【感想・ネタバレ】カウンセリングとは何か 変化するということのレビュー

あらすじ

人生の変わる場所──。
カウンセリングが、いま社会へとひらかれる。臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔。

■精神分析、ユング心理学、認知行動療法、家族療法、人間性心理学──
バラバラに乱立する心理学を俯瞰し、メタな原論が示される。
■身体を動かす、世界を動かす、からだを動かす、視点を動かす、心を揺らす──
カウンセリングは聞くだけじゃない。アクティブに5つの介入がなされる。
■いかに生き延びるか、いかに生きるか──
カウンセリングには二つのゴールがある。生活を守ることと、人生をちゃんと生きること。

「カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさのなかで、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。」──「5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える」より

【目次】
まえがき ふしぎの国のカウンセリング
第1章 カウンセリングとは何か──心に突き当たる
第2章 謎解きとしてのカウンセリング──不幸を解析する
第3章 作戦会議としてのカウンセリング──現実を動かす
第4章 冒険としてのカウンセリング──心を揺らす
第5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える
あとがき 運命と勇気、そして聞いてもらうこと

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Posted by ブクログ

 読書仲間と1月に一緒に読み進めた本です。
新書で400ページ超の大作ですが、とても読みやすく楽しく読ませてもらいました。驚きと発見の連続で、終始メモを取りながら読んだので、時間はかかりましたが、充実した体験でした。

 本書では、カウンセリングの「全体」を描き、カウンセリングの「原理」を書くことが狙いだそうです。

 著者の東畑さん曰く、
「おむすびで言えば、塩むすび。ヨーグルト風に言うならば、プレーンなカウンセリング。カウンセリングというもののもっとも基礎的な構造を明らかにしようとするのが、本書の目的です。」
とあり、このような出来事や現象を、シンプルな喩えで大づかみすることも結構書かれていて読みやすさはその辺りからもくるのだろうと思います。

 本書の構成も「ふしぎの国」に上陸して、国中を練り歩いていくかのような書き方になっており、まるで色々なカウンセリングがある現代日本のような島国だったりします。

 そして、カウンセリングの縦糸である歴史を紹介してもいるし、横糸である学派の属性や治療の種類についても網羅されています。

 カウンセリングって始まった当初はどちらかというと健康な人向けのアセスメントだったんだなとか、
フロイトがカウンセリングの「聞くと話す」をひっくり返してしまった(コペルニクス的転回)んだなとか、
通常は民間でなんとかなるところを非常時に専門家とか民俗的にセルフケアするのがカウンセリングなんだなとか、
専門家療法と民俗療法、その領域は重なる部分もあってアヤシイところも重なっているとか、
「哲学的治療」というものがあってそれは認知行動療法の源流にもなっているとかです。

 そういった学術的なモノをアウトリーチしてくれている話が、まずはすごく面白かったです。


 他方で、破局によって古い自分を手放して新しい自分をはじめる余地が生じるんですと書かれていたりして、すごく本質的なことを書いてるなと納得したりもしました。

 そして、三人のカウンセリングユーザーのケースが、どの方の話も共感できて私には刺さってきました。
ケース紹介をして章は進んでいくのですが、「冒険としてのカウンセリング」で心を揺さぶられて、最後の「カウンセリングとはなんだったのか」で勇気を貰える書でした。

 「ついてきてくれるなら行きましょう」と河合隼雄さんの師であるマイヤー先生の言葉がありますが、伴走者と共に歩めば勇気が出てくるように感じ、そして人は変化する、科学的な次元でも文学的な次元でもという東畑さんの言葉にも励まされるような読書体験でもありました。

