貫井徳郎のレビュー一覧

  • 不等辺五角形

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    貫井徳郎うますぎる。殺人事件があって犯人は自首している。でも動機不明。ということで当時一緒にいた幼馴染の3人が、それぞれ証言していく。面白いのがその証言は「あくまでもその本人の主観によるもの」であること。だから都合の良い解釈や意図的なのか事実と違うんじゃないの?ということをそれぞれ話しているから、自分に都合悪いことは話さないばかりか証言の中には全然事件と関係ないようなこともあって、ミスリードさせられる。しかし!真相はしっかりと語られているし、伏線もしっかり張られていて最後には「さすが貫井徳郎!」となります

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    2025年12月06日
  • ひとつの祖国

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    東日本がソ連に占領され分断国家となった後、東日本が西日本に吸収される形で統一する。しかし、旧東ドイツと同様に東日本住民は二等国民として非正規雇用にしか就けない。自衛隊員の息子で西日本人に子供のころからの親友がおり、生化学を専攻したが、引っ越業者の契約社員をやっている一条がテロ組織に巻き込まれる。SNSを駆使して国民を煽るポピュリストの党首、非正規雇用の下層化など現在日本の階層化社会を東西に置き換えたような話。

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    2025年12月04日
  • 紙の梟 ハーシュソサエティ

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    一人殺したら死刑になる社会になったお話
    
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    ここは、人を一人殺したら死刑になる世界――。
    
    私たちは厳しい社会(harsh society)に生きているのではないか?
    そんな思いに駆られたことはないだろうか。一度道を踏み外したら、二度と普通の生活を送ることができないのではないかという緊張感。過剰なまでの「正しさ」を要求される社会。
    人間の無意識を抑圧し、心の自由を奪う社会のいびつさを拡大し、白日の下にさらすのがこの小説である。
    
    恐ろしくて歪んだ世界に五つの物語が私たちを導く。
    
    被害者のデザイナーは目と指と舌を失っていた。彼はなぜこんな酷い目に遭った

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    2025年11月26日
  • 慟哭

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    ネタバレ

    慟哭、という題名からだいたいの内容は予想できていた。連続幼女誘拐殺人事件を巡り、捜査本部パートと、犯人である『彼』のパートが交互に書かれる。
    文章がとても重厚で漢字の使い方がとても上手い。作者の貫井さん渾身のデビュー作だけど、早稲田大学出身なのですね。さすがです。
    物語が進むにつれて、「ひょっとしたらこうなんじゃないか?」という考えは頭を過ったが、「いやでも違うかー」と考えを消させてしまう文章の組み立ての旨さ。新興宗教の闇や、警察内部のキャリア対ノンキャリアなど複雑な背景もある、とても重厚な物語。
    でてくる人物の心情はとても良くわかる。自分自身が父親を知らずに育ったという背景もあり、不器用で娘

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    2025年11月26日
  • 悪の芽

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    就職氷河期世代を勝ち抜き、大手銀行に就職し、幸せな家庭も手に入れた安達。しかしある日突然起こった無差別テロの犯人が小学校の同級生であることを知る。自分が彼に無分別にもボソッと下の名前が「キン」と読めることをつぶやいてしまってから、イジメの対象になっていた。イジメをしたわけではないが、それがエスカレートして彼が不登校になるまで続き、出てこなくなるとサッパリ忘れていたことも、良心の呵責を大きくした。彼が同級生であることに気づいてから、パニック障害になってしまう。

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    2025年11月24日
  • 紙の梟 ハーシュソサエティ

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    人を1人殺せばもれなく死刑になる時代が描かれている。物事は単純化され、SNSは短絡的で感情的かつ二極化し、すぐに炎上するようになる。

    第1話 死刑になりたくないゆえに、怨恨と利益のために舌を切り、目をつぶし、全ての指を切り取った容疑者。こんなに残忍な犯行に及んでおきながら、犯人は死刑にならないのだろうか?

    第2話 男に襲われそうになった同級生を救うために、咄嗟に殺人を犯してしまった同級生。みんなはそれを庇うために死体を隠蔽しようと企んだのだが…次々に起こる殺人事件。

    第3話 いじめの為に追い詰められて自殺者が出た。SNSは炎上し、加害者たちの情報がネットを賑わすようになる。いじめっ子、そ

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    2025年11月19日
  • 崩れる 結婚にまつわる八つの風景

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    ネタバレ

    面白かった。

    ツイッターで表題作の「崩れる」が話題になっていたので読んでみた。
    この作者の作品を読むのは初めてだと思う。アンソロで読んだかもしれないが覚えていない。

    総じて女性の心理を描くのが上手いなという印象。
    ダメ男に対する女性の辛辣な評価まで描かれているので、作者は自己内省も込めて描いているのか?とも思った。各キャラのダメなところもきちんと描いているところが面白い。


    以下、各話の感想。


    「崩れる」(小説すばる94年11月)
    パート終わり、夏の暑さにうんざりしながらバスに乗り遅れるところが印象的。そして乗れたバスでも定期が切れて両替もしてくれない、という目に見舞われる。
    この出

