あらすじ
「新書大賞2026」大賞受賞!
人生の変わる場所──。
カウンセリングが、いま社会へとひらかれる。臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔。
■精神分析、ユング心理学、認知行動療法、家族療法、人間性心理学──
バラバラに乱立する心理学を俯瞰し、メタな原論が示される。
■身体を動かす、世界を動かす、からだを動かす、視点を動かす、心を揺らす──
カウンセリングは聞くだけじゃない。アクティブに5つの介入がなされる。
■いかに生き延びるか、いかに生きるか──
カウンセリングには二つのゴールがある。生活を守ることと、人生をちゃんと生きること。
「カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさのなかで、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。」──「5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える」より
【目次】
まえがき ふしぎの国のカウンセリング
第1章 カウンセリングとは何か──心に突き当たる
第2章 謎解きとしてのカウンセリング──不幸を解析する
第3章 作戦会議としてのカウンセリング──現実を動かす
第4章 冒険としてのカウンセリング──心を揺らす
第5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える
あとがき 運命と勇気、そして聞いてもらうこと
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
カウンセラーの手の内を明かしたような本です。
この本を読むと、人の悩みを客観的に捉え、その悩みにどうやってアプローチすればよいかが分かります。
人は生まれ育った環境に大きく影響を受けるので、足りないものがあると、それを穴埋めしようと何かに依存したり、固執したりします。
この「足りない何か」を浮き彫りにして、自分と真剣に向き合うことがカウンセリングであり、人の潜在的な悩みを解決する術なのだと感じました。
Posted by ブクログ
こんなにわかりやすい臨床心理学、カウンセリングの本には出会ったことがない。
「自己ー心ー世界モデル」の図のおかげで全てが理解しやすくなった。すごい…
カウンセリングとは何か?
その問いに答えるために、カウンセリングの始まりから終わりまで丁寧に書いてくれている。
事例を用いて説明をしてくれるので、かなり想像しやすい。
その事例ひとつひとつが人生の物語で、小説を読んでいるような気になってくる。情緒的な表現もあり、とてもわかりやすい上に想像しやすい。
冒険的なカウンセリングでは、カウンセラー自らユーザーの人生の舞台にあがりコミュニケーションを行う。それが意外だったし興味深かった。
この章ではなんとなく自分に重なるような場面もあり、かなり勉強になった。いままで心の病になったことがなくても家庭環境や何かしらの過去の影響で大人になった今でも言葉にならない孤独感に苛まれている人は多いと思う。自分もその1人だと感じる。この孤独感を抱えたまま、人生これでいいのか?このままでいいのか?という自分への問いに答えが出せるとしたら、このようなカウンセリングが最も近道なのかもしれない。それでもとんでもない時間がかかるわけだが…
自分らしく生きるということの答えの一つがカウンセリングにある。それが知れたことがこの本を読んで良かったことの一つだ。
結果、人生の中で何度でも読み直したい本になった。
何度でも読み返してその度に発見があったり、希望になったりするのだろうと思う。人生に行き詰まってもカウンセリングという希望があるということを教えてもらった。
Posted by ブクログ
・カウンセリングでどういうことをしているのか概要も(ある程度の具体も)体系的に分かった。
・特に冒険としてのカウンセリングの章が自分と重ね合わせる部分が多く面白かった。
Posted by ブクログ
始めの方は「もう読めないかも」と心折れかけましたが、中盤以降はとても興味を持って読むことができました。中身は、題名そのもの。「カウンセリングとは何か」です。そもそも私がこの本を手に取るきっかけも、「カウンセリングとは何か」を知りたかったからだったので、私の欲しかった情報は得ることができました。序盤に、医学や心理学に関する説明があります。正直、ここの理解が難しく、今でも分かった気がしないので、何度か読まないといけないと思っています。中盤以降に、カウンセリングの実践例をもとに、人間がどう変わっていくのか、人の心・考え方を変化させるためにカウンセラーがどんな声掛けをしているかの説明があり、そこが私にとって一番知りたい点であり学びたいところでした。