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

カウンセリングのこと、なーーーんにも知らなかったなあと読み終えて知った。
今まで接したことあるのはスクールカウンセラーくらいで、その人たちが何を目的に、どんな方法で相手と向き合っていたのかなんて考えたこともなかった。
それでもこの本を読み終えて、自分が友だちの話や家族の話や、自分の話に耳を傾けて、答えや行動を急がずに、一緒に作戦会議をしたり、冒険に出たりする、そういうことができる人でありたいと思ったし、そういう「心の近くに心がある」状態を共にできる相手がいることには感謝だと思う。
すごいなあ、読み始めたときには「転職したらカウンセラーやってみたいかも、おもしろそう」とか思ってたけど、読み終える頃には「こんなの現職より心持ってかれるわ、むりむり」となった。笑 
これから行き詰まったときには軽い気持ちでカウンセリングに行ってみたい。

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2026年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ついに読みました…

本を読む一番の理由は実は一種の自己カウンセリング的なことだったりすると気づかされたりしながら、だからこそこの本でも何か解を求めてしまうのだけれども、ああ、きっとこれは永遠だろうなーとうすうす気づかされる…。

専門的にカウンセリング受診するかしないか、通院を終えるかどうか、という選択それ自体も

悩みの一部でありその人の心理状況を映すものでもあり、

そして終わったとしても次がまた始まっていて、、、
大きな物語と小さな物語…の渦中で…
なんだか逃れられない何かを感じました。

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2026年01月30日

Posted by ブクログ

今、カウンセリングを受けている人にこそ、読んでもらいたいと思います。
この本を読んで、カウンセラーからの視点や意味が分かって納得できた自分がいたし、あの時は転移で、あの時は、破局だったのかなど、とても参考になりました。

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2026年01月29日

Posted by ブクログ

きちんと終わらせることで、心が変化していく。
終わりにも2種類あって、孤立の「終わりたい」と自立の「終わりたい」がある。
日常生活でもその通りだなーと思った(唐突に何かを終わらせたくなるとき、ある)

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2026年01月29日

Posted by ブクログ

小説を読むことが多いのですが、普段読まない分野でもと思い読んだ本。わかりやすい言葉で丁寧に書かれています。今後、小説を読む際に登場人物の心を深掘りするのにも役立ちそうです。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

別途記録

最初から最後まで本当に分かりやすい
何度も立ち返る一冊になる

生存と実存
科学と文学
自己-心-世界モデル
人は皆物語を持っている
終わり切るということの大切さ

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

カウンセリングを通して、人生のある時期を終え、小さく死に、破局を乗り越える。

この本を読もうと思ったきっかけは、過去に休職した自分自身をカウンセリングしようとしたから。
休職するきっかけが、いまでも納得できない。自分が肯定できる自分になりきれていない。いまだに自分が許せない。
そんな心を緩めるヒントがあるのではと思った。
分かったことは、まだ私は休職した時の自分が終わってないのだと思った。復職して1年半経つが、ピンとこない日々が続く。

未解決のまま冷凍保存されちゃってた自分の心がこの本を通して少し解凍されてきた。
私は、私自身として真っ当に生きれていない。実存があやふやなんだと気づいた。
また近いうちに向き合うことになるんだろうな…

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2026年01月25日

Posted by ブクログ

なかなか知る機会のないカウンセリングについて、初めから終わりまで詳しく説明されている一冊。
「何もしないことに全力を注ぐ。すると、心の底で深いものが動き出す。」という河合隼雄さんの言葉。
この一言にカウンセラーのあるべき姿が詰まっているように思う。でも、実際のカウンセリングの様子を読むと、この「何もしない」ということの難しさを感じる。
ユーザーが自分の問題を見つけ、自分自身で解決するまでの道筋をつける。これを何もしていないように感じさせながら…というのは、プロフェッショナルとしか言いようがない。
カウンセリングそのものについて、ここまでじっくり書かれた本を初めて読んだので、とても参考になった。

