貫井徳郎のレビュー一覧

  • 私に似た人

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    ネタバレ

    麻衣子が最初のトベになった理由が、同僚のヘイトさんを満喫にいた人の無関心により失ったこと、というのは共感できなかった。小口テロに賛同はできないが、小村義博の派遣で働きギリギリの生活の唯一の潤いである公園のネコ、ちーを交通事故で失ったことがきっかけ、というのは理解できる気がした。
    選挙期間に読んだので考える事も多く、2017年発行当時より更に悲惨な社会情勢だと思う。
    こんな時代もあった、と読める時が来るんだろうか…

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    2025年07月18日
  • 慟哭

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    そうきたかー!と思わせた小説。2つのストーリーがどう交わるのかと思っていたらとんだ交わり方で何とも言えず。理屈でどうにもいかない時、見えないものに救い求めてしまいそうになるのが人間であり、悲劇につながる第一歩でもあると思う。親の都合で生まれてきて、親の都合で結婚も仕事もポジションも決まった佐伯の人生。唯一自分の意思で突き進んだことが悲劇とは悲しすぎる。最後のくだりは絶望感しかない。

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    2025年07月17日
  • 後悔と真実の色

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    ネタバレ

    文庫なのにかなりの厚みだが一気読み。
    通報により最寄り交番の大崎が殺人事件の第一発見者になる。警視庁捜査一課9係のエリート、西條警部補とコンビを組むことに。
    登場人物がなかなか多く誰だっけ?と思うがそれぞれの特徴を付け加えてあったので付いていけた。警察の内部事情が読みながら想像できるよう描かれ、大変さを改めて思う。
    2006年から連載されたものらしいので、その後20年経った今はもっともっと大変だろうと思う。誰でもネットを使える社会になり、足だけで稼げる時代では無いし。ステキな西條がどんどん落ちていく様子は辛く悲しい。それより真実のほうが辛いかも。
    小説を読んだ満足感が味わえるいい作品。続編がお

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    2025年07月17日
  • 乱反射

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    まだまだ積読が読みきれてない貫井さんの作品。
    今回もなかなかの分厚さだが、面白いのでどんどん進む。
    という割にはあまり時間を使えず、結構かかってしまったが…。

    内容はオムニバス形式で、なぜか章番号がマイナスから始まる。
    色々な登場人物が色々なシチュエーションで少しずつ連鎖していき、章番号がプラスになったところでその連鎖が不幸を生む。

    その後は誰を罪に問えるのか、というフェーズに進むんだが、これがまたやりきれない。

    自分は大それたことはしていない、と言いつつも連鎖が連鎖を生んでとんでもないことを生み出している可能性もあるってことに軽い恐怖を覚えた。

    そう考えると、パワハラまがいの発言とか

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    2025年07月15日
  • 追憶のかけら 現代語版

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    あっぱれ、泣きかけるラスト。小説内に小説がある内容で、小説内の謎を紐解くかと思いきやそれだけにとどまらない。まさに一気読み。

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    2025年07月11日
  • 邯鄲の島遥かなり(下)(新潮文庫)

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    戦後、昭和から平成、そして平成の終わりまでがこの下巻では書かれています。
    上・中・下巻を通して、ひとつの島に住む1人の人生が語られていて、それが時代とともに色んな人生があって少しずつ繋がっている。それでも大きな起伏があるわけでもなく、様々な人の人生を垣間見ているだけなのに読み終わった後は、壮大な歴史を振り返ったような気がしています。
    過去から現在、そして未来へ。うまくは言えないのがもどかしいけど、、、うん。面白かった。

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    2025年06月14日
  • 悪の芽

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    人間の想像力のなさ、無関心さ

    自分の機嫌は自分で取りましょう。と無神経に過ごし自分の機嫌だけしか取らず、
    振り回される人間をコントロール出来ない愚か者だと決めつける。
    乏しい想像力。
    なんとなく、そんな考えにも結びつけていた。

    なんともリアルなものだった。
    登場人物が最終的に手を止める、それだけが現実と違うところか。

    エピローグの辺りを仕事終わりの電車で読んでいた。割と混み合う電車。
    次は〇〇駅です。
    私もそうだが、この駅で乗り換える人が多い。
    降りるかと思っていたら
    「下ろしましょうか?」とハキハキと話す若い男性の声。
    ドア付近の少し広くなっている所
    上の荷物置きには紙袋
    「ありがとう

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    2025年06月12日
  • 乱反射

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    カウントダウンは登場人物それぞれの平凡と見られる日常。カウントアップは伏線回収でそれぞれの傲慢さが露呈される。
    事故は不運。不運の積み重ね。それでもひとりひとりの傲慢さの連鎖。
    自分はどうだろうか?傲慢に生きていないだろうか?
    誰も見てないからいいや、はいつか自分の身に降りかかり後悔することになるだろう。

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    2025年06月11日
  • 慟哭

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    ネタバレ

    表紙の雰囲気が好きでずーっと気になっていた作家さんを初読み。社会派ミステリと思って読んでいたら本格ミステリだったというジャンルのどんでん返しにハマってしまいました。

