畠中恵のレビュー一覧
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ネタバレ現在、NHK木曜時代劇で放送中の、『まんまこと』シリーズの第3作である。しゃばけシリーズと違い、純然たる人情時代物であり、捕物帳的要素もある。最初に言っておきたい。一話完結ではあるが、『まんまこと』と『こいしり』は読んでおくべきである。
主人公は、町名主の跡取り息子・麻之助。幼なじみの悪友・清十郎、堅物の吉五郎というおなじみのトリオが今回も健在。なお、町名主とは、奉行所では裁き切れない町内の揉め事を裁定するのが役目。麻之助がどう裁くかが、読みどころの一つ。
「おさかなばなし」。主がいるという噂が立つ〝置いてけ堀〟に、清十郎が落っこちた。噂を探ってみると…悲しい裏側があった。魂が救われる日は来るか。「お江戸の一番」。一枚の番付が生んだ揉め事を、どうせならイベントにしてしまえという話。そもそもの対立理由というのが…。麻之助でなければ収まらなかっただろう。
「御身の名は」。極めて現代的で、やっかいなテーマ。誰にでもある心理だけに、誰にでも降りかかるのが怖い。同情する面もないことはないが…。「おとこだて」。これまた現代的な問題である。お武家といえども、そんな簡単にはいかないとは、知らなかった。もう少しうまい手はなかったのかね。現代なら専門のカウンセラーもいるが。
「鬼神のお告げ」。現代でいう宝くじを巡る、一騒動。麻之助も面倒に巻き込まれることに。本編のコミカルさの裏では、ある事態が進行していた…。こうなるのはちらっとは聞いていたけど、こうするしかなかったんですか畠中さん、と言いたくなる…。
最後の表題作「こいわすれ」。ショックから立ち直れない麻之助を気に掛ける、清十郎と吉五郎。そんな麻之助に持ち込まれたゴタゴタ。何だかにぎやかで、いつものこのシリーズらしい。それだけに、最後のシーンが…。思い切り泣け、麻之助。
この先、麻之助がどう生きていくのか、気になるではないか。既に続編『ときぐすり』が文庫化されているので、読まなければ。江戸時代だろうがネット時代だろうが、人の心は不変なのではないか。畠中作品は、過去と同時に今も描いているように思う。 -
Posted by ブクログ
組織人特集の一冊として取り上げられていたので特に期待せずに読み始めたがかなりのめり込むこととなった。主人公は兄の死や好きな娘の失踪で落ち込む暇もなく大役を命ぜられ、更にお家のピンチをただ一人背負うことになる。諦めずに難題を大胆に解決する様を清々しく感じ、仲間たちのと結束や人脈作りに、出来過ぎと思いつつも関心する。終盤の老中との拳遊びを交えながらのやり取りは鳥肌ものですね。一歩間違えば切腹ものですし。我が藩や仲間たちのために身を投じた行動に、千穂が見抜いた主人公の打たれ強い性格が見える。
千穂がおっさんに娶られるのは残念だったが、千穂なりの献身的な行動であり隠れた功労者に違いない。
あとは、何と言っても主人公を食いかねない岩崎の存在感が大きい。
その他のキャラもとても味わい深く、映像化したら面白いだろうなぁと考える。 -
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原作未読、萩尾望都・雲田はるこの作家二人に釣られて購入。根岸奉行もの読みだしてから江戸時代ものが凄く気になりだしたのとシンクロして非常に面白く読んだ。萩尾先生は萩尾先生タッチの異世界ものっぽさ、浮遊感をきちんと出されているし、くもはるさんのユーモアはここでも健在。くもはるさんには是非時代物BL描いて欲しいなぁ、って欲が出てしまった。表情の描き分けの凄さはべらんめえ調に凄く合っている気がする。
妖かしものに惹かれるのは日本人のDNAに組み込まれた何かがあるからかもしれない。祟り神などとは違い、人間を怖がらせはするが直接的に呪い殺したりはせず、「正体の分からないもの」として在るだけで人間の方が勝手に疑心暗鬼を募らせ、自滅するだけのこと、妖かしものは実は人間に何かしている訳ではないのかも。
主人公で「今日も元気に(?)寝込んでいます」と紹介される薬問屋の一粒種の坊ちゃんの、坊ちゃんらしさと言うのはつばな『動く影』が未読の私には一番入り易かった。 -
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「アイスクリン強し」の前日譚のような話。
主人公は皆川から長瀬たち巡査組に移っている。
どうして長瀬たちが巡査になったのか、巡査になるまでのストーリー。
これもおもしろかった…!長瀬たち「若様組」と呼ばれる8人と、前作には登場しなかった若様組以外の巡査仲間たちを含めた全員の成長・絆が深まっていく様子も描かれていて、読み終わったころには全員の保護者になった気分でした。
もちろん、前作の主人公であった皆川も西洋菓子職人を目指している若者として出てくるから、あのおいしそ~うなお菓子も健在!
今回もやっぱりおいしそうだったなあ…
今作もやはりあまり「時代物」という感覚はなかったけど、江戸から明治への移り変わり、時代の流れに揉まれる若者たちのつらい一面・楽しそうな一面などたくさんの面が見れたかなと思う。たくさんの感情が流れているのが分かる小説でした。 -
Posted by ブクログ
とってもおもしろい!
明治に入り20年すぎたころの、西洋菓子職人とその幼馴染巡査の仲間・幼馴染の女学生を中心に様々な出来事と向き合い解決していく、心温まる物語。
一応時代物なんだけどあまりそんな感じがしない。言葉づかいや文体なんかは近代文学に似通ったところがあるけど読みやすい。
ストーリーはもちろん、キャラがみんなすてき!
それぞれに個性が光っていて、読んでいるうちに、自分もするりとみんなの輪に溶け込んでいるような錯覚になった。
あとは作中によくでてくる西洋菓子がとってもおいしそう~、お腹が空いてきちゃう一冊でもあります!
わたしは主人公の皆川真次郎と幼馴染の長瀬巡査のかけあいが好きでした。
今後の展開が期待できそうな終わり方だったので、続編待機です!