東畑開人のレビュー一覧

  • 聞く技術 聞いてもらう技術

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    ネタバレ

     人の話が聞けない状態なのは自分も聞いてもらえていないから・・・とてもすとんと来る。自分が思いを人に聞いてもらえていて初めて、誰かの話を聞けたり支えたりできるのだ。昔は周囲との距離が今より近くて、お互いの愚痴やため息を聞くことができた。今は人付き合いのわずらわしさが先に来て、自分の弱さを人に見せることができなくなっている。
     いいなあと思ったのは、「聞く」から始めても「聞いてもらう」から始めても、どちらでもいいという点。結局自分の周りが聞いたり聞いてもらったりという人間関係で守られている状態、それができるのが望ましいわけだから、どちらから始めても結局同じですよという考え方。とてもいいと思う。

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    2025年08月28日
  • 心はどこへ消えた?

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    大きな物語に飲み込まれ、小さな物語が見えなくなっている。しかしカウンセリング室には様々な人がやってきて、小さな物語が確かに存在している。クライアントは自分がなぜ不調に陥っているのかをわかっているつもりでいるが、著者という他者に心を預かってもらうことで、行動の背景にある本当の心に気づいていく。直面するのには痛みを伴うが、心理士は一緒に様子を見る。クライアントが次に進めるよう別れの時まで見守り続け、それを繰り返していく。 ユーモラスな文体。クライアントの行動の背景にあるものを垣間見た時ハッとした。面白い。

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    2025年08月11日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    ポッドキャストやTwitterでも話題でずっと気になっていた本。
    読むことになったのはケアする必要を感じたから。

    この本には、おせっかいの方法を求めていたけれど、それ以上になんだか励まされたような気がした。

    生きていることのほとんどがケア。
    心理学は、教員免許のためにとった数コマでしか勉強していませんが、全人類に必要な教養だと思った。もっと知りたい。
    社会がもっと気づくべきなのだ。

    優しい、多くの人におすすめしたい本。

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    2025年08月04日
  • 心はどこへ消えた?

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    序文とエピソードのギャップでいきなり心を掴まれました。
    1つ1つの短いお話の中でも二重人格…?と疑うくらい文章に波があって面白く、なのになぜか1つの話を読み終わった後に毎回種類の違う余韻が来て、(良い意味で)サクサクとは読み進められず、毎日少しずつ読み進めるのが楽しみになっていました。
    時代の変化なのか、自分が歳を重ねたことによる変化なのかはわかりませんが、日常生活で相手の心に想いを馳せることが少しずつ減ってきたような気がしていて、それを優しく楽しく思い出させてくれた作品でした。

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    2025年07月20日
  • 心はどこへ消えた?

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    心理士である著者が行うカウンセリング、その1つひとつのエピソードと、そこから著者が感じた「心」についてのエッセイ集。
    心理学、心、というと、興味はあるが読み解くにはとても深遠なものであり、その関連書はさくっと読めるようなものではない、というイメージがあった。
    だから、この本はそんな「ふつうの」感覚を持った人たちにはぴったりの本だと思う。
    エピソードに登場するクライアントの境遇や性格はさまざまだが、共通して言えることは、人間はそんなに立派なものでもなければ、表に出ているものがすべてではない、そんな陳腐なことを思った。
    ふだんは他者のそんな「心」が見えない。それが、カウンセリングを通じて、生々しい

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    2025年07月20日
  • 聞く技術 聞いてもらう技術

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    とっても良かった!小手先の技術も本質の技術も、どちらも当たり前のことを言っているだけだけど、やっぱりお話しする、聞いてもらう、聞くことは心を軽くするために大事。当たり前の感想だけど笑 聞くことを意識する時の話とか、まさに心当たることも多くとても参考になりました。心理学部だったこともあり「聴けていない」を気にすることも多かったけど、ちゃんと「聞く」から始めたいですな。

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    2025年07月15日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    ケアする人にもケアは必要。
    きくの種類、理解する方法、必要なおせっかい、
    専門的でありながら、素人にも分かりやすくユーモアに解説された心理学本。

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    2025年07月13日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

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    「野の医者」とは、とくに沖縄に多いスピリチュアル系の癒やしを提供している人々を指す。ヒーリングやコーチング、さらにはマッサージや占い、アロマテラピーといったいくつかのサービスと組み合わされているのが特徴である。そこに京都大学で心理学の博士号を取得し、臨床心理士として従事してきた著者がアプローチしていく。

    野の医者たちはほとんどが中年女性であり、面白いほどに共通点を持っている。若くして結婚・出産・離婚を経験して経済的に恵まれずに、自宅をサロンとしてBlogやSNSなどで集客しているパターンである。そして野の医者たちは施術者であり患者でもある。つまり、自らが癒やされる経験やプロセスを経て、他の人

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    2025年06月27日
  • 聞く技術 聞いてもらう技術

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    とても優しい本で心が温かくなりました。
    人の話を聞くためには、自分も人から話を聞いてもらう必要がある。

    人を孤立から救うためには、カウンセラーといった専門家のちからより、日常のなかで人々が近しい話を聞き、聞いてもらうという連鎖が生まれる環境の方がよっぽど大切。

    「やさしくされることでしか、人は変われないし、回復できません」というのは真理だと思う。

    まずは周りの人の話を聞くことから始めようと想いました。

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    2025年05月28日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

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    アカデミックな内容なのにフランクで人間味マシマシな体温溢れる文書で書かれているのが面白い。東畑さんが面白いからツイツイページが進んでしまう。そして、臨床心理とスピリチュアルヒーリング(野の医者)を相対的に観察しながらも、癒すとはどうゆう事なのかを問うとても惹き付けられる内容だった。

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    2025年05月24日
  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?

