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若き臨床心理学者の冒険譚にして青春物語
われらがカウンセラー、東畑開人の一般書デビュー作、文春文庫版の電子書籍化。
文庫版あとがき「8年後の答え合わせ、あるいは効果研究」を付した完全決定版です。
人生に痛めつけられたからこそ、
人を癒やす力を得た野生の医者たち。
彼女・彼らと共に過ごした
灼熱のフィールドワークの記録!
気鋭の心理学者にしてカウンセラーは、精神科クリニックを辞め、学界を揺るがすこと必至のフィールドワークを開始。沖縄で人々の心を癒やし続ける謎のヒーラー達を取材しながら自ら治療を受け、臨床心理学を相対化しようと試みた。「野の精神医療」と学問の狭間で辿り着いた驚愕の発見とは? 涙と笑いの学術エンタテインメント。
単行本:2015年8月 誠信書房刊
文庫版:2023年9月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
"居るのはつらいよ"を読んだ後に読んだ。自分も沖縄で数年過ごしたこともあり、東畑先生がどのような空気感の元で過ごしていたのか、情景を表現する文章力もあいまって、あまりにもイメージがついた。沖縄は良くも悪くも独特な街で、いわゆる内地の者からすると、拒否反応を起こしてしまうような文化の要素も多数ある。本書では、その要素のひとつでもある、"野の医者"達の活動について深く追求している。表面だけで判断すると拒絶してしまいそうになるものは世の中にはたくさんあるが、深く知ることで見方が変わることもあると、改めて思わされる内容だった。また、沖縄に行ってみたいと思う。
Posted by ブクログ
僕は占いのみで生計を立てています。
つまり、本書でいうところの “野の医者” です。
これまでいくつかの東畑先生の著書を読んできましたが、本作も最高に笑わせていただきました。
無職時代の東畑先生が、トヨタ財団研究助成プログラムの支援を勝ち取り、沖縄を舞台にスピリチュアル界隈を縦横無尽に駆け巡る、ワクワクするフィールドワーク冒険譚です。
スピリチュアルのエネルギーは良くも悪くも強力です。
臨床心理士として確固たる信念を持っているはずの先生でさえ、大量の謎のスピリチュアルエネルギーに染め上げられ、ミイラ取りがミイラになってしまいます。
しかし、その包帯の隙間から覗く心理士としての眼を光らせ、“人を癒すとは何か” を追究する姿に、ページをめくる手が止まりません。
僕にとって “人が癒される” とは、心がもともと持っていた温かさを取り戻すことです。
それは「心はもともと温かいものだ」という仮定のもと、そこから熱を奪う原因を取り除く営みだと考えています。
そもそも、「癒し」という漢字は、病で寝台にもたれる人の象形と、木をくり抜く工具、そして心で構成されています。
そこには、体や心から悪いものを “くり抜き取り除く” という意味が込められています。
そこで僕は、体や心に悪いもの、つまり悲しみの原因を取り除き、それから、その人に合った方法で温めていく。
これが癒しだと思っていました。
しかし本書を読み、“癒し” は一つではないことに気づかされます。
悲しみに対して人は、取り除くだけでなく、受け入れ、消化し、より強い存在になっていく という選択肢も持っているからです。
東畑先生は言います。
治癒とは、ある “生き方” のことであり、治療者とは信頼のもとにクライエントへ新しい生き方を提示する存在である、と。
生き方も、もちろん一つではありません。
僕は今後も “野の医者”、占い師として、占いを疑い、
「占いとは何か?」を問い続けながら、心理学・社会学・人文知など、ジャンルを問わずたくさんの本を読んでいきます。
そして、そこで得たさまざまなものを、レヴィ=ストロースの言うブリコラージュ ― 身の回りの材料をつぎはぎして新しい意味を作る営み ― のように組み合わせて、無数の生き方を見出していきたい。
その未開の地を切り拓いていく冒険のような人生を思うだけで、僕は今、にんまりしています。
そう。
“野の医者” は笑うのです。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
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