ブレイディみかこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リスポンシビリティとアカウンタビリティ
エキストリームセンター(極中)
クラス・シーリング
プラットフォーム・ポリティクス
テクノ大衆
power of・「個人的なことは政治的なこと」を再考する
リマイグレーション
という「ことば」がなぜ人々の口にのぼるようになっているかを探ることで、社会や政治の動きを炙り出す本。
うんざり、憂鬱になることばかりだが、これが現実。
こんな世の中で私たちにとって大切なことは、
グレーバーは、「Reasonableness(穏当さ)=通約できない価値の間で折り合いをつける能力だ」という。「女性のストライキ」を「女性の休日」と言い換えて多様な立場の女性たちを巻き込んでいったアイスランドの女性たちのように。
そして、
「アナキズムは、現在、権力を握っている人々を追い払い、別の人々がそれに代わって理想的な社会をつくるために権力を握るという思想ではない。「〜に対する力(power over)」はいらない。「〜の力(power of)」を強めて行けば、それらの個々の力はやがて「〜と共有する力(power with)」になり、自らで自治をはじめるという考え方だ」
で、
「一般的に多様性のある社会の方が分断は生まれやすいと思われがちだが、本当に分断が激化するのは均一社会の方だ。均一性からこぼれてしまう少数の人々はそれ以外の人々にとって「怖いもの」「嫌なもの」になりやすく、「あいつらがいるから社会がうまくいかない」というナラティヴを刷り込まれると、「われわれ(多数派)対彼ら(民族的、文化的、性的指向などにおける少数派)」の敵対意識が生まれやすいのだ。この図式を使って権威主義体制は効果的に分断政治を行う。互いにいがみ合わせておけば、国民が団結して施政者に対抗することはない。」
のだ。 -
Posted by ブクログ
タイトルに「階級闘争」とあるから、一見日本とは無縁に思える。
しかし、今の、ともすれば貧しさを自己責任として蔑む空気が漂う日本と、重なって見えてくる。
筆者は指摘する。
『「自分の力」主義。というのは各人が自分の生き方の指針にすべき考え方であって、それを他人にまで強要するのはヒューマニティーの放棄である。』と。
英国には下層の貧しい階級があり、著者はその中の保育園でボランティア保育士として働く。社会の歪みや浅ましさが、もっとも弱い立場にある幼い子ども達に凝縮してのしかかる様が記されている。
著者の、保育士という『ミクロな仕事』をしているせいか『神様が雲の上から書いたようや記事を読むと、「ええー、そうかいな」といちいち違和感を覚えがちであり、心安らかに新聞も読めなくて困る。』といスタンスに共感する。
現象を一般的な言葉に置き換えまとめた途端、実際に、具体的に、何が起きているのか、見えなくなることばかりだ。
本書はその真逆を行く。最近(といっても10年前だが)の英国の教育界では「ソーシャル・アパルトヘイト」(人種隔離でなく社会的な隔離)という言葉があると本書で紹介していたが、その言葉が定義するところのアパルトヘイトされる側である貧困に落ちている子ども達、その保護者達、とりまくコミュニティの存在がリアルに記されている。
そこから、貧困、差別、排除、分断を助長するものが明かされていく。
資本主義に根ざす政治の過誤や、
困窮する人々への無知・無関心や、
自分の立場を守るために弱い立場の人を作ろうとする大衆の無意識。
これらが社会の中で最も困窮する人々の、
希望を奪い、尊厳を奪っていく様が、浮き彫りになっていく。
後書に『地べたにはポリティクスが転がっている。』とあるが、その通りだと思った。
日本の地べたはどうなのだろうか。
自分には見えているのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレイギリスの中学や生活事情のよりリアルなものが知れて良かった。特に衝撃だったのが、10週間(特定の区切り)以内に5日以上行きたくないからサボったり家族旅行などで欠席すると両親”それぞれ”に80ポンド(約16,879円)の罰金が課されるシステム。日本で取り入れれば、子供に甘すぎる親や、放任主義の親なら良い矯正になりそう。もちろん、虐めが絡んでいるものなら自殺率も上がるかもしれない。
音楽室にレコーディングルームがあったり、必修科目の1つに演劇があるのが良いなと思った。自分が中学生当時にそんな授業があったら嫌がった可能性もあるが笑
前半はイギリス中学や住宅事情など面白い話の中にチラホラ移民や貧富の差の問題。
後半は東洋人だから馬鹿にされたり、ハーフゆえどちらの国からも異国人扱いされるような悩みなど。
中学生の授業で男女混合の教室で女性器の写真かイラストをでかでかと見せられ、FGMという女性器切除のアフリカを中心とした慣習の説明や注意喚起をするような話があり、イギリス政府の考え方と共に、移民問題がそれだけやばいんだろうなと印象に残った。(禁止されているが、夏休み中に母国に帰って子供に無理やりFGMさせる親がいるらしく、通報対象らしい。)
また、分かりやすくプールの例を出されていたが、公立と私立とで貧富の差の酷さ。
イギリスにぼんやりとした憧れがあるのだが、こうした実情を聞かされると住むところではなく観光に行くところだな、などと思ってしまう。 -
Posted by ブクログ
どうもアナキストです(驚きの早さで影響される)
というわけで大好きなブレイディみかこさんによる「政治批評」本とでもいうのかな?そんな感じのやつです(ふわっと感)
はいはいまずアナキストって何やねんっていうね
まずそっからですな
簡単に言うと「忌野清志郎」です
要するに「みんなを愛しちゃう人」です
つまりσ(゚∀゚ )ワイ
それにしてもだ
みかこさんもがっつりリベラルなんよな〜
ガッツリベラル(いらんやつ)
保守派を名乗ってるくせにわいの好きな人にリベラルの人多すぎないか?
