畠中恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレしゃばけシリーズに長編は少ない。第1作『しゃばけ』、第5作『うそうそ』、そして第22作である本作『いつまで』が、長編としては3作目である。今回は、一太郎が5年後の江戸にタイムスリップするというのだが…。
薬種問屋長崎屋で、人間に溶け込んで暮らす妖たち。そんな一太郎の仲間のうちの2人、噺家で獏の場久と、医師の火幻が姿を消した。彼らは悪夢の中にいるという。西国から来た「以津真天(いつまで)」という妖に原因があるらしい。
2人はシリーズのレギュラーの中では新参者であり、特に火幻の加入(?)はつい最近だが、そんなことで分け隔てする一太郎ではない。仲間思いの一太郎は、迷わず悪夢の中に飛び込む。そして気が付くと、そこは5年後の江戸だった。
そちらの江戸では一太郎がいないまま5年が経過しており、よくぞご無事でと喜ぶ長崎屋の面々。しかし、長崎屋は商売敵の前に危機に陥っていた。一太郎の失踪後、跡取りが戻ってくるまではと、必死に店を存続させてきた。
長崎屋の危機の原因は、失踪前の一太郎の行為にあった。体が弱い分、常に店の役に立ちたいと願う一太郎。そんな彼の気持ちが裏目に出るのは、シリーズのお約束ではあるのだが、ここまで酷な巡り合わせは過去になかっただろう。
5年後に飛んだ一太郎の目的は2つ。場久と火幻の捜索。そして長崎屋の危機をどうするか。さらに、一太郎は決断を迫られる。せっかく再会した5年後で、そのまま過ごすのか、それとも5年前に戻るか。というか、戻る手段があるのか?
シリーズの大ファンではない自分でも、しんどい設定だなと思ったし、商売敵は憎々しく感じたが、文庫版で300pほどであり、すいすいと読み進められた。いつの間か、どうにかなっているし。最後に災難が用意されていたが…。
作中でも触れられた、シリーズ中でも異色のエピソード。この経験のせいか、一太郎はやっぱりお人よしでした。だからこそ慕われるのだろう。 -
Posted by ブクログ
ほぼ妖中心の話、5話のシリーズ第24弾。
日の本の妖たちがこぞって気になる場所は、長崎屋!
ふゆのひ・・・長崎屋の噂を確かめに来た雪女。黒羽坊の噂に
惑わされて来た天狗たち。酷い寒い日に騒動が。
のろいがえし・・・次なる噂は若だんなの強さ?
不合理な蝦蟇仙人をおたえが退散させる。だが呪いって?
鬼之助の日・・・亡き鬼之助の為の日に語る噺。悩む場久。
笑える噺が思いつかない。同時に起こり始めた出来事。
あやかしたち・・・見知らぬ妖達が続々と長崎屋に登場。
それは長崎屋の妖達の危機。入れ替わり勝負の行方は?
みっかだけ・・・河童の秘薬を飲んで姿を消した若だんな。
必死に探す妖達だが市中は盗賊騒ぎで騒然としていた。
そんな中、若だんなはつかの間の歓びを味わうが・・・。
人の噂は倍になる。
妖たちの噂は更に広がり長崎屋に妖達が集ってしまう。
憧れ、羨望、嫉妬などが入り混じっているのは人と変わらず。
皆、居心地が良い場所を求めているんだな。
河童の秘薬の話では、元気いっぱいに遊ぶ若だんなの姿が
なんだか健気。妖の視線での江戸の様子が体験できたのも
良かったし、これが励みになってくれれば好いと思いました。
ただ、部分的に説明が長かったり、少なかったりがあって、
青蛙神に関わった僧がどうなったのか、青蛙神とは神なのか、
何故仔犬が贈り物の品なのか、薬の匂いに惹かれる理由は、
などが分かりませんでした。 -
Posted by ブクログ
しゃばけシリーズ第13弾
時が流れる限り、誰も同じではいられない。
千年以上生きる妖に比べ、人の寿命は短い。ずっと変わらずに一緒にいることは難しい。
それぞれが今後についての決断を迫られる。
今が若旦那と別れる時なのではないかと。
ただ、どれほど良い考えや真っ当な明日を示されても、それが進むことができる道とは限らない。その正答に縛られなければならないのか。
悩む仁吉や佐助が出した答えが、なんだか嬉しい。
真に正しい事が一にやるべきこととは限らない。正しい答えではなくやりたい事を決めた。
正誤だけが答えではなく、視野を広げて答えを探すのも大切だなぁとしみじみしました。
ただ、悠長に見える妖達も、それぞれの生きた時間の長さの重みを感じさせられました。
「長き時を生く妖として生まれたら、何としても己の足で立つことを覚えねば、先へ、いや、来年来月さえもいけないのだ」