私自身、本格的にカウンセリング治療をしたことはなかったですが、ほぼそれに近いような通院をしたことがあったので、自分の中でカウンセリングを通してどう変化していく経過を辿るのか答え合わせしたかったんですよね。大まかには私が思っていたような経過だったし、また、心の辛さってカウンセラーの一言一言で、医療の薬と変わらないくらい「良くなった!」という実感を感じるんですよね。私はこの本をきっかけにもっと心理学にのめり込むかもしれないなと感じました。何度も読み込んでみたい本でした。
Posted by ブクログ
発売日に買うくらいのトーハタファンなのにページ数に怯んで(新書の厚みじゃない)チラ読みしたのちに積んでいた。つい先日オーディブルに入ったので読まないよりは、と作業のBGMにしていたがあとがきの途中で矢も盾もたまらずイヤホンを外し缶ビールを開けて本を開いて最後まで読んだ。あーこれがトーハタ先生だよ。「居るのはつらいよ」とともに一生携えて歩くべき本。大好きです。
Posted by ブクログ
「死と再生」の話は自分自身の人生においても身に覚えのある話だったので実感としてもそうだなと思いつつ、強烈な痛みを伴うためにほとんどの人が無意識下で避けてしまっている気がしました。
そういう意味では変化することには勇気が必要という言葉がシンプルだけどとても心に響きました。
Posted by ブクログ
話題の本。心理士さんが読んでいたので、読んでみた。私は心理士、カウンセラーではないけれど、自分の仕事と照らし合わせながら読んだ。私の仕事はこの本でいう、作戦会議だ。生活の場を確保できるように、体も心も整える。でも、時折冒険のカウンセリングのようなことも起こる。カウンセリングやカウンセラーの認知度の高さの割に、まだまだ人数としては足りていない現状では心理の専門家でなくても、関わざるを得ないこともある。そんな時に、いつも戸惑っていた。その戸惑いの理由が読んでいて、よく分かった。いつもは作戦会議なのに、突然冒険になってしまい、対応がいつもと同じではいけないと分かるけど、慣れていないから、これでいいのかな、と不安になっていた。この本を読んで、不安が消えるわけではないけれど、今は作戦会議、今は冒険とわかるだけでも気持ちは違う。
何もしないことに全力を注ぐ。すると、心の底で深いものが動き出す。
この一文をよく思い出しながら、仕事をしていこうと思った。何かしなくちゃ、と思いがち。
カウンセラーが何を考え、何をしているのか、カウンセリングとは何なのか。その解像度は上がった。良い本だった。
Posted by ブクログ
◯カウンセリングの中核にあるのはアセスメントである
◯生活を立て直し、生存を目指すカウンセリング=作戦会議としてのカウンセリング
◯素朴に人を頼れる心理的リソース
◯「役に立つ」「このカウンセラーは使える」、この感覚があってはじめて、ラポールは生まれてきます
◯p198〜ソーシャルな作戦会議
◯自己-心-世界モデル
普段ケースワーカーと心理士が共同してやっているのが、作戦会議としてのカウンセリング(CWが情報収集し、アセスメント。このカウンセリングの中に、CPの担うソマティックな介入=筋弛緩法的な"からだ"に働きかける介入やコグニティブな介入=視点を動かしたり、スモールステップで曝露したりという認知行動療法的な介入が含まれる)と実感した。
冒険としてのカウンセリング=実存を生き直す、意図的に破局を持ち込む、元になっているのはフロイトの精神分析 心を揺らして、転移も想定して破局を引き起こしそれを生き延びる、古い物語をきちんと終わらせる
-----------------------
なんだか怪しい雰囲気のする「カウンセリング」というものが、実社会に即した形で、体系的に理解できる1冊。
今、相談援助職に就いているからかもしれないが、驚くほど学びに満ちた1冊。
今の自分には「冒険としてのカウンセリング」は到底無理だし、むしろその必要は全くない。ただ、「冒険としてのカウンセリング」がある、それが必要な人もいると知った上で、きちんとアセスメントし、「作戦会議としてのカウンセリング」を実践していこうと思えた。
Posted by ブクログ
