【感想・ネタバレ】乱反射のレビュー

あらすじ

幼い命を死に追いやった、裁けぬ殺人とは? 街路樹伐採の反対運動を起こす主婦、職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、飼犬の糞を放置する定年退職者……小市民たちのエゴイズムが交錯した果てに、悲劇は起こる。残された新聞記者の父親が辿り着いた真相は、法では裁けない「罪」の連鎖だった!

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Posted by ブクログ

人間の本質的な弱い部分を見せられた一冊。
今回は事故にあった2歳の子供を題材にしていたが、個人的にはコトの大きさではないということを感じた。
今まで自分が犯した小さなエゴ、我儘は、たまたま事故や事件になっていないだけで、知らない誰かが代わりに罪を償っていてくれた(補ってくれた)可能性も考えられる。
「自分が好き勝手することは誰かを苦しめることになる。」そんなことを思いました。

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2025年07月18日

Posted by ブクログ

まだまだ積読が読みきれてない貫井さんの作品。
今回もなかなかの分厚さだが、面白いのでどんどん進む。
という割にはあまり時間を使えず、結構かかってしまったが…。

内容はオムニバス形式で、なぜか章番号がマイナスから始まる。
色々な登場人物が色々なシチュエーションで少しずつ連鎖していき、章番号がプラスになったところでその連鎖が不幸を生む。

その後は誰を罪に問えるのか、というフェーズに進むんだが、これがまたやりきれない。

自分は大それたことはしていない、と言いつつも連鎖が連鎖を生んでとんでもないことを生み出している可能性もあるってことに軽い恐怖を覚えた。

そう考えると、パワハラまがいの発言とか、余計な仕事増やす人とか、昨日と違うこと言ってる人とか、マジで改めて欲しいなと思った。

負の連鎖を生む人は、だいたい正しいことやってる、ってクソ誤認識してたりするからな…。
あ、愚痴になってしまった。

有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ

昔、加トちゃんケンちゃんごきげんテレビで、車から投げ捨てた空き缶からいろんな連鎖が生まれて、最後は大きくなって自分に返ってきて、『ポイ捨てはやめましょう』みたいな注意喚起があったことを覚えてるんだが、誰が同じ記憶ある人いる?

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

カウントダウンは登場人物それぞれの平凡と見られる日常。カウントアップは伏線回収でそれぞれの傲慢さが露呈される。
事故は不運。不運の積み重ね。それでもひとりひとりの傲慢さの連鎖。
自分はどうだろうか?傲慢に生きていないだろうか?
誰も見てないからいいや、はいつか自分の身に降りかかり後悔することになるだろう。

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2025年06月11日

Posted by ブクログ

夜間に街路樹が倒れ、たまたま通りかかったベビーカーに乗った2歳児を連れた母子を直撃し、子供が大怪我をする。やっと来た救急車でも病院に受け入れを拒否されたりしているうちに子供は亡くなった…父親が原因と責任がどこにあるか関係者に話を聞くも…死の原因になった事故は、多くの人々の、「この程度のことなら」とあまり考えずに起こした行動が原因だった。

街路樹は伐採される予定だったが、主婦たちの伐採反対運動があった。
また検査をする業者は倒れた木の根元に犬の糞があったため、その木だけ検査を怠った。
犬を連れた老人は糞の始末が面倒だから、いつも倒れた木の根元に糞をさせていた。
救急車は路上に放置された車のために立ち往生した。 
夜間の救急病院は患者が多すぎて、受け入れを拒否した。
病院にくる患者たちは、夜間なら空いているだろうと安易に考えた…
誰も子供が死んだのは自分が悪いとは言わない。
いたたまれない結論。しかしリアルすぎる結論だ。

この小説がすごいのは、第44章から始まる。何気ない人物の何気ない行動を43.42…と描き、「0」となった時点で事故当日が描かれ進んでゆく。彼らの行動がどう事故に結びつくのががあとからわかるわけだ。皆、何気ない引き金となり、罪に問えるものではない…これは辛い。