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2026年01月25日

Posted by ブクログ

カウンセリングという仕事の興味深さと共に、心が揺れました。

人が勇気を持って、新しい自分になれること。
そのことへの純粋な感動。

自分自身、教育の仕事をしているので、子どもの成長を消費していないかと自問自答する日々でしたが、どうしようもなく感じてしまうのだから、しょうがない。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カウンセリングとは、生活を回復するための科学的営みであり、人生のある時期を過去にするための文学的営みである。

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2026年01月20日

Posted by ブクログ

電子で買ったけど紙で買ったらよかった。手元に置いておきたい。
純粋に心理学に対する知的好奇心が満たされたし、人生の難局の捉え方を変えてくれるパワーのある本だった。
「破局を乗り越えることで、これまでの自分を脱ぎ捨てて、新しい自分になる。」
この言葉を、しんどい時の自分にかけてあげたい。

小川洋子さんの引用があったように、「人生には物語が必要」という意味がよく分かった。
この本で紹介されるカウンセリングのユーザーにも物語があった。一つの小説を読んでいる感覚だった。

特にハルカさんの話。すごかった。自分も苦しくなった。
昔、心理学に興味が湧いた時期はあったけど、安易な気持ちでカウンセラーにはなれないな。自分はならなくてよかった〜と読みながら思っていた。

「誰の一番もなれない」「皆んな自分が一番」「自分だけが自分を一番にできてなかった。」この意味の言葉が刺さった。

時間できっちり切るカウンセリングの終わりは冷たく感じるけど、実は面接と面接の間の時間こそに効果がある。「孤独ではない」という状態。話をただ聴いてくれる人がいることがどれだけ心を安定させるか。
自分のこと、大事な人を守るヒントにもなった。

カウンセリングに対して、何をしているのか分からないし、心をめちゃくちゃにされてしまうんじゃかいかという恐怖心があったけど、この本によると、(少なくとも著者は)サイコロジカルな介入は最終手段で、まずは身体面、環境面からの調整ができないか確認するとのことで、安心した。何かあったらカウンセリングに頼れると思うと心強くもある。

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2026年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カウンセリングユーザーとして読みました。

破局を生き延びる経験によって、生き方の核の部分に変化が生じる。(P.235)

約1年程度ですが、時に苦しみ、適応障害スレスレをなんとか生き延びた自分としては、この言葉は大きな実感を伴うものでした。

本書では「生存」と「実存」という区別が繰り返し語られます。
• 生存…とにかく生き延びること
• 実存…どう生きるかを見つめ直すこと

生存は時に、実存を犠牲にする。(P.247)

自分を押し殺して日々をやり過ごす──そんな経験がある人には、この言葉はきっと深く刺さるはずです。「どう生きるか」は決して贅沢ではなく、誰にとっても切実な悩みだと感じました。

もちろん、「カウンセリングに行け」と無責任に勧めることはできません。

それでも、本書を読んで心がどう動くのか、どう感じるのか。

その"揺れ"そのものに、価値があるんじゃないかと思います。

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2026年01月17日

Posted by ブクログ

最終章あたりは筆者のカウンセリングに対する熱も感じ、まとめとしてもかなり読み応えがあった。
(このためにも通読はして欲しい。)

自分は全体通して、帰路歩きながらも読み進めてしまうくらい貪るように一気読みした。カウンセリングの入門書としてもだが、心とは何か、心の向き合い方を学び直せた一冊。

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2026年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カウンセラーの頭のなかを覗くことができる。

(p.424)カウンセリングとは何か。それは生活を回復するための科学的営みでもあり、人生のある時期を過去にするための文学的営みでもある。カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさの中で、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。

本当に最後の一節を抜粋したが、ここに書かれている意味が通読してようやく自分の頭の中で腑に落ちるような感覚を得られた。

3つの事例(脚色事例)をもとに、筆者のカウンセリングを眺めることができる。実際にたくさんのクライアントに対してカウンセリングを行ってきた筆者だからこそのリアリティがすさまじく、まるでその場に第三者としているかのよう。きっとこの人の文体が自分にあっていたのだろう。

