【感想・ネタバレ】カウンセリングとは何か 変化するということのレビュー

あらすじ

「新書大賞2026」大賞受賞!

人生の変わる場所──。
カウンセリングが、いま社会へとひらかれる。臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔。

■精神分析、ユング心理学、認知行動療法、家族療法、人間性心理学──
バラバラに乱立する心理学を俯瞰し、メタな原論が示される。
■身体を動かす、世界を動かす、からだを動かす、視点を動かす、心を揺らす──
カウンセリングは聞くだけじゃない。アクティブに5つの介入がなされる。
■いかに生き延びるか、いかに生きるか──
カウンセリングには二つのゴールがある。生活を守ることと、人生をちゃんと生きること。

「カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさのなかで、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。」──「5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える」より

【目次】
まえがき ふしぎの国のカウンセリング
第1章 カウンセリングとは何か──心に突き当たる
第2章 謎解きとしてのカウンセリング──不幸を解析する
第3章 作戦会議としてのカウンセリング──現実を動かす
第4章 冒険としてのカウンセリング──心を揺らす
第5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える
あとがき 運命と勇気、そして聞いてもらうこと

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Posted by ブクログ

カウンセリングを「作戦会議」と「冒険」にわけて書いてあり、わかりやすい言葉でスラスラ読めた。
心を揺らし、凍結を溶かす場。
実際の事例のやりとりがとてもリアルで参考になる。

カウンセリングって本当に意味あるの?とどこかで思っていた。
科学やエビデンス(も当然必要だけど)に振り切ったり、いかに短時間で回復・成長するかが重視される社会では個人の物語は置き去りになりがちだ。

でもみんな「個人である自分」を生きて、自分の物語を必要としている。
カウンセリングって、焦点を当てきれずにこぼれ落ちた個人的なものに辻褄を合わせ、生き直そうとする場、なのかもなと。

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2026年04月05日

Posted by ブクログ

臨床心理学、カウンセリングについて、専門知識を体系的に、具体例も交えながら書かれています(それでも難しく感じるところはありましたが。)
素人からすると内容が深くボリューム感ありました。
見えない他人の心と向き合う、臨書心理士という仕事はなんと大変な仕事か!

カウンセリングの始まりから終わり方まで多様な説明もあり、非常に良書でした!

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

カウンセリングというと、漠然と「話を聞いてもらうこと」と思ってしまうが、その内実、仕組み、目的、終わり方まで体系的に概説してくれる良書。おそらく、これからカウンセリングを受けたいと思っている人にとっては、目的意識をはっきりさせるという意味で、非常に役に立つのではないだろうか。

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

★4.6
めちゃくちゃ良い本でした。
心の動き方をすごく分かりやすく具体的なカウンセリングの事例も出しながら示してくれているので非常に読みやすいです。
その上内容もかなり推敲されたのがわかるほど洗練されていて、現代で問題視されている心の問題と向き合うにはタメになる本だなと感じます。

自分が外部環境で苦しんでいるのかそれとも内部環境で苦しんでいるのか 
じゃあどういうところから変えていくべきなのか 
そんな体系的な要素もあり、自分の心と段階的に向き合うこともできます。

買って良かったと思える名著です。

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

オススメ本!
大衆向けの新書でありながら、近接領域等との比較や「カウンセリング」と呼ばれるものの分解によって、カウンセリングとは何を変えることで、何ができるのかを明らかにしている。

もちろん東畑先生のバックグラウンドでもある精神分析の話への偏りはややある気がするが、精神分析の知識がなくてもとても分かりやすい。
臨床心理学やカウンセリングは怪しい、効果がないなどと疑問を持たれることもあると感じているが、この本はその信頼を取り戻し、正しい期待を持ってもらうためのきっかけとなるのではないか。