結局、父親は自分への罪を問うような悲しい結末だ。運が悪かった…暗澹たる思いだけが残る。

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2025年05月27日

Posted by ブクログ

面白かった!登場人物皆んなクセ有りで個々のエピソードが面白かった。知らない間に自分の行動が誰かを殺すパズルの一部になっているかもしれないと思わせる小説。

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2025年04月10日

Posted by ブクログ

些細なことが巡り巡って人の死まで辿り着く話。可能性はなくはないが自分の起こした行動がどうなるか想像して行動しようと思った。
とにかく一気読みできて2025年今の所No.1

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

面白かった。あらすじの事件は半分ぐらいになっても起こらず、途中まではこれらの話がどう繋がるのか?という感じだったが後半から一気に読んだ。

終始うっすらと嫌な気分で読んだ。でもこういう人達の考え方や行動ってあるあるだと思う。自分も含めて。

久しぶりに小説を読んだけど、楽しかった。
こういう面白い本が世の中にまだまだ無限にあると思うと、やはり読書は最高な娯楽。

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2024年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々の読書に初めて読む作家をチョイス。
ストーリーは我が子を失った加山がその原因を追求していくという内容だが、かなり残酷である。
事実関係だけを見ればたまたま診断を怠った街路樹が強風で倒れ、運悪く息子が下敷きになってしまったという表現が正しいはずである。

しかし、なぜ街路樹は診断されなかったか、なぜすぐに緊急外来で処置が施されなかったか、なぜ、なぜ…を全て追っていくと多くの人間の「まあ、これくらいなら」が詰まっていて、それぞれの人物が思い思いに「責任は私にはない」という主張がやるせなさを増幅させる。

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2024年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かなり前に読んだものの内容を忘れてしまって再読。
読み終わってからしばらくぼーっとしてしまうくらいの余韻。
大勢のちょっとしたモラル違反が最終的には2歳の男の子の命を奪う結果になるなんて。
非常に細かくよく練られたストーリー。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

前に読んで本棚にあった本。たしかドラマ化にもなっていたような記憶。このどこにでも有り得る悲劇の連鎖のストーリーはずっと心に残り忘れることがない。必読です。

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2024年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一見繋がらなそうな出来事が繋がっていく話、ていう前提で読んだから、ここはどう繋がるんだろう〜と思って読み進めたけど、ラストの持って行き方ずっとわからなくて、個人的にはなるほどって感じのオチだった、秀逸〜最後の主人公がハッとなって全部に繋がる部分で自分も同じくらいゾワっとした。
人の見てないところでも正しく生きて行きたいと思えます

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2023年08月27日

Posted by ブクログ

あまりにも痛ましい…
貫井さんの、被害者遺族の心情の書き方がうますぎて
終始眉間にシワを寄せて読みました…

私も…
すでに誰かを殺してしまっているのかなぁ…

1人でも多くの人が
この作品を読んでほしいなって思いました

章を逆にカウントダウンしていくテクニックは良かった!

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

幼い子供がある事故で命を落とす。
おおくの多くの人のモラルのない行動が積み重なり、連鎖した結果引き起こされた悲劇であった。


自分の小さな過ちが直接的に大きな事故に繋がるは少ない。
しかし、偶然が重なれば取り返しのつかない事態になる可能性がある。
それを事前に予想するのは非常に難しい。
だからこそ自分の行動を振り返ってみて、「誰かに迷惑をかけていないか」、「不快な思いをさせていないか」といったことを考えることも必要だと思う。
モラルの欠如により、誰かの不幸に繋がるかもしれないからだ。

本書のような振る舞いを自分も無意識にやってしまっていることがあると気付かされた。
もちろん、罪に問われるようなものではない。
だが、決して子供の模範となるような行いではないことは確かだ。
他人を思いやることより、自分の都合や感情を優先してしまう瞬間が誰にでもある。
些細な行動がどのような結果を引き起こすかを事前に想像することは難しいので、不測の事態が起こった際に自分がどこまで責任を取れるかを意識して、生活していくべきだと感じた。


