あらすじ
ええ、はい。あの事件のことでしょ? えっ? どうしてわかるのかって? そりゃあ、わかりますよ。だってあの事件が起きてからの一年間、訪ねてくる人来る人みんな同じことを訊くんですから。――幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。池袋からほんの数駅の、閑静な住宅街にあるその家に忍び込んだ何者かによって、深夜一家が惨殺された。数多のエピソードを通して浮かび上がる、人間たちの愚行のカタログ。『慟哭』の作者が放つ、新たなる傑作!
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Posted by ブクログ
最近はまりつつある貫井徳郎さん作品。タイトルがなかなか禍々しい。今まで読んだ「悪の芽」「壁の男」とはまた違って、登場人物全てが愚かしいのでムカムカすること請け合い。
誰もが羨むようなエリートサラリーマン一家殺人事件が起こった。妻も子供2人も殺害。犯人は誰なのか?動機は?フリーのルポライターが事件の真相を追う。インタビューしていくうちにこの夫婦の人間性が暴かれていく。
どいつもこいつも…と誰一人として共感出来ない。だがそこが良い。人間の持つ醜さが泥臭くていい。容姿端麗で人たらしの女。過去を自分のいいように解釈し、改竄し、自分が傷つかないように振る舞う女。娘に手をだすゲスな父。その娘を泥棒猫扱いする母。自分の為なら彼女をだしにして地位を手に入れようとする男。そしてネグレクトで3歳の娘を衰弱死させた女。
まぁ酷いけどこれも人間の性なのか。これだけ醜い部分が描いてあるのは面白い!
Posted by ブクログ
普通に長編(260ページ)だけど、約2日で読んでしまった。女性が書いてはいないけど、イヤミスみたい。
最初にある女が3歳の自分の娘を衰弱死させたという新聞記事が出てくる。以降はリッチで幸せそうな田向一家が惨殺され、その事件を調べるルポライターが関係者にインタビューしていく形式で話が進んでいく。
まあ、このテの作品で予想がつくのは、一見善良そうな田向夫婦が実は狡猾で嫌な人物だとわかっていくところ。さて、彼らは誰に恨みを買っていたのか…
犯人探しというよりも…人を利用することしか考えていない人間がいて、なぜかいつも利用されてしまう立場の人間がいて…虚しい関係性だなと思う。真相がわかっても、どっちもどっちって感じなので、カタルシスはありません(笑。
ラスト近くで意外な人物の意外な正体には驚いたが、あまり伏線がなかったような気もするので、ちょっとアンフェアに感じた。
まさに「愚行」の記録。
ある殺人事件を巡っての関係者たちの独白で構成されていますが、出てくる言葉は嫉妬。嫉妬。嫉妬。学歴や容姿、収入、、、人ってこんなに他人を妬むことができるのですね。
殺人事件を巡って、知人達が取材を受けるというストーリー。
文庫本が出た当時、書店で立ち読みしてみて出だしが面白そうだったので、買おうか迷った作品。
今回電子書籍で読みました。
ピークがいつ来るのか、クライマックスがいつ来るのかと思っていましたが、淡々と取材が続いていきます。
最後に、ああ、こうなのか、と単調な結末に思いましたが、しばらくたつと、
現実に肉薄している、現代社会の問題と虚ろに肉薄している、著者の挑戦を感じました。
虐待された子は、また我が子を虐待するのか。
それは誰にでも起こりうる事か。私には関係がない事か。育ちのせいなのか否か。
知人達はそれをどうとらえるか。悲しい現実があります。
似たような名前の学校が実在していますが、その学校も一つのイメージとして連想され、そのイメージをどう認識するのかも読者の判断力に委ねられていると感じました。
個性的な著者だという印象は以前からありましたが、小説の、道なき道を手探りで掘り起こして完成させた熱意も感じられます。
Posted by ブクログ
一家四人が殺される事件から1年、事件を追う記者が近所の人や被害者の関係者にインダビューをしていた。
誰もが羨む様な幸せな家族、取材が進むうちに、その夫婦の過去のことや暗い部分が浮き彫りになります。
最初に出てくる幼児虐待の新聞記事は何なのかが気になりつつ、田向夫妻の噂話を野次馬気分で読み進めていました。
事件の真相は、びっくりというか意外というか、想像出来ないものでした。
最後の怒涛の告白、愚行録、なるほどという感じです。
Posted by ブクログ
きっついなー
ところどころ挟まれる独白と最初の新聞記事はああいう風につながるのね。人間のコンプレックスをむき出しにするのは相変わらず。この人の作品は読めば読むほど人間不信になってしまいそう。それを自分が正視できるかどうか。それでも読みたくなる魅力がある。
それにしても某大学や某商社なんか実名で出していいのかな?しかもプロフィールを見て驚いたのだけど、被害者の一人のプロフィールは作者ご本人に酷似。道理で大学の話やらリアリティがあるはず。
