あらすじ
大手銀行に勤める41歳の安達は、無差別大量殺傷事件のニュースに衝撃を受ける。40人近くを襲ってその場で焼身自殺した男が、小学校時代の同級生だったのだ。あの頃、俺はあいつに取り返しのつかない過ちを犯した。この事件は、俺の「罪」なのか――。懊悩する安達は、凶行の原点を求めて犯人の人生を辿っていく。彼の壮絶な怒りと絶望を知った安達が、最後に見た景色とは。誰の心にも兆す“悪”に鋭く切り込んだ、傑作長編ミステリ!
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Posted by ブクログ
貫井徳郎先生の想像力、キャラクターの緻密な設計には毎度感動させられる。
この本を読んでて最初は微笑む人を思い出し、
後半には乱反射を思い出した。
why done itから世間に一石を投じる内容となっており、この本を通して考え方がひとつ増えてくれる人がいればいいなと感じたし、その中に自分が入れていればいいと思う。
今後生きていく上で忘れたくない本。
Posted by ブクログ
就職氷河期世代を勝ち抜き、大手銀行に就職し、幸せな家庭も手に入れた安達。しかしある日突然起こった無差別テロの犯人が小学校の同級生であることを知る。自分が彼に無分別にもボソッと下の名前が「キン」と読めることをつぶやいてしまってから、イジメの対象になっていた。イジメをしたわけではないが、それがエスカレートして彼が不登校になるまで続き、出てこなくなるとサッパリ忘れていたことも、良心の呵責を大きくした。彼が同級生であることに気づいてから、パニック障害になってしまう。
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人間の想像力のなさ、無関心さ
自分の機嫌は自分で取りましょう。と無神経に過ごし自分の機嫌だけしか取らず、
振り回される人間をコントロール出来ない愚か者だと決めつける。
乏しい想像力。
なんとなく、そんな考えにも結びつけていた。
なんともリアルなものだった。
登場人物が最終的に手を止める、それだけが現実と違うところか。
エピローグの辺りを仕事終わりの電車で読んでいた。割と混み合う電車。
次は〇〇駅です。
私もそうだが、この駅で乗り換える人が多い。
降りるかと思っていたら
「下ろしましょうか?」とハキハキと話す若い男性の声。
ドア付近の少し広くなっている所
上の荷物置きには紙袋
「ありがとうございます」女性は少し驚いた表情、
嘘みたいなタイミングで
優しさが目の前に広がった。
若い男性というか、若いかっこいいにいちゃんだった。
スケボーとかやってそうな、にいちゃん。
多分、この小説を思い出すたびに
そのにいちゃんの事も思い出す。
そっと幸せを祈る。
私も昔、よく道に迷ってそうな人とかに勝手に道案内をしていた。
写真を誰かに撮ってもらいたそうな人に
撮りましょうか?と勝手にカメラマンをしていた。
いつの間にか、イヤフォンして
足早に目的地に向かっていた。
忘れてはいけないもの、どこかに忘れてたな。
読んで良かった。
本当に。
Posted by ブクログ
「悪の芽」は誰でも心のどこかに潜んでいるし、誰でも気付かず水を与えているかもしれない…
とても考えさせられる物語でした。
しかも色々な立場の視点で話が進むのも良かったです。
読んでいる間は重く苦しい気持ちになりますが、最後はスッキリして良い終わり方だと思いました。
安達さんはとても良い上司になると思うので、休職の事は気にせず出世すると嬉しいです。
たくさんの人に読んで欲しい本です。
Posted by ブクログ
2024年の締めは久しぶりの貫井徳郎作品!
