畠中恵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレいつの時代も、妖怪ものはある。
私が小さい頃は『ゲゲゲの鬼太郎』や『地獄先生ぬ〜べ〜』があったし、それからも『夏目友人帳』『妖怪ウォッチ』や『ダンダダン』など、ずっと妖怪コンテンツはあった。
子どもの頃に想像する、「オバケや妖怪がいるかもしれない」という世界。
思えばこうしたコンテンツは色んな描き方がある。
ホラーもあれば、バトルものもあれば、学園ものまで。
今回読んだ『しゃばけ』は、時代劇。
舞台は江戸。主人公は豪商の跡取り息子、一太郎。
一太郎の周りには普通に妖怪が出てくるし、普通に喋って働いていたり(素性を隠して)する。
こういう、「自分にだけ変なものが見える」とか「人に化けて身の回りにめっちゃ強い妖怪がいる」とか、私は子どもの頃に妄想していたもので、なんだか懐かしい。
妖怪絡みの事件を扱うミステリー的な物語ではありつつ、江戸の暮らしぶりが垣間見えるのも面白いポイント。
今回の物語の鍵は、『付喪神(つくもがみ)』という妖怪だ。
長く使われた道具には魂が宿るというもの。
日本では古くから、道具はもちろん、木や山、岩、川など、自然に対しても神を見出してきた。
私自身、神様や妖怪などの類は信じているし、私はその日本人的感覚が、とても素敵な考え方に思える。
ドライに現実だけを見るのではなくて、「もしかしたらあの脇道に妖怪がいるのかも」と思えるだけで、何が大きく変わるでもないが、ちょっとだけ日々が楽しくなりそうだと思う。
浮世絵が流行して今も生き続けているのも、そんな風に「もしかしたら」と思えるワクワクがあるからかもしれない。
今では身の回りはほとんど安価な大量生産の人工物に囲まれているし、100年使い続けられそうなものは少ない。
付喪神には、なれそうもないものばかりだ。
人が長く使って愛を注いで、怨念が宿ってしまいそうなほどのもの。
そんなものを作りたいと思う。 -
Posted by ブクログ
寝込まなくなった・という事は丈夫になった・という事だろうか?キャラが崩れる~あの佐吉が全身に熊にでも引っ掻かれたような傷ができたのか?料理屋同士の縁組みが壊れたのは嫁を迎える姑が妬いたから!白黒毛むくじゃらの子犬は油問屋の奉公人によって盗みの手助けをするように仕込まれていた!神田の武家が悪夢に悩まされ、長崎屋の離れに女のお化けが現れ、食べようとした天麩羅に足が生えて逃げ出すのはどうして?長崎屋を辞めていこうとする番頭二人と小僧はそれぞれ悩みを抱えている~なぜ、佐吉は願興寺を庇った?どうやって子犬に鍵への執着を持たせられる?古着屋から紐が盗まれ、漬け物屋から樽が盗まれた訳は?武家が書いた本からどうして怪しが現れる?謎が解けるどころか深まった!願興寺(がごぜ)とは、その名の寺の下働きが妖怪になったものだった
-
Posted by ブクログ
.
江戸を舞台に、妖(あやかし)たちと、彼らが身を寄せる大店の”若だんな”が活躍する、『しゃばけ』シリーズの第23弾です。
妖界の大物を祖母にもつ若だんなは体が弱く、二人の屈強な妖が“兄や“として付き添っています。
ある日、その一人である佐助が、血らだけになった姿で、若だんなの前に現れます。
「大したことはない」と言い張る佐助ですが、周囲の妖たちは、その理由をあれこれと詮索し始めます。
「誰が佐助の怪我の理由を突き止めるか、賭けをしよう」ということになり、聞き込みを始める、妖たち。
誰が、この賭けに勝つのか・・・
このように始まる表題作『なぞとき』を含め、5つの連作短編が収められています。
今回も、若だんなや妖たちによるなぞ解きや騒動の解決を、楽しく読ませてもらいました。
本作は『しゃばけ』シリーズとして、オーソドックスな内容のように、感じました。
しかしその中には、熱を出さない日が続いたり、店の問題の解決を任せられたりと、若だんなの「成長」も感じられるエピソードもありました。
まだまだ続いて欲しいけれども、変化も欲しい。
長編シリーズが求められるニーズに応えてくれていると感じた、今回の作品でした。
.