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2026年04月01日

Posted by ブクログ

うーんよかった。わかりやすくまとめていることが良いのかという批判は想像できるけれど、カウンセリングとは何か、という問いにかなり大局的に回答している本。カウンセリングが始まりから終わりまで、何を行われているのか。その営みを解き明かして共有しようという試みが、勇気があって救いがあってすごく良い。カウンセリングで何が行われているか知ることで、読者は物理的な意味でのカウンセリング室で行われていることへの理解とともに、同様の視点を自分の中に持ち合わせることにつながる本だと感じました。
救いを求めること、救いの現場で行われていることを自分の中で持つことは大事なこと。まさに大作と言える一冊でした。

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2026年04月01日

Posted by ブクログ

カウンセリングとは非常時の心を理解すること

とてもロジカルにわかりやすく書かれていて、するする読めた。冒険としてのカウンセリングは読んでいて苦しいところも。心が揺れて破局の危機を乗り越えて、新しい物語に繋がる。

簡単にはできないかもしれないけど、面談の進め方は参考にできそう。

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2026年03月31日

Posted by ブクログ

素人でもカウンセリングとは何か?が分かる。
いや、分かったような気がする。
事例もあり、ユーザーの変化もみれて学べる。
文章は教科書的ではなく、ワクワクするような比喩表現で大変楽しめた

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わかりやすくて面白い!

人間関係で悩んだ時、自分の感情の背景を落ち着いて深掘りすることはもちろん大事だけれど、相手にも何かあったのかもしれない、自分が思うほど相手はそう思ってない可能性もあると想像したり、視野を広げて俯瞰したりすることも大事だと再認識した。
まいってしまったときほど視野が狭くなるから定期的に読み返したい。

カウンセリングの具体例も書いてあったのでリアルに想像しながら読めたのも良かった。転移の話が特に面白かった。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

カウンセリングってなにをするものなのか?を理路整然と、素人にも分かりやすい表現で教えてくれた。
例えもとても「しっくり」くるし、著者の誠実さが伝わる説明で興味深かった。

作戦会議としてのカウンセリングと冒険としてのカウンセリング。後者はカウンセラーへの負荷も非常に大きく、仕事とはいえ、辛くないのだろうかと心配になる程だった。
それでも「ついてきてくれる」存在がいることが勇気になる。

人生の行き詰まりが全くないと言えば嘘になる。
カウンセリングに頼るほどの状況ではなくても、この本で学んだことをヒントに自分の実存を見つめてみたいと思った。

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2026年03月27日

Posted by ブクログ

新書大賞2026に選ばれた本書。カウンセリング未経験者から、カウンセラーを目指す人まで、幅広い層におすすめしたい一冊。

臨床心理学の歴史や各学派の違いから始まり、カウンリングの空間で何が行われているのか、概念的な話が展開される。そこから著者が実際に出会ったユーザーのケースが紹介される。
そこからまた概念的な話が展開され…と、具体例を差し込みつつ「カウンセリングとは何か」が解かれていく。この構成がとてもよかった。具体例があることで、カウンセリング未経験でも解像度が一気に上がった。


カウンセリングを受ける意味はさまざまあるだろうが、一つは全く関係のない他者による介入があると感じた。
心理的に追い詰められていると、時に家族や友人の指摘やアドバイスは突っぱねてしまう。だが全くの他人であり専門家でもあるカウンセラーに言われると、なぜかすなおに受け入れられるケースが紹介されていた。
自分でも分かっているけど認めたくないこと、どうしても一歩が踏み出せないことは、誰しもが持っていて私も気持ちがよく分かる。力点が違うと作用も変わってくるということだろう。

ここ数年、周りでメンタルに不調をきたす友人や同僚が増えた。なぜだろうと常々考えていて、要因として薄々感じていたことが本書で裏付けられた。
社会が豊かではなくなっているからだ。経済的にもメンタル的にも、余裕がなくなってきている。仕事も人生そのものも、求められるものがどんどん高度化して複雑になっている。常にたくさんの情報に晒されて、考えなければいけない問題も山積みになっている。
昭和や平成初期、右肩上がりに日本が豊かになっていった時代には「なんとかなる」で乗り切れたことも、今はどうにもならなくなっている。さまざまなことが自由になってきているはずなのに。