「人間として生きている限り誰もが持つ悪い部分が積み重なって事故が起きた。」とあり、印象に残った。
人間として社会に属している以上、良心だけで生きていくことはできない。
例えば、学校では「困っている人がいれば助けましょう」と教えられる。
その考えは共感できるし、そうあってほしいと願っている。
しかし、自分に余裕のないときにはそのようなことは難しいと考えてしまう。
「自分を犠牲にしてまで赤の他人に優しくしてどうなるのか?」と考えることも正直なところ何度もあった。

人間として生きている限りどんな人でも弱さや利己的な面がある。
それでは、このような事故を防ぐことはできないのだろうか。
皆モラルのある行動を取ることが理想だ。
しかし、それが実現できたとしても、偶然の力によってそれは起こってしまうものだと思った。
どんなに注意しても交通事故のリスクをゼロにはできないし、いくら健康管理を行っても病気にならない保証はない。
今回の事故も、そうした「避けられないもの」のひとつだったのかもしれない。
そんな思いが心に残った。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

すごく嫌な風が吹いたら桶屋が儲かる話。「乱反射」という題名が象徴的。車の運転を家族に求められるとか犬のフンを放置するとかそれを片付けるひとを囃すとか一人一人がちょっとズルをしたり楽な道を選んだせいで、連鎖的に大きな事件を巻き起こす。実際はこんなことありえないって分かってても自分も多かれ少なかれこういうマナー違反をしたことはあるので無意識に共犯者の一人になったうしろめたさを感じちゃう。
家族が淡々と「犯人」を追及して責めていて諦観を持っているせいで後味が悪くならず若干スッキリ終われるのが救い?

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2025年06月02日

Posted by ブクログ

たった一つの「これぐらいは大丈夫」という傲慢がとある重大な結末を迎えてしまうということは中々想定することができないかもしれない。しかし、他人に及ぼす間接的な影響が予想以上に大きいと改めて感じました。

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やー、しんど。きついって…
事故は言ってしまえば全て運命の歯車が狂った結果のものだよな…。あと1分、遅く家を出ていたら、忘れ物を取りになんて行かなければ、この道を通らなければ、あの人と話していなければ、雨なんて降っていなければ、、、みたいな。
本著の事故も、言ってしまえば最悪の偶然。ただただ、不運。でも少しずつ本当に嫌な人たち…
自分は悪くないと思い込み、罪の意識から逃れることができる人は強か。そうはなりたくないけれど…
被害者には謝らなかったけど、罪の意識に苛まれて生きていくであろう車乗り捨て女はまだ救いがある人間かな…。
終わり方、夫婦の今後に少しだけ希望が見えてよかった。


そういえば、似たような境遇のテレビドラマがあったような気がする。仲間由紀恵出てるやつ。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【乱反射】とは
表面が滑らかでない物体に光線が当たって、いろいろな方向へ反射すること。(コトバンクより)

ダ・ヴィンチ11月号で俳優の赤楚衛二さんが紹介していたのをキッカケに読み始めました。

*****

2歳の子どもが不運な事故でなくなります。新聞記者である父親が原因を探っていくと、さまざまな人たちの"些細な自分勝手"が乱反射するように色々な方向へ影響しあって、息子が死に追いやられたことに気づいていくのです。