Posted by ブクログ
再読。一気読み。関係者の話を聞いていく形式なので読みやすい。映画で三度驚くとあったけど納得。オチのインパクトは強く、それでいて冒頭から退屈せず引き込まれるように読めた。愚行録、のタイトルが秀逸。登場人物は皆愚かで、だからこそ最後まで誰が犯人でもおかしくないと思えて混乱。最後のページのインパクトも凄い。この話は凄いと思う。伏線見落とすこと間違いなし。
Posted by ブクログ
一家惨殺事件が起こる。その一家は夫は有名な不動産会社の社員で、奥さんは美人。子どもは2人。家も裕福で誰もが羨むような家族だった。
その被害者家族に関係する人々をインタビューしていき、色々な人の目線で被害者を見つめていく。まさかインタビュアーがと思うも、後の祭り。
冒頭で児童虐待のニュースがあり、その後インタビュー形式で物語が進んでいき、さらには合間合間で気になる兄妹の会話がある。どこでこれらが繋がっていくんだろう?と気になり読み進めていくことになるが、最後までわからないまま。そう繋がったか!とラストはスッキリ。頭ではスッキリするも、心はスッキリできない内容。
1人に対して人によっては色々な見方がある。当たり前のことだけど、一方の話だけでは当てにならないなと考えさせられる。
それにしても、物語はしっかりと練られていて、さすが貫井徳郎といった感じ。面白かった。
Posted by ブクログ
湊かなえさんみたいな感じがした。
それぞれが語る人物像と兄妹の話と事件がどう繋がるのか、全然読めなかったけど最後まで読むとそういう事かとわかる。
映画はどんな風になっているのか観てみたい。
Posted by ブクログ
幼い兄妹を含む一家四人が惨殺される事件が起き、証言者のインタビューで話は進む。インタビューが進み、事件の概要や被害者の情報は得られが、被害者の人物像が出来上がってきても、些細な怨み、妬みは出てくるが、どれも殺される程の物ではない。証言者が変わるごとに、幼い兄妹の証言が挟まれ、謎を深める。
自分が何かを知ったときの驚き。オススメの一冊。
Posted by ブクログ
一家四人惨殺事件を追うルポライターのインタビューに応える事件関係者(被害者の知合)の言葉の積み重ねで構成され、途中二人兄妹の妹の兄に対する言葉がいくつか挿入されている。この妹の言葉がキー。アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」の最後に匹敵するかも・・・
映画も是非観てみたい。
Posted by ブクログ
一家惨殺事件の被害者に関わる人々が
それぞれの立場で自分や被害者の話をしていくという設定が
おもしろかった。
話の終結も、この人がこんな風に関係してたんだ!
という感じで、
最後まで予想できない展開だった。
以前に読んだ
角田光代の「坂の途中の家」を思い出させるお話。
人の印象というのは
それを語る者のフィルターがかかる。
それは絶対じゃなくて、
あくまでも語った人が感じたイメージでしかない。
最後はちょっと重く切ない。。
Posted by ブクログ
映画化されると知り、早速読みました。この語り口、最初湊かなえさんかと思いました。いろいろな人の証言で、事実が語られていくところ。田向夫妻のあぶり出され方に、私ですら反感が感じられていって、人の見方って怖いな、と思いました。衝撃、いやミスとまではいかなかったけれど、軽く語られたラストは重かったです。
Posted by ブクログ
実質は星3.5位。流石にこれでは犯人を予測するのは相当に難しい。そもそも犯人やトリックを推測するようなつくりではないかな。
地方出身、地方育ち、地方大出の人間にはこの早慶大の確執がいまいちピンとこない。逆に早慶大出身の人がこの小説をどう感じるかに興味があるかな(笑)。ここまで慶大を婉曲にひどく書くなんてと、作者のエピソードを見たら早大だったので笑った。
虐待を受けて育った人間は、自分の子供も虐待するという「虐待の連鎖」は否定したいところだが、実際はこうなのかもしれない。
Posted by ブクログ
愚行かぁ
清廉潔白に生きるのは難しい。
ちょっとだけ愚かな行為も
積み重ねればすごい恨みをかってしまうのだと怖くなった。
人はいろんな面があって、よい出会いで、よい面が伸びればよいけど、
運悪く悪い出会いをするとどこまでも落ちて行く、てことも。
つまり、こわい負の連鎖の話。
Posted by ブクログ
タイトル通りの愚行の数々。
惨殺された一家に関わりのあった人々がインタビューを受けて一人一人語る形式で進む。
自分の中にある嫉妬心やコンプレックスといったものをあぶりだされるような感覚で、読めば読むほど嫌な気持ちが充満していく。
推理ものとしては面白くないと感じたが、人間の愚かしさに打ちのめされるのもたまにはいいかも。
それにしても慶応って本当にそんな感じなの?
