ブレイディみかこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりにこんなに胸が熱くなりました。
日本で暮らしていて、この国では政治に対して自分が関われることなんてほとんどないという感覚に陥りやすいますが
世界でも同じような状況になっていて、そこで戦う女性たちがいたんだということに勇気づけられます。
緊縮財政で労働者階級の人々の暮らしがどんどん苦しくなっているなんて、今の私たちと同じじゃないか…と。
これからも選挙に行くのは当然のこと、周りとも政治についてもっと話せる環境ができればと思います。
女性たちの方が相互扶助、シスターフッドの精神が育ちやすい一因として
「女性は出産して子どもができると、自由に働くことができなくなるからです。だから女性の方が国の制度に頼らねばならないことが多い。」
「一人一人で壁にぶつかって苦しむ中で、構造的な貧困は1人ではどうにもできない問題なんだと気づき、一緒になんとかしようとするから、このような運動になっていくのだと思います。」
というジェイドの言葉が腑に落ちました。
また運動の当事者であるジェイドたちだけでなく、幸太と史奈子という、日本人(比較的恵まれた環境で育った)の登場人物からの視点を入れてくれたのも良かったです。
最初に「主な登場人物」がまとめられていたので、こんなに沢山のキャラたち、覚えられるかな…と不安に思ったのですが笑、みんな魅力的で杞憂でした。
そこで「本作のラスボス」としてシルビア・パンクハーストが書かれているのも、読み終わった今となっては粋だ!!と感じます。
面白くて3日でスルスルと読めました。 -
購入済み
人は苛めるのが好きなのではなく罰を与えるのが好きなんだこの言葉をもっと広めてほしいと思いました。今の社会ではSNSなどを使って誹謗中傷や住所特定、情報の拡散などを使い罪を犯した人を自分達が正義だと思い必要以上に追い込んでいます(それが冤罪でも)。罪を裁き罰を与えるのは司法の仕事です。こうしてみると何度も言われていることですが学校は小さな社会そのものですね…もっといろんな人にこの本を読んでいろんな事を考えてもらいたいです
続きが読みたくなった -
Posted by ブクログ
意見の異なる相手を理解する能力の「エンパシー」について様々な角度で考えるこの1冊、自分の関心ど真ん中ですごく興味深かった。
ただ、「他者の顔色を窺う」ことになり、抑圧的にはならないよう、自分は自分、と「他者とは決して混ざらない」ことを意識し、「その上で他者が何を考えているかを想像・理解しようとする」ことが大事と、アナキズムの思想も同時に持つことを説いているのが、海外からの視点という感じで新鮮。
これからの時代は、自分も他人も楽しく、というのがキーワードになっていきそう。
あらゆる哲学書、時には小説も引用され、実際の歴史や事例もたくさん盛り込まれていて情報量が多いので、読みやすいのだけど一度読むだけでは内容がまだしっかり血肉になっていないように思う。
2回目も読み直して、自分の言葉でアナーキック・エンパシーを語れるようにしたい。 -
Posted by ブクログ
時は2008年。ブレイディみかこ、43歳。なにを思ったか、イギリス・ブライトンの「底辺託児所」で保育士の見習い開始。ここでの経験が、社会の底辺から社会や政治や教育に目が向くようになるきっかけを作る。ブレイディみかこの原点だ。
本書は、第一部が2015-2016年の雑誌連載、第二部が2008-2010年のブログと、時間が逆転した構成。ここはやはり、第二部から読み始めるべきだ。
第二部、18篇のブログ。中心に語られるのは個々の「クソガキ」とその親(多くはシングルマザー)、貧困、暴力、虐待、ネグレクト、障害、差別、発達遅滞……、そして個性的な保育ボランティアたち。みかこが「師」と仰ぐ託児所の責任者、「アニー」も頻繁に登場する。「師」は頼もしく、颯爽としていて、迷いがない。
「底辺託児所」の唖然とするような混沌、見るもの聞くものが初体験。奮闘するブレイディみかこ。まぶしいほどに初々しい。
(p.s.2008-2010年のブログは『アナキズム・イン・ザ・UK』(Pヴァイン)にも収録されている。重複はない。こちらもおすすめ。) -
Posted by ブクログ
エンパシーとは、他者の感情は他者に属するものであると考え、自分の解釈を押し付けず、他者の生活を、彼らが属する集団の歴史的なコンテクストの中で理解することである。同一化とは違い、それは自己を投影したり、喪失したりするものではない。
これを技術と呼び、「人」に還元される利他的な行為となり、そして民主主義へと繋がっていく。
そして、他者を理解することで自己理解にも繋がり、結局は利己的になる。
誰かのことを蔑む前に、決めつける前に、その人の靴を履いてみよう!
