ブレイディみかこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ぬるま湯的な生活にいて気楽に手に取って読むと、横っ面を殴られるような衝撃を受ける本。
裕福な人もミドルクラスも、男性だって、理不尽に耐えたり悩み苦しんだり、それぞれの立場で精一杯生きているのだろうとは思う。けれど、女性、それよりも子供が弱い立場にいること、自助の手段も力も持ちにくいことを改めて思い知る。
諦めてしまうことと、別の世界に一歩踏み出せるきっかけを掴むことは本当に紙一重。格差や貧困の問題が取り沙汰される昨今、単なる同情や見て見ぬ振りや気まぐれな慈善行為では解決できないことをどうするのか。なかなかにヘヴィーな内容で読んでいて辛くなるようなところもあるが、多くの人にぜひ読んでほしい一冊。 -
Posted by ブクログ
どの著作もキレが良くてステキだが、中でも特にキレッキレの文章を中高生のために集めたものなので、読みやすくて学びが多い。
本当にいい本だ。
中高生だけに読ませるのはもったいない。もちろん中高生には読んでほしいけど。
「はじめに」で、中高生のための文章なんてクソ食らえ!と思ってた生意気な子だった私なのに、こんな本を出して…と書いてあり、ブレイディみかこならさもありなんと笑った。
イギリスでの、ヒリヒリするような剥き出しの格差を、現場から(しかも地べたから)発信されると、日本なんてまだまだましかなと思う。
けれど、キリスト教に裏付けされた、「誰もが存在するだけで価値がある」という価値観がしっかり -
Posted by ブクログ
切ないし、心あったまるしで泣けた。
ブレイディみかこさんのことが
もっと大好きになるエッセイだった。
エッセイ集なのだけど、
どの話も気持ちの良いオチのある終わりで
すっきりと読めるし、
暗い題材も明るくしてしまうお人柄と文章。
「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」
もそうだけど、
イギリスの雰囲気が好き&
ブレイディ家のみんなが大好きなので、
自分もホームステイさせてもらってる
かのような気持ちになれるのが本当に嬉しい。
辛い時や苦しい時も、
ブレイディみかこさんのことを
思い出して乗り越えられそう。
そんな逞しさのある
ブレイディさんに出会えたことが嬉しい。 -
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谷川俊太郎さんとブレイディみかこさんの一年半に及ぶ往復書簡
みかこさんの散文に、谷川さんが短めの文章と詩でお返事する。
といったスタイルでしょうか?
とは言え、みかこさんからの問いはあまり気にせず、好きに返事を書く谷川さん。
自由で軽快なやりとりのおかげで、こちらも肩の力を抜いて文章を楽しめる。
しかし、あくまでも〝手紙〟なので当然だが相手に向けて書かれた文章で、そこには敬意が感じ取れるのが素敵。
谷川さんの詩より
「この世とあの世のあわいに
その世はある」
──【その世】より一部抜粋──
「この世は他人だらけである
他人でないのは自分だけだと思うと
寂しい」
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Posted by ブクログ
とっても軽快で面白かった。
谷川俊太郎はもう言わずと知れたレジェンドで
ブレイディみかこは両手にトカレフをいつか読みたいと思ったまま..この作品が初めましてな作品になった。
谷川俊太郎へ手紙を書く...
って凄いなって単純にとっても俗な感情で。
もちろんそれがファンレターでどこの誰とも分からない面識もない読者がただ個人的に宛てるものなら簡単かもしれないけど
作家として仕事として書くっていうのはスゲー!
のっけからの谷川さんの「あるとない」の詩から
ユーモアは正しく無邪気なものでないといけないという世界的な風潮や
みかこさんの住む英国のブリティッシュユーモアについての説明でもうぐいぐいみかこワ -
Posted by ブクログ
実話をもとにした小説。
ブレイディさんの小説は、社会的弱者と呼ばれる人たちの隣に並んで一緒に声をあげたり、笑ったり、泣いたりしているような...そんな臨場感と力強さに満ちている。
社会保障費がどんどん削られていくのは、イギリスも日本も一緒。
でもイギリスの人たちは黙っちゃいない!
暴力的な抵抗ではなく、当たり前に居住して生活する。それが最大の抵抗となる。
抵抗運動をするシングルマザーたちを応援するブルーカラーの人たちの連帯と心意気にもじんわりくる。
日本にはこういう連帯ってほとんどないような気がする。
デジタルの署名でなく、実際に現場に行って署名し、支援する。
市民が勝ち取ってきた権利の -
Posted by ブクログ
かっけー。
ブレイディみかこさんは好きな作者で、いくつもの作品を読んでいるが、
今回のリスペクト、一番面白かった。カッコよかった。今の世の中を示していた。
2013年、14年のロンドンで起こった、シングルマザーの運動。
運動ったって、ただのデモとは違う。
ホームレスの彼女たちが身を寄せていたホステル。
ロンドンオリンピックのためにそこを退去せよ!という理不尽な役人の命令に
立ち上がった、乳飲み子を抱えた20歳代の女性たちの話だ。
そのくせ市営住宅は欠陥があるとかで数十戸が空き家状態。
彼女らはここを占拠し、暮らし始める。
それを支援する人たち、さげすむ人たち。
暮らせ