畠中恵のレビュー一覧
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「こいごころ」
切ない話。別れが悲しいのは人も妖も同じ。妖には基本的に「死」という概念がない分、「死」「別れ」への耐性(いつか別れがあるという実感・覚悟)が人より低いのかなあと思うなどした。
最後、こまめに若だんなの無事を確認しては安堵する離の妖達に溜息をつく仁吉と佐助、2人が人の中に長くおり、いくつもの別れを経験してきたから、今更そこには慌てないんだろうな。(よく理解しているからいつもの心配性ぶりなんだろうけれど)
「せいぞろい」では久しぶりに仁吉や佐助が悪党を瞬殺するところを見れてよかったな。
禰々子姐さんが佐助を「相変わらずさっぱりしていて気持ちがいい。いい男」と褒めるのだけれど、暫く読んでいなかったためにいつどこで佐助と禰々子姐さんがそんないい感じになってたの!と驚き -
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しゃばけシリーズ。ハマって小説は楽しく読ませてもらってるのですが、こちらは「外伝」。
正直エッセイがいまひとつだったのでこれはどうだろうとビクビクしながら読み始めました。
が、面白かった!
佐助の過去や禰々子の話、日限の親分の話。どれも若だんなが出て来ないからこそしっかり書かれていて満足。
広徳寺の話は若だんなこそ直接は出て来ないけど、いつもとあまり変わらなかったかな。
特筆すべきは最終話。いつもの時代から100年も後の明治の頃、もちろん若だんなももういない世界のお話。
すぐにでも続きを読みたい!と思わされました。
外伝はもう1冊出ているようで、でも順番に読んでいるのであと10冊ほど読んだ後になります。
おぎんさんは鈴君と巡り会うまで1000年、他の妖たちも長年待ってるわけで、私もせめてそれまで楽しみに待ちながら読もうと思います。 -
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六十年に一度のおかげ参りに出発だわん。
おかげ犬のまろ丸は6歳のお結、お伴の九郎たちに同行。
だが道中は波乱万丈。結の伊勢行きの理由もあり、
困りごと連発、謎の人物たち、事件も起こる。
果たして伊勢に辿り着けるのか、心配だわん。
一 上方からの文 二 日本橋~品川 三 品川~小田原
四 小田原~箱根 五 箱根~丸子 六 丸子~島田
七 島田~舞坂 八 舞坂~吉田 九 吉田~岡崎
十 岡崎~四日市 十一 四日市~伊勢 十二 西へ、明日へ
語りは、まろ丸と九郎。
6歳の結は大坂の大商人・米問屋の花沢屋の家付き娘に
選ばれて、何故か伊勢へ旅することとなる。
同行は、その叔父である両替商の三男坊・九郎と
荷物持ちの東屋の手代・平八。そして仔犬のまろ丸。
時は江戸時代。おかげ参りの年の伊勢参り。
その旅の疑似体験が味わえる道中記が語られます。
宿、グルメ、名所の愉しみがある一方で、
箱根越えや川渡りの厳しさ、東海道を徒歩で進む苦労など、
当時の旅のリアルさも感じられます。
しかも単なる旅ではなく、途中から同行する3人、
関わってくる者たち、拐かしに惑わせる噂、そして恋。
結の存在が次々に起こる困りごとや事件に絡みます。
大商人の身代に関わる不穏な後継問題も見えてきます。
でも、共に旅をしていると見えてくるものがある。
伊勢に到着するまでの結とまろ丸の成長が愛らしい。
それ以上に、自分の行く末を考えながらも困難に対し、
知恵を絞る九郎の姿が清々しかったです。
九郎は新しい地で先に進む。
己の明日を切り開いてゆく未来に幸あれ! -
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ネタバレ好きな作家さんだったので。
薄茶色の体にまろ眉のまろ丸とくれば、柴犬かと。
その仔犬がおかげ犬として伊勢参りに行く珍道中の話かと思っていたが、
