貫井徳郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
かつて生活必需品だったスマホの座を奪った置き換わった眼鏡型の“VRゴーグル”。
身につければバーチャル世界を堪能できる。世界のどこでも行けるし、現実世界はもちろんのこと幻想の世界に入り込むことも不可能では無いガジェットだ。
元警察官の瀧川は、“VRゴーグル”を使ってゲームの世界に入り浸る生活を送っていた。
一方、所轄刑事の保田真萩はいまだにスマホを使い、ゲームも一切やらない現実派。
警察官時代の同期だった瀧川と真萩。VR世界と現実世界で共に殺人事件を追う二人は、やがて図らずも交錯する…
近未来を舞台とした、SF×本格ミステリ×警察小説。バーチャルとリアル双方の事件がいかにしてリンクするのか?という謎が興味深く、リーダビリティは高い。特にVRゴーグルで体感できるゲーム《ドラゴンズ・グレイブ(龍の墓)》は、ファミコン/プレステでRPGを楽しみながら育った世代の私には馴染み深い世界観だ。戦士に魔法使いに商人といった職業が登場し、剣と魔法を駆使してドラゴンと対峙する世界って、まんまドラクエ/FFやん。まさか「召喚魔法」が登場するミステリを読む日が来るとは(笑)
「クエスト」なる寄り道に夢中になって、いつの間にか本スジの攻略を忘れてしまうのはRPGあるある。
しかしながら、設定が大風呂敷を広げている一方で、謎解きのロジック及びトリックは小粒で、尻すぼみになってしまった感あり。
瀧川が警察官を辞めることになったくだりは胸が痛い。嘘や裏切りがあり、事情を知りもしないのに批判する人がいる。そんな生きづらい現実世界に一石を投じたかったのも本書のテーマの一つか。 -
Posted by ブクログ
近未来を舞台に展開する、VRMMORPGと現実をリンクさせた意欲作。
町田市の郊外でドラム缶に押し込まれて焼かれた遺体が発見される。続けて荒川区で刺殺体が発見され、その連続性と遺体の状況がVRゲーム〈ドラゴンズ・グレイブ〉に似ていると騒ぎになる。捜査を担当する所轄刑事の真萩と本庁捜査一課の南条は、真萩の同期で警察を辞めた瀧川に協力を求める。
現実の捜査状況と瀧川がプレイするゲーム場面が交互に描かれていく。ゲームの描写があまり面白そうではなくてそそられない。おまけにゲーム内で本格推理劇が始まってしまいドン引きである。そして現実世界では……。 -
Posted by ブクログ
話は十四歳の峰岸晄から始まる。
その頃の晄は苛められていた。
そして、話は晄の十六歳、十九歳、二十一歳、二十五歳、二十九歳と続く。
その中の回想で、晄が四歳の頃に死の淵をさ迷うような壮絶な暮らしをしていたことがわかる。
そして母は亡くなり、父は人殺しという状況で、五歳の時には母の兄である伯父に引き取られた。
そして、その後の晄は高校、就職と進んでいくが、正直まともな人生とは思えない。
何事にも感情を表さず、人との付き合いも淡々としたものだった。
だけど、晄の生き方には晄の考えがあった。
ラストは衝撃だったが、晄の人生にも何度も衝撃を受けた。
2024.2.15 -
購入済み
展開に少し無理があるかな〜?
ミステリー系小説の部類に属するかと思いますが、ストーリーの展開に少し無理があり、「えっ!そういう事実があったのか?」という、驚きの場面もありませんでした。
-
Posted by ブクログ
相手の所有物を持つと、その人の感情を読み取ることのできる能力をもつ遥。その遥に救われたサラリーマンの主人公雪籐が、彼女の能力で1人でも多くの人を救いたいと組織を作っていくという物語。
世間的には怪しげな宗教として見なされる中で、宗教ではないと奮闘していく姿は本当に孤独な戦いとして描かれている。
並行して、娘が失踪した中年女性の物語も展開するが、この女性が遥とまさかこのように絡むとは!というのが想像していなかっただけに驚き。
貫井さんの作品は好きで良く読むのだが、多少毛色が違っていて面白かった。
ただ、ストーリーが分かってしまうと2度読みはしないかな。 -
Posted by ブクログ
スマホが過去のものとなり、VRゴーグルが普及した近未来。
VRの用途は様々で、眼鏡並みの軽さで現実の風景を堪能することもでき、ゲームも楽しめ、他者とのコミュニケーションをとるのもすべてVR世界内で完結する。
このVRで発売当初から話題になり、売れているゲーム《ドラゴン・グレイブ》のなかで発生する連続殺人が、実際にあらゆる場所で現実に起こっていた。
最初は、身元不明の焼死体が発見され、刑事たちが捜査に動くという警察小説かと思っていたが、どうやらゲームを模している連続殺人事件か…となり、何やら不思議な感覚になる。
地道な捜査をする現実世界に対して、ゲームのなかで繰り広げられる殺人に意外性しかなかったのだが、何やらゲームの方が先攻しているようで…(ゲームのなかで推理を楽しんでいる自分に、あれ⁇混同してると感じることもしばしば)
現実にはどうなるのか全く予測不能だった。
犯人に対して、何が動機となるのかはわからないと思ったが、他人を安易に非難することはあってはならないことだと切に感じた。