物語ではないのに物語や小説を読んでいる気分になった。本棚にとっておきたい素敵な一冊。
カウンセリングとは何か?現在を過去にすることで、終わりを見つけるためなのかなと考えさせられた。カウンセラーって何もしてないんじゃなくて「何もしないことが意味を出す」のだなと。
赤ちゃんから大人、そして老いていくまでの過程を小さく死ぬことで新しく生まれると表現してあって凄く哲学的で面白かった。
全ての終わりは孤立から自立へ。終わりのある人生だからこそ悩んでもがいて突き進んでいける。
Posted by ブクログ
まさに読み終わって、長い長い旅が終わった。長がったし、短かった。ジャンルは物語ではないのに、物語が物語られている、不思議な本。
自分もカウンセリングには間接的にはお世話になったので、こういう本が読みたいと思っていた。これはぜひ、カウンセリングと近い人には読んでほしい。他人事として読むのは、ちょっと辛いかも。
Posted by ブクログ
非常に分かりやすかった。分野外の人や初学者にもお勧めできる。
ナラティブな面をわかりやすく説明しつつも多角的な面から「カウンセリング・それによる変容の正体」を魅力的に解説していた。
文章が上手い。
Posted by ブクログ
2026年No.1の本かもしれない。
とても面白いし感動した。
文章がうまいのか構成がうまいのか読みやすく、新書なのに物語性もあって気がつけば夢中になって読んでいた。
私も心に興味があり、民間のカウンセリングも受けたことがある。
やはり本書にも書かれているように、話を聞いてくれる人がいることはとても大切で、それだけで心強い。
そしてその時に悩んでいたことが実は幼少期からの「傷」や思考の「クセ」からきていることに、最初は驚きと感動を覚えたものだ。
人はみんな生きている限りどこかしらで傷ついている。
思い通りにいかないこと、裏切られたこと、裏切ったこと。
自分でも無意識に、もう傷つかないようにと固い殻を被ったり、無理して笑って飲み込んだりする。
本当は寂しいのに。傷ついたのに。すごく痛いのに。
結局自分の「ホントの気持ち」に気づくことが傷を「癒す」ことになるんだろうな。
人の心は脆い。でも、強い。
そう思わせてくれる素晴らしい本だったと思う。
Posted by ブクログ
カウンセリングには2種類ある。作戦会議としてのカウンセリングと冒険としてのカウンセリングだ。本書は「自己-心-世界モデル」を軸に様々なカウンセリングをわかりやすく整理してくれる、コンパクトな一冊です。
Posted by ブクログ
ここ数年で最高の新書かもしれない。これぞ新書のなすべき仕事!といえる、わかりやすく、深く、面白い一冊。
カウンセリングとは何か?ケースバイケースのユーザーとの関わりを通じて、膨大なカウンセリング流派の分析を通じて、現代社会との関わりを通じて、深い問いに挑む名作。
私は、商業クリエイターにこそ、この一冊をすすめたい。
人の心を扱うのがカウンセリングの仕事だから、当然、マーケティングやブランディングにも通じるお話が山ほど。
また、注目すべきは「原論の作り方」そのもの。
行き過ぎた専門家が、その専門性の本質を、原論を喪失させてしまった!どんなジャンルも陥っているそんな現代病を、人類学の知見を活かしつつ、解き明かしたアプローチは、ビジネスの世界でも通用できるはず。
Posted by ブクログ
カウンセリングで話を聞いてもらうことで、何が変わるのだろうと思っていた。
読み終えて、カウンセリングは生活を立て直すためだけのものではなく、心が自由になるための場でもあるのだとわかった。
今まで避けてきた他者との関係や、見ないようにしてきた自分の欲望に触れること。自分でも知らなかった自分に出会い、「自分に驚く」こと。そこには一人ではなかなかたどり着けないと感じる。
心の病は特別なものではなく、誰にでも起こりうる。
そしてその時に、対処するための技術があるということが知れてよかった。
Posted by ブクログ
著者は真面目で賢く、誠実でロマンティストな人なのだろうなと感じた。
時折り文章が繰り返しになるが、基本読みやすく「カウンセリング」というものに対して抱いていた疑問や印象を全て語ってくれていた。
カナタさんの筋トレと両親とのオンライン面接の話と、ハルカさんの長い冒険の話が印象的だった。
臨床にものすごく興味が湧く。
でも実際は臨床を続けていくことって本当に大変だろうなと思う…。
自分を律し続けること、誠実であり続けることは、ある種の人間には可能なのか?
