ブレイディみかこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イギリスの階層を描写するエッセイの続編
これで完結という事だけど、本当に終わりなのだろうか?
まだまだ続きを読みたいものだけど
息子くんはもうお年頃なので、母親と素直に話すより他のコミュニティーで成長していく段階になったということなのだろうか
アイルランド人の父と日本人の母の間に生まれた息子くん
小学校は市内1位のカトリック校に通っていたが、中学からは「ホワイト・トラッシュ(白い屑)」と呼ばれるような白人労働者階級が通う元・底辺中学校に通うことを選択する
人種差別、貧困多様性、格差社会などの社会問題に対して、母視点での気づきと息子との会話での新たな解釈などについて前作では描かれていた
前作では11~12歳くらいだったのが、今作は13歳
今作は人種や政治、ジェンダーや経済格差など、やはり社会問題についての話題が多い
それにしても息子くん、人生2周目だったりしない?
ルーマニア移民に不用品を直接リサイクルする事の是非
ゴミを渡しているのでは?という疑問
リサイクルと言いつつ、授受は一方向という貧富の違い
「マクロに傾きすぎてもパサパサになるし、ミクロに傾きすぎても中2病になる」というまとめの言葉は納得
父が息子に言う「俺みたいになるな」という言葉
父親は労働者階級でダンプの運転手
働けど働けど夜通し運転しても、給料は雀の涙
子供としてはそんな言葉は悲しいのかも知れないけど
例え富裕層の父が「俺みたいになって欲しい」というのも違う気がするのだが?
子供は子供で自由に自分の将来を選んでくれればいいのにとは思う
あと、ハリー・ポッターで、成績が後々の就職まで響くというのがあったけど、イギリスの現実に則した設定だったのだな
社会を信じられるか?という問い
日本で、台風19号の被災者であるホームレスを避難所が受け入れ拒否した出来事を、息子くんが中学卒業テストの1つ、スピーチの題材に選ぶ
ホームレスを追い返した役人は、社会が信じられなかったから、そうしたのだろうという
避難所から追い返したら、そのホームレスは死ぬかもしれない
ホームレスを追い返した人は、避難所という社会を信じていない
ホームレスの人を受け入れなかった避難所は、メディアや一般の人々からも激しく非難されることになった
そうなることを予見できなかった避難所の職員は、社会を見誤っていた、というか、見くびっていた
社会を信頼できないと保身に走る
その場でのクレームを想定して受け入れを拒否したのだろうけど、社会全体で見れば受け入れるべきだった
社会を信じていれば、避難所の人達からのクレームがあっても、社会の声が守ってくれるはず
でも、それを信じられなかったからこそ受け入れを拒否したのだろうという予測
どの立場になるかで意見は変わりそう
職員としては、ホームレスを受け入れる事でクレームが入る事は容易に想像がつく
ホームrすを受け入れるリスクはいくつか挙げられる
でも、人道的な考えでは受け入れるべきと思いつつ、世間の人も同じ判断をするだろうと、逆の信頼をしてしまったのではなかろうか?
息子くんの変化
カトリックの学校に行かなかった事について
前作では「カトリックの学校に行かなかったこと、後悔している?」と質問した際は、迷いもなく「いまの学校にしてよかった」と答えていたが
1年後の今作で同じ質問をしたところ、「わからない」との答え
「なんで君みたいな、いい小学校に行っていた子がここに来てるんだ」って教室で言う子がいたり
校長からもジョークの意味で言われている場面がある
そんな時は「ああ、僕は大きな間違いを犯しちゃったのかな」と思うらしい
でも、音楽部でバンドの練習をしていると「カトリックの学校じゃこれはできなかった」と思う』ようだ
作中の文章を引用すると
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どっちが正しかったのかはわからないよ。僕の身に起きることは毎日変わるし、僕の気持ちも毎日変わる
(中略)
でも、ライフってそんなものでしょ。後悔する日もあったり、後悔しない日もあったり、その繰り返しが続いていくことなんじゃないの?
