってしまうからなのです。
    晴れている時(元気な時)ではなく、雨の日(問題を抱えている時)にはこんな風に感じてしまう、こころの中ではこんなことが起こっているという説明を読んでいると、過去の私の記憶がチクチクしてし

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    2025年11月23日
  • カウンセリングとは何か 変化するということ

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    みな色々なものに振り回されて、自分って何だろみたいになりますが自分も定まったものではないし安定させるのは難しいと思いました。

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    2025年11月20日