貫井徳郎のレビュー一覧
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心臓移植を題材にした物語で、フィクションの面白さと医療制度についての学びを同時に味わえる一冊。現実にはどこまで起き得るのだろうと設定を自分なりに推し量りつつ、読み終える頃には制度や倫理への理解が少し深まった気がした。
心臓移植を受けた主人公が、術後に自分でも説明のつかない変化を感じ始めるところから物語が動き出します。ドナーの記憶や仕草が移るという設定は物語ならではだと思いながらも、食の好みや体質の変化なら現実にも起こり得る気がして、フィクションとリアルの距離が少し近づくような不思議な読み心地でした。また、自分の身に起こる変化を不思議に思いながらも、ただ翻弄されるのではなく“救われた命を大切にしよう”と前を向く主人公の姿がとても気持ち良かったです。
さらに、作中では移植医療の制度や術後ケアについて丁寧に触れられていて、物語を追いながら自然と知識が積み上がる構成。脳死判定や臓器提供の流れなど、普段あまり考える機会のない領域に触れることで、倫理観について立ち止まる場面も多かったです。
展開に都合の良さを感じる部分もありましたが、それ以上に「学び」の比重が大きく、読後は満足感が勝ちました。エンタメとして楽しめて制度の理解も深まる、今回は迷わず☆5です。 -
Posted by ブクログ
「真実と後悔の色」の続編です
前作がとても自分の好みに合っていて、主人公の西城刑事や9係のメンバーのファンになりました
表紙が赤に彩られた横断歩道、読む前の印象は
殺伐とした生活感のある風景だなと思いました。
しかし読み終わった今、この表紙の意味がとても心に沁みます。
さて
西城が前作であんな事になってしまい、今回どう登場してくるのか興味深々でした。
今回もなかなかの長編ですが、読み始めたら止めるのが困難でした
時間が経つのがこんなに早く感じる
それだけ夢中で本に没頭している
とても幸せな事だなと改めて感じました。
僕自身、読んでない本は読むまで内容をいっさい
知りたくない派なので
ストーリーには触れませんが、
大傑作ミステリーなのは間違いありません。
興味を持たれたら是非!
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Posted by ブクログ
母親は死に父親は人殺し
5歳で中々帰って来ない母を待ち続け空腹に耐える生活をし、叔父夫婦に引き取られてからも毎日無収で働かされ学校ではいじめられる
そんな晄が過ごす29歳までに復讐をしていく話
真っ当な社会人生活は当然出来なくて後ろ指指される様な仕事を始めどんな展開になるのか想像しながら読みました
同級生である叔父夫婦の一人息子の慎司と唯一関わりを持ってくれた同級生木下怜菜
どの様に後半の展開に持っていくのか
答えは全く裏切られる結果となるがなぜここまで感情移入してしまったのか考えると最後の解説にも載ってたが主人公には全く感情が描かれてない
色んな場面に遭遇しても喜び、怒り、悲しみ、恐怖、憐れみが全くなく勝手に読み手が感情移入しているだけでした
本作品を読み終えてしばらくボーッとしていた時に解説を読み意味がわかり本内容を思い返しました
また新しい内容の小説と出会えました
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Posted by ブクログ
とても考えさせられる内容でした。
「別に誰も見てないし」「一回くらい」「これこそあるべき姿だ」などなどいくらモラル違反、ルール違反をしていようとも肯定しようと思ったらいくらでも出来る。
それで人が死に、取り返しのつかないことにつながっていることを糾弾されると、自分が一番かわいいので、「自分は関係ない。悪くない。」と保身に走る。
正直ほんとうに胸糞が悪いけど、これが生々しい人間の本質なんだろうなと思った。
自分の過去を振り返ってもそんな違反をしていませんだなんて言えないし、もしかしたらもしかして、気づいていないだけで負の連鎖に加担していたのかもしれないと思うとゾッとした。
ただ今回は負の連鎖にフォーカスしていたが、逆に小さいことでも「親切」「感謝」「礼儀」など良い連鎖にも加担することも可能なんじゃないかとも思えた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ個人的に第六章が一番印象的だった。
江成厚子は、他の章の登場人物とあまり重ならない。他の章の登場人物は、紆余曲折ありながらも最終的に彼らなりの結論を編み出した。これからは前を向いて生きていくのだろう。だが厚子は、前を向ける取っ掛かりを見つけたのに、最終的にはまた元の暗い日々に、なんならそれよりも絶望に苛まれた状況に落とされて、章は終わる。
彼女の感じた絶望は、斎木の感じたそれと重なるものがあるのではないかとも思う。彼女はこの先どんな人生を送るのだろうか。
フィクションでありながら読者に訴えかけるものもあり、最後まで面白かった。 -
Posted by ブクログ
これ、絶対読んだことあるんだよなぁと思いながら読んだ。なんか誘拐事件があったのは覚えていたけど、最後まで読めてしまった。なんてことだ。
亮輔の父親の濱仲辰司が殴られて川の中で死んでいた。殺人事件として取り扱われる。賢剛は刑事だ。辰司はご飯の後に一杯飲み屋のかげろうに向かった。
辰司は賢剛の父の智士と仲が良かった。智士はすでに自殺している。辰司の遺品の中に幼児餓死虐待事件と誘拐事件のファイルがあった。地上げ屋がひどいことを民家に仕掛けるが、逮捕者も取締りもされず、辰司は絶望している。
幼児餓死虐待事件の母の比奈子が自殺。もとはといえば地上げ屋に家を高額で買い取られたことで夫が仕事を辞めて愛人を作ったことが発端だった。地上げ屋が悪い、やつらに反省を促そうと誘拐事件の計画が持ち上がる。天皇の具合が悪い。