畠中恵のレビュー一覧
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越前大野藩は明治になった折に、借財がとても少なかったという。たった4万石、実高2万8千石にしては異例。その要因を取材して構成された作品になる。
身をもっての戦いなどの場面はないものの、借金を返すための事業やら、そのせいでの軋轢、成功させるための大きな博打!など。
生きる上で現在でも行われる経済的な戦い。
武士は金に頓着せぬ物といい、金勘定に長けた人を下に見る風潮があった。そんな中、藩の歳入の10倍にもなる借財を返して事業をおこしてお金を稼いでいく。刀での戦いよりよほどしんどい努力が必要だと思った。
無理難題のような新企画を打ち出す殿だが、種痘や洋式軍備の必要性など、未来への嗅覚はとても鋭い。そ -
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まんまことシリーズ第十弾。
町名主の、町名主見習いの多忙さはあれど、
更に圧し掛かるのが避けられない相談事の多さ。
揉め事、縁談、盗難事件など、今日も麻之助は知恵を絞る。
ふじのはな・・・高利貸しの丸三もついにお虎と祝言を
あげることに。だが幸いに便乗する者の影が。
そして相馬家でも困りごとを抱えていた。
おとうと・・・舅の金吾が大怪我をし、湯治へ。17歳の義弟の
金一がまずはひと月、町名主代理になることに。
更に吉五郎を悩ませる猫探しもあり、麻之助は大忙し。
ああうれしい・・・“思いがけない相談”は“ああ嬉しい”と
思ってみたいという願いをかなえること、その難問に
悩 -
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ネタバレ今回の若だんな・一太郎をとりまく妖怪やら事件譚やらにも、するすると江戸のまちなかに誘い込まれてしまった。
兄・松之助の奇妙な縁談が発端となった『茶巾たまご』、下手人がこのシリーズで初めてかもしれないサイコパスみのあるオチでぞっとする。長崎屋の周辺にはいそうにもない、人間の闇が見つめてくる感じが差し込まれてぎょっとしたというか。そこから一転、『花かんざし』の結末は悲しかった。精神病的なもの、江戸の時代ではより偏見も強いから「狐憑き」の目線はシビアだったはず。
『ねこのばば』で再登場した広徳寺の寛朝さん、やはりすごく良いキャラである。自信に満ち溢れた人柄であるが、今事案の背景があかされるに伴い徐々 -
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今回も町名主のもとにはやっかいごとが次々と持ち込まれる。それらを丸く収め、鮮やかに解決策を見出していく麻之助の活躍にほっこりさせられる連作短篇です。
麻之助、お気楽に見えて相当に悩みながら頑張っているのに、それでも叱られてばっかりなのが少々不憫かも。でもその気安さが町の人にとっての魅力でもあるのでしょうけどね。今回はどれもこれもやっかいな困りごとではあるものの、顛末はどれも平和ですっきりします。
お気に入りは「縁談色々」。女性の生き方にほぼ選択肢などなかったであろう時代ですが、もちろんこういう考え方の女性もいたはず。女性は嫁いで当たり前、親や夫の支えがなければただ生きるだけのことに並々ならぬ努 -
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ネタバレ短編集。6話入ってました。各話の最初に一太郎がどういう人物なのか背景が書いてあるので、1巻読んでなくても大丈夫なつくりになってました。
「空のビードロ」が義兄、松之助が長崎屋に来るまでのエピソード、1巻しゃばけの裏側、松之助サイドの話が書いてありました。
魔が差して井戸に毒を入れようとしてましたが、拾ったビロードを見て我に返るところが好きでした。
お店が家事になっても、働き口がなくても不貞腐れないで生きようとするところはこちらが励まされました。
仁吉の思い人は想像通りの人でした。
虹を見し事は、一太郎が妖怪が見えなくなって寂しそうでした。昔から一緒にいたものがいないのは寂しいでしょうね…。
私