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2026年01月15日

Posted by ブクログ

カウンセリングの入門書を読むのは、小説を読むのと同じくらい好きだ。小説の多くは未熟な登場人物が壁に当たり、苦悩しながら試行錯誤し、仲間と共に解決し、成長していく。

カウンセリングの本の中で描かれる人も同じだ。クライエントは自分の物語を振り返り、苦悩し、セラピストという仲間と共に成長する。セラピストも、クライエントに対する臨床経験から、伴走し、苦悩し、後悔し、成長する。

本の中に、「文学的変化」という言葉がある。カウンセリングの事例とは、人の成長物語であり、二人の主人公がいる小説でもある。「中断」した事例は、主人公に起きた悲劇であって、残された仲間=もうひとつの物語に対する試練となる。

「カウンセリングとは何か-変化するということ-」どういう変化なのか。この難題に対し、僕は、クライエントとセラピストが二人三脚で「こども」から「おとな」になることだ--という答えを導き出した。

これは僕の答えであって、著者の答えは違う。ぜひ本書を読み、著者の答えを確かめて、そしてあなたの答えを導き出してほしい。

2026-01-15 山本 夏蓮

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2026年01月15日

Posted by ブクログ

カウンセリングというプラックボックスの中身を知ることができた。著者によるカウンセリングの説明、取り組み方、スキル、効果などが分かった。ひとつ気になったのが、他のカウンセラーも著者と同じ水準なんだろうか?資格になってるが技術が担保されているのだろうか?

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2026年01月12日

Posted by ブクログ

人は、それぞれ心のクセを持っている。
昔誰かから言われた言葉。
そのクセが、認識を歪め、時に人生を生きづらくしているんだと。

この本を読んで、その真相を知ることができた。
実際自分もその認識の歪みからひどく落ち込んだことがあったけれど、苦しみを乗り越え一度違う見方に気づくと、今までとは世界が違って見えてくる。

この経験の手助けをしているんだなぁ

今までこびりついた心のクセを、カウンセリングラーはユーザーと共に経験し直し、自分で自分のクセに気付いてもらうのを待つ。

すごい仕事だし、すごい学問だなぁと思った。

それにしても、

心は突き当たるもの

だよなぁ〜

人間の心って、本当に面倒くさいし面白い。

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2026年01月11日

Posted by ブクログ

新社会人になり、しばらく仕事の重圧にやられてた時期があった。

一年くらいごまかしごまかしやっていって、しんどかった時、2ヶ月くらいカウンセリングに通った。
住所見ていったら、普通のマンションの部屋で、なんか薄暗い部屋の中にアロマ的な蝋燭的なやつが置いてあって、占い師?ってなったのを覚えている。

この本でいうところの作戦会議のカウンセリングだったのだと思う。職場の上司が怖い。仕事で失敗するのが怖いと伝えた私に、なぜ怖いのか、実際に失敗したらどうなると思う?と問うた。

失敗しても結局なんとかなると自分でも思えていること、総合的なパフォーマンスを上げるために適度にサボるのはむしろ良いことだということなど、有益なマインドへの案内を受けた。

結局2ヶ月くらいで、症状が緩和したため終了となったが、あの時の体験が少しだけ掴めたような気がした。
専門家であるが故に、心について慎重な対応を強く意識していたことは考えてみれば当たり前なのだが、はっとさせられる。

「カウンセラーのもっとも重要な仕事は、自己と心と世界のどの部分を、どれだけ変化できるか/させるかを判断することにあります。これを間違えて、心のせいじゃないものまで心のせいにしてしまうときに、カウンセリングは暴力になってしまいます。」