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    ネタバレ

    「技法というのは結局空っぽの容れ物なのだ。そこに好きな思想を詰め込んで、それぞれの治療がなされる。」(p.212)が、心理療法は科学的で優れていると盲目的になっていた自分に非常に心に刺さった。

    臨床心理学、特に心理療法にはそれぞれの世界観や価値観があり、創始者の思想や信念、価値観が大いに含まれているという点では「野の医者」と同じであるが、定説や常識と呼ばれるものを疑い、確認してみるということを繰り返す「学問」という側面を持っている点に違いがある。「良くなるとはどういう状態なのか」「心理士は何をして人の心を癒していくのか」について自問自答していきたいと思えた。

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    2025年05月17日
  • 聞く技術 聞いてもらう技術

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    孤立とはどういう状態か
    孤立しているときには、僕らは「ひとりぼっちだ」とか「寂しい」とは思えません。
    みんなから馬鹿にされているとか、自分なんてダメ人間だとか、死んだほうがいい
    とか、心の中には自分を責める声が吹き荒れています。
    そこには想像上の悪しき他者がいます。
    カウンセリングをやっているとよくわかるのですが、「寂しいです」とクライエン
    トが言いはじめたときって、そういう悪い他者たちがふと消えて、静かになったとき
    なんですね。
    心の中を飛び交ううるさい声が消えて、ポツンと一人でいる自分に気が付く。する
    と、「ああ、私は寂しかったんだ」と思える。
    これが孤独です。
    ですから、「寂しい」と語ら

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    2025年05月17日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    すごく面白かったし勉強になった。
    身近な人が調子悪い時にどんなことが起きているのか、
    どうやってケアしていったら良いか、ケアをし続けるにはどうしたら良いのかということが優しく、理論的に書かれている。

    PS/Dポジションは、まさに自分の心が荒れている時の症状で、自分の中で起きてることが客観視できた。

    結局ケアされる側もする側も人との繋がりが大事なんだなと思った。
    人とのつながりが苦しくなっているのは、繋がることが嫌いなのではなく上手く繋がれてないんだろうなと。

    心が弱った時に何度も読み返したい本。

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    2025年05月16日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    ネタバレ

    この本のキーポイントは「ほどよく」と「わかる」でしょうかね。
    大事なセンテンスは太字になっているのですがどれも確かに書き留めておきたいような大切で本質をついた言葉ばかりです。
    全文実際に行った講義をもとにしているので喋り言葉で文章が綴られているので、読んでいるけど語りかけられているような読み心地で大変読みやすいです。
    読みやすいので理解もしやすい。平易な言葉で染みるように入ってきます。雨の日というだけあって水のように浸透力バツグンです。

    ケアはまずモノやカラダという環境からしていって、ココロはその次というのはとても的確だと思いました。
    確かに言われてみるとそうだな、と思いました。
    心身が疲れ

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    2025年05月08日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    心のケアは素人によるものが多い

    この視点は私にはありませんでした。
    素人だから話を聞くことしかできなくて、相手の役に立っていないと思っていました。
    でも、振り返って、この世の中の心のケアは、素人に支えられてできているところもあることがわかりました。
    自分をちょっとだけ誇りたいと思います。

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    2025年05月05日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    ネタバレ

    人と関わっていると、どんどん相手がわからなくなるし、正直放り出したくなる。そんな自分に嫌気がさすし、なんで人はこんなに勝手なんだと絶望する。でも、きっとそれでいいんだろうな、しんどいけど。一生手元に置きたい本ができた。

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    2025年05月05日
  • 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

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    自分の悩み、他者の悩みについてのアプローチを技術的に考えるのにとても参考になる本でした。雨の日、特にケアを必要とする時、目に見える成果は見えにくい。そんな時のケアする人を支える本だと思います。ケアって本当に当たり前にあって評価されにくい。だから疲れちゃうけど疲れたとも言いにくいんですよね。楽しく読む筆者の文章がとても好きです。

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    2025年05月05日
  • 心はどこへ消えた?

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    非常に素晴らしいエッセイだった。

    日常のたわいもない話とカウンセリングの話と、ふしぎなかたちで混じり合い、気持ちのよい読後感へといざなってくれる。

    久々によいテキストを読んだ感触がある。
    藤田翔平のテキストを以前読んだ気持ち良い読後感と同様な感じを感じた。

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    2025年05月03日
  • 精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門

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    精神分析はなんだかよくわからなくて、専門知をもった人たちによって実践されるものだという考えがあり、精神分析の技法をなんとなくの感覚で使ってきた。この本で言及されているPOSTは精神分析の技法等を含みつつも、より現実に即しながら臨床実践を可能にするためのエッセンスが書かれた良書という印象を受けた。大学院での実践の中で臨床に関わり始めた身としては、非常に学びになることが多かった。今後の自分の臨床での活用に役立てられそうだと感じた。

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    2025年05月03日
  • 心はどこへ消えた?

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    『正欲』を解説の言葉に惹かれて本を購入。
    結果、とてつもなく面白かった。
    心の動きを丁寧に間欠的に面白く、時に深く悲しく書かれていた。
    人間味のある禁煙日記は大好きだ。日常系ギャグ漫画みたいに笑いながら読んだ。とあるクライアントの話には泣きながら読んだ。心が動く。
    この本を読む間は、物語を読む自分の心の動きに注目し、大切にすることが出来た。友達にも送りたい本No.1である。

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    2025年04月29日