ブレイディみかこのレビュー一覧

  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2(新潮文庫)

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    前作に引き続き、今作も素敵なエッセンスが詰まった作品だった。
    複雑な家庭、そして環境下で生まれ育った息子君が、前作以上に眩しく思えた。
    友人や年に一度しか会えない言葉の通じない祖父母を想う、優しい心を持った青年へと成長していた。
    日本ではなかなか感じられない、イギリスが抱える多くの問題のリアルも知ることのできる本作、多くの人に読んでもらいたい。

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    2025年03月30日
  • 地べたから考える ――世界はそこだけじゃないから

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    これまでの著作の中から一部をを10代向けに再編した一冊。
    著者の考え方のエッセンスが分かりやすくまとめられている。

    自分の靴を履く、の前に自分の足で地べたに立つ(DOWN TO EARTH)ことが現代日本の私たちには必要であるという。
    日本の学校や社会は裸足で絨毯に乗らされている、との例えも上手い。
    自分自身もさながら、学校で子供と接する自身の仕事を振り返って考える部分もあった。

    自分の靴を履くために、私は本を読み、人と話す。自分の靴があって初めて、他者の靴を履くことができる。

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    2025年03月27日
  • 転がる珠玉のように

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    ブレイディみかこさんのような素晴らしい素敵なスピリットを持ったかたが、
    直近も、日々の生活に、
    体調不良に、コロナ狂想曲に、ロックダウンに
    家族の不調(死を覚悟するほどの)に、親の死という喪失に、
    フライトのディレイに、近隣との交流に
    悪戦苦闘し、気持ちは乱高下

    そう、人生は、日常は、転がり続けて止まらない。
    出会いと別れも繰り返し
    向き合い続けていく。
    乗り越え続けていく
    生を続けていく

    彼女の文章には、まさに背中を押してもらえるという気がする。毎作品

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    2025年03月11日
  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2(新潮文庫)

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    社会を信じることか…
    前作では、「エンパシー」他人の靴を履いてみること。があり、それを実現、現実化するには、幼少からその価値観に触れること。自然習得が一番なのかなと考えたりする。
    でも、現在大人たち世代に、その価値観を新たに育んでもらうことはなかなか難しい。思想とは思っているよりも頑固である。
    多くの人の心に「エンパシー」の芽が育つと、他者への寛容度が上がる。それはつまり、社会への寛容が広がることであり、社会を信じることなのではないだろうか…

    私は日本の教育しか経験がないから、日英でしか比較できないけど、そういう社会との繋がりのある教育を受けられることは羨ましいと思ってしまう。どこも表裏一体

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    2025年03月06日
  • 夜更けのおつまみ

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    31人の人気作家さんたちがそれぞれの夜更けのおつまみ語るというなんとも豪華でお腹が空きまくるエッセイアンソロジー。
    私はお酒は飲めないけど酒の肴と呼ばれるものが何より大好き。
    それぞれの作家さんの私だけのおつまみが沢山詰まっていて最高だったー✨
    共感できるおつまみもあれば初めて知るおつまみやお酒もあって面白い。
    この本を片手に晩酌するのも最高のおつまみになりそう

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    2025年02月24日
  • 子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から

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    「地べたから見るポリティクス」が彼女の心情なのだが、それに至ったのは保育園での子どもたち、その家族、スタッフとの数々の出会いだったことが明かされる本。みすず書房の本を読むのは久しぶりで、読めるか最初は少し不安だったが、読んでみるとブレイディさんのなめらかな文体はこの本でも健在で、澱みなく読み進むことができた。統計的な資料にもしっかり支えられていてさすがと唸らされる。出会いと豊富な読書量が彼女を強くしている。そして連帯は古き良き時代のカッコ悪いものでなく、今こそ必要で、静かにそれを望みたいと思った。

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    2025年02月19日
  • 両手にトカレフ

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    ブレイディみかこ、らしく英国の貧困に焦点を当てた小説。
    貧困家庭の少女が、金子文子という実在した日本人女性の自伝に書かれている少女と、自分を照らし合わせながら日々を懸命に生きていく話。
    主人公の少女がクールで非常にカッコ良い。