そんな時代だからこそ、藁にもすがる思いでカウンセリングへ行く人は多いだろう。カウンセラーは進むべき方向を示すことはなくても、そばにいて話を聞いてくれる。時間を重ねていくうちに、ユーザーの心に余白が生まれてくる。この人がそばにいて聞いてくれるから、ちょっと勇気を出してみようと思える。
本書でカウンセリングの内情を垣間見れて、私も訪れたくなった。

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2026年03月27日

Posted by ブクログ

カウンセリングとは何か、カウンセリングを通して人はどのように、なぜ変化していくのか。

東畑先生の圧倒的な教養や知識、そして長年の臨床の積み重ねによる経験から導き出されたこの問いに対する答えがとても分かりやすく、あらゆる側面から細かく分けて書かれています。

同じく臨床に携わる者として変化していく患者さんをこれまでたくさんみてきたけれど、その理由については明解に言語化できておらず、この本を読んでとても納得がいきスッキリしました。

読み物としても面白いし、カウンセリングの歴史や種類等学べて勉強にもなりました。

初めから終わりまで東畑先生の熱い思いが感じられ、特に第5章はこちらの胸も熱くなりました。読んでよかったし、また読みたいと思います。

以下、心に残った言葉や勉強になった箇所(抜粋したつもりなのに多すぎ)

•心の非合理的な部分を自由にさせるシャーマニズムから精神分析へと連なる流れと、心の合理的な部分を強化する哲学的治療から認知行動療法に至る流れ。これらが現代の臨床心理学の二大潮流。

•心の深いところに沁みついた人間関係のプロトタイプがあり、それが心そのものを構造化し、人生を不自由にしている。精神分析ではそのように考える。この脚本の詳細を明らかにし、いつもの反復とは違う展開を可能にすることが冒険としてのカウンセリングのミッション。

•破局しないように高度に防衛されていた心を揺らし、破局を引き起こし、それを生き延びる。そうすることで、古い自分が死に、新しい自分が生まれる。古い物語をきちんと終わらせることで、新しい物語がはじまる。

•心理学とは「同じものを見ていても、人によって見えるものが違う」という現実を考え続ける学問です。そこには、同じ世界であっても、別の物語を生きることができるという根源的なメッセージがある。

•重要な人との別れは、その人を喪失することだけを意味せず、その人と結びついている自分を喪失することでもある。

•真に難しいのは新しい物語をはじめることではなく、古い物語を終えること。僕らは古い物語を背負っていて、それに執着することで、行き詰まってしまう。

•個人の小さな文学性が見失われるとき、社会では巨大で暴力的な物語が猛威を振るうことになる。

•カウンセリングとは、生活を回復するための科学的営みでもあり、人生のある時期を過去にするための文学的営みでもある。

•カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさの中で、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所。

•突如、運命に対して受動的であった人間が、能動性を発揮しはじめる。人間は運命の下敷きになるだけでなく、運命を小さく持ち上げ、個人的な物語のための空間を作り出すことができる。勇気は人を個人にする。

•話すことは離すこと。過去を物語るのは起きた出来事を現在から引きはがし、過去に置いておくため。

•ついてきてくれるなら行きましょう。これが勇気の正体。

•何もしないことに全力を注ぐ。すると、心の底で深いものが動き出す。

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2026年03月25日

Posted by ブクログ

現在を過去に置いてくるから新しく生きることができる。人はそれぞれに物語をもつ。現実的に生存できるようになることと、人生が行き詰まった時に実存を見つめ直すことの両方がカウンセリングでは求められる。そのどっちが必要なのか見極めることがカウンセラーの力量でもある。

