貫井徳郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
さすがだ、、!
久しぶりに貫井徳郎作品を読んだら、圧倒された〜。
ほんまにそういうコンプレックスがある女性が書いているかのような没入感だった。
さすがです。
初めから結末がどうなるかわかっているつもりだったけど、ほんまのラストはまさかの、ではあった。そこも貫井徳郎作品らしい展開で、おもしろかった。
とはいえ、これ以外の貫井徳郎作品とは一線を画す、女性主人公で、ほぼ一人の視点で描かれる。性別はともかくとしても、貫井徳郎が1人の人間の視点で物語を描くと、こうも描写が深くなるか、、、、と納得した。
ちょい役ではあったものの、天才小説家・鴻池のセリフが印象的だった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ貫井徳郎先生の視点が変われば捉え方が変わる系の本が本当に好きで愚行録、微笑む人、悪の芽よりの作品だと思った。
慟哭や乱反射のようなミステリー系も大好きだが、この読み終わったのに解釈がなかなか決まらない感じがたまらない。
いろんな人の意見も拝読させてもらったが、
梨愛は、マレーシアにいた時の影響が
そのまま大人になっても生きてきている。
母が父に向けたらリスペクトや、父に尽くす生き方。
ソフィーの両親を理想とするような点。
そして夏澄への恩。
この小説の面白いところは、
弁護士に向けた語りがメインとなるので
メタ視点が入らず、嘘をついてる可能性を
考えながら読まなくていけないところ。
夏澄に関しては、雛乃の部屋で話したというが、
実際は…?
突き飛ばしたという描写が誰からも
出てきていないのは?
夏澄の犯行当日の動きについて語り出したら、
気づけば朝になっていることだろう。 -
Posted by ブクログ
アニコンというイベントで大量殺人を犯した、殺人犯、斉木の小学校の同級生が主人公の安達。斉木は自殺をしてしまい、犯行の動機が分からない。斉木が小学生の頃に苛められていたきっかけを作ってしまった安達が罪の意識に苛まれながら、その理由を探る。始まり方が衝撃的で気になって一気に読み終えるほど面白かったです。
事件で娘を亡くした遺族の厚子さんが主人公への復讐を止めると息子に宣言した後、息子の厚子への容赦ない発言に対して、厚子が、もっと優しい息子が欲しかったな。というシーンが、胸が痛くなった、、厚子は被害者の絶対的な権利の主張や加害者側への想像力の欠如に疑問を持ち、復讐を踏みとどまったのに、想像力のない息子に酷いこと言われてしまい、救いがない、、
被害者の会の集まりで加害者の親を訴えるのに反対してきた、岡崎咲江との出会いが厚子のこれからの救いになってほしい。
-
Posted by ブクログ
ネタバレインタビュー形式で物語が進む。
それぞれの証言が食い違う(嘘も含まれる)ため、
物語の真相が分かりにくい。
「不等辺五角形」のタイトル通り
五人の恋愛感情が見事に噛み合わない。
「重成」を好きな「夏澄」と「雛乃」
「雛乃」を好きな「聡也」
「重成」は別に誰も好きにならず
容疑者となった「梨愛」が好きなのは「夏澄」
(コレはおそらく学生時代の友人ソフィーの影響)
「重成」を弄ぼうとする「雛乃」に苛立ち、口論になった「夏澄」は、「雛乃」を突き飛ばす。
「梨愛」は「夏澄」のため、「雛乃」の遺体に偽装し、
自ら罪を被る。
登場人物の本音を探して一気読み。 -
Posted by ブクログ
一人殺したら死刑になる社会になったお話
-----------------
ここは、人を一人殺したら死刑になる世界――。
私たちは厳しい社会(harsh society)に生きているのではないか?
そんな思いに駆られたことはないだろうか。一度道を踏み外したら、二度と普通の生活を送ることができないのではないかという緊張感。過剰なまでの「正しさ」を要求される社会。
人間の無意識を抑圧し、心の自由を奪う社会のいびつさを拡大し、白日の下にさらすのがこの小説である。
恐ろしくて歪んだ世界に五つの物語が私たちを導く。
被害者のデザイナーは目と指と舌を失っていた。彼はなぜこんな酷い目に遭ったのか?――「見ざる、書かざる、言わざる」
孤絶した山間の別荘で起こった殺人。しかし、論理的に考えると犯人はこの中にいないことになる――「籠の中の鳥たち」
頻発するいじめ。だが、ある日いじめの首謀者の中学生が殺害される。驚くべき犯人の動機は?――「レミングの群れ」
俺はあいつを許さない。姉を殺した犯人は死をもって裁かれるべきだからだ――「猫は忘れない」
ある日恋人が殺害されたことを知る。しかし、その恋人は存在しない人間だった――「紙の梟」
-----------------
「死刑の基準が被害者一人に変わったところで、そんなに変わらなくない?」と思って読み始めたけど
そんな社会が実現したら、意外と今とは違ったものになると思い知らされる
この仮定、全くの荒唐無稽なものではなく、現代の風潮の延長線上にあるようにも思える
恐らく、この社会では殺意の有無は関係ないし
過失致死も死刑になる社会なのかもしれない
そんな前提で描かれる短編4つと中編1つ
・見ざる、書かざる、言わざる
すべての指と舌を切り取られ、両目を潰される事件
意思疎通にも困る「死んだ方がマシ」と思える状態の被害者
殺したら死刑になるが、殺していないから死刑にならないというのは適切なのか
犯人の意図とは?
