東畑開人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すごい本に出会ってしまった。
いちばん感動したのは、カウンセリングに対して何の知識もない自分でも全く飽きることなく最後まで一気に読み切れる作品だったこと。書かれている内容以前に読者を惹きつける文章力にただただ驚愕。
もちろん内容も素晴らしかった。特に、「自己ー心ー世界モデル」を知れたことはこの本を読んでみて一番の収穫。カウンセリングとは何か以前に心とは何かという問いにここまで明快な答えをもらえるとは思ってもみなかった。数学の公式や定理を始めて知ったときのような感覚を味わい、そして、現実世界との向き合い方も学ぶことができた。これは私にとっては自分の生き方、あるいはこの本でいうところの実存にも影響を与えてくれるほどの衝撃だった。
カウンセリングのユーザーは今後間違いなく増加する。その相手がプロのカウンセラーなのかAIなのか、占い師なのか、サークルなどの集まりなのかはわからないけど、自分がほんとうのことを話せる相手をより多くの人が必要としている。カウンセラーにはなれないけど日常生活の中でそうした人たちの助けになりたい。本の内容が良すぎて、読後にこんな青くさい感想が出てきてしまいました。おすすめです。 -
Posted by ブクログ
カウンセリングとは何か 変化するということ
著:東畑 開人
出版社:講談社
講談社現代新書 2787
カウンセリングとは何かを語る書である
カウンセリングの全体像を明らかにし、心というものがいかに変化するのかを明らかにする。
前振り:カウンセリングは怪しい
カウンセリングは誰でもやっていることだ
カウンセリングは宗教や占いみたいものだ
カウンセリングという言葉は特に規制がないので、誰でも自由に使っていい
⇒臨床心理士、公認心理師という臨床心理学の専門家が本書のカウンセリングの対象である
カウンセラーの系譜
①力動学派 フロイトの子孫たち
②認知行動学派 行動をターゲットにした行動療法
③人間性心理学派 人と人との出会いに治療的な価値を見出す 「カウンセラーは話を聞く人」
④システム論学派 外部にある人間関係に問題を見出し、それを変更していこうとする学派
自己・心・世界
①自己 コントロールできないもの、私の中の「非私」
②世界 物理的外界、社会、他者など、自分の外側にある環境
③心 自己と世界の中間にあり、その2つの間を調整する装置
カウンセリングで話を聞くのは、理解するためにである
初診のことをインテーク面接という
インテーク面接の時間構造
①面接するまで 創造を巡らせる
②情報収集と解析 最初の40分
(表面)
・問題歴 過去をさかのぼる
・モチベーション 未来とつながる
・リソース 現在を確認する(①経済的リソース、②社会的リソース、③心理的リソース)
(裏面)
・破局度の評価(火急性/不急性、外部性/内部性、現在性/歴史性)
・問題の所在(カウンセリングでどこを変化させるか、外部にあるのか、内部にあるのか)
・物語化 問題の全体的メカニズム(心の置かれている全体状況、心の動き方)
③物語の処置 次の10分
問題をどう理解したかを整理し、共有する
④戦略の交渉 最後の10分
今後について話し合い
2つのプラン
①作戦会議としてのカウンセリング
②冒険としてのカウンセリング
カウンセリングの2つの目標
①生存:困難な状況で生き延びる
⇒日常を建ち直すこと、毎日を維持すること、破局の脅威から守ること
⇒作戦会議としてのカウンセリング
②実存:その人独自の生き方のこと
⇒誰と共に生きるか、何のために生きるか
⇒冒険としてのカウンセリング
生存の脅威が除かれたときに、真の問題が現れることがある
作戦会議としてのカウンセリング⇒解決⇒冒険としてのカウンセリングと いう流れ
5つの介入
A:バイオロジカルな介入:現実を整える
身体を動かす(医療、休養、運動+生活リズム)
B:ソマティックな介入:現実と付き合う
からだへの配慮、記憶への対処
C:サイコロジカルな加入:心を揺らす
D:コグニティブな加入:現実と付き合う
視点を動かす、だめなら、認知を変える
E:ソーシャルな介入:現実を整える
暴力を止める、通報する、安全な環境を与える
スタート:作戦会議としてのカウンセリング
(外部要因が原因)
A+E 外部環境を変える
(内部要因が原因)
B+E 内部環境を変える
これで生存の脅威が消え、安全を確保できた
カウンセリングの終わり
出国ゲード ⇒ 「作戦会議としてのカウンセリング」は解決
内陸部ゲート ⇒ 「冒険としてのカウンセリング」へ
実存は、生存を前提とする しかしながら
生活を守ることで、人生が死んでしまうことも ⇒ 生きているけれども、死んでいる
心の深層 C:サイコロジカルな加入:心を揺らす
最も奥には、スライムのようなドロドロとして形が定かでない心がある
そして、その周りには、スライムを守るヨロイがある
2つの心を併せ持つ、一部は大人の心、一部は子どもの心
心を揺らす、とは
ヨロイを緩めること
スライムを生き直すこと
冒険としてのカウンセリングとは、生存を保証されているから、解決には長期になる
インテーク面接に加えて、アセスメント面接をする
①生育歴インタビュー
②契約面接:どういうやりかたでカウンセリングをするかを書面で合意する
冒険としてのカウンセリング、4つの段階
①晴れの船出:信頼の構築
②雨雲が集まる:転移の発展
③嵐の夜:破局の危機
④凪いだ朝:心の再出発
カウンセリングはどういうふうに終わるのか
終わりたくなる
終わりを話し合う
終わるまで会い続ける
①終わりなき終わり:終わっているけど、終わっていない
②終わり切る終わり:計画的に終わる終わり
③はじまらなかった終わり:インテーク面接だけで終わる⇒カウンセラーとしては失敗
④終われなかった終わり:困ったらいつでも会えるようにしておく終わり
生存を可能とすること
実存を模索すること
目 次
まえがき ふしぎの国のカウンセリング
第1章 カウンセリングとは何か──心に突き当たる
第2章 謎解きとしてのカウンセリング──不幸を解析する
第3章 作戦会議としてのカウンセリング──現実を動かす
第4章 冒険としてのカウンセリング──心を揺らす
第5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える
あとがき 運命と勇気、そして聞いてもらうこと
ISBN:9784065411957
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:448ページ
定価:1400円(本体)
2025年09月20日 第1刷発行
2026年02月06日 第7刷発行 -
Posted by ブクログ
「カウンセリング」という曖昧模糊とした、掴みどころのない分野について、その全体象を理路整然と言語化しようという、おそらく無謀な挑戦、試みだったろうと思われるが…「カウンセリング」というものを科学(サイエンス)として客観的にその全体像が理解できた、ということだけではなく、生きることとは自分、他者、社会と交わり、そして折り合いをつけながら変化し続けること、であると感じられた。単に知ること、理解することだけではない、もっと迫ってくるものがあった。
自分がカウンセリングを受けているわけではないが、全体像を理解できることだけでも、「こう考えたらよいのかもしれない」と自然と自分自身のこととオーバーラップさせながら読み進めたように思う。感情移入してぐっと胸に迫るシーンもあった。
カウンセリング自体に興味がなくとも、行くことを考えてみたことがなくとも今を生きる社会人は読んで損はない作品。みな、大なり小なり悩みを抱えて生きているものだし、その悩みとの向き合い方について客観的な視野を持てることは大変有用ではないか、と思った。