対人援助職を目指す身として大変勉強になる本。必読すべし。

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2026年03月25日

Posted by ブクログ

とてもおもしろかった。転移という現象をとおして、ユーザー(クライエント)がカウンセラーを自分の人生の「問題の対象」と重ね合わせるということをとおして冒険のカウンセリングが進む、そのプロセスを、純粋に職業人としてのカウンセラーとして相対するだけではなくカウンセラー自身も冒険に巻き込まれていくような、そういう部分がすごいというか、真似できない感覚だった。まあ、そのように読み取ったが実際はそこまでカウンセラー側もプロセスに同化していないのかもしれないが。
でもとにかく、言ってみれば弁護士相談のように問題が完全に自分たちの外側にあるのではない、ユーザーの中、あるいはカウンセラーとの関係性の中で立ち現れてくる、とういう「関係性ありき」のところは非常に興味深いし自分の関心分野とも近い気がする。
カウンセリングの前提となる「心をどのように捉えているか」ということも非常によく体系だって整理されており、わかりやすかったし理解が深まった。

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2026年03月24日

Posted by ブクログ

てっきり私はこの本はカウンセリングとは何かというものをあくまで本質的に素人にも分かりやすく書かれたものばかりだと思っていました。
もちろん、心理学に疎いユーザーが読んでも理解できる易しい言葉で書かれていたことも実感しましたが、想像以上にこの著書は血の通ったものであったと感じました。
この著書の中でいくつか例として挙げられているケースに出てくる登場人物との会話や、この著者自身のユーザーへの一貫したスタンスもとても温かく、物語を読んでる時のような感情の揺れを感じました。
この本はカウンセリングとは何かを教えてくれるだけでなく、カウンセリング等専門的なケアを受ける前の自分自身でのメンタルケアを考えるうえでも参考になる本だと感じました。
心に責任を過剰に押し付けすぎず、まずは環境や外的要因から対処を試みて、最後に自分の心に頼る、そんな上手いストレスとの付き合い方をしていければと思いました。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

カウンセリングの教科書みたいな本。
生きづらさを解消する手段のひとつであるカウンセリングについて、概観と臨床的な手法を読みやすくまとめている。
カウンセラーの仕事って大変だなぁと「も」思った。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

まず、理解しやすく、面白かった。

話の構成が整然として頭に入りやすく、抽象的な概念に対応する具体例もリアリティがあり、納得しやすかった。

全体像を観ようとすると、様々なところが繋がっていて、結構大変でした。

心とは何か、日常会話とカウンセリングの差異と共通点とは、など非常に勉強になりました。

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2026年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東畑さんの本って毎回面白いのだけど、今回は今まで読んだ中でも群を抜いて読みやすかった。それに今までの著作ではあまりそう感じたことはないのだけど、読んでいる途中にカウンセリングを受けているような?状態になったのか、夢見がすごいことになって、結構しんどかった笑。
自分としては冒険カウンセリングの方は、実存について向き合いたいと思っているので、カウンセリングルーム通って受けてみたいと思った。

以下、メモしたところ
…ヤングが面白いのは、エクスターナルな治療(問題を外在化する治療)はお互いが名前を知っているような狭い村落協働たいで機能しやすく、インターナルな治療(問題を内在化する治療)は互いを知らない大きな都市で機能しやすいと指摘していることです。…(近代になって)それぞれの人が自分の生活スタイルや人生コースを、習慣やしきたりによってではなく、自分で決めていかねばならない世界がやってくる。このとき、「私の心」という極小単位に問題や決定の根拠を見出し、それについて考えるための治療文化が必要になってくる。(p.68)

カウンセリングには二つのゴール・目的がある。「生存」と「実存」です。生存とは、困難な状況の中で、生き延びることを指します。…実存は、その人独自の生き方のことを指します。このままならない世界の中で、ままならない身体を抱えて、いかに生きるか。そこに価値観や人生観が関わってきますし、その人の歴史が反映される。カウンセイリングは実存に「も」取り組む。(p.167)