良作でした。
無意識とか、無自覚とか、慣習とか、そんなつもりなく人を傷つけることって、多々あるんだよな。自分が気づいていないだけはんだよな。と改めて思った。
想像力。
まぁ、自分の楽しいことしてる時に、世界では苦しんでる人もいるんだ!その人のことも考えろ!って無理矢理に押し付けるのは、行き過ぎだとは思う。
でも、あらゆる物事を自分ごととして考えられる人間ではありたい。
そうあるためには豊富な知識や柔軟な発想力、無意識を意識する力が必要だと思う。
養い続けていきたい。
Posted by ブクログ
ものすごく考えさせられる作品だった。
自分の何気ない一言が他者の人生を大きく変えてしまうことがある。大人になった今でも、ましてや幼少期にそこまで想像力を広げるて生きていくことなんてできない。
想像力の欠如こそ人間の弱さ。
まさにその通りであると思う。悪の芽も善の芽も育てるのは人間の想像力だ。
Posted by ブクログ
「大半の人間は、想像力などないのだ。そして、想像力がないことにも気付かずに生きている。」
「人間が作った社会は、本当なら助け合って弱い人も生きていけるようにする仕組みだったはずだ。なのに今更自己責任って言い出すのは、人間であることの放棄だ。」
「人間はなぜ、自分の周囲に向ける分しか優しさを持っていないのだろうか。」
命を賭しての問題提起。善の芽を育てるのも、悪の芽を絶やすのも、人間の想像力。動物であるのをやめた人間の進歩はまだ、始まったばかり。
Posted by ブクログ
とても興味深くて引き込まれました。事件の動機はもちろんですが、ネット社会の危うさや職業差別、弱肉強食の社会、いじめ、復讐など、色々なテーマにしっかり向き合った内容だと思いました。こういう人いそうだなというリアルな人物も沢山登場するし、凄い視点を持って書かれていると感じました。解説の石井光太さんの本も好きで読んだりしているので、そこも含めてとても良かったし考えさせられる内容でした。想像力と勇気の大切さを教わりました。
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相手にとって何気ない発言であったとしても人の言葉には重みがあるし、言われた本人はずっと忘れられないこともある。無関心であることも時には罪になる。
芽は集まると大きな力になる。いろいろ考えさせられる作品でした。
Posted by ブクログ
貫井さんの悪の芽
考えさせられる話しだった
悪意なく発言した言葉が発端と思って読み始めたから、過去の発言に悪意が入っているとわかった時、苦しんでいる安達に同情することができなかった
過去のいじめの加害者が安達含め2人出てくるけど、最初は自分たちが被害者みたいな心情になってるのがすごく嫌だった
でも丁寧な描写でそれぞれの現在の背景や成長過程など細かく描かれていて良かった
プライドは上手く扱わないと傲慢に繋がるんだなと改めて実感した
現在の被害者家族の行動や心情もすごく丁寧に描かれていて、辛かったけどすごく良かった
江成さんが加害者側にならなくて良かったな
Posted by ブクログ
夏のフェア棚に置かれていた本作。
帯が大きく新しくなっていて、
新聞のようなレイアウトのものでした。
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無差別大量殺傷事件
隠された犯人の壮絶な半生
殺人鬼を生んだ悪意のひと言。
この事件は、誰の「罪」なのか?
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アニメの大型イベント、アニコン。
そこが突如、無差別殺傷事件の現場になる。
40人近くを襲いその場で焼身自殺した犯人。
ニュースで報じられた犯人の名前、出身学校。
本作の中心人物である安達は、
小学校のかつての同級生だと気づく。
死んでしまっているから本人の口から聞くことができない。
なぜ、事件を起こしたのか?
安達のなかに後ろめたさがあった。
自分も凶行の原因となる一因だったのではないか。
過去を辿る決意をした安達がたどり着く真実とは。
みんな自分に都合が良いように受け取るし、
そうじゃないと自我を保てない。
だけど、そこからこぼれ落ちるように底へ落ちていく。
悲観したのか、憤怒に駆られていたのか、
諦めたのか、嘆いていたのか。
誰の心の中にもあるような、
自尊心、嫉妬、自分を守るために攻撃する気持ち、
それらが注がれ続けて悪の芽が大きく育つ。
一気読みでした。
Posted by ブクログ
解説の冒頭に『読者の中に自分はいじめとは完全に無関係だったと言い切れる人、子供の頃に誰かを傷つけた経験は無かったと断言できる人はいるだろうか?』…そんな問題提起がされる。
主人公は41歳のサラリーマン。一応順風満帆に社会を渡ってきた。ある日、アニメの大イベントでの無差別大量殺傷事件のニュースに衝撃を受ける。その後自らに火を付け動機不明のまま死んでいった犯人…この男が、小学校時代の同級生だったという事実。そして自分は過去に犯人をいじめていたことがある…犯人の動機は過去のイジメに端を発し、社会への憎悪を膨らませたのだとしたら、この事件は自分の「罪」なのか…そんなストーリーだ。