予想ほどは珍道中ではなかったし、
ほんのりミステリー仕立てになっていた。
大阪の大きな米問屋に養女に行くことになった六歳の姪を、
伊勢まで送っていくことになった九郎。
大人でも1ヶ月ぐらいはかかる道中、
六歳の子供を連れて行くのも大変だというのに、
仔犬もいるとはかなり大変だなと思っていたら、
初日で乳母が足を捻ってしまい雲行きが怪しくなる。
仕方なく引き返そうとしていた九郎たちに、上方の言葉を話す女たちが声をかけてきて…。
一緒に旅をすることになる女性の一人は、
養母になる女将さんだろうことは早々に気がついたので、
ちょっと興がそがれた。
三男で継ぐ家もない九郎が大阪で仕事を見つけるだろうことも、
意外性がなかったし。
一緒に旅をしている気分になれたので、良かったかな。 -
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「まんまこと」シリーズ6作目。
前に登録したはずが消えてしまったので、確認のため文庫で再読。
基本的な設定については、単行本の感想で書きました。
登場人物が多くて、ちょっと、書き足りないので‥
町名主の息子の麻之助と、隣町の清十郎、同心見習の吉五郎は幼馴染。
両国界隈にたむろする若者の頭の貞も含め、いい付き合いが続いています。
「わかれみち」
麻之助たちの幼馴染で、二つ年上のお由有。
少年の日、ほのかに恋していた麻之介だったが、お由有は清十郎の父の後妻に決まってしまった。
それから数年。
お由有が年の離れた夫を亡くしたら、かって付きまとった男が江戸に舞い戻ってくる。
お由有の父である札差の大蔵屋は、怒り心頭で今度こそ決着をつけると‥
両国の大親分・大貞とその息子の貞も加わり、大人たちは息子世代に、こういう時のやり方を見せることに。
「昔の約束あり」
麻之介と清十郎は、同心見習の吉五郎の上司で怖い義父・相馬小十郎を訪ねる。
吉五郎が突然、町中で見知らぬ娘に千里眼が勧めた婚約があると言い立てられたのだ。
清十郎の新妻・お安、札差の妾・お虎、吉五郎の義父の娘・一葉が活躍。
「言祝ぎ」
吉五郎の姪で16の「おこ乃」に突然三つの縁談が来た。その理由とは。
早くに亡くなった妻「お寿ず」によく似たおこ乃に、麻之助は淡い想いもあったが、あまりに似過ぎているために抑えていた。
「黒煙」
大火事のさなか、幼い双子を救った麻之助。
主の子がなぜ取り残されていたのか? その成り行きは‥
「心の底」
花梅屋のお浜は、相馬小十郎の伯母。
お浜の孫であるお雪の許婚が、江戸に戻らず行方不明に。
麻之助が探すために駿河へ旅に出ることになったら、お雪とお浜も同行すると言い出す。
活発なお雪に、振り回されながら、少し惹かれる麻之助。
「ひとめぼれ」
吉五郎の許婚の一葉は12歳。数えなので今でいえばほんの10か11。本人は大人のつもりなのですけどね。
吉五郎は一人娘の一葉とゆくゆくはという約束で養子に入ったが、一葉が幼過ぎるため婚約は内々の話だった。
相馬家に出入りする若者に、一葉は‥
幼い初恋の行方が切ない。
吉五郎も、一葉に恋をしているほどではないにしろ、切ないよねえ‥
元気な女性たちの活躍が目立ちましたね。
頑固で強い同心の相馬小十郎さまが、なんだかんだ言って、カッコいい!(笑)
結婚は親が決める、家を継ぐのは子供のうち一人だけで他の子は結婚も難しい、など。
当時の制度のややこしさ、理不尽さ。
さらには、結婚して生計が成り立つかどうかという問題も。
それでも人の相性もあれば、惚れたはれたももちろん、ある。
どの縁が成就するのか‥
現代でも、結婚が上手くいくかどうかは、様々な要因あってのことでしょうが。
最初から無理!と諦めるほどの抑圧は、そんなにないでしょう。
過去の制度や習わしは、この方がいいと当時は思っていたということ。
でも状況が変わったり、無理が大きければ、次第に変わっていく。
今のあれこれも、後の世から見れば‥ どうなんでしょうね?(笑)