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そうなんだよなー
進路って、どちらか一方しか選べないし
選ばなかった方だったらどうだったかは想像するしかない
そして想像しても、実際にそうだったかはわからない
今の選択をしたから良かった事もあれば、悪かった事もあるはずで
どちらがよかったかなんて検証のしようがない
この年齢でそこに気付くとは
前述の通り、やはり息子くんは人生を何回か経験してない?
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「ぼく」は13歳になった。
そして親離れの季節が――。
80万人が読んだ「一生モノの課題図書」、ついに完結。
13歳になった「ぼく」の日常は、今日も騒がしい。フリーランスで働くための「ビジネス」の授業。摂食障害やドラッグについて発表する国語のテスト。男性でも女性でもない「ノンバイナリー」の教員たち。自分の歌声で人種の垣根を超えた“ソウル・クイーン"。母ちゃんの国で出会った太陽みたいな笑顔。そして大好きなじいちゃんからの手紙。心を動かされる出来事を経験するたび、「ぼく」は大人への階段をひとつひとつ昇っていく。
これは、読んでくれたあなたの物語。
そして、この時代を生きるわたしたちの物語――
【目次】
1.うしろめたさのリサイクル学
2.A Change is Gonna Come ――変化はやってくる――
3.ノンバイナリーって何のこと?
4.授けられ、委ねられたもの
5.ここだけじゃない世界
6.再び、母ちゃんの国にて
7.グッド・ラックの季節
8.君たちは社会を信じられるか
9.「大選挙」の冬がやってきた
10.ゆくディケイド、くるディケイド
11.ネバーエンディング・ストーリー
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Posted by ブクログ
ネタバレとっても自由で読みやすくて面白く、凝り固まった頭をほぐしてくれるエッセイ集だった。それに心が解き放たれてなんだか前向きにもなれる。
英国の政治や階級社会や教育方針などを通じて、日本のそれについて考える機会にもなる。国内のことだけではなく他国のことを知るのは大切だ。視野が広がることでより課題が浮き彫りになったりもする。
他者の靴を履くためには、まず自分の靴を履くところから始めなければならないといった内容にはすごく納得した。日本の場合、そのスタートラインに立つのにも苦労するような気がする。
著者は託児所や教室で教える・指導する立場を多く経験しておられるけれど、その出会いのなかでご自身も考えることをやめていない柔軟なところがよかった。こんな大人になれたら素敵だなと思った。 -
Posted by ブクログ
読んで良かった。
20年前にホームステイしたイギリス。当時私の憧れの国でした。
読み始めは「底辺中学校」という露骨な表現にうーんと思いましたが、綺麗事では済まされない世界がもう現実にあるんだと思い知らされました。
政治の失策…どこも一緒なのかな…足掻く術もなく割を食うのは子供たち。
今日一日の食事に困るほど過酷な貧困があり、貧富の差が広がる中で人種、宗教、性的マイノリティ、移民、さらにはEU離脱派と残留派…様々な社会の分断があり。多様性も多様性、日本だってこれから直面する問題なんだろうけど、とんでもなく複雑。
中学生が万引きやドラッグ、行方不明、恐ろしい世界と隣り合わせな現実にショックを受けました。
でも、そこで生き抜く筆者の息子さんはとても逞しく、大切な気付きをいくつも与えてくれました。
どれだけ社会の分断があろうとも…あの時の「友達だから」という一言はにはとても胸を打たれたし、人はなぜ苛めをするのかとか、シンパシーとエンパシーの違いに自分なりの見解を見出していくところとか、本当に脱帽。多様性について私自身も問題提起し他人の「靴を履いてみる」努力をしたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレホントつくづく日本の子育てと英国の子育ての違いを見せられた…というか、時代がそうなのか。
かなり早い段階から「自立」を促しているよなあ。
大人の私でも息子くんが与えられてる課題こなせそうにない。苦笑。「グッド・ラックの季節」では正しくお母さんと同じ気持ちになった。
ターバン母さんがフレンドリーになってたのは嬉しかったなあ。
前回もだが福岡の祖父ちゃんとの話は泣けてしまう。
言葉も通じないのに、前世でも繋がっていたんだろうか?w
ちょっと驚いたのが「日本で車を運転しているのは、お年寄りと女性ばかり。男性はどこにいるの?」という息子くんの言葉。…この頃くらいからか、このあとくらいからか、日本では高齢者ドライバーの事故が目立つようになってきたのではないだろうか?