各章では別な人物からの視点…大量殺人をスマホ撮影したSNSがバズり人気者になった大学生、犯人が死んだため、大量殺人の原因になったと思われるいじめの加害者の主人公を尾行する、犯人に焼き殺された娘の母親。この事件をまた別の角度から語るのもちょっと面白かったな。
犯人のこれまでの半生を辿ってみると、病弱な子供を抱えるシングルマザーを支えていたということがわかり、さらに苦悩する主人公。もちろん大量殺人の罪は消えないが、どこで絶望して行為に及んだのか…真相は闇だ。
『悪の芽』というタイトルは、すべての人は犯罪の要因に加担してしまう可能性がある、その芽に知らず知らず水をやってしまうかもしれない…そんな恐ろしさを持っているということ。そんなことを思い、改めて姿勢を正した。
Posted by ブクログ
とても考えさせられて読書中はつらいけれど読んでよかったと思える作品だった。
悪の芽は誰の中にもある。物心ついたときから誰かに悪意を向けて、向けられたことは誰しもがきっと経験がある。だから登場人物の何かしらの言動に共感ができる。と同時に、私はあの時あの人を傷つけてしまったんだろうなという言葉を思い出して胸が締め付けられたり、あんなことされたら嫌だってわかってるのにやってしまったなと自分で自分に指差すような罪悪感が湧き出てくる。
Posted by ブクログ
誰もが自分の周りのことしか、自分のことしかわからない。わかろうとしない。それを責めることはできないし、自分も全てのことに人に想像力を持って寄り添ったりなんかできない。だからせめて周りの人たちを大切にしたいし、誰にも大切に思う相手がいるってことを忘れずにいたい。
完全に悪も、完全な善もないんだと思う。それでも孤独や絶望を感じる人が少しでも減りますように。一線越える前に立ち止まらせてくれる存在がありますように。
後悔するのは人間にしかできない辛いけれど大切なことだと思う。
Posted by ブクログ
傍観者として読み始めるが後半は当事者になる
弱肉強食、自己責任、努力、格差、
他人を見下すことが皆無であると私は到底言えない
ラストに僅かながら希望が見えてようやくまともに呼吸ができた気がする
Posted by ブクログ
少しづつみんなが善の芽を育てることを信じられれば、今日よりも明日の方が優しくなれる。
絶望のきっかけは些細なことから始まる。決して自助努力では語れない部分。
Posted by ブクログ
面白かった!貫井作品にハズレなし!冒頭、凄惨な事件から幕を開ける。犯人の動機や人間性についての報道がされるが、犯人が事件直後にその場で自死したこともあり、憶測を交えたものとなる。この物語の主人公の安達は小学生の頃、犯人がイジメにあうきっかけを作ってしまった人物で、自分は悪くないんだーっていう理由を探すお話。正直、安達みたいな人は好きになれないな。あと余談ですが、果南がキャバ嬢では!?と思ったりして、つくづく自分はミステリー脳ではないなぁと実感。
Posted by ブクログ
大好きな貫井徳郎さんのミステリーなのですが、正直な感想としては、「もう一押し、二押し欲しかった~」というところです。コミケの様な大規模なイベントで無差別大量殺人を行った斎木均。犯行後は焼身自殺を図り、事件の真相は闇の中となってしまったが、安達周はこの事件に大きな衝撃を受けた。というのは、斎木と安達は小学校時代の同級生であり、些細な事がきっかけに安達は、斎木が苛めの対象と成ってしまうきっかけを作ってしまった張本人であったからだ。安達は、斎木が行った無差別大量殺人が小学生時代のいじめに端を発しているのかが気になり、事件の真相を追うのだが、その真相とは・・・
Posted by ブクログ
うぅ…考えずにはいられない。
解説者のいう、何らかの原罪を抱える背景と、その贖罪したいと思う心理は誰しも持っていることだろう。
特定の事件との関わりがなければ、それを贖罪しようという意識や行為にならないという人間の業のようなものを感じた。
それにしても、様々な所得層や家庭人の視点に立った心理描写がなぜこれほど上手いのだろうか。
Posted by ブクログ
ストーリーの展開にやや無理があったり、人の心情として理解が難しい部分もあり、書物として少し大雑把な印象も受けるものの、最終的に明かされる(明かされたと解釈をした) メッセージには共感をするところが多かった。
普段の生活でつい考えたり、とってしまう行動は、時に他者への思いやりの欠如が原因であり「人間」としての未熟さであると感じた。
Posted by ブクログ
読んだ本 悪の芽 貫井徳郎 20251206
嫁さんのお下がり本。