    本作はフィクションだが、主人公の少女を取り巻く環境はおそらく事実に基づいていることが多いと思われる。
    ブレイディさんの貧困をテーマにした本はいつも非常に解像度が高い。
    中流階級で生きる人からの、善意や褒める言葉が結果的に貧困階級の人を傷つけてしまうといったような、生きる階級が違うことによる隔たりが巧みに描かれている。

    とても面白い小説でお勧め。個人的には黄白青より面

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    2025年02月18日
  • 両手にトカレフ

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    ミアがしっかりしすぎて14歳?て読みながら何回も思った。薬物中毒者の母親と繊細な弟の面倒を見てて大人になるしかない状況だから辛いんだけどカジュアルな文体のおかげがいい意味で感情移入しすぎず(バッド入っちゃうと読めない)一気に読めた。状況は不幸だけどミアの視点は財産で羨ましい幸せになってほしい

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    2025年02月16日
  • 両手にトカレフ

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    金子文さんとミアの同時進行での子ども時代の辛い経験を読んで生きる意味や強さを知る。そしてこの2人の二重の辛さに読むスピードが遅くなる。この年齢になって生きる意味や人間関係を考えている自分は幼少期から今まで何不自由なく挫折する前に逃げていたし、辛いことや悩みなども避けていたので今になって目標もなくダラダラと底辺を彷徨っている。打たれ弱い人間、残りの人生を捨てているなぁと考えさせられる内容だった。

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    2025年02月10日
  • ワイルドサイドをほっつき歩け ――ハマータウンのおっさんたち

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    この本はすごくいい本です。みんなに勧めたい。
    ブレイディみかこさんの本は初めてです。軽妙に書かれてます。個性的で素直なおっさんがたくさん出てきて楽しい、みんな生きているんだ、友達なんだと、ばかりに。
    でも、実は硬派な社会学的レポートの面もある。ブレグジットや、緊縮財政によって、いかに彼らがたいへんだが、しぶとく生活しているのか、とても勉強になりました。世代、階級の話も、勉強になりました。日本もアメリカも、同じような側面がある。
    私も、ほっつき歩きたくなりました。

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    2025年02月03日
  • 両手にトカレフ

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    一気に読んでしまった。
    日本でも今では「ヤングケアラー」と言う言葉がよく聞かれるようになってきた。
    自身がまだ子供であるミアが、弟を食べさせるために自分が食べるのを我慢したり、世話をしたり。
    でも、チャーリーがいたからこそ、死んではいけない生きなければ、と思ったり。
    すごく苦しかった。
    ゾーイやレイチェルなど、信じていい頼っていい大人が近くにいるということ、まだミアの世界は変わっていけること、私も信じたい。

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    2025年02月01日
  • 両手にトカレフ

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    一気読みしてしまった。
    これでもかとキツくなる状況に胸が苦しくなる。
    福祉と大人と繋がれる機会があっても、福祉や大人に裏切られる傷つけられてきた過去がそれを選ぶことを出来なくさせる。

    大人として、エンパシーをもってこの小説を受け取りたい。
    そして今同じように苦しんでいる子どもにとって、この小説は救いになるかもしれない。ミアにとってのフミコのように。

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    2025年01月19日
  • 何とかならない時代の幸福論

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    私には政治的見解がありません。いくつになっても、自分の意見を語ることが苦手だし、そもそも意見がない。
    成績は良かったしテストはできたし、受験に失敗もしなかった。なのに、なぜなんだろうという長年の疑問にやっと、解決の糸口を見つけた気がした。
    今からでも、自分の考えを語れるようになりたい。ブレイディさんの見た、イギリスで必ず出てくるカウンターのような人に。そのためには、知るべきことがたくさんある。

    ・世間とは、知り合い、近所付き合い、同じ会社など、謎ルールで縛られる人たち。私が社会と信じていたもの。
    ・シンパシーとは、かわいそうだと同情すること。
    エンパシーとは、もっとフラットな気持ちで他人の立

