東畑開人のレビュー一覧
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ネタバレ人の話が聞けない状態なのは自分も聞いてもらえていないから・・・とてもすとんと来る。自分が思いを人に聞いてもらえていて初めて、誰かの話を聞けたり支えたりできるのだ。昔は周囲との距離が今より近くて、お互いの愚痴やため息を聞くことができた。今は人付き合いのわずらわしさが先に来て、自分の弱さを人に見せることができなくなっている。
いいなあと思ったのは、「聞く」から始めても「聞いてもらう」から始めても、どちらでもいいという点。結局自分の周りが聞いたり聞いてもらったりという人間関係で守られている状態、それができるのが望ましいわけだから、どちらから始めても結局同じですよという考え方。とてもいいと思う。 -
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心理士である著者が行うカウンセリング、その1つひとつのエピソードと、そこから著者が感じた「心」についてのエッセイ集。
心理学、心、というと、興味はあるが読み解くにはとても深遠なものであり、その関連書はさくっと読めるようなものではない、というイメージがあった。
だから、この本はそんな「ふつうの」感覚を持った人たちにはぴったりの本だと思う。
エピソードに登場するクライアントの境遇や性格はさまざまだが、共通して言えることは、人間はそんなに立派なものでもなければ、表に出ているものがすべてではない、そんな陳腐なことを思った。
ふだんは他者のそんな「心」が見えない。それが、カウンセリングを通じて、生々しい -
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「野の医者」とは、とくに沖縄に多いスピリチュアル系の癒やしを提供している人々を指す。ヒーリングやコーチング、さらにはマッサージや占い、アロマテラピーといったいくつかのサービスと組み合わされているのが特徴である。そこに京都大学で心理学の博士号を取得し、臨床心理士として従事してきた著者がアプローチしていく。
野の医者たちはほとんどが中年女性であり、面白いほどに共通点を持っている。若くして結婚・出産・離婚を経験して経済的に恵まれずに、自宅をサロンとしてBlogやSNSなどで集客しているパターンである。そして野の医者たちは施術者であり患者でもある。つまり、自らが癒やされる経験やプロセスを経て、他の人 -
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ネタバレ「技法というのは結局空っぽの容れ物なのだ。そこに好きな思想を詰め込んで、それぞれの治療がなされる。」(p.212)が、心理療法は科学的で優れていると盲目的になっていた自分に非常に心に刺さった。
臨床心理学、特に心理療法にはそれぞれの世界観や価値観があり、創始者の思想や信念、価値観が大いに含まれているという点では「野の医者」と同じであるが、定説や常識と呼ばれるものを疑い、確認してみるということを繰り返す「学問」という側面を持っている点に違いがある。「良くなるとはどういう状態なのか」「心理士は何をして人の心を癒していくのか」について自問自答していきたいと思えた。 -
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10年ほど前に心理学に興味を持って、心理カウンセラー系資格の通信講座を受けたことがある。
教材を読み進めうちに、”これって心理学っていうかスピリチュアルでは?”と胡散臭い気持ちになって辞めてしまったのだけど、この本を読んで、改めて心理学とスピリチュアルは紙一重な部分があるなと思った。
実際にスピリチュアル系の施術で元気になる人もいるのだから、それはそれでいいと思うし、誰にでも効果があるような完璧な心の治療法なんてないよな。
私自身、人生で一番落ち込んだとき、占いに行って話を聞いてもらい号泣しスッキリしたこともあった。
元々占いを信じてないのでその後通うことはなかったけど、救われたのは事実で -
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著者作「コラージュ」を前書きと目次の次に持ってくるところにセンスを感じる。
得体の知れない匂いのする題名のわりに、この本のテーマは明確だ。「野の医者と、私たち臨床心理士の違いはないにか?」大学では、心理学や現代医学が絶対的な真理であるという考えの中で心理学を学ぶ。しかし、本当にそうなのか。「現代医学はいくつもある文化の一つなのではないか。沖縄に偏在するスピリチュアルな治癒者が、沖縄文化の産物であるのと同じように。」この問いは、著者の沖縄でのフィールドワークの中でだんだんと形作られ、やがて一つの答えが生まれる。「現代医学は野の医者を嘲笑することはできない。形は違えど、どちらも数ある文化の一面だ -
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ネタバレ【行動認知療法はストア派哲学だった】
認知の仕方、考え方に介入するこで行動の変容を促すような現代の治療法である行動認知療法(CBT)。20世紀ごろから科学的、臨床的に発展してきたこの治療法のようですが、まさにストア派哲学の教えに多くの点で通ずるところがあるということが本書を読んでわかりました。
これまで、マインドフルネスなどは東洋哲学が起源だとの認識が一般的にあったかと思いますが、著者はこの本により、西欧にも同じような考え方の起源があり、またそこから今日の行動認知療法へのインスピレーションを得られるのでは、との動機で本書を書かれたようです。
古代哲学は、医療であったこと。哲学者は、 -
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面白かった。
アメリカではADHDと診断されてリタリンを処方され治療プログラムを組まれる子が、沖縄ではマブイを落としたと言われマブイグミと呼ばれる魂を込め直す作業をするかもしれないし、アフリカの狩猟民の世界では勇敢な狩人とされるかもしれない。
健康って何だろう。治療って何だろう。そんなことを考えさせられる本だった。
この本の結論としては、
・なにをもって「治癒した」といえるのかは、治療法によって異なる。
・「治癒」とは、ある生き方のことで、特に「心の治療」とは生き方を与えること。
・治療とはある文化の価値観を取り入れて、その人が生き方を再構成すること。
・治癒も生き方もひとつではない。臨床心