心のスキンケアですね。美容という意味ではなく、皮膚の感覚を取り戻すという意味でのスキンケア。ソマティックな介入もコグにティブな介入も自己や世界との接触面としての心を問題にしています。それはまさに、心の皮膚を整える作業だということです。(p.209)

実存は生存を前提とする。…だとすると、やはり実存の問題は「贅沢な悩み」だと言われてしまうのかもしれません。…にもかかわらず、やはり冒険としてのカウンセリングがどうしても必要になることがある。なぜか。
生活を守ることで、人生が死んでしまうことがある。
そう、生き延びるために、心の一部を殺さざるを得ないことがある。すると、自分の一部が死んだまま、生活が営まれることになる。そういうとき、生活は回っているけど、人生は行き詰まってしまいます。生きているけど、死んでいる。そこにはきわめて不自由にしか生きられない心がいる。
だから、臨床家として思う。これは「贅沢な悩み」なんかではなく、「切実な苦しみ」のはずだ、と。(p.245-6)

人生の脚本は反復される。
これこそが生育歴インタビューで謎解きすべきものであり、古傷が埋められしところです。…心の深いところに沁みついた人間関係のプロトタイプがあり、それが心そのものを構造化し、人生を不自由にしている。精神分析ではそのように考える。ですから、この脚本の詳細を明らかにし、いつもの反復とは違う展開を可能にすることが冒険としてのカウンセリングのミッションとなります。(p.283-4)

「精神分析は、セックスしないと決めた二人が、たがいに何をはなすことが可能なのかを問うものである」精神分析についての美しい定義です(レオ・ベルサーニ & アダム・フィリップス『親密性』) (p.299)

冒険としてのカウンセリングとは物語的営みであり、そこで生じるのは文学的変化である。(p.303)

たとえば、長く付き合った恋人との痛烈な別れは、古い自分が死に、新しい自分が生まれることにほかならないし、子どもの高校の卒業式でおいおいと泣くことは、中年だった自分が終わり、初老としての自分のはじまることかもしれません。
ちゃんと生きるとは、ときどき死んで、その都度新しく生まれることです。僕らの人生は節目節目で「死と再生」が挟み込まれています。…ここにあるものを「文学的変化」と呼びたい。なぜなら、そこで問題になっているのは物語であるからです。青年から中年になるとき、僕らの実存は変わります。それは物語が変わるということにほかなりません。ひとつの物語が終わり、別の物語がはじまる。…そして、どうしても古い物語を手放せず、古い物語が終わらないときに、僕らの人生は行き詰まり、ひどく不自由になるのでしょう。(p.337)

カウンセリングの帰り道には、ユーザーとカウンセラーは他人である、という根源的なさみしさがあります。
他人であることの根源的なさみしさ。
人はこのさみしさに極めて弱い、ということを真面目に考えてきたのが精神分析です。「分離」とか「離乳」という言葉を使って、このさみしさが人間の宿命的な苦しみであり、これをいかに受け入れたり、飲み込んだりしていくかに心の発達があることを見出しました。(p.349)

「終わりたい」とユーザーが言ってくれたことによって、密やかに進行していた危機が明るみに出て、ちゃんと取り組まれるものになる。(p.366)

重要な人との別れは、その人を喪失することだけを意味せず、その人と結びついている自分を喪失することでもあります。
古い物語を終わらせること。古い自分を喪失すること。小さく死ぬこと。これが心にとって一番難しいことです。古い物語は心にこびりついていて、何度も何度も反復し続けます。転移がまさにそれです。人生の古い脚本に、僕らは執着する。そこにかつての恐れがあり、そしてかつて渇望し、諦めきれない何かがあるからでしょう。(p.408)

