ブレイディみかこのレビュー一覧
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この本に書かれている3人の女性たちの生き様、死に様、彼女たちの残した言葉、すべてに圧倒された。
本の構成はキーワードをリンクさせることで3人の物語を代わる代わる載せているが、私はその方式では記憶が追いつかず、目次を見て人物ごとにまとめて読んだ。
彼女たちの明晰な思考、行動力、最後まで体当たりで生き抜いて、「死」にさえも向かっていった信念の強さ… このような女性たちの存在があったから今の女性や社会的弱者の人権がある。しかし今なお、彼女たちの求めた理想にはほど遠い。
日本でも権力格差が硬直状態で、下層の人々はあきらめに慣れきり、夢を見る力もない、今、読まれるべき本だと思った。
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ブレイディみかこさんの代表作を読みました。
イギリスブライトンに住む彼女の息子の成長を記しています。イギリスにある偏見や格差、学校、コミュニティなどの抱える問題、その受け止め方、対処の仕方など深い洞察で書いてあります。これは本当に日本でも言えることで、たくさんヒントをいただきました。
一つ挙げるなら、シンパシーとエムパシーのことです。
エムパシーとは「自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだと思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のことだ。」
多様性を認める今、自覚して、こういう能力を学び、鍛えたいと思います。
ところで、ブライトンといえば、プレミアリーグで活躍されて -
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世界各国の人々が漠然と思っているような、brexit をトランプ現象とイコールとみなす傾向は正しいのだろうかという疑問に答えるべく、著者は文字通り勉強して書いたそうだ。そしてその成果は、米英の違いとして、ストンと腑に落ちた。離脱支持者とMAGA支持者は考え方も社会の階層も違う。トランプ支持者には中流以上も多いが、離脱派は緊縮財政によって生活を脅かされた労働者階級によるエスタブリッシュメントへの反逆、既得権益を持たない者たちの生存権の高らかな主張であり、決して狭量な移民に対する差別主義によるものなどではなかったという。彼女の手にかかると、英国の労働者がとても魅力的に見え、決して学のない煽られや
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多様性って良い意味の言葉だと思っていた。良い意味で使用されもするけど、その裏で色々な人の色々な気持ちや意思が交差されているんだなと、とても勉強になった。でも多様性って、、結局難しいなぁ。
英国在住の日本人の著書がアイルランド人の夫とその息子の日々の出来事を、息子の成長を軸に日本にはない人種間の差別や格差をリアルに現状を提示してくる。
読み終わって思うのは、人はどんな言葉に傷つくのかは本当に分からないなーと改めて感じた。ハーフという言葉も、人によっては「ひどい表現」と受け取るなんて考えたこともなかった。私、無自覚過ぎだな、と。
著書である母も、息子も、そして夫も、いい関係だなと思った。この母に、 -
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感動の1作目に引き続き、続編へ
母子のコミュニケーションの密度に圧倒される。
たぶん、最近の日本の親子でそこまで深く、正直に、そしてリベラルに語られることって無いかも?
ブレイディさんがこの2冊の本の中で伝えている「本当の意味」が、まさにそこにあるように思えてならないから、、
2025年現時点、ブレイディさん母子が日々語り合い、考えを深めている方向とアメリカ(トランプ大統領)を代表する世界の行き先には大きな乖離を感じる
民族主義、国家ファースト、利益主義、思想制限、威嚇や武力による制圧的思考、格差や貧困は落伍者の自己責任、、 など悪夢のような現実ばかりだ
これは単に、イギリスの地方都市の -
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ネタバレ・英国で暮らす話のうまい日本人母ちゃんのエッセイ
・人種差別、LGBTQ、階級のようなテーマについて子供とのエピソードをベースに書かれている
・テーマは硬めだけど書きっぷりがめちゃくちゃカジュアルなおかげですごい読みやすい
・「元底辺学校」「極道児」みたいな呼称が面白い
・多様性について英国では進んでるなとは思いつつ、それを受け入れる大変さも感じてこれが日本でも進めばいいのにとは素直に思えなかった
・休暇の予定を聞いた途端、怒って帰ってしまったアフリカ系の母親の話然り
・地雷が増えてコミュニケーションの難易度が数段上がりそう
・でもそんな世界が当たり前になればコミュニケーションの認知負荷も減る -
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大ベストセラーの本書、 遅ればせながらようやく拝読することができた。
皆さんが共感するとおり、自分も感動の嵐だった。
「今はどっちかっていうと、グリーン」
この言葉に辿り着くまでの親子の濃密な時間を読者は堪能するでしょう。
正直「この本をこのまま教科書に採用してください!」が率直な印象、
子育て、教育、人種、格差、虐め、差別、劣等感、妬み、暴力、様々な課題がブレイディさん家族に押し寄せる。
そして何より、中学生の息子さんとみかこさんのコミュニケーションの内容とその深さに圧倒される。
そう、中学生はもう一人の人間としての思考力、洞察力、判断力、そして友人を思いやる優しい気持ちが育まれている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコロナ後の世界で、あらためて“エンパシーとは?”を考えてみた書。
“エンパシー”という言葉は、本書で初めて聞きました。日本語では“共感”と訳されることが多いそうですが、“共感”には“シンパシー”もあります。その二つは違うのは勿論ですが、一般に“エンパシー”の定義が揺らいでいる様です。というのも、“エンパシー”という言葉が出来たのは、ほんの100年ほど前の事であり、元々はドイツ語であったそうです。
そんな事から、“エンパシーとは”という事が語られていくのですが、“アナーキズム”という言葉も多用されている事には驚きました。“アナーキズム”と言うと、テロと結びつくイメージですが、どうも、ただ“ア