さて、民主主義ときいて私は真っ先に、成田悠輔著「22世紀の民主主義」の中の一節、
「民主主義という理念の背景には、「メディアや教育を通じてそれなりにしっかりと考えて判断できる人々が、集まって議論した上で投票して何をやるか決める」という人間観・社会観がある。」
という主張を思い出した。
しかし、本書ではエンパシーの根幹は民主主義であるとして、グレーバーの書籍を引用し
「重要なのは普通の人々が討議の場に集まって座り込み、自分たちの課題に自分たちで対処できるということを、さらにまた、無理だったということになるとしても、彼らには試してみる権利があるのだということを、私たちが心から信じることだ。」
と語り、まさに子どもたちがこれと同じことを、緑色のブランケットを囲んで教育プログラムの一環として実践しているという。
そこでは大人たちは、子どもたちに試してみる権利があるということを心から信じなければいけないと。
つまり、成田の主張する民主主義における人間観・社会観というのはまさに、本書で語られているエンパシー能力ではないか! とい思い至った。
専門的知識やGDPをあげるのに役立つだけの教育を受けても、それは結局狭い範囲での議論しか生まず、民主主義にとって本当に大切なのは、他者について想像する能力ではないのか。
私たちは子どものころから協調性や集団生活でのふるまいを教わるけれど、誰かのおかれた状況について考えるとき「自分ならこうされたら、こういう気持ちになるからあの子もそうだよ」を正しい道徳観として強調する。
この考えこそが正しい正義だと振りかざす。けれど、そういった決めつけがマイノリティーに疎外感を与えていることに気づかないし、異質なもの(自分ごととして捉えられないもの)を排除し、はてには憎み、それが憎悪の連鎖になったりもする。
エンパシーは技術である。技術であるからには、学んで修練していくことが必要不可欠だ。
それを怠らないように、私も努力し続けよう。 -
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ブレイディみかこ、らしく英国の貧困に焦点を当てた小説。
貧困家庭の少女が、金子文子という実在した日本人女性の自伝に書かれている少女と、自分を照らし合わせながら日々を懸命に生きていく話。
主人公の少女がクールで非常にカッコ良い。
本作はフィクションだが、主人公の少女を取り巻く環境はおそらく事実に基づいていることが多いと思われる。
ブレイディさんの貧困をテーマにした本はいつも非常に解像度が高い。
中流階級で生きる人からの、善意や褒める言葉が結果的に貧困階級の人を傷つけてしまうといったような、生きる階級が違うことによる隔たりが巧みに描かれている。
とても面白い小説でお勧め。個人的には黄白青より面白い -
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私には政治的見解がありません。いくつになっても、自分の意見を語ることが苦手だし、そもそも意見がない。
成績は良かったしテストはできたし、受験に失敗もしなかった。なのに、なぜなんだろうという長年の疑問にやっと、解決の糸口を見つけた気がした。
今からでも、自分の考えを語れるようになりたい。ブレイディさんの見た、イギリスで必ず出てくるカウンターのような人に。そのためには、知るべきことがたくさんある。
・世間とは、知り合い、近所付き合い、同じ会社など、謎ルールで縛られる人たち。私が社会と信じていたもの。
・シンパシーとは、かわいそうだと同情すること。
エンパシーとは、もっとフラットな気持ちで他人の立場に立って想像してみること。
・イギリスは政治に興味をもち、自分の意見を自分の言葉で語れる人を育てるシチズンシップ教育がある。
この本が書かれた2020年、イギリスに住んでいました。ジョンソン首相の英語のスピーチ、サッチャー氏に関連してたと気づかなかった。どこにいたって、自分は自分。知識を積まなければ蚊帳の外。 -
Posted by ブクログ
弟を守るために、心を病んだ母親から、そして貧困から逃げずに頑張る中学生ミア。今日の食事にも困る中でも、弟のために頑張る姿が健気ですが傷ましい。
そして青い表紙の本のフミコの自伝とミアの日常が重ねられながら進んでいく物語がハラハラしっぱなしでした。でもいつの場面でも心折れることなく弟のためにまっすぐに全力に頑張るミアは、痛々しくも応援せずにはいられません。何より自分で考え、自分をしっかり持っているミアが羨ましい。
舞台がイギリスとはいえ、これは日本でも現在進行形だと思う。声を上げられない子供たちは今もどこかで闘ってる。
「見ないふりをせずに、言い訳をせずに、何かをしなくてはいけないのは大人たちのほうだから」大人としては心に刺さりました。 -
Posted by ブクログ
【目次】
はじめに
プロローグ:花の命はノー・フューチャー
1.子どもの情景
子どもであるという大罪
ガキどもに告ぐ。こいのぼりを破壊せよ
RISE 出世・アンガー・蜂起
2.地べたからみた社会
石で出来ている
君は「生理貧困,ミー・トゥー!」と言えるか
3.英国という鏡
ヨイトマケとジェイク・バグ
どん底の手前の人々
4.地べたからみた世界
キャピタリズムとは
ウーバーとブラックキャブとブレアの亡霊
歴史とは
5.他者の靴を履いてみること
誰かの靴を履いてみること
エンパシーの達人,金子文子
自分を手離さない
エピローグ:おりません、知りません、わかりません
おわりに