新書のはずだけど、実例にはかなりの臨場感があり、ハラハラしながら読んだ。

どうしてもお金や時間の問題は出てくるが、そのうち冒険に出てみたいなとも思う、今日この頃である。


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2026年01月09日

Posted by ブクログ

本書は、「カウンセリングとは何か」という根源的な問いに対して、原論を生み出そうとする試みである。

とても特徴的だと思ったのは、クライアントの立場に立って「カウンセリング」を説明をしてゆくことである。そのため、クライアントはユーザーと呼称される。また、各章にエピグラフがあったり、具体的なエピソードが交えられたりする。このような工夫が用いられたのは、社会からのまなざしから、あるいは読者のまなざしから「カウンセリングとは何か」を記述するためであろう。
この工夫が功を奏しており、新書にしてはページ数が多いものの、さまざまな人が手にとっているのだと思う。初学者である自分も楽しみながら学ぶことができた。
新書で、筆者に案内されるのではなく、筆者とともに冒険をするような書籍は初めてだった。

カウンセリングという、一般的な用語であるにも関わらず、いまいち輪郭の掴めないモノの輪郭を浮かび上がらせる、意欲的な論考である。


(それにしても、第5章のエピソードの筆致は、西加奈子を思わせるものがあったなあ...と思うのは自分だけだろうか)

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2026年01月09日

Posted by ブクログ

やばいめちゃくちゃ面白くて寝不足になった
心についてかつてこんなに深く考えたことがなかったから目から鱗なことばかりだった。思い当たる節がある事例もいくつかあって、あの時の破局画が今に繋がってるのかーとか嵐起きたなぁとか、そのあとスッキリしたなぁとか思い出しながら読んだ。
終わりがあることで人は変わる。とても良い言葉だと思った。また、仕事に追われて周りが見えなくなる時ほど休養が大事だよね
やすみます

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2026年01月08日

Posted by ブクログ

私は大学院で大魔術師たちが理解できなくて、結局社会的な支援の道に行きましたが、あの時、大魔術師たちの仰られることを理解できなくても良かったんだ、そういうことだったんだと、心がスッとしました。東畑先輩ありがとうございます。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

冒険としてのカウンセリングの章からは、ずっしりとどっしりと心に重くのしかかってくる内容だった。
ハルカさんとのカウンセリングを通して自分の中にも終わらせていない物語があることに気付けて良かった。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

カウンセリングの基本的な考え方がわかりました。この仕事はなかなか大変ですね。とくに冒険としてのカウンセリングは、カウンセリングする側もかなり精神的に参るのではないかと思う。

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ良かった。
本書は、カウンセリングというものを体系的に整理し、原論を導き出そうというもの。
専門知識が土台にありながらも、社会側(ユーザー側)における位置づけとして整理することで、素人にも読みやすい読み物となっている。
また、架空のユーザーが登場し、実際のカウンセリングの様子をエピソード仕立てで要所要所に配置されていることで、感情移入しやすく、惹きこまれる。
かといってただの小説や物語になっているのではなく、理論も語られていて、読者を引き込む物語と理路整然と整理された論文調のバランスが素晴らしいと感じた。
本人も語られているが、まさに東畑先生の集大成でありその達成感を感じた。
レベル感は全く異なるが、自身が大学院で研究論文を書いた時の感覚に近いのかなと勝手に考えていた。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

消費する側として最近興味が出てきていた「カウンセリング」。よく分からないまま放置するのが嫌で、まずは大枠を理解してみたい、という人にはうってつけだと思う。専門的な話が極限まで分かり易く噛み砕かれた状態で整理されている。社会的な認知のあまり進んでいない分野だからこそ、今これを読み、カウンセリングについて知ることの価値は大きいと思う。
「人にざっくり説明できる状態」を理解深度のボーダーの一つとして置いているので、本書はそれを達成するうえでも理想的だった。

読書の幅を広げるという今年の目標に対して、良いスタートダッシュを切れた気がして嬉しい。2026年は色んなことを知る一年にする!