温泉街のグローバル化というのも、確かに去年旅行に行った大阪のホテルで働く人達はほとんど外国人だったし、なんならこちらのような田舎でも職場にそこそこ外国人はいる。
当初はいいことだと思っていたが、最近では一緒に働くようになって、申し訳ない気もする。
結局は日本の若い人たちがやりたがらない仕事を彼らがやっってくれているわけだから。
これは以前フリーランス系の本でも感想を書いていて、それに通じると思う。
外国での暮らしというのは経験したことない私からすると、とても華やかなものに思えるが、外国だろうと日本だろうと、それぞれ自分だったり社会だったり地域だったり、色んなものごとがあって、そういった物事の中で「ライフ」を送っていくのはどこも変わらないのかも知れない。 -
Posted by ブクログ
イギリスに住むブレイディみかこ氏による、極中、リマイグレーションなど最近ちらほら聴くな?というワードを解説した一冊。
自己責任論の伸長(他方で権力者の責任は問われない)、「中道」化による左派の弱体化、リフォームUKの伸長)や、なぜ思想が全然違う政党・なぜ政策に一貫性のない政党が支持されるのか、テックジャイアントがリベラルから右派に取り込まれていった(取り入っていった)過程、"不法移民"に厳しい移民出身の政治家など、一見矛盾するように思える主題についてすごく腑に落ちる解説になっている。
そして日本もイギリスの状況に重なることがとても多いというか、イギリスが日本の少し先を行っていることがよくわかり、来年の統一地方選では参政党がめちゃ増えるのではないか…などと寒気が走る。
最近読んだ何冊か、全部繋がってる感じがして、人間的な面倒くささや煩雑さ、考えること、対話(会話)することから逃げないこと、退屈や余白を埋めようとしないこと。そう思うと自分の全てを差し出して全てをコントロールされるAIやアルゴリズムに支配されたくない、脱ドーパミンしたい、リアルを手に入れるんだ(cf.KAT-TUN)という気持ちがすごく強くなって、ふと駅で周りを見たら全員スマホを見ててすごく気味悪かった。まぁ私もこの感想をスマホで入力してるわけだが…。
印象的だったのはアナキストの伊藤野枝の章で、Authority(権力、権威)としての力は否定し、人々のPowerやResilienceを信じるという意味でのアナキズムという概念に触れることができた。
私はイギリスで人権を学んでいたけど、人権は人が人らしく生きるための非常に重要なツールであると同時に政府に何でも頼る的な姿勢とともすれば紙一重になるなぁと思うなどしたし、人々が本当の意味で自分達を信じて力を合わせることで大きな変化を起こせるということにも思いが及んだ。 -
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『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んで、ブレイディみかこさんの本をもっと読みたくなり、小説ジャンルから本書を手にした。
ストーリーは主人公の少女、ミアの厳しい日常と、彼女が手にして読み進める、日本の大正時代の活動家、金子文子の自伝とを交互に行き来しながら進む。どちらも貧困で、家族にも恵まれず、厳しい。そして、ミアの日常は、『僕はイエローでホワイトで…』で描かれる現代イギリスと地続きで、登場人物たちにもどこか既視感を感じる。
ミアやウィルや、ゾーイに、『僕は…』で垣間見られた著者自身や息子さんや配偶者、近所の素朴な人たちの横顔を感じる、それだけにシングルマザーの母親が依存症や精神疾患に囚われることの子どもにとっての悲劇に、胸が痛くなる。