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    2025年01月15日
  • 両手にトカレフ

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    弟を守るために、心を病んだ母親から、そして貧困から逃げずに頑張る中学生ミア。今日の食事にも困る中でも、弟のために頑張る姿が健気ですが傷ましい。
    そして青い表紙の本のフミコの自伝とミアの日常が重ねられながら進んでいく物語がハラハラしっぱなしでした。でもいつの場面でも心折れることなく弟のためにまっすぐに全力に頑張るミアは、痛々しくも応援せずにはいられません。何より自分で考え、自分をしっかり持っているミアが羨ましい。
    舞台がイギリスとはいえ、これは日本でも現在進行形だと思う。声を上げられない子供たちは今もどこかで闘ってる。
    「見ないふりをせずに、言い訳をせずに、何かをしなくてはいけないのは大人たちの

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    2025年01月13日
  • 両手にトカレフ

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    残念だけど、ミアもふみの気持ちはわたしには分かることができない。
    だけど、ミアは最高にクールだし、強くて弱くて、ミアとも一緒にわたしは生きたい。
    自分の価値は自分で決める
    これってすごく難しい。
    でもそうして生きていきたいし、そこに価値を見出せる人を育てたい。
    わたしが育てたい人はそれかも。
    そして、違う人を、わかりたい。
    ウィルのせりふ、最高。
    わからないから知りたい。わかる努力をしたい。だって人間はわからないことをわかるようになりながら、生きていくもんだよね?
    そうだよね。そう思う。
    わたしもわからないことをわかるようになりながら、生きていきたい

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    2025年01月11日
  • 両手にトカレフ

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    最初から最後まで、胸が締め付けられるような展開でした。金子文子の自叙伝が効果的で、最後の方はずっと涙が止まらなかったです。社会からいないことにされている人たちにスポットが当てられています。

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    2025年01月11日
  • 地べたから考える ――世界はそこだけじゃないから

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    【目次】

    はじめに
    プロローグ:花の命はノー・フューチャー

    1.子どもの情景

    子どもであるという大罪
    ガキどもに告ぐ。こいのぼりを破壊せよ
    RISE 出世・アンガー・蜂起

    2.地べたからみた社会

    石で出来ている
    君は「生理貧困,ミー・トゥー!」と言えるか

    3.英国という鏡

    ヨイトマケとジェイク・バグ
    どん底の手前の人々

    4.地べたからみた世界

    キャピタリズムとは
    ウーバーとブラックキャブとブレアの亡霊
    歴史とは

    5.他者の靴を履いてみること

    誰かの靴を履いてみること
    エンパシーの達人,金子文子
    自分を手離さない

    エピローグ:おりません、知りません、わかりません
    おわりに

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    2025年01月11日
  • 転がる珠玉のように

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    この人のエッセイはいつも心の一部分をギュッとつかんでくる。不思議。
    同じ地球の上で同じように子を産み育てたくらいの共通点しかないんだけど、環境も見えてるモノも全然違うと思うのに、刺さってくるし、面白い。
    むかし、田辺聖子さんとか山田詠美さんのエッセイに巡り合ったときのことを思い出した。

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    2025年01月05日
  • 両手にトカレフ

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    ぬるま湯的な生活にいて気楽に手に取って読むと、横っ面を殴られるような衝撃を受ける本。
    裕福な人もミドルクラスも、男性だって、理不尽に耐えたり悩み苦しんだり、それぞれの立場で精一杯生きているのだろうとは思う。けれど、女性、それよりも子供が弱い立場にいること、自助の手段も力も持ちにくいことを改めて思い知る。
    諦めてしまうことと、別の世界に一歩踏み出せるきっかけを掴むことは本当に紙一重。格差や貧困の問題が取り沙汰される昨今、単なる同情や見て見ぬ振りや気まぐれな慈善行為では解決できないことをどうするのか。なかなかにヘヴィーな内容で読んでいて辛くなるようなところもあるが、多くの人にぜひ読んでほしい一冊。

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    2025年01月02日
  • 両手にトカレフ

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    限られた狭い世界で、必死にその日その日を生きている子供たちが確実にこの世界にはいるんだ。
    助けを求める術、学ぶことで今いる世界から飛び出せることを知ることも出来ない、そんなのって悲しい。
    フミコとミアの異なる時代、異なる国での出来事がリンクし会ったこともないフミコに引き込まれていくミア。

    ミアのリリックが彼女の羽になり羽ばたけますように。

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    2024年12月31日