僕らは古い物語を背負っていて、それに執着することで、行き詰まってしまう。そこには古い夢があり、古い幻想があります。そこには過去の大切な誰かからもらったものであったり、植え付けられたものだったり、一緒に作り上げたものだったりします。
だからこそ、古い物語を終わらせることには痛みがある。古い物語から離れるためには、その過去の誰かとの心理的な別れを経験しないといけないからです。そこには喪失があり、孤独がある。その痛みに持ちこたえるためには、他者とのつながりが必要です。(p.418)

神がいなくなり、王も貴族もいなくなる。僕らは自由な個人になった。その分、成果はひどく不確実になり、流動的になった。だからこそ、人は身分でも、宗教でもなく、自分の物語によって自分を証明することになり、人生行路を決めていくことになる。これが個人です。…この近代におけるありふれた、しかし必須の人間的営みが不全に陥ったときに、カウンセリングは姿を表す。僕はカウンセリングをそのような役割を背負った社会的営みだと考えています。(p.423)

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2026年03月13日

Posted by ブクログ

臨床心理学を体系的に、具体例を取り入れながらわかりやすくカウンセリングとは何かを説明してくれていて、専門知識がなくともわかりやすく体験できました。はじめ方から終わり方までユーザーの人生の脚本を体系化されていた本でした。

カウンセリングとは何か――
ネタバレ含む↓

ユーザーが変化して行くこと。人生の脚本で現実を動かし、心を動かし、孤立から自立して行くこととあり、とても共感出来ました。

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2026年04月04日

Posted by ブクログ

筆者の野心「カウンセリングの全体を見せる」
は、きっと果たせていると思います。
冒険者のマップのごとく、カウンセリングの始まりから終わりまでに起きることを
見せてくれました。 楽しかった。感謝。

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2026年04月04日

Posted by ブクログ

カウンセリングとは
・自分の過去を小さく死んで新しく生まれ直すことの繰り返し。
・冒険としてのカウンセリングは心を揺らすこと。鎧から滲み出たスライムの形を知ること。

過去の役割・脚本を繰り返すことはよくありその中に自分の特性が表れる

人は孤独だけどカウンセリングによって依存先を増やすことでもある

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

実際に行われたカウンセリングをもとに書かれて、臨場感があり、引き込まれた。
相談者の怒り、悲しみを受け止め止めるカウンセラーという職業は生半可な覚悟ではなれないと思った。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

「心が変わる」という奇跡の正体を解き明かす旅

自分の心の輪郭が少しだけ柔らかく
そして強くなったような
深い静寂と納得感の中で読み終えました!



「カウンセリングとは何か…」
このあまりにも根源的で
かつ答えの出ない問いに対して
著者は20年越しの謎解きの総決算として
真っ向から挑んでいます

すべての人の心に備わっている「死と再生のメカニズム」を「変化」のプロセスを通して
丁寧に紐解いています



私もここ数年…
カウンセリングの技法を学んできたので
めちゃくちゃ勉強になりました!
専門用語は極力使わずに平易な言葉を使いながら
分かりやすく解説されていて
現場や相談者のことを想像しながら読みました



「どうして心は変わるの?」
その問いの先にあるのは
効率や成果を求める現代社会の
論理とは異なる、もっと泥臭くてけれど圧倒的に
人間的な営みでした

私たちが誰かの話に耳を傾けるとき…
あるいは、自分自身の内面と深く向き合うとき…
そこでは一体何が起きているのか…

専門的な知見に基づきながらも
読者の心に直接語りかけてくるような
平易で温かな文体は
まるで自分自身がカウンセリングを受けているかのような感覚さえ覚えました



30年読み継がれる本にするべく
書かれたという言葉通り
この本は対人援助に関わる人はもちろん
自分という人間を理解しより健やかに生きたいと願うすべての人にとっての「心の地図」になるはずです!

「変化する」ということは
過去の自分を一度手放し
新しい自分へと生まれ変わること!