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

心を変えるカウンセリングという魔法の探求書

日常で見聞きするスクールカウンセラやソーシャルワーカーのイメージとフロイト、アドラー等々の書籍で紹介されるカウンセリングには距離を感じていたが、それぞれ「作戦会議としてのカウンセリング」と「冒険としてのカウンセリング」という分類が非常に分かりやすかった。

作戦会議としてのカウンセリングは、著者の他書の「聞いてもらう技術」「ふつうの相談」の内容に通じる、聞いてもらうことや聞いてもらう場の価値をあらためて感じ、自分の日常や周囲の人との関係を振り返ることができた。

冒険としてのカウンセリングは、抱えている問題から生まれる転移などによる再現に対して、カウンセラーが(それぞれの持つ様々な理論によって)相手を揺らすことで変化を生み出すという感覚が非常にしっくり来た。それを冒険とよぶことも、冒険が仲間の助けを借りることはあっても、誰かにしてもらうことではなく自分でするものであることから、なるほどと感じた。


また、著者の提案するカウンセリング自己⇔心⇔世界モデルも、心に関する問題を、どのような問題ととらえて、どうアプローチするものなのかを考えるツールとして、非常にわかりやすく感じた。
自身がこれまで学んできた心理学やカウンセリングの知識を俯瞰して見通し一体的に考えることができるように感じた。

具体的には、このモデルは、多様な理論から共通的なコア概念を抽象化することでシンプル化しつつ、それぞれの位置づけと境界面に注目している。
まず自己は、各理論で身体性や生理学的反応、深層心理、末那識といった言葉で言われるものを自己と括ってシンプル化していると考えられる。
問題への対処を考える臨床的には、このシンプル化は、非常に見通しをよくしているように感じる。心は、意識できていること。世界は、環境そのもの。それぞれとの関係性を”調整”することを治療としていることも、いろんな理論のマッピングを考える際に非常に分かりやすく感じた。

自分自身が、カウンセリングを世界の解釈を変えるもの揺さぶるものととらえすぎて身体性をうまく理解できずにいた。しかし、現在では身体性と心と世界を一体に受け入れることの重要さを深く感じている考えとも一致し、このモデルを分かりやすいと感じた。

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2026年01月18日

Posted by ブクログ

著者の本は何冊か積ん読になってて,初めて読んだ。20年の臨床家としての集大成。臨床心理学+医療人類学という独自の視点が為せる業ですね。
作戦会議としてのカウンセリングと冒険としてのカウンセリングという大枠の中で,自己-心-世界モデルに基づいた介入の技法としてのカウンセリングが整理される。
科学的変化と文学的変化。
カウンセリングは心の非常事態を扱う技法。
個人の物語。
カウンセリングとは何であったのか。
→過去化すること。
話すことは離すこと。

心の時代から生存の時代へ。確かに時代は変わったけど,そういう捉えかたはできてなかった。全ては繋がってるなぁ。ここでも問題は近代なのだ。

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2026年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

例として架空のハルカさん実存的な苦しみから逃れるため鎧をまとい内面が死んだように生きる人生に向き合い8年もの長きに渡り冒険としてのカウンセリングを受けた。結果、夫と別れ、恋人と別れ、母と疎遠になった。人との別れを経験しそのたび心を前に進めていけるということは理解できるけど、本当にそれでよかったのかな。本当の自分の人生を生きるっていばらの道だなと感じた。「カウンセリングとは何だったのか」答えは書いてあったけど、私にはわからなかった。

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

 カウンセリングとは近代社会を生きる上で起こる個人の歪みに対して、心身の生存と個のナラティブの両面にアプローチするものだと理解できた。自分の身に起きたことを物語化する事で分離させ、それを他者が解釈するという営みは傷を癒したり新たな視点を得る作用がある。これは日常的に友人や家族とも出来得るけれど、転移が起きた際に最後までとことん付き合ってくれるのはやはりプロにしか為せない技だと思った。

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2026年01月03日

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