ブレイディみかこのレビュー一覧
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意見の異なる相手を理解する能力の「エンパシー」について様々な角度で考えるこの1冊、自分の関心ど真ん中ですごく興味深かった。
ただ、「他者の顔色を窺う」ことになり、抑圧的にはならないよう、自分は自分、と「他者とは決して混ざらない」ことを意識し、「その上で他者が何を考えているかを想像・理解しようとする」ことが大事と、アナキズムの思想も同時に持つことを説いているのが、海外からの視点という感じで新鮮。
これからの時代は、自分も他人も楽しく、というのがキーワードになっていきそう。
あらゆる哲学書、時には小説も引用され、実際の歴史や事例もたくさん盛り込まれていて情報量が多いので、読みやすいのだけど一度読 -
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時は2008年。ブレイディみかこ、43歳。なにを思ったか、イギリス・ブライトンの「底辺託児所」で保育士の見習い開始。ここでの経験が、社会の底辺から社会や政治や教育に目が向くようになるきっかけを作る。ブレイディみかこの原点だ。
本書は、第一部が2015-2016年の雑誌連載、第二部が2008-2010年のブログと、時間が逆転した構成。ここはやはり、第二部から読み始めるべきだ。
第二部、18篇のブログ。中心に語られるのは個々の「クソガキ」とその親(多くはシングルマザー)、貧困、暴力、虐待、ネグレクト、障害、差別、発達遅滞……、そして個性的な保育ボランティアたち。みかこが「師」と仰ぐ託児所の責任者、 -
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エンパシーとは、他者の感情は他者に属するものであると考え、自分の解釈を押し付けず、他者の生活を、彼らが属する集団の歴史的なコンテクストの中で理解することである。同一化とは違い、それは自己を投影したり、喪失したりするものではない。
これを技術と呼び、「人」に還元される利他的な行為となり、そして民主主義へと繋がっていく。
そして、他者を理解することで自己理解にも繋がり、結局は利己的になる。
誰かのことを蔑む前に、決めつける前に、その人の靴を履いてみよう!
さて、民主主義ときいて私は真っ先に、成田悠輔著「22世紀の民主主義」の中の一節、
「民主主義という理念の背景には、「メディアや教育を通じてそ -
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社会を信じることか…
前作では、「エンパシー」他人の靴を履いてみること。があり、それを実現、現実化するには、幼少からその価値観に触れること。自然習得が一番なのかなと考えたりする。
でも、現在大人たち世代に、その価値観を新たに育んでもらうことはなかなか難しい。思想とは思っているよりも頑固である。
多くの人の心に「エンパシー」の芽が育つと、他者への寛容度が上がる。それはつまり、社会への寛容が広がることであり、社会を信じることなのではないだろうか…
私は日本の教育しか経験がないから、日英でしか比較できないけど、そういう社会との繋がりのある教育を受けられることは羨ましいと思ってしまう。どこも表裏一体 -
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ブレイディみかこ、らしく英国の貧困に焦点を当てた小説。
貧困家庭の少女が、金子文子という実在した日本人女性の自伝に書かれている少女と、自分を照らし合わせながら日々を懸命に生きていく話。
主人公の少女がクールで非常にカッコ良い。
本作はフィクションだが、主人公の少女を取り巻く環境はおそらく事実に基づいていることが多いと思われる。
ブレイディさんの貧困をテーマにした本はいつも非常に解像度が高い。
中流階級で生きる人からの、善意や褒める言葉が結果的に貧困階級の人を傷つけてしまうといったような、生きる階級が違うことによる隔たりが巧みに描かれている。
とても面白い小説でお勧め。個人的には黄白青より面 -
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私には政治的見解がありません。いくつになっても、自分の意見を語ることが苦手だし、そもそも意見がない。
成績は良かったしテストはできたし、受験に失敗もしなかった。なのに、なぜなんだろうという長年の疑問にやっと、解決の糸口を見つけた気がした。
今からでも、自分の考えを語れるようになりたい。ブレイディさんの見た、イギリスで必ず出てくるカウンターのような人に。そのためには、知るべきことがたくさんある。
・世間とは、知り合い、近所付き合い、同じ会社など、謎ルールで縛られる人たち。私が社会と信じていたもの。
・シンパシーとは、かわいそうだと同情すること。
エンパシーとは、もっとフラットな気持ちで他人の立 -
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弟を守るために、心を病んだ母親から、そして貧困から逃げずに頑張る中学生ミア。今日の食事にも困る中でも、弟のために頑張る姿が健気ですが傷ましい。
そして青い表紙の本のフミコの自伝とミアの日常が重ねられながら進んでいく物語がハラハラしっぱなしでした。でもいつの場面でも心折れることなく弟のためにまっすぐに全力に頑張るミアは、痛々しくも応援せずにはいられません。何より自分で考え、自分をしっかり持っているミアが羨ましい。
舞台がイギリスとはいえ、これは日本でも現在進行形だと思う。声を上げられない子供たちは今もどこかで闘ってる。
「見ないふりをせずに、言い訳をせずに、何かをしなくてはいけないのは大人たちの -
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残念だけど、ミアもふみの気持ちはわたしには分かることができない。
だけど、ミアは最高にクールだし、強くて弱くて、ミアとも一緒にわたしは生きたい。
自分の価値は自分で決める
これってすごく難しい。
でもそうして生きていきたいし、そこに価値を見出せる人を育てたい。
わたしが育てたい人はそれかも。
そして、違う人を、わかりたい。
ウィルのせりふ、最高。
わからないから知りたい。わかる努力をしたい。だって人間はわからないことをわかるようになりながら、生きていくもんだよね?
そうだよね。そう思う。
わたしもわからないことをわかるようになりながら、生きていきたい