まあ、あるんだろうね。
人は生まれ育ちで人生決まってしまうのだろうか。
そうではないと思いたいけれど。
Posted by ブクログ
一人称、一人語りで進んでいくストーリーに中々、ページが進まない。
そもそも、人の話をずっと聞くことが苦手だから、本当に最初は読み進めることが苦痛でしかなかったけど、徐々に惨殺された田向夫妻の影の部分が語られていくと、俄然読む手が止まらなくなった。語り手も卑しい嫉妬や羨望妬みに縁取らた人物だから、共感できるところもあり、ゴシップ記事を漁るような感覚で読み進めていく。
まさに、物語に登場する人々の愚行を見つめて読む私たちも愚か。
リカもフジコも光子も自分に真っ正直過ぎた故の愚行、だけど、どの作品のどの人物よりも彼女たちは、誰よりも、実はとてもピュアなのだ。
Posted by ブクログ
「愚行録」
誰もが羨む家族が殺されて一年。まだ犯人は捕まっていない。
愚行録。愚かな行いの取り纏め。側から見たら容姿端麗で欠点無しな幸せ家族。特に、夫婦は羨ましい理想像の一つだった。何故夫婦は殺されたのか。何故子供まで。
犯人はまだ捕まっておらず、ルポライターが夫婦の関係者をインタビューする形式で進んでいきます。地元のママ友から始まって、会社の同僚、学生時代の友人(元カノ含む)等それぞれの立場から、被害者となった夫・田向浩樹と妻・田向友季恵の印象を語っていきます。
これが、人間関係の裏を見る形で気が悪くなる。完璧に見えた浩樹と友季恵の裏の顔が出て、その裏の顔での所業が愚行と言うことだろうか。確かに浩樹の就職活動のコネ作戦に始まる女性関係や友季恵の階級社会を示すような学生生活等、これが本当ならば愚行と言う人々(きっと表面上では2人を慕っていた人もいるだろう)の気持ちも少しは分かる。ちょっとやってることは2人を悪く言う立場じゃないんじゃ?て言う関係者も出てきますが。
キモなのは、語っている側の視点であり主観であること。果たしてどこまで本当か。読むことで、夫婦はいけ好かないやつだと決めつけてしまうことこそ愚行になってしまう。言ってしまえば、本当の所は分からないのですから。
本作は、田向家族を殺された犯人を逮捕するに至らないミステリーです。最後すっきりしない。さらに仕掛けが3つある。そこが、ストロングポイントかなと感じました。
●田向家族殺人事件の犯人は、冒頭に登場するネグレクトで逮捕された田中光子であること
●インタビュアーのルポライターが、田中光子の兄であり、光子を犯人ではないかと疑う人間をあぶり出す目的で関係者にインタビューしていたと想定されること
●光子の子供は兄の子供であり、兄もまた殺人者になること
この3つによって闇が連鎖する怖さが増し、ミステリーとして強いフックになっていると感じました。両親からの虐待で頼れる存在が兄しかいない→男女取っ替え引っ替え生活→近親相姦→子供誕生。しかし子供を愛せない・・・、想像を絶する過去を背負い、ある日生まれた友季恵への突然の殺意等、闇が人を喰っていく所が非常に怖い。ここまで落ちることが、愚行なのかは分からないが、とても怖い所です。
読んだら落ち込むこと間違い無し。因みに、映画は貫井氏曰く、完成度高いらしいです。
Posted by ブクログ
愚行・愚考だらけ、モラルもなく各々が自分を正当化し都合のいいように捉える。現実もこのような考え方の人間ばかりでいやな時代だと思う。最初の記事が最後そうつながるのか!兄妹は育った環境が悪かったのか、兄の考え方やコメントがほしかった。夏原はまだまとも、田向も学生時代の若い過ちで許せるが二人の結婚後の生活もどうだったか興味がわく。
Posted by ブクログ