小学生のころの同級生が大量殺人事件を起こす。その同級生を不登校まで追い込んだいじめの原因者が主人公で、自らの責任、自己嫌悪、社会的制裁への怖れとか色んなものを抱えながら犯行の動機を探るってお話。いじめてたことがばれて公表されると社会的に抹殺されるっていうSNS時代のサスペンスを絡めて、結構先がどうなるのか気になって一気に読んじゃいました。
なんだかんだ言って、SNS上の匿名の世間は無慈悲だけど、実在のリアルな関係者たちには情があるというか救いがあるというか、正直ラストはうまく呑み込めなかったんだけど、ホッとした感で終わるのはそれはそれで。
テレビでやってる「良い子悪い子」とシンクロして、どきどきしました。
こういうの、振り返ってみて今更ながら考えさせられるな。
Posted by ブクログ
日本最大のアニメコンベンションで起こった無差別殺人事件。
主人公の安達はニュースを見て、犯人の斉木が小学校時代の同級生だと気付く。
しかも、安達が付けたあだ名で斉木はいじめられていた。
斉木が起こした事件の責任は、過去の自分の行いにあるなではないかと衝撃が走る。
斉木は事件を起こした後、自らも命を絶っており、動機がわからい。
この事件により、安達だけではなく、安達と同じように斉木をいじめていた同級生や斉木の両親、被害者の家族、斉木の事件に遭遇した参加者たちの考えが少しずつ動き出す。
この話は、誰にでも起こりうる可能性があるものかもしれないものかもしれない。
2025.12.3
Posted by ブクログ
最近、時代の早さについていけないと感じる。
気づけばネット上で人を判断、評価してありもしない憶測や正義感で人を傷つける様を嫌でも見るようになった。
なんて愚かなんだろうかと、思う。
私は、心無い言葉や、人の気持ちを阻害する人間の気持ちが心底分からないし気持ち悪いと思う。
「私は人間だ」と高尚な生き物みたいに言葉を並べて物を語ってはいるが、やっていることは人間のしていることとは思えない。
本作「悪の芽」に出てくる斉木の言葉を借りるのであれば、弱肉強食の理屈の間違った使い方をしていると思う。
この作品は、アニメのイベントで無差別大量殺傷事件を犯し、自殺した犯人と犯人の人生を壊した人間、そして犯人と関わった人間たちの物語だ。
一見、そんな事件を起こす犯人の動機を探る物語に見えるが、この物語の本質はそこではない。
物語の主軸となるエリートサラリーマンで斉木の同級生、いじめが始まるきっかけを作った男、安達は自分が上流の人間の中にいることで安心している。
斉木の気持ちなんて考えず、バカみたいなあだ名をつけてそうなったのは斉木のせいだと言った。
斉木の同僚たちは、金欲しさに安達に情報提供をした。女にいれあげたてたとか、キャバ嬢と絡んでたと真実を知りもしないで人を見下した。
斉木に娘を殺された女性は、安達を晒すことで自分の傷ついた心を癒そうとした。女性の息子は母の気持ちをゲームのようにもっとやれと簡単に言った。
斉木の反抗現場を撮影した学生は、一過性の人気と自分の承認欲求のために浅い情報だけで誰かを傷つけようとした。
この、登場人物たちの行動こそが重要だ。
出てくる全ての人たちが、自分本位の行動で誰かが傷つくことを考えていないのだ。
これは、現代と同じではないか?
女だから。アホだから。キャバ嬢だから。
ブスだから。デブだから。頭が悪いから。
そうやって、自分以外の人を見下して、何も考えずに人を傷つけることに歯止めが効かない。
そこのお前だよ。
気をつけろ。
その考えなしの言葉の結果、誰かに火をつけられるぞ。
その時のお前は本当に被害者か?
弱肉強食の世界で自己責任だなんて言わせない。
絶対に言わせない。勝手に人間の放棄をさせない。
この作品はそう訴えているように思える。
この作品が、今年の角川文化夏フェアに選ばれたことに大きな意味があると信じたい。
そんな作品だった。
Posted by ブクログ
自分の過去の過ちをある凄惨な事件をきっかけに見つめ直すという作品。全体的な展開も早くサクサク読める作品であったが、心理的描写や登場人物の思考というものが自分にとってはなかなか理解の難しいものであった。また、真実が語られた後も少し疑問が残り消化不良と感じてしまった。ただ、物語全体を通してみるとある程度の一貫性を感じることができ、繰り返し読みこむことで理解が深まっていきそうな雰囲気を持っていた。
Posted by ブクログ
小市民的な思考回路をつなげて物語を紡いでいく貫井さんの小説はとても読みやすくて面白いと思っている。陰惨で刺激の強い冒頭のエピソードからどのように物語が展開していくのか期待して読み進めたが、結論から言うと、どうにもぼんやりとした消化不良のまま終わってしまった。タイトルの「悪の芽」は過度に誇張された加害者意識にしか思えず、描かれた経緯からは冒頭の惨劇の芽がそこにあったとはどうしても思えなかった。鬱屈した絶望を描くには貫井さんは優しすぎたのかもしれない。この物語でいえば、絶望仲間のキャバ嬢との関係性こそが犯行の直接的なきっかけだったに違いない。でもこの小説が安達のような立場の人の心情を描くことを目的としているのならば、もしかしたらそれには成功しているのかな?