その痛みを伴うプロセスに寄り添い
共に歩むことの尊さを
改めて深く教わりました!!

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

先日、カウンセリングを受けた。カウンセラーにいくつかの質問をされて答えた。だがしかし、カウンセラーが何をしたいのか、まったくわからずに終わってしまった。
そのときの経験から、この本を手に取った。読んでみて、カウンセリングの目的や目指すところがわかった。
でも腑に落ちないのは、カウンセリングによって幸せになるのかわからなかった点だ。自分の心に従って生きることこそが本当に幸せなのだろうか。

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2026年03月26日

Posted by ブクログ

フォロワーさんに勧められたもので、カウンセリングをカウンセラーの視点から描いた作品でした。私自身、過去に診療内科に通った経験があり、その時のことを思い出しました。正直、民剤をもらうだけで自分の愚痴ばかり話していたなと感じます。でも、この本を読んで、一度壊れても根本から立て直すこと、何が自分のつまずきなのかを見つめ直すことの大切さに気づきました。カウンセラーは、表面的な非難ではなく、根本的な問題を解きほぐしてくれる存在だと強く感じて、今の私にもその視点が必要だと思いました。

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2026年03月25日

Posted by ブクログ

最初はあまり興味がなかったんですが、新書大賞2026の話題本と言うことで読みました。400ページ超のがっつりとした骨太な一冊です。

内容は本当にタイトルそのまんまで、カウンセリングが何なのかを丁寧に、具体的にまとめた一冊です。

なんでこれがこんなにも話題なのかというと、多くの人にとっては謎に満ちているカウンセリングの追体験ができること。しかも、カウンセラー側の考えが詳細に言語化されていて、めちゃくちゃ生々しいのです。

カウンセリングに来るユーザーがどのような悩みを持ってくるのか、そしてそれに対して無力感を感じたり、苦しいと思いながらも対応を続けることでどんな変化が起こるのかを書いています。

ユーザー側の苦しみだけでなく、カウンセラー側の大変さもよく分かるし、ユーザーがカウンセラーに対して「全く役に立たない!」などのような批判や時には人格を否定するような会話からもユーザーの心を分析し、少しずつチューニングしていく様子がとても興味深かったです。

僕は、自分の子供が障害を持っていて、心療内科への通院もあることからユーザーがカウンセラーを否定したり、カウンセリングそのものを無駄な時間なんじゃないかと疑ったりする気持ちがよく分かります。

でも、そんな気持ちも隠さずに話して良いのだと言うことに気付けたのは救いだと思うし、カウンセラー側がこんなに色々と分析をしながら進めているんだということを知って良かったな〜と思いました。

【内容のポイント】
・カウンセリングの進め方は作戦会議としてのカウンセリングと冒険としてのカウンセリングがある。作戦会議は現状の困りごとを対応すると言う意味で、生活に困っている人がまず生存することを目指す。冒険と言うのは表面的には生活に困っていないが深層心理で問題を抱えている人の問題を探るカウンセリングで、ユーザーの存在意味を探す。
・カウンセリングはインテーク面接、転移、破局などのイベントが典型的な型として存在する。転移は本人が対人関係で抱えている問題がカウンセラーとの間に起こること。これが非常に興味深かった。
・カウンセリングの終わり方は非常に大事で、終わり方も様々だが、自然と終わりに向かっていく。
・カウンセリングには勇気が必要である。

とにかく、さすが新書大賞だね!と言える、内容の重さも、分厚さもメガトン級の一冊でした。

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2026年03月23日

Posted by ブクログ

前半45%くらい専門的すぎて「へー」くらいでとにかく読んでいった。
カウンセリングが始まってからは生存と実存、
破局的な経験が自分を新しくすること、
人間関係の脚本が何回も繰り返されてること、心当たりがありすぎた。