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    2025年06月10日
  • 乱反射

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    夜間に街路樹が倒れ、たまたま通りかかったベビーカーに乗った2歳児を連れた母子を直撃し、子供が大怪我をする。やっと来た救急車でも病院に受け入れを拒否されたりしているうちに子供は亡くなった…父親が原因と責任がどこにあるか関係者に話を聞くも…死の原因になった事故は、多くの人々の、「この程度のことなら」とあまり考えずに起こした行動が原因だった。

    街路樹は伐採される予定だったが、主婦たちの伐採反対運動があった。
    また検査をする業者は倒れた木の根元に犬の糞があったため、その木だけ検査を怠った。
    犬を連れた老人は糞の始末が面倒だから、いつも倒れた木の根元に糞をさせていた。
    救急車は路上に放置された車のため

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    2025年05月27日
  • 邯鄲の島遥かなり(下)(新潮文庫)

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    終戦。

    復興。

    近代化。

    くがとの距離も近くなり、島の個性も薄れていく。

    巨人・大鵬・卵焼き。

    昭和の終わり。迎える平成。

    そして時は、平成23年。

    これは、日本の近代の歴史の物語。

    そして、日本の未来に繋がる物語。

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    2025年05月01日
  • 邯鄲の島遥かなり(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    中下の下巻。幕末の色男・一ノ屋松造、通称「イチマツ」から描かれ始めた一ノ屋の血を受け継ぐ子孫の物語。 時と共に一ノ屋の子孫と言うことすら「痣がある」以外に特別な意味も薄れ、内容も野球やLGBTといったその時代に合ったテーマで進み、最後に描かれた子孫にも子供が生まれ、明るい未来への余韻を残しつつの大団円。 上・中巻がありつつのこの下巻であり、かつ幕末からの令和元年ということで万感の思いが溢れる。 もし実在したなら、この小説は是非イチマツに読んで欲しい。

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    2025年04月20日
  • 乱反射

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    面白かった!登場人物皆んなクセ有りで個々のエピソードが面白かった。知らない間に自分の行動が誰かを殺すパズルの一部になっているかもしれないと思わせる小説。

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    2025年04月10日
  • 愚行録

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     いやはや凄い作品でした。
    三冊連続で貫井作品を読んだけど、この作品が一番心に与える衝撃が大きかった。
    ビデオ鑑賞済。

     エリートサラリーマン家庭であった田向一家惨殺事件から一年経ち、事件は犯人が見つからないまま迷宮入りしていた。

     その時、ある記者が、田向夫妻の同僚や同級生、元恋人などに夫妻との思い出や人柄についてインタビューをして回る。すると一見理想的な夫婦と思われていた二人の本性が口述され浮き彫りされてくる。

     関係者は、建前としてお悔やみが語られるが、
    本音を聞けば亡くなった方への怨嗟と憎悪が出てくるのだ。まあ、関係者たちも愚行を犯していたのに、自分のことは差し置いて、悲惨な口述

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    2025年04月02日
  • 悪の芽

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    「悪の芽」は誰でも心のどこかに潜んでいるし、誰でも気付かず水を与えているかもしれない…
    とても考えさせられる物語でした。

    しかも色々な立場の視点で話が進むのも良かったです。
    読んでいる間は重く苦しい気持ちになりますが、最後はスッキリして良い終わり方だと思いました。

    安達さんはとても良い上司になると思うので、休職の事は気にせず出世すると嬉しいです。

    たくさんの人に読んで欲しい本です。

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    2025年03月28日
  • 邯鄲の島遥かなり(中)(新潮文庫)

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    中巻は八から十三部。

    近代化の波が島を覆う。
    舞台が神生島、本土をくがと呼び、
    どこか浮世と離れていた物語の世界も現実と重なり合い、
    島民の暮らしぶりも大きく変化していく。

    そして――。

    そして、軍靴の音が近づいてくる。

    中巻の物語は昭和二十年に幕を閉じる。

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    2025年03月24日
  • 乱反射

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    些細なことが巡り巡って人の死まで辿り着く話。可能性はなくはないが自分の起こした行動がどうなるか想像して行動しようと思った。
    とにかく一気読みできて2025年今の所No.1

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    2025年03月23日
  • 新月譚

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    全然ね、共感できないの、主人公に共感できない、けどね、狂ってる愛がね、切ないね、何これ、ええん、泣きます

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    2025年02月18日
  • 悪の芽

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    2024年の締めは久しぶりの貫井徳郎作品!
    良作でした。
    無意識とか、無自覚とか、慣習とか、そんなつもりなく人を傷つけることって、多々あるんだよな。自分が気づいていないだけはんだよな。と改めて思った。

    想像力。

    まぁ、自分の楽しいことしてる時に、世界では苦しんでる人もいるんだ!その人のことも考えろ!って無理矢理に押し付けるのは、行き過ぎだとは思う。
    でも、あらゆる物事を自分ごととして考えられる人間ではありたい。
    そうあるためには豊富な知識や柔軟な発想力、無意識を意識する力が必要だと思う。
    養い続けていきたい。

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    2024年12月31日
  • 罪と祈り

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    過去と現在を織り交ぜながら徐々になぞが明らかになっていく構成。
    途中から謎が解けても、主人公の感情が気になるので最後までページが止まらない。

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    2024年12月27日