著者の作品は初読。文体は嫌いではない。有吉佐和子の名作「悪女について」のような展開かと期待したが、徐々に湊かなえ風になり最後はこんなもん?て感じ。起承転までは良かったが、結がなあ。残念です。まあ他も2・3読んでみたいです。
Posted by ブクログ
インタビュー形式で始まるがどんな話が
始まるのかと引き込まれる様に読ませる。
人間の嫉妬、恨み、羨望等誰しもが
持つ感情がそこいらに散らばっている。
噂話しの様に語られる故人の話しは
まるで目の前で語られている様に感じる。
クライマックスはもう一度読み返しが必要かも。
Posted by ブクログ
この本を読んでいると「ずいぶん難しそうな本を読んでるね」と色んな人に言われた。
けれど見た目に反してタッチも軽く、私の苦手な状況描写も少なくてとても読み易かった。
めった刺し殺人事件でタッチが軽いってどういうこと???って訊かれたけど(笑)
途中から湊かなえさんの本を読んでいる気になった。
Posted by ブクログ
練馬に住む一家四人が惨殺された。周囲からは穏やかで平和な一家と噂され、怨恨の線はないようだが犯人が捕まらないまま一年が過ぎた。しかしあるインタビュアーが行った聞き取りにより、夫婦の新たな顔が明らかになり……。
ただひたすらに登場人物たちが揃いも揃って愚かでとても悲しくなる。関係者たちもみんな愚か。どこからどこまでが個人の印象で真実なのかは微妙なラインのような気もするけど、個々の語りからにじみ出るどうしようもなさは良かった。でもやってることは嫌な女、嫌な男なんだけど、まあいるよねそういう人ってくらいのエピソードだったから、実はこんな裏の顔が!っていうインパクトはあんまりなかった。まあそれくらいのことで、というのも愚かさのポイントの一つなのかも。しかし犯行が杜撰すぎてなぜこれで捕まらないのか、と思ってしまった。
Posted by ブクログ
ああ、やな話だった。読後感が最悪のストーリー。映画はパスしたけど、どんな話だったのかと思って、読んでみたが、読まない方がよかったと思う。
文章スタイルとしては変わってるけど、普通の描写の方が私は好きだな。
Posted by ブクログ
わあ、最悪だ。(作品がという訳ではなく、ストーリーの内容が)
一家4人惨殺事件の被害者夫婦の人間関係が独白で次々と語られる。
人間のいやな部分がこれでもかと。
そして間に出てくる謎の独白。
親になるべきではない人間に育てられた不幸を見て、ずーんと嫌な気持ちになった。
色々理不尽でそして救いがない。
Posted by ブクログ
四人一家惨殺事件の被害者の過去の関係者にルポライターが取材をしている形で進んでゆく。
皆ペラペラと語る語る!被害者の過去の酷い話を。殺されて、若い頃の事をこんなに悪く語られたらたまらない。
絶対に被害者になってはならんと怖くなる。
で、犯人はああこの人かと言う感じ。
でも犯行の動機が曖昧で、生い立ちによって犯罪者になってしまったというなんともやりきれない結末。
生まれたときから人生決まってるというのが主題だったのだろうか?
かなり慶応をディスってる内容には笑ってしまった。作者は早稲田出身だから?(笑)
Posted by ブクログ
惨殺された夫婦の人間像を、知人・友人の証言から描き出すストーリー。タイトルの通り、人間の愚行のオンパレードでした。
「人間は馬鹿だから、男も女も馬鹿だから、愚かなことばっかりして生きていくものなのかな」。まあ愚かだからこそ、愛おしいのかもしれませんが。
それとこの小説を読むとよく分かるのですが、人が誰か(もしくは何か)について語るとき、所詮ある一面でしかないんですよね。これが真理だ、と自信たっぷり言う人間は疑ってかかったほうがいいよね、やっぱり。鵜呑みにするなんてもってのほか。
それにしても貫井さんって、相変わらず読者を引き込むのが巧いなぁ。読み出すと他のことが手につかなくなる。