というか、著者のように知識と誠実性と自立性があるカウンセラーに会ったことがない(人として善良な人はいたが)
ああでもカウンセラーでない人では一人会ったことがある。
破局を迎えている人間と対峙する人達の忍耐強さや知的好奇心の強さに頭が下がる思いである。
読めて良かった。
Posted by ブクログ
カウンセリングについてミクロとマクロの視点から把握する一助になった。
カウンセラーである筆者に対して「あなた(が食べていける)ために」通っていると語った女性の件は以前の著書でも触れられていたが、その細部が描かれていて興味深かった。
トリアージ的な視点や、費用や期間の問題などはユーザー側からある程度理解したうえで利活用されればと思うが、実際の窮地に陥った際にどういった判断が行えるかは心もとなく、有効性や必要性はカウンセリングの「胡散臭さ」のようなものがある程度まとわりつくのも避けられなさそう。
Posted by ブクログ
カウンセリングという言葉は以前から知っており、どのようなことをするのかも何となく理解しているつもりだった。しかし、この本を読んで、カウンセリングの奥深さや難しさを改めて知ることができた。
なかでも印象に残ったのは、「冒険」のカウンセリングについてである。一つのカウンセリングが10年、あるいはそれ以上続く場合もあると知り、とても驚いた。短期間で解決できる問題ではないとは思っていたものの、その年月の長さは想像以上だった。
さらに、さまざまな悩みや苦しみを聞き続ける中で、カウンセラー自身の心は疲れたり、つらくなったりしないのだろうかと心配になった。しかし、相手に寄り添いながらも自分を見失わず、支援を続けられることこそがプロなのだと感じた。
Posted by ブクログ
心の問題(疾患/病気とは限らず悩み含め)の対処の一つであるカウンセリングについて体系的に具体的に説明してくれて良き。怪しいと思われる民族療法的な話やスピリチュアルな話を含め各対処の位置づけ、精神医学や心理学の歴史的な話、カウンセリングの素人との違い等を体系的に丁寧に説明してくれる第1章はとても分かりやすい。自己(身体) - 心 - 世界(環境)モデルは、それに基づく境界や内部の対処(介入)の全体構成を理解しやすい。
第2章以降は具体例を交えながらのお話だが、核心部は著者の専門でもある第4章サイコロジカルな介入だろう。生存(2、3章の生きていく上での対処)より実存(心の内部/深層心理の悩み解決)の話。以前に読んだ思想入門や構造主義にも出てきた精神分析(フロイト/ユング/アドラー/ラカン等)がベース。脆弱なスライムの心が、若い時期の人生やその後の経験を通じて(無意識の内に)どう鎧をまとうのか、それが悩みとどう関係するのかを分析し、それをどう「変化」させるのか。第5章(終わり方)に繋がる具体例(もちろん脚色は入ってる)がちょっと想像を外れた流れと結末なので、より信憑性を感じると言うか、そう進むのかの驚きと共にその説明(変化の捉え方)が興味深かった。
読み終わって、(仕事とは言え)受け止めるカウンセラーも大変だなあと思う。型にはまった問題だけではなく個別対応だろうし、ややっこしい話しかない。ミイラ取りがミイラにならないような鬼メンタルが必要では...。
Posted by ブクログ
読んでいて信頼できる方だと思った
カウンセリングってやっぱりなんだかわかりづらい
でも、
生活を回復するための化学的な営み、人生のある時期を過去にするための文学的な営み
近代の根源的な寂しさの中で人が可能な限り、正直に率直に、ほんとうの話を試み続ける場所
きいてくくれる人が安定していてくれること
ついてきてくれるなら行きましょう
カウンセリングの根底にあるのは、このつながりの質感
何もしないことに全力を注ぐ。すると心の底で深いものが動き出す
不思議なことは不思議なままで置いておけばいいのだ
何度もこの部分を読むと、本当にしっくりくる
きっとそばで必ずいるということが人にとってはとても大事なのだ
Posted by ブクログ
まだ前書きしか読んでないけど。大学で勉強しているのは専門家側から見たカウンセリング論。こっちはクライエント側から見たカウンセリング論。カードの裏表みたいでめちゃおもろい。
Posted by ブクログ
家族が仕事で悩んでいる、母との関係に私も悩んでいる。堂々巡りでどうにも解決しない、そんな折にこの本に出会い、気付けば手に取っていた。
AIに相談をすることが多々あるが、時折、怒りの感情が湧くことがある。相手の話をきれいに要約して、感動的な着地をさせて、タスクを完了するプログラム仕様だから仕方がないことなのに。あぁ、これが転移なのだなと腑に落ちた。