ただ、それはそれとして、絶望は蓄積するものだと思うし、今の世の中、その蓄積の量は以前に比べて格段に増えているように感じる。本当に大変な時代ではある。本当は希望だって同じくらいあるはずなんだけどね。
Posted by ブクログ
過去のいじめに対する罪悪感・良心の呵責がテーマの一つで興味深かった。自分の小学生時代も思い出した。
いじめのきっかけを作った安達は主人公だから描写は多いが、いじめ実行者の真壁の話はボリュームが少なくてやや消化不良。
大量殺人の被害者が良心の呵責からむやみにネットによる復讐に走らなかったのは良かった(昨今そういう復讐系が多いだけに)。
斎木の無差別大量殺人の理由がイマイチしっくり来なかった(私の想像力が足りないせいか・・・)。斎木が主役の章も欲しかった。
Posted by ブクログ
人は誰しも悪の芽を持っている。
ネットが発達し、自分の意見を手軽に発信出来るようになって、悪の芽の育ちやすい環境が整えられているように感じる。
考えさせられる内容でした。
Posted by ブクログ
人間は誰しも悪の芽を持っていて、その成長は「理性」と「想像力」で決まるということか。
最後、熊谷さんの言葉は今の世の中そのものですよね。あんたらのやってること動物やんってかなりくらう言葉だわ。
本を読んでいると、『この本、義務教育の教材にしたらいいのに』と思う事が稀にあるのですが、これもそう。自分の理性と想像力を再確認するのにちょうど良いです。
物語のラストは希望。
(動物をやめた)善の芽を宿す人間が作る社会への期待です。すごく綺麗に終わります。そこは物語だな。
Posted by ブクログ
幼少期から勉強も出来、人生“勝ち組”街道のエリート銀行員・安達周(41)。ある日、ニュースで見た無差別大量殺傷事件の犯人が、小学生時代の同級生と知る。それもただの同級生ではなく、安達が何気なく口にした一言からいじめられることになったあの同級生だったのだ。世間を震撼させるほどの大事件を引き起こした犯人の悪の芽は、あの時安達が作り出したのか…?
子供の頃のいじめって本当に残酷。集団対1人の構図が一度でも出来ちゃうと、なかなか元通りの関係には戻れない。
だからっていじめられた方が無差別テロを起こしていいはずはないけど、いじめた側に何のお咎めもなく後の人生“勝ち組”街道っていうのがめちゃくちゃ後味悪い。
パニック障害を患って、それなりに自分の罪とも向き合ったのかもしれないけど、ラスト20頁で達観してスムーズに元通りってところが自分には消化不良でした。うーん…。
Posted by ブクログ
解き明かしたような感覚になりながらも、解決していないから達成感や安堵感はない。
主要人物のほとんどに同情しきれない陰りがあるからか、胸を衝くような痛みややるせなさは感じないまま読み終わった。
安達は善でも悪でもないけれど、社会的地位から若干鼻につく感じ。そしてそれを自覚している。
過去の自分が起こしたいじめが原因かもしれないという罪悪感と、そんなことはないと自己弁護する気持ちの交錯。
テーマは想像力。
いじめの加害者、傍観者、事件の傍観者、被害者の遺族…残忍な事件の犯人にまつわるさまざまな人の考えが見て取れる。
犯人家族を訴えたい人、いじめの加害者を逆恨みする人、事件にかこつけて承認欲求を満たしたい人、過去のいじめを半ば美談にする人…それぞれに主張があるし、それぞれに想像力が足りない。
でも、みんなそんなものじゃないかな?
身近な人ならまだしも、関わりのない人や立場が違う人にまで想像を巡らすのは難しいのでは?
…と言いたくなるけれど、想像力が足りない故の絶望を味わった人の叫びを聞けば難しいなと。
教訓としては、悪口、第三者に聞かれて困ることは密室で!ファミレスも危険だね…。
展開に少し無理があるかな〜?
ミステリー系小説の部類に属するかと思いますが、ストーリーの展開に少し無理があり、「えっ!そういう事実があったのか?」という、驚きの場面もありませんでした。