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    2025年11月04日
  • 夜想

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    空白の叫びが良かったので、そのまま連続で貫井さん。
    なんやかんやで3連続(冊数で言うと5冊連続)
    多分これで貫井さんの積読終了かな?
    新しいの仕入れなきゃw

    さて、久々にどう書いたらいいか悩ましい。
    というのも、とてもいい作品すぎて稚拙な表現をするのが怖いし申し訳なく。

    共感あり、衝撃あり、涙あり、どういう結末を迎えるのか、ハラハラドキドキの逸品でした。

    貫井さんはほんとに凄いな。
    だからこそ、やめられないのよね。

    有意義な読書タイムをありがとうございました
    この読後感を噛み締めつつ

    個人的には『八日目の蝉』の読後感と似てるかな。
    内容は全然似てないんだが、うまく説明できないけど、な

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    2025年10月27日
  • 愚行録

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    インタビュー形式で読みやすい。
    一気読み。

    愚かな部分がピックアップされて、
    人間はいつどこで妬むのか妬まれるのか。
    イヤミスでとても好き。

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    2025年10月06日
  • 不等辺五角形

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    人物像と関係性。
    それぞれから語られる姿はひとつとして同じものはなく、そのことを改めてずしっと感じさせられる本でした。
    とても読みやすく最後までどうなるのだろうとおもしろく読めました…!

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    2025年10月02日
  • 不等辺五角形

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    ⭐︎3.4とあまり高くないんだなぁと思いつつ読み始めましたが、面白かったぁ!
    最近、様々な理由で読書が捗らなかったのですが、一気読みでした。
    まずは単純に私が貫井徳郎作品と相性が良いのだと思います。読みやすくて水が染み込むように、あるいは呼吸するように読めます。

    この話は5人組の中で殺人事件が起き、そのことについて被害者と被疑者を除く3人が語る形式です。最後に被疑者が独白して終わりです。
    驚くほど捉え方が違うのが面白いです。
    意図的に話したり話さなかったりすることも加わるので、同じ出来事でも乱反射するように違う見え方をする。
    貫井徳郎、あっぱれと言いたくなります笑

    最後のリアの独白で、3人

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    2025年09月28日
  • 殺人症候群 <新装版>

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    症候群シリーズ3作目
    法の裁きを受けない犯罪者を殺していく職業殺人者、渉と響子
    そのふたりを追う環チームの原田と武藤
    難病の息子の心臓移植ため殺人を重ねる和子
    交通事故の被害者と脳死による臓器提供に関連を見出した鏑木
    別の話に見えて途中で交わり、ラストは悲劇が待ち受ける
    過去の事件の経験から環チームには加わらず信念を貫いた倉持の孤独が辛かった

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    2025年09月21日
  • 慟哭

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    昔読んでの再読だが、やっぱこれはすごい
    二つの視点で進行するサスペンスの緊張感、それぞれの主人公の寒々とした心象風景の描写、新興宗教のリアリティ、狂気のスピード感、どれをとっても秀逸
    概要もオチも覚えてたがページを繰る手が止まらず
    佐伯さんの心が削られてく過程が最高、まじ可哀想

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    2025年09月19日
  • 慟哭

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    警察パートと犯人パートが交互に描かれているため、読みづらいかと思ったが、むしろサクサク読めた。丁寧な文体で読みやすく、最後は少し驚きがあった。

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    2025年09月17日
  • 悪の芽

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    貫井徳郎先生の想像力、キャラクターの緻密な設計には毎度感動させられる。
    この本を読んでて最初は微笑む人を思い出し、
    後半には乱反射を思い出した。
    why done itから世間に一石を投じる内容となっており、この本を通して考え方がひとつ増えてくれる人がいればいいなと感じたし、その中に自分が入れていればいいと思う。
    今後生きていく上で忘れたくない本。

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    2025年09月07日
  • 女が死んでいる

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    ミスリード、どんでん返し、伏線回収が気持ち良い短編集
    どの物語も短いのに読み応えがあっておもしろかった!

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    2025年09月06日
  • 慟哭

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    結末の想像はつきながらもそうであってくれるなという希望を持って読みすすめて、完全に踊らされるくらい面白い描き方で最高でした。これ以上は何も感想に書けない 笑

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    2025年08月24日
  • 慟哭

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    交互に語られる二つの異なる話が最後に交わってどんでん返しというよくできた叙述トリック。作品としてはもちろん、技法としても完成度が高い。

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    2025年08月08日
  • 慟哭

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    読書が趣味になるきっかけになった本。
    殺人犯を追う警察のパートと、宗教にのめり込む男のパートを交互に読む形式が非常に面白く
    宗教男のパートを読んでいるときが特にページを捲る速度が上がります。
    この本のような衝撃を求めて色んな本を探しています。

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    2025年07月24日
  • 乱反射

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    人間の本質的な弱い部分を見せられた一冊。
    今回は事故にあった2歳の子供を題材にしていたが、個人的にはコトの大きさではないということを感じた。
    今まで自分が犯した小さなエゴ、我儘は、たまたま事故や事件になっていないだけで、知らない誰かが代わりに罪を償っていてくれた(補ってくれた)可能性も考えられる。
    「自分が好き勝手することは誰かを苦しめることになる。」そんなことを思いました。

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    2025年07月18日