あらすじ
人生の変わる場所──。
カウンセリングが、いま社会へとひらかれる。臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔。
■精神分析、ユング心理学、認知行動療法、家族療法、人間性心理学──
バラバラに乱立する心理学を俯瞰し、メタな原論が示される。
■身体を動かす、世界を動かす、からだを動かす、視点を動かす、心を揺らす──
カウンセリングは聞くだけじゃない。アクティブに5つの介入がなされる。
■いかに生き延びるか、いかに生きるか──
カウンセリングには二つのゴールがある。生活を守ることと、人生をちゃんと生きること。
「カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさのなかで、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。」──「5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える」より
【目次】
まえがき ふしぎの国のカウンセリング
第1章 カウンセリングとは何か──心に突き当たる
第2章 謎解きとしてのカウンセリング──不幸を解析する
第3章 作戦会議としてのカウンセリング──現実を動かす
第4章 冒険としてのカウンセリング──心を揺らす
第5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える
あとがき 運命と勇気、そして聞いてもらうこと
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ついに読みました…
本を読む一番の理由は実は一種の自己カウンセリング的なことだったりすると気づかされたりしながら、だからこそこの本でも何か解を求めてしまうのだけれども、ああ、きっとこれは永遠だろうなーとうすうす気づかされる…。
専門的にカウンセリング受診するかしないか、通院を終えるかどうか、という選択それ自体も
悩みの一部でありその人の心理状況を映すものでもあり、
そして終わったとしても次がまた始まっていて、、、
大きな物語と小さな物語…の渦中で…
なんだか逃れられない何かを感じました。
Posted by ブクログ
カウンセリングユーザーとして読みました。
破局を生き延びる経験によって、生き方の核の部分に変化が生じる。(P.235)
約1年程度ですが、時に苦しみ、適応障害スレスレをなんとか生き延びた自分としては、この言葉は大きな実感を伴うものでした。
本書では「生存」と「実存」という区別が繰り返し語られます。
• 生存…とにかく生き延びること
• 実存…どう生きるかを見つめ直すこと
生存は時に、実存を犠牲にする。(P.247)
自分を押し殺して日々をやり過ごす──そんな経験がある人には、この言葉はきっと深く刺さるはずです。「どう生きるか」は決して贅沢ではなく、誰にとっても切実な悩みだと感じました。
もちろん、「カウンセリングに行け」と無責任に勧めることはできません。
それでも、本書を読んで心がどう動くのか、どう感じるのか。
その"揺れ"そのものに、価値があるんじゃないかと思います。
Posted by ブクログ
カウンセラーの頭のなかを覗くことができる。
(p.424)カウンセリングとは何か。それは生活を回復するための科学的営みでもあり、人生のある時期を過去にするための文学的営みでもある。カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさの中で、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。
本当に最後の一節を抜粋したが、ここに書かれている意味が通読してようやく自分の頭の中で腑に落ちるような感覚を得られた。
3つの事例(脚色事例)をもとに、筆者のカウンセリングを眺めることができる。実際にたくさんのクライアントに対してカウンセリングを行ってきた筆者だからこそのリアリティがすさまじく、まるでその場に第三者としているかのよう。きっとこの人の文体が自分にあっていたのだろう。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かった。
本書は、カウンセリングというものを体系的に整理し、原論を導き出そうというもの。
専門知識が土台にありながらも、社会側(ユーザー側)における位置づけとして整理することで、素人にも読みやすい読み物となっている。
また、架空のユーザーが登場し、実際のカウンセリングの様子をエピソード仕立てで要所要所に配置されていることで、感情移入しやすく、惹きこまれる。
かといってただの小説や物語になっているのではなく、理論も語られていて、読者を引き込む物語と理路整然と整理された論文調のバランスが素晴らしいと感じた。
本人も語られているが、まさに東畑先生の集大成でありその達成感を感じた。
レベル感は全く異なるが、自身が大学院で研究論文を書いた時の感覚に近いのかなと勝手に考えていた。