東畑開人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とても良かった。
1年くらい前にに山崎さんの「精神分析の歩き方」を読んで分からなかった「力動的心理療法と精神分析的心理療法の変遷」についてや、「精神分析的心理療法を行うにしても、自我心理学の知識も大事だよね」と言ってくれている感じが、そうだよねと。いろいろとすっきりした。
本の内容としては、
「ユーザーが現実適応できるように、精神分析理論に基づいて、(心の奥の幽霊の声についてはとくに触れずに、でも治療者が心に留め置いて)ユーザーの自我を支持すべく対話をしてくれる心理療法」の本。
そういう心理療法の実際の流れを2つのケースで書き記してくれて、その時治療者は何を心に留め置き、どう考え、持ちこた -
Posted by ブクログ
『居るのはつらいよ』で「ケア」と「セラピー」の違いに目を開かれたのだけど、本書で本格的に「どこかにいる理想のセラピスト(わたしの場合、河合隼雄)」は、一種のファンタジーみたいなものなんだなと断ち切れた気がする。
専門家ではないので、きれいに説明はできないけど、純粋に学派的な臨床心理学を追究している人から見たら、現場に即して形を変えたり、「無意識」や「深層心理」に触れることなく、日常的なやりとりや現実的なアドバイスで困り事を解決に導こうとするやり方は、邪道だと思われがちだ。
でも、そうではない、というのが本書の主張。
真ん中にあるのはあくまでも「ふつうの相談」で、そこには専門家だけでなく、友人 -
Posted by ブクログ
良書。
精神分析を専門に勉強してきたわけではないため、臨床的な介入の中で精神分析を行うことはまずないが、それでも事例の見立てに精神分析的な観点を取り入れることがしばしばあり、そのやり方を洗練させるためのヒントが本書にはあったように思う。これまで真似事でやっていた見立てを、どの部分に着目して精緻化していく必要があるのか勉強になった。
たしかに精神分析的アプローチとは異なる部分も多く、実践のしやすさが一つのポイントになっているが、今後、精神分析的アプローチへと切り替える場合のことを考えると、自己開示の扱い方や中立性についての問題をどれくらい意識して実践できるかがその後の展開の鍵となるだろうし、そ -
Posted by ブクログ
ありふれた心理療法について、臨床心理学および心理臨床学の歴史と医療人類学と筆者の事例を軸にしながら語られたもの。日々の臨床を真摯に成していくことは大前提だけれど、臨床の知のありふれた一粒を抽出すべく、ありふれた事例研究を書こうと思わせてくれる。妥協と交渉により合金の心理療法しか提供できないけれど、そこには個別性の極みが確かにあり、そこから『心理学すること』と『関係すること』を丁寧に紡ぐことで普遍的な物語となる。その時の自分に可能な範囲で精度の高いものをまとめる。できればどこかでおずおずと発表する。そう決意をさせてくれる一冊。私の師匠も、年に一度は事例をまとめて発表すると、それをご自身に課し今も
-
Posted by ブクログ
本書は、コミュニケーションのための本ではなく、心の言葉を聞くためのカウセリングのための本です。
聞く技術ではなく、聞いてもらう技術とは、人に聞いてもらえないから。
ちゃんと聞いてという訴えを「聞く」のは難しい。
心の奥底にふれるよりも、懸命に訴えられていることをそのまま受け取るほうがずっと難しい
「聞く」が不全に陥るとき、聞かなければならないとおもっている。それなのに、心がせばまり、耳が塞がれて、聞くことができなくなる。
それは、「聞いてもらう」からはじめよう。
気になったものは、以下です。
■聞くための前提とは
・どこで話そうか、どれくら時間があるといいのか。まずは時間と場所を決めて -
-
-
-
Posted by ブクログ
これは他の人からしたらどうでもよい話だが、わたしの中の小さな物語。大学3年生の終わり頃、コロナが流行った。授業はオンラインになり、生活は不規則。衛生面が不安な飲食店でアルバイトをし、趣味は奪われた。卒業制作もできず、就職したかった業界はコロナ禍で存続が危ぶまれた。将来に希望なんてひとつももてなくて、精神を病んだ。当然の話。
その頃にこの本がそばにあれば良かったのにな、と思った。このコラムをリアルタイムで読んでいたとしたら、もう少し大丈夫だったのかもしれないな、と。
しかしながら、それから数年経った今この本を手に取ったことにより、過去の傷をやさしくさすってもらえたような気がした。この本に出会え -
Posted by ブクログ
著者は真面目で賢く、誠実でロマンティストな人なのだろうなと感じた。
時折り文章が繰り返しになるが、基本読みやすく「カウンセリング」というものに対して抱いていた疑問や印象を全て語ってくれていた。
カナタさんの筋トレと両親とのオンライン面接の話と、ハルカさんの長い冒険の話が印象的だった。
臨床にものすごく興味が湧く。
でも実際は臨床を続けていくことって本当に大変だろうなと思う…。
自分を律し続けること、誠実であり続けることは、ある種の人間には可能なのか?
というか、著者のように知識と誠実性と自立性があるカウンセラーに会ったことがない(人として善良な人はいたが)
ああでもカウンセラーでない人では一 -
Posted by ブクログ
カウンセリングという言葉は以前から知っており、どのようなことをするのかも何となく理解しているつもりだった。しかし、この本を読んで、カウンセリングの奥深さや難しさを改めて知ることができた。
なかでも印象に残ったのは、「冒険」のカウンセリングについてである。一つのカウンセリングが10年、あるいはそれ以上続く場合もあると知り、とても驚いた。短期間で解決できる問題ではないとは思っていたものの、その年月の長さは想像以上だった。
さらに、さまざまな悩みや苦しみを聞き続ける中で、カウンセラー自身の心は疲れたり、つらくなったりしないのだろうかと心配になった。しかし、相手に寄り添いながらも自分を見失わず、支