でも、それでも出口がある。緊縮財政で厳しくなるばかりのイギリスでも、コミュニティが生きていて、助け合いがあることに、日本の現代都市に生きる私としてはとても考えさせられた。現代イギリスのリアルを伝える、ブレイディみかこさんの著作をもっともっと読みたくなった。表紙もクールで、とてもいい。まさにミアのイメージ。 -
Posted by ブクログ
いわた書店の1万円選書でチョイスされた本。
貧困家庭で育つ14歳の少女ミアの目線で、子どもが社会から見えない存在にされていく現実を真正面から描いた小説。
本と出会うことで「ここじゃない世界」があると気づく場面が特に印象的でした。また、富裕層でクラスの人気者でもあるウィルとの交流も強く心に残りました。こうした作品はどうしても対立構造になりがちですが、この物語では、立場も性別も違う相手とどうやって対等な関係を築くかが丁寧に描かれていて、その点がとても良かったです。
頼れない大人たちや狭い選択肢など重苦しい物語ではありますが、少しずつミアが前向きになっていく描写もあり、暗いだけではない読後感がありました。おすすめです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレイギリスで保育士として働いてきたブレイディみかこさんが、保育士ならではの視点でイギリスの社会保障政策をぶった切る。非常に興味深かった。
著者が勤めているのは、貧困層が子どもを預ける託児所。母親がドラッグ依存だったり、次から次に父親のちがう子どもを生んだり。
いわゆる「底辺」の子どもたちや、母親の生活を保育士として見つめながら、おのずと政治に関心を高めていく著者。特にイギリスは、移民が多く(著者自身も移民だ)、状況は複雑だ。移民の方がイギリス人より貧困かというとそうでもなく、今は貧困でも努力して生活水準をあげようとする一方、親の世代からずっと貧困で、国家の福祉(生活保護)に頼り切っており、生活水準をあげようという努力をしようとせずに「子どもをたくさん産んで国から生活保護を受け取ればOK!」と思っているイギリス人の方がよほど底辺の暮らしをしていたりする。
イギリスには様々な「格差」がある。
今の日本も、外国人の労働力を積極的に受け入れるかどうか、政策上の岐路にあると思うが、本書を読むと「この状況はヤバい」と感じる人が多いかも…と感じた。日本も格差や子供の貧困が問題になっているが、ここまでひどくないぞ…。いや、日本でも特定の地域では同じようなことが起こっているのか?
またブレイディみかこさんの他の著書も読もうと思います。 -
Posted by ブクログ
難しい言葉ではなく平易な表現をたくさん使ってくれるおかげで、かなりとっつきやすいと思う。それでもなお奥が深い(アナーキック・)エンパシー。読んでる間は少しわかった気になって、でも日常に戻ると自分のものにしたとは言えなくて、かといって全然距離が遠いものでもなくて、本書を通じて自分の中の視座が少しだけ豊かに、エンパシーの輪郭に触れられたような気がする。
特に視点だなあと感じたこと。
コグニティブエンパシーは底から湧きあがるものではなく、頭から時間をかけて理解しておろすもの。トップダウン型。それはスキルであり、後天的な育成・習得が可能なもの。
他者の靴を履いたからと言って自分の靴を見失わない。自分の靴の所在をはっきりわかっていて、それに囚われすぎない確固たる自分があるからこそ、あえてそれを脱いだり履いたりできる。
ブルシットジョブ、ブルシットエコノミー、ブルシットソサエティーの中で頭を使わない生き方は楽かもしれないけど、それに鈍らされない。なにが大事でなにが本質なのか、ちゃんと頭で考える。
何千の赤ん坊の命よりも優先すべき負債の支払いなど本来存在しない。単純な優先順位を見失い、決まりだからと思考放棄するならもはやゾンビと一緒。
個人は心臓、社会は肺。心臓は肺のために存在するわけではない。肺が心臓のために酸素を供給するのであり、逆転など本来はありえちゃいけない。