違法とまでは言えない"些細な自分勝手"。息子の死の遠因となった人々は自分は悪くないと主張し謝ろうとはしません。

しかし、主人公は自分にもその人たちと同じような側面があったことに気づき、息子を死なせたのは自分だったのではないかと後悔するのです。

*****

主人公が後悔する場面、彼は自宅のゴミを高速道路のパーキングエリアに捨てたことを思い出して後悔するのですが、私はもっともっと後悔して欲しかったことがありました。

それは、自分の父親の見舞いを、乗り気ではなかった妻に強要したことです。妻が息子を連れて病院に行かなければ、この事故には巻き込まれずに済んだはずです。

「親の面倒を見るのは基本的に実子である」という考えの私からすれば、主人公の"些細な自分勝手"はソコだと思うのです。主人公にはそのことを一番悔やんで欲しかった。

なので★は4つです。

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2025年01月29日

Posted by ブクログ

乱反射という題名がぴったりくるストーリーでした。
犯罪とは言えない軽微な罪が積み重なると
とんでも無いことになるという恐ろしい話でした。

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2024年12月10日

Posted by ブクログ

モラルの無さは法では取り締まれない。
この言葉は普段何となく感じてた事を言語化してくれた様な気がする。結局人間の根っこは自分さえ良ければそれで良いんだろうな。

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2024年09月23日

Posted by ブクログ

章がカウントダウンしていき、0まで350ページ。そこまで読み切ればそこから気持ちが良いぐらいしっかり回収します。

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2024年09月08日

Posted by ブクログ

以前ドラマで見た事があった気がして何となくおもしろかった印象で未読であった原作を今回読んでみました。

結論、とても考えさせられて普段の自分の行動を見つめ直すきっかけにもなりました。

日常で深く考えずに行っているような些細なズルい、後ろめたい行動が複雑に絡み合った時、もしかしたらなんの罪もない人を殺してしまう可能性だってあるという話です。

正直、自分が登場人物の加害者側だったらこの本の人たちと同じように自分に責任は無いと被害者に隙を見せない為に主張してしまうのだろうなと思います。

被害者側だったら主人公のようには冷静には考えられず、もしかしたら加害者達?と言っていいのか分かりませんが、一人一人に復讐的な事をしてしまっているかも知れません。

主人公の息子を自分の娘と置き換えて想像してしまい非常にムカつき、落ち込み、加害者側達に対する憎悪が止まりませんでした。

最後には若干救いのあるような終わり方で良かったですが、これを読んだからと言って周りに何も迷惑を掛けずに、完全潔白な人生を送るということも本当に難しいのだろうなと感じました。

それだけ人間の意志というのは弱くて脆いものなんだろうと思います。

読んで日が浅い今は、ズルい自分が出てきた時に気を引き締めなくてはと思えてはいます。

今後はどうでしょうか?
たぶんいずれ忘れて普段と同じ弱い自分に戻るのだろうなぁと感じています。

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2024年07月02日

Posted by ブクログ

「未必の故意」を残酷に描いた長編。
本書の最後のパートで、「ノンフィクションでは描けないこと」「小説だから可能なこと」が理解できた。ノンフィクションが必ずしも事実を描けるわけではないのだ。

前半は無関係の人物たちの日常を描いているため退屈に感じた。ストーリーとしても繋がらないので、散漫な印象。
が、後半に入り、事故が起きたポイントからバラバラの人生が収束していく。視点人物の新聞記者が独自調査を進めていく流れから、個々人の些細なルール違反の連鎖が重大な事故を引き起こした事実が浮き上がってくる。
前半の退屈さは後半のパズルのために必要なパートなのだ。

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2024年06月04日

Posted by ブクログ

モラル違反や罪には問えない様な出来事が連鎖した事による悲劇。
やり場の無い怒り、悲しみ、寂しさなどが綴られ、どう帰結するのかと思ったが、納得の終話。迫るものがある佳作。

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

娘が勧めてくれました。
初めましての貫井さん。面白かったです。

 みんなの罪にもならない小さな自分勝手が重なり合い、大きな悲しい事故が起こってしまう。新聞記者である被害者の父親が誰に責任があったのか調べていくのですが、調べれば調べるほど虚しくなっていって、、、というお話です。

 ー44章から始まり、登場人物たちの日常が綴られていき、0章で事件が起こってしまいます。登場人物が多い上に、全員普通の人々なので覚えられるか心配でしたが、問題なかったです。貫井さん凄い。

 やっぱり、妻・母の立場で読んでたようで、お嫁さんと孫に毎日病院に来るよう言う義母や、一番辛い時に寄り添ってくれなかった夫に腹が立ちました。この夫、私なら嫌だな。。。