カウンセリングにおける、終結の中での中断。私は人生でこれを何度も経験している。そして今も自立出来ていない。依存先が少なく、他人に自分の歴史を聞いてもらうことを諦めているからだ。
表向きはうまくやっている、だがさみしい。冒険としてのカウンセリングをいつの日か受ける時が来るかも。
気付きが多かったので☆4つ
Posted by ブクログ
書店で見かけて、長いこと気になっていた本。
買ってはみたけど、ページ数が多くて恐れおののく。
カウンセリングは、非常時のものだとのこと。
専門的な知識と経験をもとになされる。
カウンセリングの様子を書いてある部分からは、カウンセラーがいかにメタ的に物事を見ているかを感じた。
常人では逆ギレ必須な言葉を吐かれても、「これは転移だな」ととらえ、冷静に進める。
カウンセラーの勉強をしたら、アンガーマネジメントできるようになるだろうか。
カウンセリングの終わり方に、心を引かれた。
孤立と自立。
ひとりを受け入れることで、ひとり立ちできるようになる。
人に対して強制することではないけど、自分を律するためには役立つのかもしれない。
Posted by ブクログ
カウンセリングの全体像を見る本。
実際に、カウンセリングのプロセスや目的が分かりやすく書いてあり、非常にタメになる。
同書で語られる人物の苦悩を自分自身と重ね、その解決策も自分に当てはめて考えてみる。
カウンセリングで起こる変化は、人として強くなるために自ら起こせるものなのだ囚われてしまうことがある。古い物語を終わらせ、新しい物語は始める。このサイクルが人生である。古い物語を終わらせられることで、人は強くなれる。
Posted by ブクログ
自己を「フィジカル=自分ではどうしようもないもの」として身体の方に位置付けたのは面白い
これで深層心理学と生物学等との接続がしやすくなるのではないかと思う
ただ、やはりオチが「物語化」というのは臨床心理第四世代の中でも年長者(ほぼ第三世代では?)なだけあって、懐古的な感じもする
うまく言葉にできていないが、物語すら作りえない世界で「実存」を問う回路は必ずあるはず
その営みが「生存」のためのカウンセリングに位置付けられてしまう可能性があるところが、本書が届いていないエリアなのではないかと思う
しかし、すごく読みやすかった
一般の方にも届く強度を持った筆致で理解もしやすい
東畑さんをメルクマールとして、他の臨床家も社会全体に届く言葉を探していかなければ学問的な未来は暗いと思う
自分も心理士の1人として取り組んでいかなければいけないテーマだと感じた
戦うエリアは非常に狭いけれども…
Posted by ブクログ
ふと本屋で目に付いたから買ってみたけど、
いい時間を過ごせたと思う。
カウンセリングとは何かを考えるために
心の構造、揺れ方、在り方を具体例を交えて説明していて、カウンセリングよりも自分の心について考えさせられる部分が多かった。
特に「脚本は繰り返す」の部分は目から鱗。
一度読み止めて、しばらく考えることが出来たのは本書のおかげ。
ただ、著者が文学性を重視する手前、
冗長的な表現が多く個人的には読み難い部分もあった。それも含めて筆者の伝えたい事なのかなと思いながら読むと、それこそカウンセリングの場にいるような不思議な気持ちになった。
時間をおいて再読したい。
Posted by ブクログ
カウンセリングとは、主に話を聞いてもらうことだと思っていた。とにかく受容して聞いてくれ、ちょっとアドバイスをしてくれる感じだと。
それも大きな間違いではないのかもしれないが、もっと専門的なものであるらしい事がわかった。心理学的に理解し心理学的に介入すると。
ただ、とにかく心をどうにかしようとするものでもないらしい。「心のせいにするということが、個人を責めることにつながってしまうことがある。過剰な自己責任にカウンセリングが加担してしまう可能性がある。」と書かれていた。心を変えることではなくまず環境を変えることが必要な場合がある、と。心の問題をまず扱うのだろうと思っていたので意外だった。
難しい所もあったが、何も知らなかったカウンセリングというものの、輪郭を少し見ることができたかなと思う。
Posted by ブクログ
カウンセリングの現場では実際にどういったが行われているのか、具体的な事例で丁寧に解説した本。なんとなく村上春樹さんっぽさを感じる文体。
孤独というか理解されないということが病に通じるということだが、わずらわしい人間関係にまきこまれるぐらいなら、孤独でいたい場合はどうしたらいいのか?