これについては結論から言う
まぁいいじゃない!
みかこさんと國分功一郎さんと櫻井よしこさんと竹田恒泰さんが同時に好きでも、まぁいいじゃない!
保守派名乗ってるくせに清志郎を骨の髄まで愛しちゃってもまぁいいじゃない!
というわけでこの件に関しては結論が出たのでもう論じません(たぶん)
で、みかこさんに限らずこの手の「批評」を読んでいて思うのは、「引用」すげー!である
いやね、よくあるじゃん「この人はこう言っていた」「この本にはこう書かれていた」みたいなことを「引用」して、そこからさらに論評を重ねるみたいなの
あれさ、よく覚えてるなーって思わない?
わいなんかもう次から次へと忘れていって、どこに何が書かれてたなんてひとつも覚えてないから、批評家さんたちの「引用」には、いつもすごい記憶力だなーすごいなーって思って読んでます
というわけで記憶力のすごいみかこさん
★5です
いや評価のポイントそこかーい! -
Posted by ブクログ
最後まで読み通してうるっとくるくらい圧倒された。これでもかこれでもかと絶望的な世界の状況を読み続けてきた。日本の嘆かわしい状況に日々心をすり減らせているわけだが、日本より成熟した民主主義の国と考えられてきた英国でも進行する背筋が凍るような状況を読んで、もはや正義も人権も平和もない封建時代を迎えるばかりか、と暗澹たる気分になった。
それ(トランプのアメリカのようなこと)はどこでも起こりうるー為政者が末端の国民のことを舐めきってやりたい放題、国民は「言いなりになる奴隷のように自由を制限され、支配され」『誇り』すらも失う未来である。
それに対抗する砦となるのは、『誇り』を守るという意志、何があっても守りぬくという意地があるかどうかだ、と著者は言う。為政者の発する耳障りのいい言葉を鵜呑みにして従順な国畜のようになって最適化するか、葛藤上等あくまでも不正·差別·支配に抵抗するか、私たちひとりひとりが岐路に立っているんだろう。
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Posted by ブクログ
民主主義は、ある日突然壊れるわけではないのかもしれません。
「自己責任」「中道」「外国人問題」といった、一見ありふれた言葉の意味が少しずつ変わるところから、社会の地盤は崩れていきます。
ブレイディみかこは、いま英国や欧州で使われ始めた言葉を手がかりに、その変化を追います。
それは遠い国の話ではなく、日本でもすでに見覚えのある風景に思えます。
【目次】
第1章 「責任」の階級闘争 リスポンシビリティとアカウンタビリティの耐えられない格差
第2章 極中(エクストリーム・センター)の時代 極端な脱イデオロギーの政治が生み出すものとは
第3章 クラス・シーリング―階級の天井― 「身の程を知る」という呪い
第4章 プラットフォーム・ポリティクス 欲望支配の構造とマノスフィアの影響力
第5章 テクノ大衆の誕生 待つことが「無理ゲー化」する世界で
第6章 「個人的なことは政治的なこと」を再考する アナキズムの個の力(power of)を取り戻す 第7章 リマイグレーションの政治 抵抗か、国畜か -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026年夏の新潮文庫の100冊に入っていたので、書店で文庫本を購入しました。もっと早く読むべきだった!以前、ブレイディみかこさんの「子どもたちの階級闘争」を読んで非常に感銘を受けたので、本書を読みました。
アイルランド人の父と東洋人(日本人)の母との間に生まれ、イギリスで育っている中学生の息子とのやりとり。母である著者は知的で、調べたところ「社会民主主義寄りの左派」という立場になるようなのだが、彼女の考えには個人的にも大いに共感する。
このような考えをする人が増えれば、世界が平和になるハズと思う。そして学校でレイシズムに直面し、ママ、こんなことがあったんだ…と話し、それに対する母の意見を自分の中で熟考し、正しいと思う行動に移していく息子も、とっても知的でカッコイイ。どんな大人になっているんだろうな。