 あと、三姉妹の次女としては、克子の家族(特に母と妹)にもイライラしました。

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2023年10月20日

Posted by ブクログ

関係のなさそうな今までの出来事が勢いよく次々と結びつき、完成した後の衝撃。さまに乱反射で起きた事故。
自分も何の気なしにとっている行動が、事件や事故の原因になってしまっているのではと怖ろしくなる。

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2022年07月13日

Posted by ブクログ

確かに捌けない殺人犯だと思う。
主人公の慟哭をどうやって受け止めたらいいのだろうかと考えた。
それほど考えさせられる内容だった。


幼い命を死に追いやった、裁けぬ殺人とは? 街路樹伐採の反対運動を起こす主婦、職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、飼犬の糞を放置する定年退職者……小市民たちのエゴイズムが交錯した果てに、悲劇は起こる。残された新聞記者の父親が辿り着いた真相は、法では裁けない「罪」の連鎖だった!

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

読むのに時間がかかった
ページ数も多さと登場人物が多さと
なにより複数人称で物語が進むので、自分が今誰なのか考えねばならず、疲れる本だった。
で、
誰も救われず、嬉しい結幕もなく、やるせない。

唯一、読み応えはあった。

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2024年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ひとつひとつは些細なものでも積み重なると時には人を殺すこともある「法では裁けないモラル違反」に警鐘を鳴らした作品。
600ページの長編だが半分を過ぎても事件が発生しないスローペースで、出てくるのが短絡的で自己中な行動をする登場人物ばかりのため読んでいてフラストレーションが溜まり、後味もあまり良くはない。
ラスト20ページの勢いはよく、それまで子が死んだ要因となった他者の行動を糾弾していたが、実は自分も同じようなモラル違反をしていたと気づき、冒頭の主人公の懺悔に繋がるという構成は良い。(冒頭で提示しているため驚きはしない)
ただ社会派の作品であり、モラル違反に対する警鐘を鳴らした内容であるにも関わらず所々でリアリティを損なっていたり、善悪の線引きが曖昧な部分があり、そこがどうしても気なってしまった。
また、作者的には狙って書いた訳ではないかもしれないが、後半で加山が子どもを亡くした要因をひとつずつ見つけ出し糾弾していくパートは、私刑を行う人が目立つようになっている今の時代に読むと、作品発表当時とはまた違った感想を持つのではないかと感じた。

以下、具体的に気になったところ
・医師の久米川が患者である安西の個人情報を外部の人間に漏らしている(モラル違反どころか情報流出なのにお咎めなし)
・榎田克子が車を放置してしまった原因のひとつは家族が麗美を甘やかし意見を通し続けてしまったことであり、麗美や両親の理不尽な言動を描写しているにも関わらず麗美や両親にはお咎めなし
・p345で小林が古い糞以外は回収したとあるのに、p351では足達が木の幹に排泄されたばかりの新しい糞があると視認しており矛盾が生じている
・本来生活環境課で受ける苦情電話を受付の判断で、担当でもない道路管理課が受け対応までさせられている(普通は該当部署の職員が戻り次第対応を依頼する運用が多いと思われるため、生活環境課がその日に対応できず、そのうち木が倒れてしまったくらいで収めた方がリアリティを保てる)

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2024年05月13日

Posted by ブクログ

ちょっとした出来心でやったそれぞれの行いが取り返しのつかない事になってしまう、読んでいてずっとモヤモヤしてしまう話だった。けれど、日常にはそんな事が溢れているようにも感じた。徳を積むではないけれど、自分も周りも気持ちよく過ごせるような行動をしていきたいとおもった。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

事件が起こるまでが長い。ミステリーとして読むとそこの入りでつまづく。でも誰しも持っている少しの甘えやわがままが原因となりうる事件にハッとさせられる作品で奥が深かった。1つ1つを取り上げると、そんなことで?と思うが、一つ一つの小さな罪が重なり合って大きな脅威へとなっていく流れには、驚きを隠せない。だからこそ怒りの矛先が決まらない両親のやりきれなさには心が痛む。
誰も見てないからいいや、ではなく、見られてなくとも誠実な行為をしていきたいなと改めて思う。

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2024年01月04日

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