事例として挙げられている人が基本的には強い人のように思えるので。
人間関係でいじめられたり、繊細さんが無神経な人間に傷つけられたり、とか、強くなるしかないのか。
読んでからちょっと時間が経っているので的外れなことを言っているかも。
読んでいるときの精神状態によって引用したい箇所が変わりそう。
でもまあ面白かった。
p42
「「心の病」というのは、煎じ詰めて言えば、この悪循環しながらエスカレートする孤独のことです」
p42
「カウンセラーの専門性の根本にあるのは、非常時の心がどのように動くのか、そしてどのように働きかけるとよいのか/悪いのかを知っていることです」
p48
「群れる動物としての人間は、孤独によって病む。だからこそ、つながりが再構築されることによって回復する」
p54
「必要なのは心を変えることではなく、環境を変えることです。端的に言えば、いじめを止めることこそが最初になされなければいけません」
p72
「ちゃんと変化できる部位、変化すべき部位を見分けないといけない。(中略)順番が大事です。自己と世界にまずは適切な対処をする。そのうえで、どうにもならないときに、心の出番がやってくる。これが原則です。すると、心の範囲で問題を収めること、心の裁量で物事に対応していくことにチャレンジするタイミングがやってきます。心は自己と世界への対応を終えたあとに、突き当たるものである」
p72
「傷ついたときには恐ろしい存在にもなる」
p108
「未来は他者と居るときにのみ再起動される」
p109
「自分がどうなるのがよいのかをわかること自体が、回復なのかもしれないですね」
p111
「非現実的な空想の中にいるときに心は貧しくなるものですから、カウンセリングではあくまで現実的なことを話し合い続ける必要があります」
p113
「心に含まれる「希望」と「絶望」の分量です」
p115
「混乱を理解して、適切で、有効な質問を考え出すところに、カウンセラーの腕があります」
p124
「心を取り巻くものと、心そのものの反応の仕方。この二つを知ることで、起きている問題を理解し、それがどのようにしたら改善しうるかの見通しをもつ」
p135
「心が変化するための土台になるのは「理解」です。(中略)優しさだって、理解があるときにのみ、自然に発生するものです」
p135
「勇気が出るのは、見守られているときです。自立できるのは、孤立していないときです。あるいは、自分を理解することが、生き方を変えるための重要な一歩になったのではないでしょうか」
p146
「生存と実存。「いかに生き延びるか」と「いかに生きるか」」
p176
「人が孤立しているときには、時間は心を蝕んでいきますが、つながりの中に置かれているときには、時間は心に回復をもたらしてくれるものです」
p178
「謎解きが専門性のコア」
p179
「コーピングとは困った状態への対処法のことです。たとえば、不安になったときに、何をすると落ち着けるのか、落ち込んだときに、どうしたら我に返れるのか」
p180
「自分に起きていることに気づいた瞬間に、すでに変化は成し遂げられている」
p181
「マインドを潤沢にするのが「マインドフルネス」で、メンタルのなかったところにメンタルをもたらすのが「メンタライゼーション」。現実に対する自分の反応に気づくことそのものが、現実との関わりを変えることだというのが、ここ20年の臨床心理学の進歩の中核と言ってもいいかもしれません(仏教に戻った)と言ってもいいけど)」
p185
「ガチ腹筋してると、負け組感を忘れることができて。だから、筋トレばかりしてました」
p185
「心の中で寄り添ってくれていた」
p189
「呼吸に注意を払うことで、自分に何が起きているのかに気づく」
p198
「認知というのは「正しい」「間違っている」ということではなく、極端になっているときに支障をきたす」
p202
「破局を生き延びる経験によって、生き方の核の部分に変化が生じる」
p204
「カウンセリングは破局を避けるのではなく、破局を持ち込むものに」
p223
「本当は孤立している」
p238
「生存が実存を犠牲にする。そのとき、人は他者に冷たくなります」
p247
「子どもというものが「弱い」から」
p285
「自分がさみしい思いをしないように、他者にさみしい思いをさせる」
p292
「河合隼雄(2009)『ユング心理学入門』(岩波書店)は今でも金字塔といえる入門書」
p311
「深層を「聴く」と表層を「聞く」を区別し、本当に難しいのは後者」
p320
「非行やひきこもりの問題など、巨大な孤立」
p351
「終わり切れない終わりがあるときに、僕らは人生の行き詰まりを感じる」
p360
「自分の小さな歴史を手にします。これが作戦会議でも、冒険でも行われている。そして、このことがどれだけ心を助けるか」
p370
「勇気とは心に発動される古代的な徳です」
p374
「聞いてもらうことが、勇気を生み出す」