この事件の結果、傷害罪でも死刑になり得るように法改正される
・籠の中の鳥たち
写真同好会の女子学生を襲っていた浮浪者を殺してしまった男子学生
仲間達は、そんな彼を庇うために事件の隠蔽を図る
しかし、別荘で翌朝に一人殺されてしまうクローズドサークルミステリ
前提条件を鑑みればメタ的に犯人は容易に推測できる
情状酌量の余地もなく死刑ななる事の是非
厳格な法適用は果たして必要なのか
・レミングの群れ
いじめにより自殺した中学生
いじめ加害者への社会からの強い批判
そして、加害者やいじめを解決しようとしなかった関係者を殺す自殺志願者達が発生してしまう
制裁を加えた自殺志願者を英雄のように称えられる世間
それに便乗して加害者を殺す田中
って、おい田中ぁー という一言に尽きる
・猫は忘れない
姉をを殺された弟による復讐劇
しかし、弟の彼女は死刑反対派で……
裁判でも死刑にならなかった者を殺す事
死刑の欠陥は、冤罪に対する補償ができない事
まぁ、冤罪はそもそも不可逆的なものだけど、文字通りの致命的な欠陥
・紙の梟
作曲家の笠間の恋人 紗弥が顔が判別できない程の暴行を受けて殺害される
捜査の過程で、紗弥が偽名を使って暮らしていたことが明らかになる
ほどなくして犯人が逮捕される
犯人は、父親が紗弥に騙されて金を貢いで自殺してしまった事による怨恨だという
果たして、紗弥は何者だったのか?
自分に近づいてきたのも詐欺のためだったのか?
罪を犯した者から、改心や更生の機会を奪う事の是非
ただまぁ、個人的には重罪を犯した人は、いくら改心して更生したと言っても、同じ社会にいて欲しくないなぁと思ってしまう
犯罪の中でも、人それぞれの「超えられない一線」ってあるはずで
そこを超えてしまった人が身近にいるというのはものすごく怖い状況だと思う
現代社会もこんな世界に近づいてきているという実感がある
社会全体に余裕がなくなってきて、どんどん不寛容になっている
他者への過剰な社会性の要求
行き着く先は無責任な正義
何等かの悲惨な事件が起きると、加害者よりも被害者への同情心から厳罰化の意見が大きくなる
その気持もわかる
わかるのだけれども、それで結局社会が平和になるのか?という疑問
厳罰化が犯罪の抑止力になるのか、それとも犯罪の段階に歯止めの聞かない状態を生み出してしまうのか
理屈的にはどちらも有り得る
こればかりは実験してみるわけにもいかないし、中々に判断がつかない問題でしょうね
副題の「ハーシュソサエティ」は「厳しい社会」という意味
実際に、市民感覚としての感覚は過去の判例よりも厳しい社会を求めている
裁判員裁判でも、殺した人が一人でも死刑判決が出ているし
性犯罪なども厳罰化の傾向がある
あと、執行猶予でも保護観察を付けるとか、一度でも法を犯した人は見張っていて欲しいという想いは理解できる
なので、この小説はフィクションではあるけど、全く荒唐無稽なものではなく、現在の社会と地続きというものを感じる
物語の内容と関係ないけど
表紙は十三階段をイメージしてるのだろうか?
でも、読むとわかるけど、その登った先に紙の梟がいるのは違うんじゃないかな?
それとも、紙の梟は寛容さの象徴として捉えているのだろうか? -
Posted by ブクログ
人を1人殺せばもれなく死刑になる時代が描かれている。物事は単純化され、SNSは短絡的で感情的かつ二極化し、すぐに炎上するようになる。
第1話 死刑になりたくないゆえに、怨恨と利益のために舌を切り、目をつぶし、全ての指を切り取った容疑者。こんなに残忍な犯行に及んでおきながら、犯人は死刑にならないのだろうか?
第2話 男に襲われそうになった同級生を救うために、咄嗟に殺人を犯してしまった同級生。みんなはそれを庇うために死体を隠蔽しようと企んだのだが…次々に起こる殺人事件。
第3話 いじめの為に追い詰められて自殺者が出た。SNSは炎上し、加害者たちの情報がネットを賑わすようになる。いじめっ子、その母、教師などが善意の自殺志願者によって殺される。自殺志願者はうまく自分で死ねないのだが、人を殺せば必ず死刑になるからだった。
第4話 姉がストーキング行為の末に殺された。弟は復讐を企て、自殺に見せかけて殺すことにこだわる。
第5話 恋人が殺された。だが、恋人を殺した犯人の父は、恋人に数千万のお金を巻き上げられて自殺したという。恋人は偽名を名乗っていた。一体恋人は今までどのように生きて来たのか。その正体は?自分も鴨の候補だったのか?交際期間が8ヶ月しかなかったからお金の話を出さなかっただけなのか?