私自身もパニック障害と不安障害を抱えていた2024年は生存と闘っていた。当時は睡眠不全、希死念慮が酷かった。なのでそこから休学したり、大学に合理的配慮で授業を受けられるようにしてもらったり、認知行動療法の本を読んだりしたので、「私がやってたことと同じだ!」と思った。今もたまに生存が脅かされるような睡眠不全があるけれど、徐々に実存の問いを考えられる余裕が出てきた2025年があったことにもこの本を読んで気づいた。

私も元彼や過去の絶縁した/された友人は、似たような終わり方だ。一方的に気持ちをぶつけてブロックしたり、ブロックされたり、本音を言えないままそれっぽく本音らしく話して終わったり。

他者との繋がり、話し合い、率直に本音を言うこと
これから意識したいと思った。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

昔カウンセリングを受けたことがあって、あれはなんだったんだろう振り返りたい思いもあって読みました。納得できる部分や気付かされる部分があり、とても興味深かったです。私は中断してしまったけど、もし続けていたらもっと早く楽になれたのかなと思う反面、それも自分にとって必要なことだったのかと思うことができました。また時間が経ったら読み返したいと思います。

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2026年03月14日

Posted by ブクログ

1 どんな本?
カウンセリングと言う営みを素人でも分かるよ
うに説明する本。著者の20年越しの謎解きの総
決算。コレを読めば誰でもカウンセリングの概要
が分かる。

2 何で読んだの?
(1) 新書大賞でとても高レビューだから。
(2) カウンセリングとは何か知りたい。
(3) カウンセリングで心が変容する過程を説明出
来る状態になりたい。

3 構 成
全5章 前後書き含め441頁
「ルソーの告白」のエピグラフで始まり、
1章でカウンセリングとは?
2章でインテーク面接を。
  3章で生活を立て直すカウンセリングを。
  4章で人生を変えるカウンセリングを。
  5章で終わり方と変容を
詳述して、「カウンセリングとは近代の根源的な寂
しさの中で本当の話をする事を試み続ける場所で
ある。」と終わる。

4 著者の問題提起
カウンセリングとは何か?

5 命題に至った理由
著者の20年の臨床経験

6 著者の解
生活を回復する科学的営み、人生のある時期を
過去にする為の文学的営み

7 重要な語句・文
(1) 心に突き当たる(歴史)
(2) 世界・心・自己
(3) インテーク面接
(4) 作成会議
(5) ソーシャルな介入
(6) コグニティブな介入
(7) バイオロジカルな介入
(8) ソマティックな介入
(9) サイコロジカルな介入
(10) 転移
(11) 破局
(12) 死と再生

8 感 想
面白くて勉強にはなったけど、ここまで高レビ
ューなのは何でだろう?と感じたので星3つ。
刺さったのは心に突き当たる事。社会的にも個
人的にも最終的に突き当たる。この問題をどうに
かするのが人生の困難だと思った。

深く知りたい事は冒険としてのカウンセリング
の効果。「読んでいてカウンセリングしてなくても
結果一緒なんじゃ無いかな?」と感じた。不倫も
離婚も昇進もしたんじゃ無いかな?(意見ある人
は意ください。)

人に勧めるならソマティックな行為。人にはこ
う言う取り組みが有ると助けになると思う。私も
探したい。
図やグラフで世界・心・自己の関係がよくわか
った。心は板挟みだ。

9 TODO
(1) ソマティックな行為の探究
(2) 子育てに活かす(どう活かす?)操ろうとし
ない。子供は持ち物じゃ無い。
(3) 視点をずらす運動。(アファメーション)

10 問 い
前進とは?

11 答 え
脱皮する事

0
2026年03月25日

Posted by ブクログ

カウンセリングとは、どういうことをしているのかが少し分かった気がする

色々なパターンに分析して
その人が気づくのを待つ。
すごい仕事だなって思った

そして自分自身も少し知ることで
周りの人の見方が少し変わるかもしれないと思った

0
2026年03月22日

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