死刑の話など単純化されているだけに、単純化された議論が面白かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
ツイッターで表題作の「崩れる」が話題になっていたので読んでみた。
この作者の作品を読むのは初めてだと思う。アンソロで読んだかもしれないが覚えていない。
総じて女性の心理を描くのが上手いなという印象。
ダメ男に対する女性の辛辣な評価まで描かれているので、作者は自己内省も込めて描いているのか?とも思った。各キャラのダメなところもきちんと描いているところが面白い。
以下、各話の感想。
「崩れる」(小説すばる94年11月)
パート終わり、夏の暑さにうんざりしながらバスに乗り遅れるところが印象的。そして乗れたバスでも定期が切れて両替もしてくれない、という目に見舞われる。
この出来事で主人公芳恵は『異邦人』みたいに、太陽のせいと言う殺人者になったのかなあと思った。
『異邦人』では母親の死について涙を見せない非人間性を異邦人として扱うが、今作では、「あんな家族なら、もう二度と欲しいとは思いません」で終わるのが良い。
「怯える」(小説すばる95年4月)
主人公哲治は元カノに怯え、妻は夫の浮気に怯えていた、という話。
夫婦がちゃんと話し合えば起きなかった話。
過ぎてしまえば笑い話になりそうな着地点で面白かった。まあほんと洒落にならんが。
哲治が赤ん坊のことを最初から気にしているのがちょっと新鮮。育児書を自分から読む父親、というのが現代でやると優等生に見せたい、みたいなニュアンスを受け取ってしまうが、昔に書かれたもの、というとそのフィルターを外して見れるので、素直に偉いじゃん、の気持ちになれる。普通のことを普通にやってて偉い。
「憑かれる」(小説すばる95年8月)
幽霊オチとは思わなかった。だからやけに手が冷たいと描写されていたのか。
誰も呼ばれてないのは、復讐目的?と思ったけど、幽霊とはね。
お店の人はその分個室を開けて置かないといけないから、その代金とかって…という細かいところが気になった。
周りの男を不幸にさせる運命だとしても好きな男を手に入れたくなったのすごい。男のほうが本気にしなかったからだが。死んでからも恨んでない様子なのもすごい。
「追われる」(小説すばる95年11月)
ストーカーの話だけど、ストーカー自体知名度が無かったらしくて、それ知らずに書いたの!?すご!だし、結婚相談所のセミナーもよく知らずに書いたらして、それもすごい。
「壊れる」(小説宝石94年11月)
主人公は上司にチクられたと思ってるっぽいから、女性社員からゲットした情報なら上司の不倫相手の女性社員がチクったのでは、と思う。
不倫についても男は左遷で女性は退職、という差も理不尽ですごいな。
交通事故あったら、会社に報告しといたほうがいいなと思った。
「誘われる」(小説すばる96年3月)
信頼できない語り手だったとは。
育児ノイローゼについてはもうちょっと手がかり欲しかった。
ママ友が出来なくて孤立する描写は面白かった。今ならネットとかに書き込んで愚痴を語り合えるだろうけど、昔は手段が限られているからなあ。
現実的なとこだと実母に泣きつくとか?
親子関係が良くないと取れない手段だが。
「腐れる」(小説NON96年10月)
匂いに敏感になるのは面白い。妊娠すると体質が変化して匂いがダメになるというのはよく聞く。食べられるものが変わるとかも。
そこからお隣さんが気になるというのが面白い。
父親死んだのかな。いつ死んだのか。娘を実家に預けてから?
殺しちゃったから娘を預けて偽装工作してたとか?
でもまず死体を片付けたほうが良いのでは。匂いが残っちゃったとか?
「見られる」(小説すばる96年12月)
最後の最後に婚約者からの電話かもしれない、という余韻を残して終わるのが面白い。
よく知らない相手に見られている恐怖とよく見知った相手から見咎められていたと知る恐怖。どっちも怖い。
-
Posted by ブクログ
空白の叫びが良かったので、そのまま連続で貫井さん。
なんやかんやで3連続(冊数で言うと5冊連続)
多分これで貫井さんの積読終了かな?
新しいの仕入れなきゃw
さて、久々にどう書いたらいいか悩ましい。
というのも、とてもいい作品すぎて稚拙な表現をするのが怖いし申し訳なく。
共感あり、衝撃あり、涙あり、どういう結末を迎えるのか、ハラハラドキドキの逸品でした。
貫井さんはほんとに凄いな。
だからこそ、やめられないのよね。
有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ
個人的には『八日目の蝉』の読後感と似てるかな。
内容は全然似てないんだが、うまく説明できないけど、なんか似てるのよ。
感覚なので反論は受け付けない。